社労士試験の難易度は?合格率や勉強時間・8士業との難易度比較まで徹底考察

社労士試験の難易度は?合格率や勉強時間・8士業との難易度比較まで徹底考察

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社労士

のんびり社労士いけい

「社労士の資格に興味があるけど、実際どれくらい難しいの?」

そんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

社労士は一般に取得難易度の高い資格だと言われていますが、何と比べて難しいのか、難しくても合格チャンスはあるのかなど、明確でないことも多いと思います。

この記事では社労士試験の難易度をあらゆる面から分析して、その結果を分かりやすく解説していきます。

読み終わった頃には、社労士試験の難易度について明確に理解し、社労士試験に対する正しい向き合い方が分かるはずです!

社労士の難易度をざっくり説明すると

  • 社労士試験は難しいが誰でも合格が目指せるレベル
  • 合格までには勉強時間にして1000時間、期間にして1年程度の学習が必要
  • 合格率は約6~7%だが近年は上昇傾向にある

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社労士試験の難易度は高い

社労士の難易度表

社会保険労務士(以下、社労士)は毎年5万人近くの人が取得を目指す大人気の国家資格であり、その資格試験の難易度は高いです。

合格率は例年6〜7%を平均にして推移している点からも、試験の難易度の高さが伺えます。

社労士の合格率は6%前後で推移

社労士試験は年に一度実施されます。 次のグラフは社労士試験の直近13回の合格率の推移です。

出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

社労士試験の合格率は、おおよそ6%という平均値を示しています。この12年間で合格率が10%を超えたことは一度もないので、非常に難易度の高い試験であると言えます。

2015年には、社労士試験は驚くべき2.6%という合格率を記録し、翌年も4.4%と低い水準が続いていましたが、近年は徐々に上昇傾向にあります。

社労士の合格者数は年々変動しますので、定員は特定されていません。しかしながら、結果をもとに考察すると、受験倍率は高い年で20倍以上、低い年でも10倍以上となることが分かります。

社労士試験の合格率が低い理由

特に独学で勉強している人は、受験本番を待たずして合格を諦めてしまう人も多いです。実に2割以上の受験生が、受験申し込みをしたものの受験を受けることすらしないで諦めてしまっています

また、仕事の都合などで思うように勉強が進まず、「一応申し込みしたから・・・」 と、勉強量が不十分なまま受けにくる人も大勢います。

合格率が6%程度と聞くと気負いしてしまいそうですが、実際に十分な勉強を積んで試験に臨む人は多くないことを考えれば、合格可能性は数値が示すほど低くはないと言えます。

社労士試験合格に必要な勉強時間・勉強期間は?

一般に、社労士試験合格までに必要な勉強時間は800~1000時間程度と言われています。

1000時間というと、1日平均3時間勉強しても合格までに1年弱かかります。

受験者の7~8割の方は会社員や公務員と働きながら学習を行っているため、実際に毎日3時間の学習時間を確保することは難しいことが多く、合格までに2年以上を要する方も珍しくありません。

また複数回受験する人も多く、その際には勉強時間が合計で1500~2000時間程度になってしまうこともあります。

もちろん勉強時間は個人差が大きいものではありますが、最短でも合格までには1年程度は勉強が必要で、複数年で合格を目指すのがセオリーということを、念頭に置いておくことが望ましいでしょう。

社労士の資格取得までの勉強時間については、以下の記事で詳しく解説しています。

平均受験回数は4回程度

社労士試験の平均受験回数は一般的には4回程度といわれています。

ただ、これは実体に即した数字ではなく、実際には1~3回で合格する人と5回以上という苦労を重ねて合格した人の2種類が最も多く、その平均をとると4回という数字に落ち着くのです。

このように、一発で合格できる人がかなり少ないという実態からも社労士試験の難易度の高さが伝わってくるでしょう。

社労士の偏差値は62

社労士と主な難関国家試験の偏差値を比較した表は以下のとおりです。

資格 偏差値
弁護士 75
公認会計士 74
司法書士 72
中小企業診断士 63
社労士 62
行政書士 60
宅建士 56

この表から見てわかるように、社労士の偏差値は62と一般的に位置づけられてます。

これは、ほかの国家資格である行政書士の60・宅建の56と比較して高い数字となっているため、難関国家資格であるといえるでしょう。

一方みんながよく知っている弁護士の偏差値75・公認会計士の偏差値74などと比較すると低い数字となっていることから、難関資格と呼ばれるものの中では比較的難易度の落ちる試験であることがわかります。

よって社労士試験は十分な対策を積むことで誰でも合格が見えてくる試験であることが伺えます。

社労士試験の合格ラインは全部で17種類

社労士試験においては、合計得点だけで合格が決まるわけではなく、選択式と択一式のそれぞれにおいて、総得点と科目別得点の両方で合格ラインをこえる必要があります

具体的には、社労士試験は全8科目からなり、選択式では8科目、択一式ではそのうちの7科目が出題されます。

そのため、各試験形式の総合得点2つと、科目別得点の15個、合わせて17個の合格ラインをクリアしなければなりません。

この合格ラインは毎年変わりますので、その変動が社労士試験の難易度を高める大きな要素となっています。

つまり、苦手な科目を作らず、各科目をバランスよくこなすことが、合格への鍵となります。

選択式試験の合格ライン

択一式試験の総合得点の合格ラインは近年は40点満点中23点前後となっています。

よって総合得点の得点率は70%以上確保できればほぼ確実に試験を突破できたと思っていいでしょう。

一方科目別の合格ラインは各科目5点満点中3点が一般的です。

科目別合格基準では、問題の難易度が上がり受験生の得点率が低かった科目で救済措置が取られる場合があります。

具体的には救済措置を受けると合格ラインが3点から1~2点に変更され、大量の受験生が落ちないように配慮されます。

択一式試験の合格ライン

択一試験の総合得点の合格ラインは70点満点中41~49点の幅で変動しており、択一式試験も選択式試験と同様に70%以上の得点率でほぼ間違えなく合格ラインを突破しているといえるでしょう。

一方択一式試験の科目別の合格ラインは10点満点中4点が基本となっています。

選択式試験と同様に救済措置が取られる場合もあり、その場合は3点に変更されます。

しかし択一式試験で救済措置が取られることはめったにないので確実に4点を狙いに行くことが重要です。

社労士の難易度は大学だとどの位?

社労士の難しさは大学で言うとどれくらいのレベルなのでしょうか。

社労士と同じく偏差値が62(2022年のベネッセデータより)の大学・学部をチェックしてみました。なお、数が多いので国公立大学の一部のみ掲載しています。

大学名 学部
埼玉大 経済
東京学芸大 教育
金沢大 人間社会
岐阜大 地域
熊本大
熊本大
愛知県立大 日本文化
大阪公立 現代システム科学域-教区福祉

出典:マナビジョン2024年度入試対応

社労士と同じ偏差値の大学を並べると、誰もが知っているような有名大学が並ぶことが分かります。

当然ながら大学入試と資格試験では受験者層が大きく異なるので単純な比較は難しいですが、社労士試験の難易度を大まかに掴むことができたのではないでしょうか。

よって、十分な学習を積まないと合格が難しい資格であることがこちらの比較からもわかります。

社労士の国家資格難易度ランキング

社労士の難易度の把握には他資格との比較が有効です。

主な国家資格の難易度ランキングは次のようになっています。

資格 難易度 勉強時間の目安
簿記1級 難関 800~2000時間
FP1級 やや難 500時間
宅建 やや難 300時間
行政書士 やや難 500~800時間
社労士 難関 1000時間
中小企業診断士 難関 1000時間
税理士 超難関 3000時間以上
司法書士 超難関 3000時間以上

自分のよく知る資格や身近な資格と比べて、社労士がどれくらいの難しさなのかを見てみてください。

社労士の国家資格難易度ランキングについては、以下の記事でより詳しく確認できます。

メジャー資格と社労士の難易度を比較

8士業以外にも多くの人がダブルライセンスを考えている資格を詳しく紹介していきます。

宅建士

宅建は不動産の購入及び賃貸の際に顧客に対して重要事項説明を行うために必要な資格であり、不動産の取引を仕事にしている人は取得必須の資格です。

宅建試験は必要な勉強時間が300時間以上、合格率は例年15%前後で推移している多くの人が受験する国家資格です。

宅建の試験問題は、過去問の出題が焼き直しした状態で出題されるという傾向が続いており、以前の試験問題の選択肢を完璧にする学習を行うことで合格を確実に掴むことができます。

また、社労士試験と比較して法改正の影響は限定的となっています。

このような要因が重なり、宅建は国家資格の中では比較的難易度が低いといわれており、難易度の高さは社労士の方に軍配が上がるといえるでしょう。

宅建士の難易度の詳細は以下の記事をチェックしてください。

中小企業診断士

中小企業診断士の試験は、必要勉強時間1000時間、試験の合格率約4%と、社労士試験とほぼ同じ難易度であると言えます。

中小企業診断士も行政書士試験と同じく、ダブルライセンスが推奨されており、仕事の面で高い需要が見込めることが予想されます。

具体的には、働き方改革の影響で社内の労務環境へのコンサルティング業務の需要が高まっており、中長期的な需要が見込めるのです。

中小企業診断士の詳しい難易度は以下の記事をご覧ください。

簿記

簿記は1~3級まで難易度がある大人気の試験となっています。

簿記2級であれば、平均合格率が23.0%で勉強時間も350時間であることから難易度は社労士試験と比較して低いでしょう。

しかし簿記1級は合格率が9%程度であり、勉強時間は初学者の場合800~2000時間程度となっていることから難易度は同程度とみられます。

簿記の詳しい難易度は以下の記事をご覧ください。

FP

社労士と同じく、大人気国家資格であるFPと社労士の難易度を比較してみます。

FP2級と社労士であれば、比較にならないほどFP2級の方が簡単です。

また、FP1級の合格に必要な勉強時間は約500時間、合格率は10%程度です。やはりFPの方が易しい資格であると言えるでしょう。

ただし、FP1級にはいくつか受験資格が存在するため、それを考慮すると資格取得難易度はだいたい同じくらいだと言えるかもしれません。

FPの詳しい難易度は以下の記事をご覧ください。

8士業と社労士の難易度を比較

8士業とは、第三者の戸籍謄本や住民票などの写しを職務上必要がある場合に請求できる資格のことを指します。

8士業の資格として、

  • 社労士
  • 行政書士
  • 税理士
  • 司法書士
  • 弁理士
  • 土地家屋調査士
  • 弁護士
  • 海事代理士

が挙げられます。

以下では、それらの資格の難易度を社労士と詳しく比較していきます。

行政書士

行政書士の合格に必要な勉強時間は500〜800時間と言われています。また、試験の合格率は約10%と、社労士よりもやや易しい試験であると言えます。

この難易度感は多くの資格受験者も同様に感じていることが、資格Times独自の難易度調査でも明らかになっています。

行政書士が憲法などのなじみの法律が出てくるのに対し、社労士は労使関連の専門的な法律が出題されることからも、行政書士試験で出てくる基本的な内容を押さえておかないと社労士の勉強は難しいです。

また、行政書士は全ての科目で180/300点を取れれば合格できるため、1科目の出来が悪くても他の科目で挽回することが可能な一方、社労士は合計17個の合格ライン全てを突破する必要があり、出来の悪い科目が一つでも合った瞬間に不合格になってしまいます。

こうした一つの取りこぼしも許されないという試験性質を有していることからも、社労士の方が行政書士よりもシビアな試験であることがわかります

どちらも士業であり、お互いの足りない部分を補える親和性を兼ね備えていることから、行政書士と社労士のダブルライセンスを取得する方が多いことも知っておきましょう。

行政書士の詳しい難易度は以下の記事をご覧ください。

税理士

税理士の試験は数的処理が求められる問題が多く、数学が苦手な方にとっては紛れもなく超難関の資格となっています。

一方で、一発勝負の社労士とは異なり、税理士試験では1科目毎に合格を積み上げられるという特徴があります。5年以上かけて合格する人も多い、非常に難しい国家資格です

よって、社労士と比較すると、圧倒的に税理士試験のほうが難しいといえるでしょう。

税理士の詳しい難易度は以下の記事をご覧ください。

司法書士

司法書士は、合格までに5年は必要と言われる超難関資格です。合格率は平均3%程度と、勉強時間の面でも合格率の面でも比較にならないほど難関だと言えます。

また、司法書士は試験範囲も膨大です。11科目が出題され、さらにその中から3科目が筆記試験で出題されることから、膨大な科目1つ1つをしっかりと勉強する必要があるのです。

司法書士と比べれば、社労士試験は簡単に思えてくることでしょう。

司法書士の詳しい難易度は以下の記事をご覧ください。

土地家屋調査士

土地家屋調査士は、土地や不動産の測量・表題登記を行う専門家です。

土地家屋調査士の試験は、必要勉強時間1,000~1,500時間、試験の合格率は8~9%で推移しており、社労士とほぼ同程度の難易度であるといえるでしょう。

ただ、受験資格は社労士と異なり存在せず、だれでも受験可能です。その点では社労士よりも受験のハードルが低いといえるでしょう。

土地家屋調査士の難易度の詳細は以下の記事をチェックしてください。

弁理士

弁理士は知的財産の専門家として、特許関連の業務・商標関連の業務、意匠関連の業務の3つを主な仕事内容としています。

弁理士の勉強時間は3,000時間以上、合格率は7~8%であり、勉強時間の観点でみると弁理士の難易度の方が圧倒的に高いです。

ただ、弁理士は受験資格がなく誰でも受験可能なので、もちろん弁理士の方が難しいのですが、勉強時間の数字が示すほど社労士との難易度差は大きくありません。

弁理士の難易度の詳細は以下の記事をチェックしてください。

弁護士

弁護士は国家資格の中でも最高峰の難易度を誇る資格として、その知名度は抜群です。

勉強時間は予備試験で1000~5000時間、司法試験は3000~8000時間と膨大な時間がかかることからも、その難易度は社労士よりもはるかに高いといえるでしょう。

更に、司法試験の受験資格取得においても社労士よりもはるかに厳しく、法科大学院を修了するか予備試験の合格が必要となっています。

ここから、あらゆる面で弁護士の方が社労士よりも難易度が高いといえるでしょう。

弁護士の難易度の詳細は以下の記事をチェックしてください。

海事代理士

海事代理は、海事に関連する申請の手続き代行を主な仕事とする国家資格であり、「海の法律家」と称されることもあります。

社労士が業務範囲を広げるために受験する場合も多いことから、両者は関連のある資格であるといえるでしょう。

試験はメインである1次試験の合格率がおよそ5割程度、合格に必要な勉強時間は500時間程度となっていることから、社労士よりも難易度が低い資格となっています。

海事代理士の難易度の詳細は以下の記事をチェックしてください。

社労士試験が難しい理由

社労士試験が難しい理由5選

社労士試験は合格率も低く、必要な勉強時間も長い高難度試験です。

ここでは、なぜ社労士試験は難しくなってしまっているのか、その理由を具体的に見ていきましょう!

試験範囲が広くて難しい

社労士試験の難易度を高める主要な要因のひとつは、広範囲に及ぶ試験範囲です。

社労士試験では、選択式と択一式の2つの出題形式が採用されており、試験科目は合わせて8科目となっています。

これら8科目が選択式および択一式の形で出題され、さらに各科目ごとに合格基準が設けられているため、均等に範囲を網羅して学習することが不可欠なのです。

具体的な試験範囲の内容とその対策方法については、以下に並べた通りです。

労働基準法と労働安全衛生法は2つの法律で1科目にまとめられています。

労働基準法は社会人になじみの深い労働時間や就業規則に関する法律・賃金支払いに関連する5つの原則等を学習していきます。

一方、労働安全衛生法は学校で受けたことのある健康診断を規定した法律であり、具体的には労働者の安全を守るための法律を学習する科目となっています。

労働基準法のほうが出題数が多く、判例が主に問われ、法律の深い理解が求められる科目となっています

比較的得点しやすい科目となっており、十分得点源にできる科目となっています。

一方労働安全衛生法は出題数が少ないので、「安全衛生管理体制」などの頻出項目を中心に対策を行って問題に対応できるようにすることが重要です。

労働者災害補償保険法では、労働基準法の「災害補償規定」をカバーするために作られた法律です。

労働者が業務中などに病気になった場合に会社や国がとるべき補償の中身について学習します。

保険給付を中心に出題され、深い内容は問われない科目となっているので基礎知識の学習が重要になってきます

雇用保険法は法律の範囲が広く、失業時に支給される「基本手当」の内容から育児休業について定めた「育児休業給付」まで幅広く学びます。

基本手当の給付率や日数などの基本事項がそのまま問われることが多いので、それぞれの数字についてきちんと覚えておくことが大切です。

また、「離職」の前後を意識して学習を進めることで、合格点までの実力を身に着けられるでしょう。

労働者関連の法律全般について学習する科目となっており、男女雇用機会均等法や労働者派遣法など多岐にわたる法律を学習していきます。

出題範囲が広く対策が難しいため、法律の改正内容などの内容を幅広く勉強することが大切になるでしょう。

特に労働契約法の出題は予想されるため、その部分のマスターは必須となります。

社会保険に関する様々な分野から出題される科目となっており、医療や財政など幅広い分野からの出題が特徴となっています。

年金制度や医療保険などの社会の最新動向を注意深くおっていく必要があります

また出題範囲は広いですが、実際はほかの法律科目と出題範囲がかぶっていることが多いので十分得点源になる科目となります。

健康保険法は仕事以外の日常生活でけがや病気を負った際に医療費を国が負担するための法律となっています。

基本的な保険給付以外にも難しい通達内容も出題される場合があるので学習時間をしっかり当てて対策することが重要な科目となってきます

対策として、厚生年金保険法と手続きなどで類似する内容が多いので比較して学習するとよいでしょう。 また法改正の部分が出題されやすいので要注意となっています。

厚生年金保険法では甚大な保険事故に対して、保険給付がどのように支給されるかを主に学習する科目となっています。

法律の制度の複雑さ・法律の改正の複雑さによって覚えるべき内容が多く、難易度の高い科目となっています。

国民年金法との対比したうえでの学習が効果的となっています。

国民年金法は年金に関する法律内容はもちろん、その歴史なども幅広く学んでいく科目となっています。

厚生年金保険法よりは基礎的な内容が出題され、難易度は厚生年金保険法より易しいのが特徴です。

受験生の間で差が生まれやすい科目となっているので、基本知識を中心に理解することで得点アップにつながります

社労士の試験科目の中で特に曲者なのがこの「一般常識」です。 一般常識といっても、漢字の読み書きや世界情勢について問われるものではなく、「労働管理・社会保険」に関する一般常識が出題されます。

試験が行われる年の前年度に行われた、政策の報道発表や総務省等の報告書などが出題範囲となり、問題が作成されます。

過去問などによる対策がしにくい分野ですので、予備校や通信講座が毎年作成している予想問題を活用するのが一般的です。

選択式の合格ラインを突破できない

社労士試験は択一式試験と選択式試験の2つの形式があり、特に選択式試験の合格基準であと1点足らずに不合格になるケースが毎年発生します。

この要因として、選択式は特定のテーマに出題内容が絞られてくるため、受験生の対策が追い付いていない細かい内容や苦手内容が出題されるパターンが多いことが主に挙げられます。

また、選択式は穴埋め型の試験であるため、択一式と比較しても内容が頭に入りづらく、肝心の知識が不足してしまう点も合格点を超えられない大きな要因といえるでしょう。

よって、択一式試験の対策を通じて幅広い内容を網羅することが必要とされるのです。

法改正に対応できていない

社労士試験のメインは法律の暗記であるため、常に法改正もセットで覚える必要が出てきます。

法律の中には頻繁に内容を変更しているものもあり、このような場合は過去に覚えたものが通用せず、もう一度覚える必要があるのです。

社労士試験では受験年度の4月までに実施された法改正内容や、公表される統計情報を元にした出題がなされ、その量の多さが特徴的です。

試験月の8月までの4ヶ月間ででそれらの情報収集・対策を講じる必要があるため、既存の学習内容にプラスして毎年追加的な負担が発生することとなります。

よって、特に独学者はこの最新の法改正情報のキャッチアップができずに合格ラインを越えられないパターンも出現し、難易度アップに寄与しています。

この法改正部分も確実に対策を行いたい際には、法改正部分も確実に網羅されたテキストを活用して学習を行うことがおすすめです。

受験資格が厳しい

社労士試験の受験資格は主に学歴・資格・実務経験の3つの条件のうち1つを満たす必要があります。

主な条件は以下のとおりとなっています。

  • 大卒・専門学校卒等の学歴
  • 3年以上の実務経験
  • 指定された国家資格の保有

多くの人が気になる大卒・専門学校等の学歴は、細かく分けると5種類に分かれていることから、受験の際には実際にそれらの条件をしっかり満たしているか確認する必要があります。

学歴の要件に関して、高卒の方や中卒の方は満たすことができないので、行政書士などの国家資格を取得してから、社労士試験を目指される方が多いです。

高卒の方が社労士の受験資格を得る方法については、以下の記事を参考にしてください。

受験資格についての詳細は社労士試験オフィシャルサイトでもご確認いただけます。

試験当日は長期戦

試験を受けるまでの勉強が大変であるのに加えて、試験当日もなかなかハードなのが社労士試験です。

試験当日は午前に80分、午後に210分の合計290分もの試験を乗り越えなければいけません。朝10:30から午後4:50まで続く長期戦です(途中休憩含む)。

学生時代であれば、1日中試験を受けるのはよくある話でした。しかし、多くの社会人の人にとって、プレッシャーのかかった状況で1日中集中力を保ち続けるのは厳しいものがあります。

本番で実力を出しきるのが難しいのも、難易度が高い1つの要因です。

試験に向けた体力づくりは必須

大人になってから何時間も試験を受け続けるのはかなり困難でしょう。

特に、30・40代の人はもともとの体力の衰えもあることから、より一層この問題はのしかかるに違いありません。

これらの事情をしっかりと考慮したうえで、長時間の試験に慣れることが非常に大切です。

具体的には、過去問を解く際に分野別で解くのではなく、フルですべてを解いて長時間の耐久を出来るようにすることや、外部模試などを利用して試験慣れをしておく必要があるでしょう。

特に、不測の事態が起きても冷静に対応できるように、外部模試は積極的に活用して、どんな時でも最大限集中できるようにしておくことが大切です。

社労士の難易度を受験者層から考察

社労士試験を受ける人はどんな人が多いのでしょうか。試験の難易度を知る上で受験者層の把握は欠かせません。

例えば合格率70%の試験と言われても、試験を受ける人がみんな東大生となれば難易度が低いとは言い難いでしょう。

ここでは受験者層の観点から社労士試験の難易度を解説していきます。

合格者の年齢層は?

以下は2023年度の社労士試験合格者の年齢分布です。

出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイトより

データから社労士の受験者のうち6割を超える合格者は仕事も忙しい30・40代の社会人であることがわかります。

したがって、社労士試験は社会人が「働きながら」あるいは「家事・育児をしながら」でも、十分合格を目指せる試験であると言えるでしょう。

合格者の男女比は?

毎年変動はあるものの、2023年度でみると社労士の合格者のうち38.8%は女性であること公式に発表されています。

これは同じ国家資格である行政書士の23.3%、中小企業診断士の8.7%と比較してもかなり高い数字となっています。

このことから社労士は女性の働き方が確立している職業であることが伺え、男女問わず活躍の場が豊富な資格であるといえるでしょう。

社労士試験の受験者層についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

2023年度の社労士試験は難化した?

2023年度に行われた社労士試験の難易度はどうだったのでしょうか。

択一式試験では、前年と比較してページ数が短くなったものの、それぞれの問題では、問われている内容を深く理解していないと答えることができない問題が続出しました。

よって、ただ知識の表層を学習してきた受験生と、しっかりと内容の本質を捉えて学習された受験生とで大きな差がつく問題構成であったといえます。

近年の試験では、奇問・難問と呼ばれる問題が減ってきている一方で、それぞれの知識の基本を深く理解しないと答えることができない問題が出題される傾向にあります。

よって、これから学習される方は基本的な内容の定義を暗記・理解することを徹底することを意識して学習を進めていきましょう。

社労士人気の要因

取得難易度が高いにも関わらず、毎年多くの人が社労士試験にチャレンジするのはなぜなのでしょうか。

社労士の人気の要因は様々ありますが、ここでは主に4つの要因を紹介していきたいと思います。

就職・転職に有利

社労士は資格を取得することで就職・転職の際のアピールポイントに繋げられます

社労士には独占業務として主に申請書類の作成や人事コンサルタントなどが与えられており、これが大きな強みです。

就職先の選択肢としては、社労士事務所にとどまらず企業の人事部など多岐にわたるため、幅広い選択が可能です

求人状況としては実務経験を重視する傾向がありますが、未経験者OKの場合もあるため心配はいらないでしょう。

独立開業の選択肢もある

社労士は士業のため、独立開業の選択肢も一般的となっています。

開業すると高年収を狙える・業務内容・業務量を自由に選択できることが主なメリットとして挙げられます。

このように独立による恩恵はとても大きいですが、集客を自分で行う必要があるため収入が安定しないという弱点もみられます。

よって自分から積極的に営業に行ったり、人脈を作ることを意識する必要があるでしょう。

難易度がずば抜けて高くない

資格別の難易度と取得メリット

社労士は各科目・総合得点にそれぞれ合格基準が厳しく設定されているため、苦手科目を作らずまんべんなく勉強することが求められる難関資格となっています。

しかし、税理士や司法書士のような合格率が極端に低い超難関資格ではないため、正しい勉強を実践することで誰でも合格を勝ち取れる試験とも言えます

数年かけて学習をする必要がなく、働きながらもしっかりと勉強することで合格できるポイントが人気の高さの秘訣であるといえるでしょう。

働きながらの社労士受験の実態については、以下のページで詳しく解説しています。

高年収を期待できる

社労士は独立に限らず就職した際にも高い年収を期待できます。

具体的には平均年収が600~700万円と、日本人の平均年収の432万円と比較してもかなりの高水準となっていることがわかります。

このほかにも資格手当などを受け取ることでさらに高水準の給料を目指せるでしょう。

開業では1000万円を目指せるケースもあることから、頑張り次第ではより高い年収を目指せる職業となっています

社労士はやり方次第で独学合格可能

社労士を独学で目指そうと考えておられる方もいらっしゃると思います。独学は学習費用を抑えられるという大きなメリットがあるので、難易度の低い試験にはおすすめの勉強法です。

一方で、これまでみてきたように社労士試験は難易度が高く、独学で合格するのは簡単ではありません。その上で独学合格を目指すのであれば、試験の特徴を理解し、効率的な学習を徹底することが大切です。

独学で合格するための勉強法は?

独学での学習において、最も大切なのは大まかな学習スケジュールを立てることです。一年で合格を目指すのであれば、まずは1科目につき1ヵ月程度の学習期間を見込んでおきましょう。

各科目の学習が済んだら(ここまで約8ヵ月)、それぞれの科目で7割以上が取れるまで復習を繰り返します。

ここで重要なのが、学習のメインをテキストではなく過去問や問題集にすることです。本番試験の接近に合わせて、意識的にアウトプットの量を増やしていきましょう。

語呂合わせとフレーズ化で効率よく知識を暗記

社労士試験は多数の法律内容を覚える必要があります。特に数字の部分は選択肢でよく問われ、覚えにくいと感じている人も多いのではないでしょうか?

この際は、語呂合わせを用いて頭にその数字を確実に残せるよう工夫することがよりよい記憶定着に効果抜群となります。

例えば、産休の期間である「出産の日以前42日、出産の日後56日」という数字を覚える際には、「ヨジ(42)・ゴロ(56)赤ちゃん生まれる」などのようにして覚えるとよいでしょう。

この際、全く関係のないゴロだと頭からすぐに離れてしまうため、ゴロの文章も覚える内容とある程度関連付けておくのがおすすめです。

社労士試験に向けた独学での勉強法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

2023年8月に向けた勉強スケジュール

社労士試験の合格には800~1000時間の勉強時間が必要と言われています。社労士試験は多くの人が仕事をしながら受験する傾向にあり、毎年7割程度の人が仕事をしながら合格しています。

仕事の忙しさによっても学習に充てられる時間は異なりますので、おおよその学習時間を見てみましょう。

・平日2時間、休日5時間ずつの場合⇒約1年

・平日3時間、休日7.5時間ずつの場合⇒約8か月

・平日5時間、休日10時間ずつの場合⇒約6か月

基本的には、合格までに1年以上かかることが普通であり、予定がずれることも見越して勉強時間を見積もることが大切です。

独学の際の学習スケジュールを見てましょう。

時期 学習内容
9月 試験科目の概要理解・啓発本を読むなど
10月 労働基準法・労働安全衛生法の学習
11月 労災保険法・雇用保険法の学習
12月 労働保険徴収法・労働に関しての一般知識の学習
1月 健康保険法・国民年金法の学習
2~3月 厚生年金法・社会保険に関する一般常識の学習
4月 国民年金法・厚生年金保険法の復習
5月 社会保険科目の全復習
6~7月 総復習・直前対策
8月 苦手分野の克服

9月~1月は基礎固め、2~6月は応用力の向上、7~8月は苦手分野の克服というスケジュールで完成させることをおすすめします。

また、学習に際しては必ず十分量のアウトプット時間を確保するようにしましょう。

インプット偏重の学習に陥ると、自身の弱点を発見しづらくなり、得意な内容だけ覚え、苦手な内容が定着しづらいと言う事態に陥ってしまいます。

独学合格を目指す上で注意すべきことは?

独学合格を目指す場合、予備校や通信講座で受けられるサポートがない中で、独自で学習スケジュールを組まなければなりません。

そんな中、何も知らずに闇雲に勉強に取り掛かるのは非効率です。以下では独学合格を目指す方が特に気をつけるべきポイントを解説していきます。

法改正

社労士試験の問題は税法などの法改正を毎年反映するので注意が必要です。独学する場合は自分で法改正の情報を集める必要があります。

具体的な対策として、テキストや問題集は必ず最新版を購入するようにしましょう

合格基準点

社労士試験の特徴として、各科目それぞれに合格基準点が存在します。したがって苦手科目や勉強不足の科目があってはならず、全科目で漏れなく得点できるようになっておかなければなりません

全国模試の受験

独学者にとっては、本番の試験環境に慣れる機会であるのに加えて、自分の相対的な順位を知る唯一の場です。

自分の苦手科目を把握するためにも、必ず模試は受験しましょう

独学者におすすめのテキスト

資格学習のテキストは大手のTAC出版のものが高品質でおすすめです。

TAC出版の中でも、特に「みんなが欲しかった!社労士」シリーズは図やイラストによる解説も豊富で、初学者でも非常に勉強しやすいものとなっています。

初めての人の入門書としてぴったりの1冊です。

みんなが欲しかった! 社労士の教科書 2024年度
4290円
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テキストを購入する際の注意点としては、以下の2点が挙げられます。

  • 必ず問題集とセットで購入すること
  • 最新版のものを購入すること

基本的に、問題集を解く方がテキストで学習するよりも学習効率が高いです。問題集をメインとして、テキストは問題集の補助として活用するようにしましょう。

また、既に述べたように法改正に対応するために、テキストは必ず最新版を購入する必要があります。ご購入の際は出版時期の確認をお忘れなく。

以下の記事では社労士テキストのおすすめ人気ランキングを紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

独学者におすすめの「社労士試験攻略本」

難易度の高い社労士試験において、独学での合格には様々な困難が生じます。

特に学習スケジュールの管理や勉強法などは自分では正解がよく分かりませんよね。

そんな方におすすめなのが、大手資格学校のクレアールが出版している 「社労士試験の攻略本」 です。

これには社労士試験のプロの視点から勉強すべき順番や科目別の対策について解説がされており、独学で勉強する方にとっては極めて参考になる内容となっています。

現在クレアールではこの「攻略本」を無料でプレゼントしています。

クレアールの大人気講師が執筆した社労士試験合格のノウハウ本を無料で手に入れるチャンスです。通信講座を受講するつもりのない方でも、手に入れておいて損はないでしょう

先着100名限定 となっているので、無くならないうちに貰っておきましょう!

社労士に落ちてしまう人の特徴

落ちてしまった人に共通する特徴を把握し、反面教師とすることで、同じ失敗をしないようにしましょう。

また、一度落ちてしまった人も、社労士は2〜3回で合格するのが普通ですので、悲観しすぎる必要はないです。

主に、以下のような特徴を持つ人が、社労士試験に何度も落ちている印象を受けます。

社労士試験に落ちてしまう人の特徴

  • 実務の知識重視で試験に臨んでしまう人
  • 無理に独学で学習を進めてしまう人
  • 飽きっぽく集中力がない人…などなど

実務経験が豊富な人は注意

実務に精通しており、人事・労務の知識が豊富にあったとしても、 試験でそういった知識が活用できないことも多いです。

実務に役立つ知識よりも、試験で高得点を取るためには法律の知識が重要になります。

まずは、この法律についての理解に抜けがないか、しっかりと確認をすると良いでしょう。

実務に精通している人ほど「実務ではこうするのになぁ」と、社労士対策に最適な知識を軽視している場合があります。

素直な気持ちで参考書等の内容理解を行い、法律関連の知識を重点的に補充すると、試験合格に向けて最適な対策をすることができるでしょう。

社労士試験には通信講座がおすすめ

これまで独学合格について言及してきましたが、社労士の難易度を考えればやはり圧倒的に通信講座の受講がおすすめです。実際、合格者の7割近くは通信講座または予備校を利用していると推定されます。

通信講座の中には費用が独学とあまり変わらないものも多く、通信講座を利用しない手はないと断言できます。

資格Timesではフォーサイトの通信講座を1番おすすめしています。2022年度社労士試験におけるフォーサイト受講生の合格率は全国平均のなんと4.23倍。2021年度の試験でも合格率3.72倍という圧倒的な合格実績を叩き出しています。

社労士試験において通信講座がいかに有効であるかがよく分かる数値となっています。

フォーサイトの公式サイトはこちら

以下の記事では社労士通信講座のおすすめ人気ランキングを紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

社労士の難易度まとめ

社労士の難易度まとめ

  • 社労士は合格率6~7%の高難度資格
  • 合格までには約1000時間の勉強が必要
  • 独学でも合格可能だがかなり厳しいので、通信講座などを利用するのがおすすめ
  • 資格取得のメリットは非常に大きい

社労士の難易度について様々な側面から解説してきました!

社労士資格を取得するのは決して楽な道のりではありませんが、その分資格を取った後のメリットは絶大です。

魅力的な国家資格である社労士、是非一度取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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