社労士試験の合格ラインはどれくらい?合格基準点の推移を徹底分析!
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社労士
のんびり社労士いけい
「社労士試験の合格ラインって実際何点くらいなの?」
そんな疑問を持っている方も多いのではないのでしょうか。
社労士試験の受験を考えている方にとって、試験の合格基準点は非常に気になるところですよね。
実は社労士試験の合格基準点は毎年一定ではなく、受験生の点数分布によって変動します。
そこで今回は社労士試験の合格ラインについて、これまでの社労士試験の合格基準点の推移を確認しつつ紹介していきます。
この記事を読んで社労士試験の正しい知識を身につけましょう!
社労士試験の合格基準点についてざっくり説明すると
- 合格基準点は毎年変動している
- 合格基準点は合計点の他に科目ごとにも設定される(足切り)
- 過去の合格基準点から大体の合格ラインは推定可能
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社労士試験の基本情報
社労士は国家資格の1つであり、正式名称を社会保険労務士と言います。
具体的な業務内容としては社会保険関係や労働関係の法律に則って労働者が働きやすい環境を企業に提案したり、書類を作成したりすることがあります。
独占業務として就業規則や保険関係の書類作成、書類手続きの代行・事務の代理に至るまで幅広い業務を持っていることも特徴の1つになっています。
社労士試験では試験形式として選択式(空欄補充式)と択一式(五択式)の2つに分かれており、試験科目は8科目存在します。
選択式は8問で40点、択一式試験は70問で70点満点となっており、合計で110点満点の試験となっています。
以下が具体的な試験科目・配点の一覧となっています。
試験科目 | 選択式 | 択一式 |
---|---|---|
労働基準法及び労働安全衛生法 | 1問5点 | 10問10点 |
労働者災害補償保険法 | 1問5点 | 10問10点 |
雇用保険法 | 1問5点 | 10問10点 |
労務管理その他の労働に関する一般常識 | 1問5点 | (10問10点) |
社会保険に関する一般常識 | 1問5点 | (10問10点) |
健康保険法 | 1問5点 | 10問10点 |
厚生年金保険法 | 1問5点 | 10問10点 |
国民年金法 | 1問5点 | 10問10点 |
社労士試験はほかの国家資格と比較しても人気の国家資格となっており、1回の試験で約5万人もの受験者がいる試験となっています。
人気の理由としては
- 独占業務があること
- 就職や転職で有利になりやすい
- 独立開業できる資格であること
- 働きながら合格できる資格
であることなどが挙げられます。
よって、取得することで大きなメリットが得られる資格であるといえるでしょう。
社労士試験の合格ラインはどれくらい?
社労士試験の合格ラインは一般に約65%の得点率だと言われています。しかし、これは社労士の合格ラインの実態とは程遠い数値であり、実際はそこまで単純な話ではありません。
社労士の合格基準点は大別すると以下の4つに分けることができ、それぞれ合格基準点が変わってきます。
- 選択式試験の総得点
- 選択式試験の科目別得点
- 択一式試験の総合点
- 択一試験の科目別得点
社労士試験は8科目存在し、選択式試験では8科目全てが出題され、択一試験ではそのうち7科目だけ出題されます。
したがって、合格基準点はそれぞれの試験の総得点で2つ、それぞれの試験の科目別得点で15つの合計17つも存在することが分かります。
このうちどれか1つでも合格基準点に満たなければ、他がどれだけ良くても不合格になってしまいます。社労士試験を突破するためには各科目偏りなく得点しなければならないということです。
合格点の基本的な考え
合格基準点は一般的に協会が「国民にわかりやすい簡易なものであるべき」という考えのもと、2000年度の試験から以下の目安が示されています。
選択式
- 総得点は40点満点中28点以上
- 科目ごとの得点は5点満点中3点以上
択一式
- 総得点は70点満点中49点以上
- 科目ごとの得点は10点満点中4点以上
基本的にはこれらの得点を目安に合格ラインは変化します。
この合格ラインで注意するべきは、特に総得点のほうとなっています。28点と49点という数字を超えた基準点の例がないため、この得点以上を取れればほぼ間違いなく合格できるといえるでしょう。
選択式試験の合格基準点と足切り点
社労士の選択式試験は1問1点の各科目5点満点、合計40点満点の試験となります。
選択式試験の総合点の合格基準点は21~28点と幅がありますが、近年ではおおよそ23点前後で落ち着いています。
したがって、選択式では総合点で70%以上得点できれば合格ラインはまず間違いなく突破したと言えるでしょう。
一方で科目別の合格基準点(足切り点)はどの科目も毎年3点が基本であり、変動は大きくありません。
ただし、受験生の得点率が低かった一部の科目では救済措置が取られることがあります。
救済措置を受けた科目は合格基準点が1点または2点に変更され、その科目が原因で大量の受験生が落ちないように調整されます。
救済措置についての詳細は以下の記事を参考にしてください。
択一式試験の合格基準点と足切り点
択一式試験は7科目から出題され、1科目10点満点の合計70満点の試験となっています。
択一式試験における総合点の合格基準点は41~49点の幅で毎年変動します。したがって、択一式試験でも合計で70%以上の得点率で合格ラインは突破できると言えます。
また択一式試験の科目別合格基準点(足切り点)は4点が基本となっています。択一式試験でも同様に救済措置は取られ、救済措置を受けた科目の合格基準点は3点に変更されます。
ただし、選択式試験の救済措置がほぼ毎年なにかしらの科目で行われているのとは対照的に、択一式試験では滅多に救済が行われません。
したがって、択一式試験では各科目4点以上取得することが必須であると覚えておきましょう。
択一式試験の詳しい詳細は以下の記事をチェックしてください。
社労士試験の合格基準点の推移
社労士試験の合格ラインは選択式と択一式で毎年変化していきます。
下のグラフは直近15年の社労士試験の合格基準点の推移を試験種別に示したものです。
グラフから読み取れることとして、総合点の合格基準点については、毎年多少の変動はあるもののどちらも総得点の65%程度となっていることが分かります。
よって合格ラインぎりぎりの勉強をしてしまうと年度によっては試験に落ちてしまうということも考えられます。
難易度の差は年によってあるものの、以上のグラフから
- 選択式の総合点については30点以上
- 択一式の総合点については50点以上
取れればかなり高い確率で基準点を突破できるでしょう。
また救済科目数の数が択一式試験と選択式試験で大きく異なるのが分かります。選択式はほぼ毎年救済があるのに対し(ただし2022年と2023年は無し)、択一式はある年のほうが逆に珍しくなっています。
こうした傾向も押さえた上で試験の戦略を練っていくことも試験合格のための大事な要素といえるでしょう。
社労士試験の合格率平均は6~7%ほど
社労士試験の合格率はほかの国家資格と比較しても低いほうに分類されます。
以下のグラフは過去13年分の社労士試験の合格率の推移となっています。
ここから社労士試験の合格率は過去10年の平均で6.1%となっており、2桁の合格率がないほど合格は困難なものとなっていることがわかるでしょう。
他の国家資格の合格率と比較すると宅建は15%前後、中小企業診断士は20%前後となっていることからも社労士試験の難しさが伺えます。
しかしこの低い数字の裏には社労士試験の合格率が低くなってしまう理由がいくつか存在します。
合格率が低い要因
社労士試験の合格率が低くなっている主な要因として挙げられるのは、合格ラインがたくさん存在すること・試験範囲が広いこと・試験までに勉強時間を十分確保できないことの3つが主に挙げられます。
以下ではこれらについて詳しく説明していきます。
合格基準点が複数存在する
まず1つ目として挙げられるのは上でも説明したように試験形態・試験科目ごとに合格基準点が定められていることです。
これにより試験を受験する際には苦手科目を作らずに、各科目まんべんなく勉強する必要があります。
これだけの合格ラインが設けられているのは社労士試験の大きな特徴と言えます。
試験範囲が広い
社労士試験の試験科目は8科目あり、選択式と択一式それぞれで対策が必要となってきます。具体的には法律の学習となるので、暗記を通じて覚えるべき科目数がどうしても多くなってしまいます。
繰り返しの暗記はもちろん、各法律の成り立ちや仕組み・その背景をしっかりと理解することで広い試験範囲に対応できるようになります。
科目別合格制度が存在しない
税理士や中小企業診断士試験には科目別合格制度が存在するため、どれかの科目を落としても、翌年はその科目の試験だけに注力することができます。
しかし、社労士試験は科目数が多いにもかかわらず、この制度がないため、どれか1つでも落としたらまた翌年にすべての科目を受けなおす必要があります。
よって、試験本番のプレッシャーも高まり合格率も低くなっています。
勉強時間を十分確保できない
勉強時間を確保できない要因としては試験科目数の多さに加えて、社労士独特の問題が絡んできます。
社労士試験の主な受験者層は30~40代の働き盛りのサラリーマンであるため、学生のように丸1日受験勉強に使えることができません。
忙しい仕事の合間を縫って試験に必要な能力を身につけることは多くの人にとって難しいのです。
最新の法改正への対応が必要
社労士試験で扱う法律は頻繁に改定されており、その内容は試験にしっかりと反映されます。
よって、新しい法律を学びなおしたり、改訂部分を正しく押さえていく必要があるのです。
特に改訂部分は頻出事項であるため、テキストを使って確実に理解する必要があります。
社労士試験の合格率は以下の記事を詳しくご覧になってください。
合格ラインを超えるための勉強法
社労士試験の勉強を行う際には、合格ラインを意識したうえで正しい勉強法を実践する必要があります。
科目の特徴に応じて勉強法を変える
社労士試験は法律への理解が主に問われるため、暗記がとても重要になってくる試験となってきます。
しかし広い試験範囲の法律すべてを暗記するのは現実的ではなく、必ずどこかで挫折してしまうでしょう。
そこで暗記重視の科目と理解重視の科目とに分けて勉強を進めていくことがおすすめです。
社労士試験において暗記が特に有効な科目として、労働安全衛生法・雇用保険法・健康保険法の3つがあり、これらの科目では頻出論点や数字の項目を中心に暗記していくことがおすすめです。
暗記は忘却するタイミングで復習する
暗記をする際にはただやみくもに数をこなしていてもなかなか知識は頭に染み込んでいきません。よって忘れるタイミングをあらかじめ理解しておくことが大切になってきます。
具体的には初めのうちは1日後、3日後、1週間後と短いスパンで復習を重ねていき、その後は1か月などという風に感覚を徐々に開けていくことが復習する際のコツとなってきます。
最初のうちは慣れないかもしれませんが、繰り返すごとの効果を実感していくと思うので粘り強く実践していくことが大事でしょう。
詳しい勉強法を学ぶなら「非常識合格法」がおすすめ
1科目も落とすことなく合格基準点を超えるためには、科目ごとのバランスが非常に重要です。
しかし、各科目それぞれで難易度に差がある中、どの科目にどれくらいの勉強時間を割けば良いかなかなか分かりませんよね。
そこでおすすめなのが、専門家である社労士試験の講師の方の意見を参考にすることです。
大手資格学校クレアールに所属する北村先生は、合格基準点を確実に越すための勉強法を記載した「社労士試験の攻略本」を出版されています。
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社労士試験の合格基準点まとめ
社労士試験の合格基準点まとめ
- 合格基準点は選択式試験と択一式試験でそれぞれ異なる
- 選択式試験の合格ラインは各科目3点以上かつ合計得点率70%以上
- 択一式試験の合格ラインは各科目4点以上かつ合計得点率70%以上
- 救済は選択式試験において頻繁に行われる
社労士試験の合格基準点について説明しました。
社労士試験の合格基準点は抑えるべきポイントが多くなっているのでこの機会によく確認しておくのがおすすめです。
それぞれの科目で確実に合格基準点を突破して、社労士試験に合格できるように頑張りましょう!