社労士の合格率は低い?その理由や合格のための勉強法まで徹底調査!
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社労士
のんびり社労士いけい
「社労士試験の合格率は低いって聞くけど本当?」
「毎年合格率が低い理由はどこにあるの?」
社労士の資格取得を考えている方であれば、こうした合格率の話は気になるものですよね。
ここでは社労士の合格率が低いことについて、その理由や合格のための勉強法まで徹底考察します!
この記事を読み終わる頃には、社労士試験の合格率や難易度がはっきり分かるはずです!
社労士の合格率の低さについてざっくり説明すると
- 社労士は難易度が高く合格率が低い資格である。
- 試験の合格率が低いことには理由がある。
- 社会保険労務士試験には決められた合格基準があり、総得点と各科目点、すべての合格ラインを満たさなければならない。
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社労士の合格率はどれくらい低いの?
社労士試験の受験者は4万人前後で、難易度の高い国家資格といわれています。
合格率は5~10%程度です。100人が受験しても5人から10人しか受からないほど合格率は低いです。
直近10年の社労士試験の平均合格率は6.2%であり、国家試験の中でも有数の低さとなっています。
上記によると、合格者は1ケタ台を推移しており、簡単に合格できる資格ではないことが分かり、難易度の高さもうかがえます。
しかし合格率が低いのには理由があります。データだけをみて、社労士資格は難易度が高いからとハードルを上げてしまったり、他の資格を検討しようかと思い悩むことはありません。
社労士試験には明確な合格ラインが設定されています。そのため合格率に気をとられるよりも、合格ラインを確実に超える勉強をすることが大切です。
他の難関国家資格と合格率を比較
社労士の2022年度の合格率を他と比較すると、以下の表のようになります。
資格 | 合格率 |
---|---|
社労士 | 5.3% |
行政書士 | 12.1% |
宅建 | 17.0% |
中小企業診断士 | 1次と2次の数字をかけて5.4% |
司法書士 | 5.2% |
この表から、社労士は数ある難関国家資格の中でも比較的難易度の高い部類に入ることがわかります。
そのため、合格するには長期間かかる場合も多いですが、その分得られるメリットが大きいため、数ある国家資格の中でも人気資格の一つとなっています。
社労士と他の資格の詳しい難易度比較は以下の記事をチェック!
社労士試験の合格率が低くなってしまう理由
さきほども申し上げましたが、社労士試験の合格率が低くなるのには、それなりの理由があります。
以下ではそれらの理由を一つずつ詳細に紹介していきます。
一発勝負の試験である
税理士や他の資格と違い、社労士には「一度合格した科目は、定められた年度まで受験が免除される」という科目合格制度がありません。
一度で全ての科目において合格基準をクリアしなければならず、税理士や中小企業診断士のように、出来が悪かった科目のみを翌年に持っていくことができないのです。
これにより、合格に十分な実力を持ち合わせていても、本番の問題の相性やプレッシャーに押しつぶされたといった要因によって不合格になる可能性が大いにあるのです。
よって、知識だけでなく、本番のプレッシャーにも打ち勝って合格をもぎ取る力が必要になるのです。
試験は全科目1日でこなす
社労士の試験は午前80分・午後210分の計290分の試験です。
よって、4時間以上ずっと試験を受け続ける必要があるので、体には相当の負担がかかります。
特に、社労士は体力が衰える年代の人が多く受験することから、この試験方式は体に大きく響き、実力を発揮できないことも容易に想像できるのです。
よって、試験時間に慣れるためにも、普段の演習から290分という長時間集中し続ける練習を積み重ねて、体を慣れさせる必要があるでしょう。
試験対象の科目数が多い
試験科目については、前述の「試験範囲の法律」に記載されている科目に、労務管理と社会保険に関する一般常識を加えた10個に区分されています。
これらを全て勉強することは難しく、膨大な試験範囲に対応しなければならないことが、試験の難易度を高くしているといえます。
また、科目によってはそれだけでかなりの範囲を網羅していく必要がある場合もあるので、そのような科目の存在も勉強の幅をさらに広げる大きな要因であるといえるでしょう。
総得点のみならず科目点にも基準点が設けられている
この仕組みがあることで、得意科目で点数を取っても苦手科目が合格基準に達していなければ合格できません。
科目ごとの難易度は異なるものの、各科目全てが合格ラインに届くように、まんべんなく勉強しなければなりません。
全ての科目で合格基準を満たさなければならず、その意味でも社労士は難易度が高い資格だといえるでしょう。
準備が不十分の受験者が大勢いる
社労士の受験生は30代~40代のサラリーマンが多い点が特徴です。
以下は2023年の受験者の年齢層を示した円グラフです。
この表から、社労士試験は大半の人が働きながら資格取得を目指していることがわかります。
これにより、学生時代のように勉強だけに時間を割くことができず、準備が不十分のまま試験に臨む人が多くなってしまうのです。
よって、合格するためには限られた時間で実力を最大限伸ばしていく必要があるでしょう。
社労士試験は合格率が変動しやすい
毎年の合格率が変動する原因の一つとして、社労士試験は他の資格に比べると法改正の頻度が高いことがあげられます。
問題を作成する側は受験生の回答傾向を予測しずらく、受験生側も過去問だけで対応するのは難しいといった側面があります。
法改正の影響を受けた年度は難易度が上がりやすい傾向があり、試験の合格率も変動することが考えられます。
社労士試験の合格ライン
そもそも社労士試験の試験形式は?
社労士試験の出題は全て選択問題です。
どの問題もマークシート形式となっており、選択式(文中の空欄に当てはまるものを、語群から選んで解答する)と択一式(5つの選択肢のなかから、正しいものまたは誤っているものを一つ選ぶ)による試験の2種類があります。
行政書士試験や税理士試験などのように記述式問題は出ないので、解答の形式に慣れるのは比較的簡単だと言えるでしょう。
試験の出題範囲、出題数と配点
試験範囲の法律
社労士試験で扱う法律は以下のものになっています。
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労働保険徴収法
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
選択式と択一式の出題数と配点
科目 | 選択式(問題数・配点) | 択一式(問題数・配点) |
---|---|---|
労働基準法及び労働安全衛生法 | 1問(5点) | 10問(10点) |
労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) | 1問(5点) | 10問(10点) |
雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) | 1問(5点) | 10問(10点) |
労務管理その他の労働に関する一般常識 | 1問(5点) | ※10問(10点) |
社会保険に関する一般常識 | 1問(5点) | ※ |
健康保険法 | 1問(5点) | 10問(10点) |
厚生年金保険法 | 1問(5点) | 10問(10点) |
国民年金法 | 1問(5点) | 10問(10点) |
合計 | 8問(40点) | 70問(70点) |
※「労務管理その他の労働に関する一般常識」と「社会保険に関する一般常識」の択一式は、両方の分野をあわせて10問(10点)となります。
合格基準とはどういうもの?
試験の合格基準として、選択式試験、択一式試験ともに「総得点」と「各科目点」があります。
総得点と各科目点、いずれも基準点以上の得点を取ると合格で、例年は60%~70%が基準点となっています。
総得点が合格基準点を満たした上で、科目点も全て合格基準点に届かないと合格できません。
過去15年間の基準点を一挙紹介
ここから、いえることとして
- 選択肢試験の総合点は23~26点前後が多い
- 選択式は救済が比較的出されやすい
- 択一式は43~46点の間で落ち着きやすい
があります。
得点率に直すと60~65%の間で収まることが多いです。
よって、対策の際には7割越えを目標に演習を重ねることで合格に大きく近づいていくでしょう。
基準点の決め方はどうなっているの?
厚生労働省のホームページにも「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」という文書が公開されていますが、毎年度、試験の状況に応じて(前年度との難易度に差が生じた場合など)、総合基準点や科目別基準点の補正を行っています。
選択式試験と択一式試験の総合基準点については、前年度の平均点を考慮して補正が行われます。前年の平均点との差などを勘案して合格基準点が決まります。
科目別基準点については得点分布により補正が行われるかが決まります。
- 選択式試験の補正基準は受験者数の得点分布が 「2点以下が50%以上」かつ「1点以下が30%以上」
- 択一式試験の補正基準は受験者数の得点分布が 「3点以下が50%以上」かつ「2点以下が30%以上」
となります。
合格基準の背景にあるもの
先述の通り、社労士試験では合格基準の補正が行われていますが、そこには試験の水準を一定に保ち、平等性を確保し、受験生を救済するという意味もあります。
社労士試験では合格者数と合格率を相対的に調整しているようです。合格者を一定数にして、社労士の資格取得後に仕事をすることも考慮した上で、合格基準が考えられているともいえるでしょう。
合格者番号や合格率はどこで確認できる?
社労士試験の合格者番号や合格率は、以下で確認できます。
インターネット版官報
当日の8:30から号外で合格者番号を知ることができます。
どこよりも早く合格を確認することが出来る一方で、解答一覧や合格率は確認できません。
速報みたいなものなので、合格者番号以外の試験の詳細は全く分かりません。詳しい試験状況が知りたい方は、以下に続く2つの方法で確認できます。
社会保険労務士試験センターのホームページ
9:30から公開され、合格者番号の他に合格率、合格者数、解答一覧も分かります。
不合格になってしまった方や、来年の試験を受験しようと考えている方の場合は、こちらをメインで確認することになります。
厚生労働省ホームページ
合格基準点の考え方、科目別得点状況表が公開されます。
自分と他の受験生との差や試験の難易度が把握できます。こちらも来年度以降の受験を考えている方にとっては参考となる情報です。
社労士試験に合格するには
試験科目の多さ、合格基準の厳しさ、勉強時間の確保の難しさなど、社労士試験の合格率が低くなり、難易度が高くなる理由がいくつかあります。
しかし各科目の難易度については全てが難しいというわけではなく、試験の仕組みを知り正しい勉強法で対策をすれば、働きながら無理なく合格できる資格だといえます。
社労士は合格率が低く難易度も高い資格ですが、試験に合格するためのポイントを抑えれば誰でも合格が狙えます。
社労士合格までの勉強時間はどれくらい?
独学では800~1,000時間が合格の目安といわれていますが、税理士試験などのように何年もかかるような大変な試験ではありません。
早い人だと半年ほどで合格できる人もいる試験であることを覚えておきましょう。
ただし、基本的には1年ほどかけて着実に合格を目指していくことになります。
法律の勉強をしたことなくても大丈夫?
社労士試験には法律初学者の人も多数合格しているので問題ありません。
社労士試験の法律(労働基準法や労働者災害補償保険法など労働と保険に関する法律)は、法学部で学ぶ法律(憲法、民法、刑法)とは異なります。
もちろん行政書士の資格取得などを通じて関連法律を学んでいた人の方が有利にはなりますが、初学者からでもしっかり勉強すれば合格ラインにたどり着くことができるでしょう。
勉強はいつから始めるべき?
先ほども少し触れましたが、1年前くらいから始めるのが理想です。社労士試験は8月に行われるので、前年の8月9月あたりからスタートするのが良いでしょう。
期間が長すぎてもダレてしまう危険性がありますし、短すぎてはまず合格できません。まずは1年間集中して勉強に取り組みましょう。
ただし試験まで残り4~5ヶ月しかないという場合は、その年の合格ではなく次年度試験に焦点を合わせて勉強を進めていくのも一手となるでしょう。
具体的な勉強方法
社労士試験ではどれくらい覚えられるかが勝負になります。
全ての分野をまんべんなく学習しなければならず、とにかくテキストを読んで問題を解くことを繰り返すこと(4周くらい)が大事です。
勉強内容としては、マークシートなので条文を暗記するよりも正誤判断に必要なキーワードを記憶することが大切だといえます。
自己流の勉強は避ける
もちろん独学合格も不可能ではないとはいえ、法学部出身者など余程法律の勉強に慣れている方でなければ、独学で自分なりの勉強方法を貫くのは避けるべきでしょう。
最悪の場合、勉強法の何が悪いのかに気づけず、いつまでたっても合格できないという事態に陥ってしまいます。
難易度の高い社労士試験に合格するためには、予備校や通信講座などの社労士講座を受講するのが一般的なルートとなるでしょう。
頻出範囲は必ず取りきる
社労士試験の範囲は広くなっていますが、上記でも示したように満点である必要はなく、7割以上の得点をコンスタントに取れることが合格に必須となります。
この点数に到達する最短ルートとして、正答率が高い頻出範囲の問題を必ず正解していくことが挙げられます。
よって、対策の際には過去問で取り上げられている頻出問題を何度も演習して、試験の基本問題を確実にとれるまで実力を伸ばすことが必須です。
法改正部分の理解も必須
特に近年は2019年の働き方改革の影響を受けたことで、2023年までの数年は毎年法改正の動きが活発化しています。
よって、毎年法改正の部分が問われることになり、ここを押さえるためには予想問題を解いて知識を押さえていく対策が必須です。
特に押さえておきたい4つのポイントとして
- どの箇所が変更されたか
- 改正内容の課題
- 大企業と中小企業の課題の違い
- 施行時期の違い
が挙げられます。
社労士の対策講座はフォーサイトが最もおすすめ
社労士講座には予備校・通信講座でそれぞれたくさんありますが、その中でも特におすすめできるのがフォーサイトの社労士講座です。
フォーサイトは予備校の3分の1の講座費用、特許取得のスマホ学習システム、業界随一の合格率と、どこを取っても申し分ない社労士講座となっています。
特に合格率の高さは目を見張るものがあり、2022年度試験のフォーサイトの合格率はなんと全国平均の4.23倍です。
社労士受験生であれば是非ともチェックしておきたい講座だと言えるでしょう。
社労士試験の合格率が低い理由まとめ
社労士の合格率はなぜ低いのかまとめ
- 社労士試験の合格率が低い理由として、試験科目の多さ、合格基準の厳しさ、勉強時間の確保の難しさなどがあげられる。
- 社労士は仕事をしながら合格を目指せる資格で、試験の仕組みを知り正しい勉強法で対策することが重要である。
- 合格率だけにとらわれず、合格ラインを確実に超えるような勉強をすることが大切である。
社労士の合格率が低いことについて、あらゆる角度から徹底的に解説してきました。
社労士を受けようか迷っている場合は、前向きに検討されてみてはいかがでしょうか?