中小企業診断士の難易度は?合格率や勉強時間・他資格との差まで徹底考察
「中小企業診断士の資格って実際どれくらい難しいの?」
「他の資格と比べると難易度はどれくらいなの?」
このような疑問をお持ちの方も多いのでは無いでしょうか。
中小企業診断士は一般に難関資格と言われていますが、実際どれくらい難しいのか、どれくらい勉強すれば合格できるのかなど不明瞭な部分も多いかと思います。
そこでこの記事では中小企業診断士の取得難易度について、合格率や必要な勉強時間、他の資格との難易度比較など様々な側面から具体的に解説していきます!
読み終わる頃には中小企業診断士の難易度について明確に理解し、試験に対する正しい向き合い方も分かるようになっているはずです!
中小企業診断士の難易度をざっくり説明すると
- 中小企業診断士の難易度は比較的高い
- 試験の合格率は約4%
- 合格までには1年程度の学習が必要
- 難易度ランキングでは税理士や司法書士などよりも低い
中小企業診断士の難易度
中小企業診断士試験の合格率
中小企業診断士試験の受験者層
中小企業診断士の国家資格難易度ランキング
中小企業診断士の資格取得のメリット
中小企業診断士は独学で合格できるのか
中小企業診断士の難易度まとめ
中小企業診断士の難易度
中小企業診断士の試験は1次試験、2次試験の2つに分かれています。また、2次試験は更に筆記試験と口述試験の2つに分かれています。
以下のように、どの試験も年に1度実施されます。
試験段階 | 形式 | 試験日 |
---|---|---|
1次試験 | マークシート | 8月初旬 |
2次試験 | 論述試験 | 10月初旬 |
2次試験 | 口述試験 | 12月初旬 |
試験の合格ラインは、満点の700点のうち、総得点の60%以上であり、かつ1科目でも得点率が40%未満がないことになっています。
1次試験・2次試験ともに合格率は20%前後と比較的高い合格率で推移していますが、合算した全体の合格率は、わずか4%前後となっています。 肝心の資格の難易度ですが、中小企業診断士試験の難易度はやや高いです。
中小企業診断士試験の難易度が高い主な要因は次のようになっています。
- 働く社会人を中心に非常に人気な資格である
- 年に1度しか試験がない(1次試験2次試験それぞれ1回ずつ)
- 試験範囲が広い
- 合格までに必要な勉強時間が長い
- 試験の合格率が低い
- 2次試験では論述問題が出題される
それでは、以下では中小企業診断士の難易度について、より具体的に見ていきましょう。
中小企業診断士試験の出題範囲が広い
中小企業診断士試験の難易度が高い理由の一つとして試験範囲が広いことがあげられます。一次試験は7科目、二次試験は4科目 からなります。
一次試験の出題科目
一次試験はマークシートによる選択式の試験となっており、2日間に渡って行われます。
一次試験の出題科目および配点は以下の通りです。
日程 | 試験科目 | 配点 | 試験時間 |
---|---|---|---|
1日目 | 経済学・経済政策 | 100点 | 60分 |
財務・会計 | 100点 | 60分 | |
企業経営理論 | 100点 | 90分 | |
運営管理 | 100点 | 90分 | |
2日目 | 経営法務 | 100点 | 60分 |
経営情報システム | 100点 | 60分 | |
中小企業経営・中小企業政策 | 100点 | 90分 |
それではそれぞれの科目について軽くみていきましょう。
- 経営学・経済政策
経営学・経済学は、国全体から経済を捉えるマクロ経済学と、消費者や企業などの単位から市場を分析するミクロ経済学からなります。グラフが多く出てくる比較的難しい科目となっています。
- 財務・会計
財務・会計には、損益計算書などから会社を分析するアカウンティング(会計)と資金調達など会社の将来に必要な活動を扱うファイナンス(財務)の二つの分野があります。計算問題が中心の重要度の高い科目です。
- 企業経営理論
この科目は、経営戦略論、組織論、マーケティング論の3つの分野から構成されます。いずれも経営する上で必要な基礎知識であり、比較的勉強しやすいと言えるでしょう。
- 運営管理
運営管理では、モノを作る生産管理と、モノを売る店舗・販売管理の2つに分かれています。二次試験にも関連する重要科目ですが、暗記中心なので点数が取りやすい科目となっています。
- 経営法務
経営法務の試験では、企業を経営する上で大切な法律とその手続きに関する知識が問われます。例年、知的財産権に関する法律の出題が多いです。二次試験には出題されないので、法律用語の定義を理解し効率よく勉強しましょう、
- 経営情報システム
この科目では、情報システムに関する基礎的知識とそれらを経営に生かす経営情報管理の2つの分野に分かれています。ITに関する知識が無い人には比較的難しい科目となっています。
- 中小企業経営・中小企業政策
中小企業の分野では、経済の中での中小企業の役割などが問われます。政策の分野では、中小企業に関する法規やその変遷などが出題されます。前年度の「中小企業白書」からの出題となるため、出題内容は毎年異なってしまいます。
二次試験の出題科目
続いて二次試験の出題科目についてみていきましょう。二次試験は記述式試験と面接による口頭試験があり、4科目から構成されます。
試験形式 | 試験科目 | 配点 | 試験時間 |
---|---|---|---|
筆記試験 | 事例Ⅰ(組織・人事) | 100点 | 80分 |
事例Ⅱ(マーケティング・流通) | 100点 | 80分 | |
事例Ⅲ(生産・技術) | 100点 | 80分 | |
事例Ⅳ(財務・会計) | 100点 | 80分 | |
口述試験 | 事例Ⅰ〜Ⅳからランダムに出題 | ー | 約10分 |
筆記試験では「中小企業の診断及び助言に関する事例」について4つの事例が出題されます。それぞれのテーマは以下の通りです。
- 事例Ⅰ「組織・人事」
この事例では、企業内の組織論やビジネスモデルについて問われます。一次試験の「企業経営論」と関わりが深い分野となっています。
- 事例Ⅱ「マーケティング・流通」
小売業やサーブス業を中心としての長文の事例が出題されます。一次試験の「企業経営論」で出てくるマーケティング論と「運営管理」で出てくる店舗・販売管理を応用する力が求められます。
- 事例Ⅲ「生産・技術」
生産・技術の事例では、主に製造業の経営戦略をテーマとした知識が問われます。この事例は、一次試験の「運営管理」の生産管理を基本としています。
- 事例Ⅳ「財務・会計」
この事例では例年、「財務諸表」から経営を分析する力が問われます。主に一次試験の「財務・会計」から学んだ知識を基本としています。
- 口述試験
この試験では、中小企業診断士に欠かせない「助言する力」があるかをみられます。質問は二次試験の筆記試験で出題された4つの例題からランダムに聞かれるので、それらをしっかりと理解することが大事です。
しかし合格率は99%以上となっており、難しい試験ではありません。
中小企業診断士試験の合格率
では、難易度の指標として試験の合格率を見ていきましょう。
以下のグラフは、2006年からの1次試験・2次試験・全体合格率別に現したものです。
合格率の元データは一般社団中小企業診断協会のHPにて確認できます。
年度によって多少のバラツキはありますが、1次試験・2次試験ともに合格率は20%前後と比較的高い合格率で推移しています。
しかし、合算した全体の合格率(表の一番右側欄)は、わずか4%前後という厳しい結果であることが分かります。
やはり一発で合格するにはかなり難易度が高い試験と言えるでしょう。
1次試験の試験科目と合格率
では、1次試験における直近6年間の科目別合格率を表で確認してみましょう。
上記の表から、中小企業診断士試験の1次試験の特徴がいくつか見て取れます。
まず一つ目は、同じ年の試験でも科目ごとの難易度差が非常に大きいということです。
2018年度の試験を例にとると、最も合格率の高かった「経済」と合格率が最低の「経営法務」には、実に21.3%もの合格率の差があります。同じ試験でここまで大きな差が出る試験はかなり珍しいです。
1次試験のもう一つの特徴として、各科目の難易度が安定しないことがあげられます。
「財務・会計」を例にとると、2014年には6.1%という極めて低い合格率を叩き出したにも関わらず、翌年2015年には合格率が約6倍の36.9%と大きく向上しました。
このように、1次試験は「この科目は難しい」「この科目は簡単」といった分類が極めて難しい試験です。
このような特徴をもつ1次試験を突破するためには、どの科目が難しくなっても得点できる実力を身につける必要があります。このことも中小企業診断士試験の難易度を高めている要因です。
ちなみに、全体の傾向としては2∼3年に一度殆どの科目がいわゆる地雷科目になっていますので、得意科目を絶対に落とさないという心構えが必要でしょう。
1次試験の合格ライン
1次試験の科目は全部で7科目存在します。合格基準は、満点の700点のうち、総得点の60%以上であり、かつ1科目でも得点率が40%未満がないことを基準としています。
つまり7科目うち、一つでも得点率が40%未満の科目があると、全体が60%を超えていても合格できないということです。
全科目で高得点を取る必要はありませんので、苦手科目を中心に満遍なく学習しておくことが大切です。
1次試験の受験者数
中小企業診断士の試験は、例年13,000人から14,000人が受験し、1次試験の合格者は2,000人から3,000人と言われています。合格率の幅は16%~26%といったところでしょう。
ただし、2019年と2020年は合格率が大きく上昇しているので、今後の合格率の変化には注意を向ける必要があるでしょう。
以下の表で詳しく確認してみましょう。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2020年 | 11,785人 | 5,005人 | 42.5% |
2019年 | 14,691人 | 4,444人 | 30.2% |
2018年 | 13,773人 | 3,236人 | 23.5% |
2017年 | 14,343人 | 3,106人 | 21.7% |
2016年 | 13,605人 | 2,404人 | 17.7% |
2015年 | 13,186人 | 3,426人 | 26.0% |
2014年 | 13,805人 | 3,207人 | 23.2% |
2013年 | 14,252人 | 3,094人 | 21.7% |
受験者数は士業系資格の中でもかなり安定している部類であり、常に一定の需要がある資格であることが伺えます。
ちなみに、中小企業診断士の1次試験には科目合格という制度が存在するため、一回の試験で全科目合格できなくても、合格した科目は翌々年まで試験が免除されます。
科目からみた二次試験の難易度
中小企業診断士2次試験の筆記試験は、4,000人から5,000人前後が受験し、約20%の1,000人前後が合格しています。
一方、中小企業診断士2次試験の筆記試験合格後の口述試験の合格率は99%以上と高くなっています。 筆記試験に合格する学力を身に付けておけば、口述試験はほぼ合格できると言えるでしょう。
ここまで書いてきたように、マークシート型試験である1次試験と比べて、論述筆記試験と面接式の口述試験のある2次試験の方が難易度が高いと言えます。
科目からみた二次試験の難易度
2次試験の試験科目は事例1~4に分かれています。試験ではそれぞれの事例文を読み込み文章で回答します。
事例文の特徴
- 事例1:組織・人事を中心にした経営分析・課題解決
- 事例2:マーケティング・流通を中心に経済分析・課題解決
- 事例3:生産・技術を中心とした経営分析・課題解決
- 事例4:財務・会計を中心とした経営分析・経営課題解決
と4つの課題解決について問われます。
事例1∼3は、与件文からその設問のSWOT(強み、弱み、脅威、機械)を読み解きます。事例4は、財務諸表を使った計算問題です。
各事例の難易度は以下のようになっています。
試験科目 | 難易度 | 勉強時間 |
---|---|---|
事例1 | やや難 | 150時間 |
事例2 | 普通 | 100時間 |
事例3 | 普通 | 100時間 |
事例4 | 難 | 200時間 |
2次試験の合格ラインは?
1次試験と同様、総得点の60%以上であり、かつ1科目でも得点率が40%未満がないことを基準としています。
つまり筆記試験・口述試験の科目のうち、一つでも得点率が40%未満の科目があると、全体が60%を超えていても合格できないということです。
中小企業診断士の2次試験についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
合格までに必要な勉強時間
中小企業診断士に合格するまでにはどのくらいの勉強時間が必要なのでしょうか。
一般的に合格までに必要なおおよその学習時間は、1次試験と2次試験と合わせて1000時間と言われています。
中小企業診断士試験の学習に長い時間が必要なのは、法律や経営全般の幅広い分野が出題されるからでしょう。
幅広い知識が求められる試験ですから、人によって得意・不得意の分野がありますし、年度によってそれぞれの科目で難易度が大きく違います。
科目によっては、いわゆる地雷科目といってその年度だけ難易度が異常に高い科目があります。運悪く苦手科目に当たってしまうと合格の可能性も大きく下がってしまうでしょう。
中小企業診断士の資格試験の難関度が高いもう一つの理由として、 1次試験が暗記試験、2次試験が事例企業の与件文を読んで設問に対して論述する試験に変わるからです。
この暗記力と読解力の両方が求められることが、難易度を高めている最大の要因と言えます。
1年以内に合格する人は全体の四分の1程度
大手予備校では「ストレート合格を目指そう!」と謳っているところもありますが、実際に1年で合格できる人は25%前後しかいません。
無事に合格を掴んだ方でも平均で3年ほどかかることが普通で、科目合格制度を活用して合格される方が多いようです。
1年で合格する人が少ない理由としては、1次試験と2次試験との間隔が約2ヶ月と短いため、学習時間が足りないからだと言われています。
中小企業診断士試験の受験者層
例えば合格率80%の試験でも、受験者の9割が東大生となれば一概に簡単な試験とも言えなくなりますよね。このように、受験者層というのは試験難易度を左右する非常に大きな要素の一つです。
以下では中小企業診断士試験の受験者層について詳しく見ていきましょう。
中小企業診断士の受験者の特徴を分析すると、申込者数、合格者数ともに男性の割合が90%を超えています。
また、年齢層では、社会経験を積んだ30代から40代の受験者が多い試験であり、合格者もその年代が多くなっています。
一方で、中小企業診断士の資格は就職に有利であることから、20代の若年層やセカンドライフのために資格を取ろうとする60代以上の人も見られます。
(ちなみに平成30年度試験の2次試験合格の最年少は19歳、最年長は68歳となっています。)
社会人受験者の職業をみると、経営コンサルタント・金融機関に勤務されている人を中心に幅広い分野の業種から受験者、合格者が出ています。
では、年齢層や性別、受験者の職業などについて、平成30年度の中小企業診断士試験のデータで詳しく見て行きましょう。
受験者の年齢構成
1次試験の申込者数の構成比を見ると、30代が31.7%、40代が30.1%と多く、合格者数も同様な結果になっています。
この年代を中心に、20歳未満・70歳以上に向かって段階的に申込者数、合格者数の構成比も低くなっています。
1次試験受験者の年代 | 申込者数 | 構成比 |
---|---|---|
20代未満 | 96名 | 0.5% |
20代 | 2,999名 | 14.9% |
30代 | 6376名 | 31.7% |
40代 | 6,057名 | 30.1% |
50代 | 3,526名 | 17.5% |
60代 | 949名 | 4.7% |
70歳以上 | 113名 | 0.6% |
1次試験受験者の年代 | 合格者数 | 構成比 |
---|---|---|
20代未満 | 4名 | 0.1% |
20代 | 439名 | 13.6% |
30代 | 1,060名 | 32.8% |
40代 | 1027名 | 31.7% |
50代 | 570名 | 17.6% |
60代 | 128名 | 4.0% |
70歳以上 | 8名 | 0.2% |
2次試験も同じような傾向になっています。申込者数の構成比は30代が31.7%、40代が31.9%でした。
2次試験受験者の年代 | 申込者数 | 構成比 |
---|---|---|
20代未満 | 2名 | 0.1%未満 |
20代 | 533名 | 10.7% |
30代 | 1,576名 | 31.7% |
40代 | 1,587名 | 31.9% |
50代 | 996名 | 20.0% |
60代 | 262名 | 5.3% |
70歳以上 | 22名 | 0.4% |
2次試験受験者の年代 | 合格者数 | 構成比 |
---|---|---|
20代未満 | 1名 | 0.1% |
20代 | 116名 | 12.8% |
30代 | 370名 | 40.9% |
40代 | 264名 | 29.2% |
50代 | 127名 | 14.0% |
60代 | 27名 | 3.0% |
70歳以上 | 0名 | 0.0% |
やはり、ある程度の社会経験を積んだ人が、ステップアップの一つとして受験していることが、このデータからも伺えます。
逆に言えば、30代以上でも問題なく合格を目指せるということです。年齢を理由に受験を諦める必要は全くないと言えます。
受験者の主な勤務先
中小企業診断士の試験には、その資格を直ぐに仕事に生かせる経営コンサルタントの自営業、税理士・会計士等の自営業、金融機関に勤務している人が多く受験しています。
また、コンサルタント以外の自営業や民間企業勤務の人の構成比も高く、幅広い職業分野の人が受験しています。これはスキルアップのためや経営の幅を広げる目的で受験している人が多いからです。
特徴的なのは、学生の方など勉強する時間を多く取ることができる人がほとんどおらず、大半が忙しい仕事の合間を縫って受験勉強を行なっている点です。
このことから、仕事で忙しくてもコツコツ勉強すれば十分に合格が狙える試験だということが分かります。
1次試験受験者 | 申込者数 | 構成比 |
---|---|---|
経営コンサルタント自営業 | 254名 | 1.3% |
税理士・公認会計士等自営業 | 555名 | 2.7% |
上記以外の自営業 | 504名 | 2.5% |
経営コンサルタント等事務所等勤務 | 589名 | 2.9% |
民間企業勤務 | 11,986名 | 59.6% |
政府系金融機関 | 367名 | 1.8% |
政府系以外の金融機関 | 1,978名 | 9.8% |
中小企業支援機関 | 561名 | 2.8% |
独立行政法人・公益法人勤務 | 273名 | 1.4% |
公務員 | 633名 | 3.1% |
研究・教育 | 116名 | 0.6% |
学生 | 479名 | 2.4% |
その他(無色含む) | 1,821名 | 9.1% |
1次試験受験者 | 合格者数 | 構成比 |
---|---|---|
経営コンサルタント自営業 | 22名 | 0.7% |
税理士・公認会計士等自営業 | 144名 | 3.6% |
上記以外の自営業 | 73名 | 2.4% |
経営コンサルタント等事務所等勤務 | 79名 | 2.5% |
民間企業勤務 | 1,988名 | 61.5% |
政府系金融機関 | 85名 | 2.7% |
政府系以外の金融機関 | 320名 | 9.9% |
中小企業支援機関 | 57名 | 1.8% |
独立行政法人・公益法人勤務 | 43名 | 1.4% |
公務員 | 108名 | 3.3% |
研究・教育 | 14名 | 0.4% |
学生 | 47名 | 1.6% |
その他(無色含む) | 256名 | 7.9% |
2次試験受験者 | 申込者数 | 構成比 |
---|---|---|
経営コンサルタント自営業 | 52名 | 1.0% |
税理士・公認会計士等自営業 | 189名 | 3.8% |
上記以外の自営業 | 115名 | 2.3% |
経営コンサルタント等事務所等勤務 | 125名 | 2.5% |
民間企業勤務 | 3,156名 | 63.4% |
政府系金融機関 | 107名 | 2.1% |
政府系以外の金融機関 | 444名 | 8.9% |
中小企業支援機関 | 73名 | 1.6% |
独立行政法人・公益法人勤務 | 57名 | 1.1% |
公務員 | 169名 | 3.4% |
研究・教育 | 30名 | 0.6% |
学生 | 55名 | 1.1% |
その他(無色含む) | 406名 | 8.2% |
2次試験受験者 | 合格者数 | 構成比 |
---|---|---|
経営コンサルタント自営業 | 6名 | 0.7% |
税理士・公認会計士等自営業 | 32名 | 3.5% |
上記以外の自営業 | 20名 | 2.2% |
経営コンサルタント等事務所等勤務 | 22名 | 2.4% |
民間企業勤務 | 629名 | 69.5% |
政府系金融機関 | 27名 | 3.0% |
政府系以外の金融機関 | 72名 | 8.0% |
中小企業支援機関 | 10名 | 1.1% |
独立行政法人・公益法人勤務 | 8名 | 0.9% |
公務員 | 29名 | 3.2% |
研究・教育 | 2名 | 0.2% |
学生 | 10名 | 1.1% |
その他(無色含む) | 38名 | 4.2% |
偏差値の高い難関大学出身者も
中小企業診断士の試験は、難関大学出身者の方が受験するケースも多いようです。GMARCH、大阪大学、関関同立など難関と言われる国公立大学や私立大学の卒業生などです。
診断士試験の結果がすべてなので直接的には合否に学歴は無関係なのですが、少なくとも学力偏差値が高い人が多数受験していて、合格しているというのは間違いありません。
勉強が得意な人の多い高学歴の方々とも戦う必要があるということは覚えておきましょう。
難関資格保持者がダブルライセンスを狙うことも
公認会計士や税理士など財務会計のプロが多く受験していることも、試験難易度を高くしている要因の一つです。
弁護士や社会保険労務士などの資格保持者も、業務や知識の幅を広げるために受験する人が多数います。
それだけ需要が高く、ダブルライセンスの相性も良い資格であることがわかります。
中小企業診断士や社会保険労務士は、人と関わるコンサルティング業務ですから、共通する点がいくつもあります。
例えば、社会保険労務士には経営全般の知識が少なく、経営コンサルタント業務を行う上で、企業の課題全般を見渡すことが難しいという課題があります。
その面では、経営全般の知識を学んだ中小企業診断士は、経営者の方針を理解しスムーズに経営コンサルティング業務を行うことができます。
一方で、人事労務に強い社会保険労務士の資格を取得し、よりスキルの高いコンサルティング業務を目指そうとする中小企業診断士もいます。
このように中小企業診断士と社会保険労務士は足りないものを補完し合う、相性の良い組み合わせです。
中小企業診断士のダブルライセンスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
中小企業診断士の国家資格難易度ランキング
中小企業診断士は1年で合格できる人はあまり多くなく、1年以内で合格したという受験者は27%、2年から3年の学習期間の合格者が約半数を占めています。長期的な学習が必要な難関資格と言えます。
それでは、中小企業診断士は他の資格と比べるとどれくらい難しいのでしょうか。
ここでは他の人気資格と中小企業診断士の難易度を比較して見ていきましょう。
以下の表は各資格の合格までに必要な勉強時間と難易度を表にしたものです。
資格 | 学習時間 | 難易度 |
---|---|---|
公認会計士 | 3000時間以上 | 超難関 |
税理士 | 3000時間以上 | 超難関 |
司法書士 | 3000時間 | 超難関 |
不動産鑑定士 | 2000時間 | 難 |
中小企業診断士 | 1000時間 | 難 |
社会保険労務士 | 1000時間 | 難 |
日商簿記検定1級 | 600時間 | やや難 |
FP2級 | 150~300時間 | 普通 |
このように並べて見てみると、中小企業診断士は確かに難易度は高いものの、他の人気資格に比べれば取得しやすい方であることが見て取れます。
それでは、それぞれの資格との難易度をより詳しく比較していきましょう。
国家資格の難易度ランキングをより詳しく見てみたい方は、以下の記事をご確認ください。
税理士と中小企業診断士の難易度比較
税理士試験は会計学から2科目と税法から3科目の計5科目となっています。
税理士試験の特徴
- 会計学の2科目は必修
- 税法は7科目からの選択式
- 科目合格制あり
- 合格率は各科目10%∼15%
税理士は各科目それぞれが非常に難しく、国家資格の中でも相当難しい部類に入ります。
科目合格が生涯有効なので、1年に1∼2科目ずつ合格することを目標にして、長期計画を立てて資格取得を目指すのが一般的です。
一発合格する人も多い中小企業診断士と比べるとかなり難易度が高いと言えます。
税理士の難易度についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
公認会計士と中小企業診断士の難易度比較
公認会計士も代用的な難関国家資格の一つです。学習時間も他の監査業務の資格と比べても長い時間が必要で、合格者の平均年齢が26歳前後と非常に若いという特徴があります。
公認会計士試験の特徴
- 短答・論文式の2段階
- 短答は4科目
- 論文式は4つの必修科目と4つの中から1つ選ぶ選択科目
- 合格率は11%前後
- 受験者の大半が大学生
合格率は中小企業診断士試験よりも高いので、一見すると公認会計士の方が簡単なのではないかと勘違いしてしまいそうになります。
しかし、公認会計士を受験するのは勉強時間が豊富に取れる大学生がほとんどであり、社会人が仕事の合間を縫って合格するのは極めて困難な試験となっています。
中小企業診断士と公認会計士の関係についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
司法書士と中小企業診断士の難易度比較
司法書士は国家資格です。法律の専門家で、不動産登記や会社登記の手続きの代行、裁判に関する提出書類の作成を行います。
法律系の資格の中でもかなり難しい部類であり、合格までには3年以上はかかると言われています。
試験の特徴
- 受験資格は存在しない
- 筆記と口述の2段階試験
- 合格率は4%前後
合格率を見ると中小企業診断士と同程度の難易度のような感じがしますが、難解な法律を多く扱うことから、司法書士の方が一回り難易度が高いと言えます。
司法書士の難易度の実態については、以下の記事で詳しく解説しています。
社会保険労務士と中小企業診断士の難易度比較
社会保険労務士(社労士)は中小企業診断士とかなり近い難易度だと言われています。中小企業診断士とは合格率や勉強時間、受験者層までほとんど同じです。
先に述べたように中小企業診断士とのダブルライセンスを狙う人も多く、非常に相性の良い資格です。
社労士試験の特徴
- 受験資格が存在する
- 択一式7科目と選択式8科目
- 合格率は10%以下で3%を下回った年もある
- 受験者の大半が社会人
- 難関国家資格の中で特に女性割合が高い
社労士と中小企業診断士のダブルライセンスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
中小企業診断士の資格取得のメリット
中小企業診断士の資格試験の難易度は高いですが、その分資格取得によるメリットも非常に大きいです。
以下では中小企業診断士は難関試験を突破するだけのメリットがあるかどうか確認していきましょう。
社内外で信頼が増す
社内で経営コンサルタントとしての実力が評価されれば、新しいプロジェクトに参加できたり、責任者として仕事を任されたりといったことが増えるでしょう。
また、社外の人にも信頼され、経営コンサルタントやシステム開発などの依頼も多くなり、仕事の幅も広がっていくはずです。
人脈が広がる
中小企業診断士の資格を持つと、診断士同士の交流の機会も多くなります。また、他の士業と接することもあるので人脈を広げることができるでしょう。
同じ中小企業診断士でも、いろいろな立場で仕事をしている人がいますので、情報交換などをすることで刺激となり、仕事にも良い効果を与えることができるでしょう。
就職・転職に有利
学生のうちに中小企業診断士の資格を取得しておくと、就職活動にも有利です。
多くの学生より自分を高く評価してもらうためには、学び続ける姿勢や自身の能力をアピールする必要があります。難易度の高い中小企業診断士の資格を取得した努力や能力の高さは、大きく評価されるはずです。
また、これから転職を考えている人にとっても、中小企業診断士の資格を取得していることで、即戦力として活躍できるというメリットがあります。
昇給や昇格に繋がる
会社によっては昇給や昇格の条件に、経営コンサルタントにつながる資格を設けているところもあります。
中小企業診断士の資格を取ることで、経営理論、法務、財務・会計などの知識があることが証明され昇給や昇格のチャンスも高まるでしょう。
また、会社で資格手当を支給する制度を設けて、その中に中小企業診断士も対象になっている場合があります。
また、社業以外にコラムの執筆や受験のアドバイザーといった副業をすることで、報酬を受け取れるものもあります。
副業を認めてもらえる会社であれば、これらの活動でプラスαの収入を得ることができるでしょう。
独立することも可能
中小企業診断士は公認会計士や税理士などと違い、独占業務がないため独立開業してもメリットがないと思われがちです。
しかし、行政や商工会などの公共機関が行う経営相談や派遣業務**は、中小企業診断協会に依頼されることが多いようです。
これらは、中小企業診断士の業界では公的業務と言われます。公的業務は中小企業診断士が行いますので、実質的な独占業務と言えます。
公的業務を依頼されるためには、それなりの実力や実績が求められますので、開業して直ぐには仕事を受けられないかもしれませんが、中小企業診断士の資格を生かして独立開業することは可能です。
中小企業診断士の取得メリットについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
中小企業診断士は独学で合格できるのか
中小企業診断士を独学で目指そうとしている方も多いかと思います。
独学は予備校に通うのに比べて費用を安く抑えることができ、時間や場所を選ばずに学習できることもできます。
しかし、勉強のペースやモチベーションの管理が難しいことがあげられます。ここでは、中小診断士を独学で取得しようとする際に注意すべき点やおすすめな勉強法を紹介していきます。
独学で勉強するときに注意すること
独学で資格を取得することは可能ですが、勉強する際に注意すべきことがいくつかあります。ここでは、それらを紹介していきます。
スケジュールに沿って学習すること
独学では予備校のように決められたカリキュラムがあるわけではないので、自分で勉強の計画を立てなければなりません。
合格には継続的な勉強が何より大切で、学習スケジュールを立てることで合格までの道筋が見え、勉強を継続しやすくなります。特に中小診断士試験は範囲も広いので、科目ごとのスケジュールを立てることがおすすめです。
効率的に勉強を進める
中小診断士は一次試験、二次試験共に総点数の60点以上得点し、1科目も40%未満を取らないことが合格の条件です。
中小診断士試験は範囲も広いため、全ての科目に全力を注いで網羅的に勉強することが得策であるとは言えません。試験の自分の苦手な科目と得意な科目を把握した上でいかに効率的に勉強できるかが合格への鍵となります。
反復・復習が大事
中小企業診断士は科目が多く、一度の学習で全てを覚えることはほとんど不可能です。
よって、頻出箇所を中心に、時間を置いて何度も復習することでしっかりと頭に入れることができるでしょう。時間が経ってしまうとどんなことでも忘れてしまうので、繰り返し勉強することが合格の鍵であると言えるでしょう。
おすすめの独学勉強法
続いて、独学で資格を取得しようとしている方には是非知っていただきたい勉強法を紹介していきます。
過去問を最大限に活用しよう
過去問を解き進めることで出題傾向や頻出問題などを把握することができます。
過去問は、5年分やれば十分だと言えるでしょう。ただし、ただ解くだけでなく解き終わった後もしっかりと復習し、確実に全問解けるようになるまで繰り返し解くことが大切となります。
また、過去問に取り組むのは出来るだけ早い段階がおすすめです。出版されている過去問は科目ごとに整理してあることが多いので、その科目の学習を一周したらまずは過去問をといてみると良いでしょう。
科目を跨いだ学習
二次試験では、複数の科目を結びつけた問題が多く出題されます。したがって、科目ごとに勉強すると二次試験に合格することはできません。
一次試験の勉強をする際も、二次試験を見据えて科目間のつながりを意識して勉強することがおすすめです。科目間に共通する部分をまとめて覚えることもできるので、この勉強法では効率的に学習を進めることが可能となります。
独学におすすめのテキスト
独学をする際には、自分にあったテキストを見つけることがとても大切です。ここでは、一次試験と二次試験の対策におすすめなテキストを紹介していきます。
一次試験対策用のテキスト
一次試験対策におすすめのテキストは、以下の2つがあげられます。
1. 最速合格のためのスピードテキスト
このテキストは、大手資格予備校TACが出版しているテキストで、TACの講座で実際に使われている公式のテキストです。視覚的に理解しやすく、初心者にもわかりやすい内容になっています。索引も豊富で独学に向いていると言えるでしょう。
2. TBC速修テキスト
TBC速修テキストはTBC受験研究会が出版しているテキストです。こちらは講師による講義動画を無料で視聴できることが魅力です。
通信講座を受けているような要領で学習を進めることができます。過去5年分の出題マップも記載されているので、出題傾向を知ることができます。
二次試験対策用のテキスト
二次試験対策におすすめのテキストは、資格の学校TACが出版している「最速合格のための第2次試験過去問題集」です。
このテキストには過去5年間で中小企業診断士の二次試験で出題された問題が掲載されており、解答も非常に充実しています。
テキストの解答例や解説を参考にした上で、ある程度のレベルの解答を作成できるようになることを目指してコツコツと進めることがおすすめの利用法です。
難関の診断士試験を突破するためには
中小企業診断士の取得を目指される方の多くは仕事に追われる社会人の方であるため、独学で勉強していてもなかなか学習ペースが掴めず、途中で挫折したり合格までに何年もかかってしまうことがほとんどです。
短期間で確実に資格の取得を目指すのであれば通信講座を受講することを強くおすすめします。
中小企業診断士試験向けの通信講座では、良質な動画講義やテキストの他にも、「学習スケジュール設計」や「スマホを使った確認テスト」など、独学では受けられない力強いサポートを活用することができます。
もちろん独学合格も不可能ではありませんが、「長い勉強時間を費やしたのに、途中で挫折して全てが水の泡・・・」 といった悲劇を回避するためにも、独学で挑戦するのは避けるのが無難でしょう。
資格Timesではスキマ時間を活かした学習に優れた「スタディング」の通信講座を一番おすすめしています。この機会に一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
中小企業診断士の難易度まとめ
中小企業診断士の難易度まとめ
- 一発合格できるのは全体の5%程度
- 平均勉強時間は1000時間
- 30代から40代の層の受験者が多い
- 他の士業の難易度と比べると中間位の難易度
- 難易度が高い分、取得メリットも大きい
中小企業診断士試験の難易度について説明しました!
今、30代から40代の中堅とよばれるビジネスパーソンの人気を集めている中小企業診断士ですが、難易度が高いことがお分かりになったことでしょう。
ここまで紹介してきたように、中小企業診断士の資格は難易度が高いものの、それだけに取得後のメリットは大きい資格です。
通信講座なども上手に活用しつつ、ぜひ魅力いっぱいの中小企業診断士の資格を勝ち取ってください!