【社労士】択一式試験の傾向と対策|合格ラインを意識した勉強法と時間配分を解説!
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社労士
のんびり社労士いけい
「社労士の択一試験って選択式とどう違うの?」
「社労士の択一式試験の効率的な勉強方法や時間配分が知りたい!」
社労士の勉強をしているとこのような疑問が出てきますよね。
こちらの記事では社労士試験の択一問題に関する疑問を解決していきます。
ぜひ出題傾向などをとらえて難関試験である社労士試験を突破しましょう!
社労士の択一式試験についてざっくり説明すると
- 択一式試験は長丁場の試験であり、全体で65%程度の得点率で合格できる
- 過去問から出題される傾向があり、内容も基本事項が多い
- 選択式試験よりも先に択一式試験から勉強を始めるのが良い
- 問題数が多いので、難問は捨ててもあまり痛手ではない
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社労士の択一式試験の特徴
社労士の択一式試験は「正しいもの」や「誤っているもの」を解答することを基本とする5択問題です。
出題形式 | 試験時間 |
---|---|
選択式 | 10:30~11:50(80分) |
択一式 | 13:20~16:50(210分) |
択一式試験は13:20~16:50の210分で行われます。出題される科目は合計7科目であり、合計70問(70点満点)です。
長丁場の試験のため時間配分の考え方も大事になってきます。
択一式の場合、合格基準は原則として「総得点70点満点中45点前後正解かつ各科目10点中4点正解」です。
特に注意が必要なのが「各科目10点中4点正解」の足切りルールで、1科目でもこれを下回る結果となったらその時点で不合格、いわゆる足切りとなってしまいます。
択一式試験の合格基準点
まずは、令和2年度の社労士択一式試験の合格基準点を見てみましょう。
択一式試験は、総得点44点以上かつ各科目4点以上である者
※上記合格基準は、試験の難易度に差が生じたことから、昨年度試験の合格基準を補正したものである 社労士試験の合格基準
この年の択一式試験の合格基準点は44点なので、63%程度の正答率で合格ということになります。
直近14年における択一式試験の合格基準点の推移は以下のようになっています。
年 | 合格基準点 | 救済科目 |
---|---|---|
2023年 | 45点 | なし |
2022年 | 44点 | なし |
2021年 | 45点 | なし |
2020年 | 44点 | なし |
2019年 | 43点 | なし |
2018年 | 45点 | なし |
2017年 | 45点 | 厚年 |
2016年 | 42点 | 常識・厚年・国年 |
2015年 | 45点 | なし |
2014年 | 45点 | 常識 |
2013年 | 46点 | なし |
2012年 | 46点 | なし |
2011年 | 46点 | なし |
2010年 | 48点 | なし |
2009年 | 44点 | なし |
表を見てわかるように、社労士の合格ラインは固定されているわけではなく、毎年変動します。例年では合計70点中42~48点が合格ラインとなっています。
また、総得点に加えて各科目4点以上取らなければいけない足切りのルールがあるため、単純に総得点だけで合否が決定されるわけではありません。
つまり社労士試験は苦手科目を作ることが許されない試験なのです。
また、年度によっては救済が実施され、その科目の合格基準点が3点に下がることもあります。
社労士の合格ラインについては以下の記事をご覧ください。
救済が実施されるのは珍しい
救済とは、試験の難易度や合格者数の調整のため、各科目の合格ラインの引き下げが行われることです。
救済という措置は合格者のコントロールをするための措置と考えられ、合格者が増えすぎたり減りすぎたりしないように調節しています。
選択式試験では毎年のように救済が実施されていますが、択一式試験での救済は直近10年で3回だけです。
救済には期待せず、どの科目でも確実に4点以上得点できるように勉強を進めることが大切です。
社労士試験の救済についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
選択式ではなく択一式から勉強を始める
社労士の勉強を進める順序としては、まずは択一式問題で合格点をとれるように勉強し、選択式問題の対策はその後始めるのが良いです。
選択式試験というのは、全8科目それぞれについて文章が用意され、その文章の中に入る語句等を語群の中から選ばせる試験です。
ここでは択一式試験と選択式試験の違いを確認しつつ、なぜ択一式試験から勉強すべきなのかの理由を確認していきましょう。
択一式と選択式の違い
択一式は5択問題、選択式は長文にある空欄を埋める虫食い問題です。
社労士試験は以下の全8分野で構成されています。
社労士試験の試験範囲
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
- 雇用保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
このうち、選択式試験では1範囲が1科目に対応しており、1科目につき5点満点の合計40点満点です。
一方で択一式試験では労働に関する一般常識と社会保険に関する一般常識が統合されており、合計7科目の試験となっています。
合格基準点の違い
選択式にも合格基準が設定されていて、「各科目5点中3点」正解する必要があります。加えて、総得点でも40点中21~28点の合格基準点が設定されています。
選択式では択一式と異なり、ほとんどの年で選択式は救済措置が行われています。したがってほとんどの受験生が知らないような難問は捨てても大丈夫であることが多いです。
基礎・基本的な内容を絶対に落とさないようにしっかりと勉強するようにしましょう。
択一式の勉強が選択式対策になる
択一式の試験は、選択式試験に比べれば問われる内容も基本的なものが多く、正確な知識がなかったとしても、他の選択肢との関係をみて正解できることがあります。
一方で選択式試験では専門的な知識を元に、比較的長い文章を読み解く必要があります。
最初から選択式試験の対策を初めてしまうと、文章の理解に時間がかかりなかなか勉強が進まないので非効率な勉強になってしまうことが多いです。
択一式試験での勉強から始めることでまずは基本的な知識が身につくので、選択式の問題文を読む力を養いつつ択一式試験の得点力を上げることができるのです。
選択式試験についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
択一式試験の傾向と勉強方法
社労士試験は過去問に似た問題が多く出題されるため、基本的には過去問対策が極めて有効です。
また、科目ごとに合格基準が設定されていることから苦手科目を作らないように各科目満遍なく勉強する必要があります。
過去問を中心に対策する
過去の社労士試験で実際に出題された問題に触れることで、テキストで勉強している内容が問題の形式になるとどのような形で出題されるのか見えてきます。
他にも、どのくらいの頻度で出題されているのかを過去問を通じて把握することで、具体的な勉強の優先順位を設定することができ、テキストに掲載された項目間でメリハリを利かせることができるようになります。
過去問を解くタイミング
過去問を解くタイミングはテキストの読み込みと並行して行いましょう。テキストと問題集を往復するイメージです。
テキストで勉強した内容が本試験でどのような形式で出題されるのか、テキストのどの点をしっかりと覚えれば本試験で出題される問題が解けるのかを把握できます。
模試の活用
多くの予備校では社労士の模試を取り扱っています。
実際の試験の雰囲気や時間配分を体感する上で、模試は最適です。
また結果が出たときに自分の不得意科目、周囲の受験生のレベルもわかるので、以後の勉強法に活用できます。
日程が合えば必ず模試は活用するようにしてください。
曖昧なまま暗記しない
択一式試験では問題数が非常に多いので、制限時間内に解き終えるには読んだ瞬間に正しいかどうかを瞬時に判断する必要があります。しかし、曖昧な知識だと一問一問考え込んでしまうことになります。
また非常な長丁場な試験なので、後半の年金問題を解く頃に疲れてしまう可能性もあります。
瞬時に判断するためには、知識を正確に覚えることが大切です。
特に数字に関わる出題は正誤がすぐに判断できるため、正確かつ完璧に覚えるようにしましょう。
社労士試験のプロの勉強法を採用しよう
自己流の非効率な勉強法に陥らない最も良い方法は予備校や通信講座の講師の方の意見を参考にすることです。
現在資格学校のクレアールでは、カリスマ講師である北村先生が執筆した社労士試験の攻略本「非常識合格法」を無料プレゼントしています。
社労士試験に向けた最適な勉強法が学べる絶好の機会です。先着100名限定配布となっているので、受験生であれば是非とも手に入れておきましょう!
択一式試験の時間配分
社労士試験を受ける上で、事前に時間配分を決めておくのが大切です。
目安としては、1科目につき25分程度、途中で飛ばした問題を解き直す時間も考慮しましょう。
見直しの時間は20分前後は確保できるようにし、主にマークミスをチェックする程度が理想的です。
科目 | かける時間 |
---|---|
労働基準法・労働安全衛生法 | 25分 |
労災保険法・徴収法 | 25分 |
雇用保険法・徴収法 | 25分 |
健康保険法 | 25分 |
国民年金法 | 25分 |
厚生年金保険法 | 25分 |
一般常識 | 25分 |
解きなおし時間 | 15分 |
見直し時間 | 20分 |
バランスの良い時間配分の取り方はこのような形になります。
難問・奇問は後回しにする
試験は問題文が長く複雑な問題や、正しい選択肢の数を選ぶ「個数問題」などは正解できる受験生も少ないです。こういった難問には問題にはあまり時間を使わないようにしてください。
択一式試験の配点は、問題の難易度にかかわらず1問1点で一定です。時間をかけて解けたとしても、他の問題を解く時間がなくなってしまったら元も子もありません。
一読してよく分からなかったらとりあえず飛ばして他の問題に取りかかり、基本的で簡単な問題を確実に得点することが大切です。
周りの受験生の正答率が高い問題を落とす方が致命傷になります。
得意科目に時間をかけない
先ほど1科目25分程度が目安と述べましたが、科目ごとの合格基準点を考えれば、得意科目はなるべく早く終わらせて、その分苦手科目に時間をかけると得点につながりやすくなります。
こうして時間に余裕を作ることができれば、苦手科目でも5択の中で確実に選択肢を消せるものは消すなどはできるので、得点期待値を上げることができます。
解き直さなくて良い問題もある
後回しにした問題でも、全く理解できない問題や知識として知らない問題は、考える時間がもったいないので捨ててしまいましょう。
解き直しの時間は、選択肢を3つ、2つまでに絞った問題に重点をおくべきです。
1点でも多く拾えるように、模試や練習問題などを通じて感覚を掴むようにしてください。
社労士試験の択一式のまとめ
社労士の択一式試験まとめ
- 択一式試験は合格基準点の変動が小さく、救済もほぼ実施されない
- 試験時間は長いが、問題数も多いので時間配分が大切になってくる
- 選択式試験よりも難易度が低いので、択一式試験から対策を始めるのが良い
社労士試験は合格率が1桁台の難関試験です。
しかし社労士の択一式問題は過去問をしっかりと演習していれば合格点はクリアできます。
ただ、非常に長丁場な試験のため、時間配分が非常に大切な試験であることがわかって頂けたと思います。実際の時間配分などは自分で勉強を進めながら自分自身で取り組みやすい方法を模索していく必要があります。