中小企業診断士の経営情報システムの勉強法は?勉強時間の目安や直前期の対策まで解説!
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中小企業診断士
平井東
「中小企業診断士の経営情報システムは難しい?」
「具体的な勉強法や勉強時間が知りたい!」
IT関係や情報システムになじみがない人にとって、経営情報システムの学習には不安があるかも知れません。
ここでは中小企業診断士の経営情報システムの科目の特徴や難易度、勉強法について、勉強時間の目安や直前期の対策なども踏まえて詳しく考察していきます。
経営情報システムの勉強の悩みはここで解消しましょう!
経営情報システムについてざっくり説明すると
- 経営情報システムの難易度は特別高いわけではない
- 暗記中心の勉強法で対策をするとよい
- 1次試験にしか出題されず勉強時間をかけすぎるのは避ける
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中小企業診断士試験の経営情報システムの概要
中小企業診断士試験の科目である経営情報システムは1次試験にしか出題されません。中小企業診断士試験に経営情報システムがなぜ必要なのでしょうか。
今の時代、企業経営を行う上で、情報技術の活用は必要不可欠です。中小企業診断士が情報システムに関することで中小企業の相談に乗ったり、場合によってはITの専門家へ取り次ぐこともあるでしょう。
中小企業診断士が情報通信技術の知識を身につけ、経営資源としての情報技術の活用について勉強すること、つまり経営情報システムを学ぶことはとても重要なのです。
経営情報システムで学べること
経営情報システムでは、大きく分けて情報通信技術と経営情報管理について学びます。
情報通信技術では、ソフトウエア、2進数、プログラム言語などコンピューターが動く原理や、ハードウエア、データベース、インターネットなど、情報技術の基礎知識について学習します。
経営情報管理では、情報システムの開発、導入、運用、評価など、企業経営や意思決定に必要な情報システムを活用するための方法に関して学習します。
出題範囲
中小企業診断士試験の試験案内にも記載がありますが、出題範囲については下記の通りです。
情報通信技術に関する基礎的知識
- 情報処理の基礎技術
- 情報処理の形態と関連技術
- データベースとファイル
- 通信ネットワーク
- システム性能
- その他情報通信技術に関する基礎的知識に関する事項
経営情報管理
- 経営戦略と情報システム
- 情報システムの開発
- 情報システムの運用管理
- 情報システムの評価
- 外部情報システム資源の活用
- 情報システムと意思決定
- その他経営情報管理に関する事項
配点
中小企業診断士試験の試験案内にも記載がありますが、配点は毎年同じです。
科目 | 時間 | 配点 |
---|---|---|
経済学・経済政策 | 60分 | 100点 |
財務・会計 | 60分 | 100点 |
企業経営理論 | 90分 | 100点 |
運営管理 | 90分 | 100点 |
経営法務 | 60分 | 100点 |
経営情報システム | 60分 | 100点 |
中小企業経営・政策 | 90分 | 100点 |
経営情報システムの難易度
経営情報システムの難易度は年度によって差が大きく、一概に言い表すのは難しいです。
一方で、それほど理解が難しい内容ではなく、暗記が苦手でなければそこまで勉強時間を費やす必要はないといえるでしょう。
経営情報システムの平均点
ここでは経営情報システムの平均点の推移を、他科目と比較しながら見ていきましょう。
データは全て、資格の大原中小企業診断士講座「採点サービス集計結果」より抜粋しています。
R4年度
科目 | 平均点 |
---|---|
経済学・経済政策 | 53.9点 |
財務・会計 | 59.4点 |
企業経営理論 | 59.2点 |
運営管理 | 58.5点 |
経営法務 | 63.1点 |
経営情報システム | 55.1点 |
中小企業経営・政策 | 55.5点 |
R3年度
科目 | 平均点 |
---|---|
経済学・経済政策 | 61.9点 |
財務・会計 | 62.9点 |
企業経営理論 | 65.0点 |
運営管理 | 61.0点 |
経営法務 | 58.3点 |
経営情報システム | 52.0点 |
中小企業経営・政策 | 51.5点 |
R2年度
科目 | 平均点 |
---|---|
経済学・経済政策 | 67.0点 |
財務・会計 | 61.6点 |
企業経営理論 | 62.7点 |
運営管理 | 59.4点 |
経営法務 | 58.5点 |
経営情報システム | 66.1点 |
中小企業経営・政策 | 64.0点 |
表を見てわかるように、ここ3年間で経営情報システムの平均点は66.1点→52.0点→55.1点と推移しています。
年度によって差が大きく、平成28年度試験のように時々異常に低い回もありますが、そこは他の科目についても同じことが言えます。
他の各科目と比較しても、経営情報システムの平均点が毎年のように低いといったことはありません。
経営情報システムの合格率
ここでは経営情報システムの科目合格率の推移を、他の科目と比較しながら見ていきます。
R4年試験
科目名 | 科目合格率 |
---|---|
経済学・経済政策 | 10.5% |
財務・会計 | 13.3% |
企業経営理論 | 17.3% |
運営管理 | 16.1% |
経営法務 | 26.9% |
経営情報システム | 18.5% |
中小企業経営・政策 | 10.9% |
R3年度
科目 | 合格率 |
---|---|
経済学・経済政策 | 21.1% |
財務・会計 | 22.4% |
企業経営理論 | 34.7% |
運営管理 | 18.5% |
経営法務 | 12.8% |
経営情報システム | 10.6% |
中小企業経営・政策 | 7.1% |
R2年度
科目 | 合格率 |
---|---|
経済学・経済政策 | =3.5% |
財務・会計 | 10.8% |
企業経営理論 | 19.4% |
運営管理 | 9.4% |
経営法務 | 12% |
経営情報システム | 28.7% |
中小企業経営・政策 | 16.4% |
経営情報システムの合格率は、年度によって差が大きく時々異常に低い年があったりしますが、同様のことが他の科目でもいえます。
平成28年度のように合格率1桁の年もみられますが、他の試験科目の合格率の推移もみると、経営情報システムの合格率ばかりが低いという判断はできません。どの科目も同じような合格率の変遷を辿っています。
経営情報システムが難しいと感じる人
平均点や合格率を他の科目と比較しても、経営情報システムの難易度が特別高いということはありません。
経営情報システムを苦手と感じる人は、現段階でIT知識が不足しているというだけで難しいと感じている可能性が高いです。
着実に一つずつ知識を増やしていけば、苦手意識を克服できるはずです。
経営情報システム向けのおすすめ勉強法
経営情報システムは暗記中心の科目ですが、仕事などでIT関連や情報システムに馴染みのない人にとっては難しく感じるかもしれません。
しかし難易度自体が高いわけではなく、暗記などの勉強法を工夫して対策をすれば得点に結びつきやすくなります。
ここで勉強時間、勉強内容や方法など、経営情報システムのおすすめ勉強法について考察していきます。
勉強時間の目安
経営情報システムの勉強時間は100時間前後を目安にすると良いです。
中小企業診断士試験の2次試験に直接関係ない科目なので、勉強しすぎるのは避け、必要最低限の得点力を身に付けるよう意識して勉強することが大切です。
まずは用語の理解を重視する
経営情報システムの用語を理解することが大切です。IT系の事前知識がない人にとっては、新しい用語が次々と出てきて困惑しやすいです。
アルファベットなどの用語が何を意味しているのかを一つ一つ丁寧に理解しましょう。図や表にして確認するのも効果的です。
たとえば用語Aを理解していない状態で勉強を進めると、用語Bの説明に用語Aが使われて、結局どちらも分からないという状態が起こります。
このように理解不足のまま学習を進めても効率は極めて低くなります。焦らずまずは目の前の用語理解に努めましょう。
インプットは聴覚を利用するのが効果的
独学の場合、自分でテキストを読んで知識を覚えるという方法しか取れませんが、新しい分野の内容をテキストだけで理解していくのはあまり効率的ではありません。
予備校の講義のように、新しい事柄は講師による解説付きで耳からインプットするのが理想でしょう。
予備校に通う時間がないという方も、例えばスタディングのようなオンライン中小企業診断士講座を用いて、通勤時間などに講義を聞いておくのは非常に効果的な学習となるでしょう。
スタディングであれば経営情報システム単体で講座を受講できますし、1科目であれば講座費用も14,300円と極めて低価格なので、効率よく知識を取り入れたいという方は受講すると良いでしょう。
知識の定着は問題演習で行う
単語帳などで知識を覚えるのも方法の一つですが、「覚えたつもり」になってしまう場合が多いです。
問題演習を通じて知識をアウトプットすることで、自分がどこまでその用語を理解しているのかが具体的にわかることに加えて、知識が定着します。
演習は過去問と問題集の両方を活用する
経営情報システムの問題演習を行う際には、過去問と問題集のどちらも大切です。
問題集は最新のものであれば、現在の時事ネタ(最新技術や世情など)を反映した問題にも対応できるようになります。
頻出論点
経営情報システムの論点を整理すると次のようになります。
闇雲に勉強するのではなく、常に論点がどこに当てられているのかを把握しながら学習を進めるのが効果的です。
情報通信技術の基礎的知識
- コンピューターのハードウエア(基本五大装置、RAM・ROM等の記憶装置の種類、仮想記憶技術など)
- ソフトウエア(プログラム言語など)
- セキュリティ(暗号化など)
経営情報管理
- 情報システム開発について(開発方法論など)
- 統計学など
情報通信技術の基礎的知識については、暗記中心で確実に押さえておきたいです。毎年、統計問題が2問程度出題されますので、計算処理に対応しておくなどの準備も大事です。
経営情報システムを勉強する時期
中小企業診断士試験に向けて、経営情報システムの勉強はいつから始めたら良いのでしょうか。
暗記科目なので学習時期が早すぎると勉強したことを忘れてしまいますし、一方で用語の理解など勉強時間がある程度は必要なので、試験直前というわけにもいきません。
そのため理解重視の科目の勉強が一通り区切りがついた後で、試験の3ヶ月前位を目安に、経営情報システムの勉強時間を本格的に確保しておくと良いでしょう。
問題を解くときのテクニック
中小企業診断士試験の本番で問題が解けるように、直前期を含めて対策を考えておくことが大切です。
問題を解くときのテクニックに関して詳しくみていきます。
直前確認用の暗記ノートを作成しておく
暗記科目を学習する際の鉄則ですが、普段から覚えたことはノートにメモしておく癖をつけておきましょう。
メモをするという作業を通じて暗記をすることができますし、後から読み直して知識の確認をすることも容易になります。
また、本番試験が近づいてきたらメモの中から覚えきれていないところや重要事項を抽出して、本番直前に確認できる暗記ノートを作成しておきましょう。
確認用ノートは「実際に直前に確認できる」という意味合いもありますが、他にも試験本番の緊張をほぐしたり、「ノート作成を通じて暗記ができる」という効果も期待できます。
ITパスポートの問題集も活用できる
経営情報システムとITパスポートは、試験範囲が重複しているところが多いです。
経営情報システムの試験対策のプラスαとして、ITパスポートの問題集を活用して該当範囲をチェックしておく人もいらっしゃいます。
ITパスポートの教材の方がより分かりやすく内容を解説している場合が多いので、こうした学習法も悪くはないですが、基本的には経営情報システムの教材だけでも全く問題ないでしょう。
経営情報システムで得点できない場合
経営情報システムは2次試験との関係はゼロというではありません。
企業の課題に対する解決策としてIT技術を提案するためには、最低限知っておく必要のある分野です。
しかし2次試験との関連性はその程度で、ITについてバリバリのプロフェッショナルになる必要はないと割り切り、40点以上を取ることを目標にそれなりに勉強するのが良いでしょう。
経営情報システムに必要以上に勉強時間を割くよりは2次試験にもっと直接関係する科目を勉強すべきです。
経営情報システム対策におすすめのテキスト・問題集
中小企業診断士試験の経営情報システム対策には、科目別テキストが出版されている「最短合格のためのスピードテキスト」がおすすめです。
対応する問題集とセットで勉強することで経営情報システムで試験に必要な知識を不足なく学習できるでしょう。
ただし上述のように、経営情報システムは講義を耳から聞いてインプットをした方が圧倒的に効率的です。
スタディングであれば独学でテキストや問題集を揃えるのとほとんど変わらない値段で講座を受講できるので、講義は聞きたいけどあまり費用はかけたくないという方や、最短距離で合格を掴みたいという方は活用されることをおすすめします。
中小企業診断士の経営情報システムの勉強法まとめ
中小企業診断士の経営情報システムの勉強法まとめ
- 中小企業診断士の経営情報システムは特別難しいわけではなく、適切な勉強法で対策ができる科目である。
- 暗記中心だが、用語の理解や問題演習が大切である。
- 2次試験に直接関係はなく、勉強時間は100時間を目安にするとよい。
中小企業診断士の経営情報システムの勉強法について、あらゆる側面から考察してきました。
勉強したことを試験本番で最大限に発揮できるように頑張ってください!