【中小企業診断士】運営管理の勉強法は?試験の傾向・対策や苦手な人の原因まで解説!
この記事は専門家に監修されています
中小企業診断士
平井東
「中小企業診断士の運営管理におすすめの勉強方法は?」
「運営管理の難易度や必要な勉強時間が知りたい!」
中小企業診断士の勉強をしていると、このような疑問を感じる機会もあるかと思います。
ここでは中小企業診断士の運営管理の勉強法について、試験の傾向と対策、勉強時間などを踏まえて解説していきます!
この記事を読めば運営管理の勉強法が具体的に見えてくるはずです!
中小企業診断士の運営管理の勉強法についてざっくり説明すると
- 中小企業診断士の運営管理の難易度は高くはない
- 暗記中心の勉強法になる
- 運営管理の科目を学習するのに勉強時間がかかる
中小企業診断士試験の運営管理の概要
中小企業診断士の運営管理では主に生産管理と販売管理について学びます。
生産管理や販売管理の学習を通じて、中小企業の主な商売である「何かを作ってそれを売る」ということに関しての理解を深めて、中小企業診断士として必要な力が身につきます。
また運営管理は2次試験の事例3とも関わりがある重要な科目です。
運営管理のねらい
中小企業において、工場や店舗での生産や販売といった運営管理は大きな位置を占めています。
また近年では情報通信技術の進展により、情報システムを活用した効率的な事業運営を行うコンサルティングのニーズも高まっています。
こうした事情から、生産にかかわるオペレーションの管理や小売業・卸売業・サービス業のオペレーションの管理に関する全般的な知識を身につけることが大切となってきます。
運営管理で学べること
運営管理では生産管理と店舗・販売管理について勉強します。
製造、販売に関わる中小企業から相談を受けたとき、中小企業診断士として助言や提案ができるために必要なことを学ぶことができます。
ここから運営管理で学べることについてみていきましょう。
生産管理
生産管理では生産についてや製品の品質管理などについて学びます。
生産管理の基礎、製品設計、生産計画、品質管理などの知識が身につき、何かを生産する企業のコンサルティングをするときに役立ちます。
店舗・販売管理
店舗、販売管理を学習することで、商業施設等にコンサルティングを行う際に必要な知識が身につきます。
具体的には店舗のレイアウトや商品陳列の方法などにより消費者の購買意欲を高める方法を考えます。
試験時間と配点
中小企業診断士の試験案内にも記載がありますが、運営管理の試験時間と配点は以下の通りです。
科目 | 時間 | 配点 |
---|---|---|
経済学・経済政策 | 60分 | 100点 |
財務・会計 | 60分 | 100点 |
企業経営理論 | 90分 | 100点 |
運営管理 | 90分 | 100点 |
経営法務 | 60分 | 100点 |
経営情報システム | 60分 | 100点 |
中小企業経営・政策 | 90分 | 100点 |
科目免除の条件
前年度、前々年度の1次試験において科目合格をした場合は、免除申請をすることで受験の免除が受けられます。
中小企業診断士の試験案内にも記載がありますが、科目免除の基準は「満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率」となっています。
ただし、運営管理は財務・会計などのように他の国家資格を保有していることで免除になることはありません。
運営管理の難易度
中小企業診断士の運営管理の難易度は年度によってあまり変わっていません。
解きにくい問題も少なく、勉強した分だけ点数が取れる科目であり、重要な論点については何度も出題される傾向にあります。
販売管理は店舗について身近に感じたりイメージしやすいことも多い一方で、生産管理は現場についての知識がないと覚えにくいかも知れません。
運営管理の平均点
試験年度 | 運営管理の平均点 |
---|---|
2016年 | 56.5点 |
2017年 | 50.3点 |
2018年 | 60.3点 |
2019年 | 64.3点 |
2020年 | 59.4点 |
2021年 | 61.0点 |
2022年 | 58.5点 |
※上記の平均点は、資格の大原が実施した採点サービスデータに基づくものとなっているため、実際の試験の平均点とは異なります。
中小企業診断士は科目難易度が毎年大きく変動するという特徴があるので、運営管理の平均点の変動は標準的なものです。
運営管理の平均点は、他の各科目と比較しても高くも低くもなく、他の科目と同様に年度によって左右される傾向にあることがわかります。
運理管理の科目合格率
試験年度 | 運営管理の科目合格率 |
---|---|
2016年 | 11.8% |
2017年 | 3.1% |
2018年 | 25.8% |
2019年 | 22.8% |
2020年 | 9.4% |
2021年 | 18.5% |
2022年 | 16.1% |
運営管理の合格率は2017年はかなり低かったものの翌年には高くなっています。出題された試験問題が科目合格率に影響していることが考えられます。
流石に2017年度の3.1%は驚異的な数字ですが、このように毎年地雷科目が存在するのは中小企業診断士試験の特徴なので、受け入れるしかありません。
2019年度試験では合格率は22.8%とかなり高めであり、合格しやすい科目となりましたが、2020年では合格率が半減しました。
ある程度の勉強時間は確保する
運営管理が点を取りやすいからといって、気を抜きすぎるべきではありません。
勉強量が点数に直結する科目であるので、サボっていては他の受験生と差をつけられてしまいます。
科目別合格点もあるので、この科目で足切りにならないように、ある程度はきちんと勉強して備えることをおすすめします。
出題範囲と重要論点
中小企業診断士の運営管理の出題範囲と重要な論点について確認します。
出題範囲
中小企業診断士の試験案内にも記載がありますが、出題範囲は以下の通りです。
生産管理の範囲
- 生産管理概論
- 生産のプラニング
- 生産のオペレーション
- その他生産管理に関する事項
店舗・販売管理の範囲
- 店舗・商業集積
- 商品仕入・販売(マーチャンダイジング)
- 商品補充・物流
- 流通情報システム
- その他店舗・販売管理に関する事項
運営管理の頻出の内容
運営管理の試験問題に出題される内容のうち、特に押さえておきたいポイントについてみていきます。
生産管理の重要ポイント
- 生産形態
- 工場レイアウト
- 製品設計(VE)
- 生産計画
- 分析手法(IE)
店舗・販売管理の重要ポイント
- 売場構成・陳列(売場レイアウト、商品陳列)
- 商品予算計画(GMROI・交差比率)
- まちづくり三法(大規模小売店舗立法、中心市街地活性化法、都市計画法)
これらは過去問に何度も繰り返し登場する出題分野です。
出題傾向を把握したうえで、勉強法に生かしていくことが大切です。
運営管理向けのおすすめ勉強法
中小企業診断士の運営管理はどうやって勉強すると良いでしょうか?
ここでは運営管理の勉強方法、勉強時間、学習するうえで大事なことなど、おすすめ勉強法を紹介します。
勉強時間はどれくらい?
運営管理の勉強時間は120時間が目安になります。一日2時間勉強するとすると、2ヶ月間の勉強が必要ということになります。
生産管理と店舗・販売管理の二つの分野の暗記になるほか、2次試験のための勉強も必要なので比較的時間がかかります。
生産管理については、馴染みがない人は勉強時間をかけてでも内容を理解する必要があります。
どれくらい重点を置くべきか
運営管理は2次試験でも必要な知識を学び、勉強量が得点に結びつきやすい科目であることから、勉強時間をかけて学習する必要があります。
暗記部分を覚えるタイミングはいつでも大丈夫ですが、しっかりと計画を立てて勉強しないと時間がなくなって覚えられずに終わってしまう可能性があるので、あらかじめ勉強時間を確保しておいたほうが良いでしょう。
暗記が大切
用語とその意味、注意点などをひたすら暗記して確実に覚えることが求められる勉強法になります。
正誤問題に引っかからないように、同じジャンルの単語は表にして間違えないように覚えたほうが良いです。見比べながら覚えることで違いをはっきりと認識し、覚えやすくなります。
計算問題
運営管理には計算問題も出題されます。公式を暗記したり計算のパターンを覚えていくなどの対策が必要になります。
計算方法を身につけるためには、実際に紙に書いたり手を動かして計算問題に取り組むことが大切です。
過去問や問題演習を繰り返して問題を解くことをおすすめします。
運営管理が苦手な人の原因は?
運営管理は比較的合格率が高い年が多く、勉強時間が得点に反映されやすい科目ですが、受験生の中には「運営管理(または事例3)が苦手…」とおっしゃる方が毎年一定数いらっしゃいます。
運営管理が苦手だと感じる原因としては主に以下の3つが挙げられます。
- メーカー勤務の経験がなく、製造現場のイメージがない
- 知識の蓄えが足りない
- 知識と戦略の結びつきが出来ていない
1と2については、学習の初期段階で知識が身についていない方が陥りがちな状態です。
こうした方はYouTube等の動画コンテンツで製造現場のイメージを掴むところからスタートすると、単に参考書で知識を詰め込むよりも効率よく学ぶことが出来るでしょう。
3については、残念ながら問題演習を積んでカバーするしかありません。生産管理も経営戦略のひとつだという認識を持ちながら、問題演習を重ねていきましょう。
試験本番で使えるテクニック
中小企業診断士試験の運営管理は、90分の試験時間内に40問程度の問題が出題されます。問題量も多いので時間との勝負になります。
問題を解く順番
運営管理で出題される問題数が多いということは、一問あたりの配点が小さいということです。
したがって分からない問題が出ても長い時間考えて解く必要はなく、場合によっては捨ててしまってもそこまで問題ありません。
難しい問題、時間がかかりそうな計算問題は後回しにして、正解できそうな問題を確実に抑えることが大切です。
試験本番の準備
模試を経験しておくことで、試験本番をシミュレーションすることができます。演習問題を繰り返し解いていくことも効果的です。
時間配分や分からない問題に直面したときの対応など、試験本番に向けての対策を事前に考えておくと、スムーズに試験に備えることができます。
科目合格はおすすめできる?
運営管理に科目合格したものの1次試験に落ちてしまった場合、翌年の1次試験で運営管理を科目免除するかどうか迷うこともあるかと思います。
しかし、基本的に運営管理の科目免除はあまりお勧めできません。
というのも、運営管理は2次試験の「事例3」にも大きく関連してくる科目なので、科目免除した場合でも結局しっかりと勉強を重ねる必要があるからです。
さらに、2次試験対策用に運営管理の学習を行うことで、自然と1次試験で高得点をとることが出来るようになってきます。つまり、運営管理で高得点を狙いに行く方が1次試験の合格基準である「総得点の60%以上の得点」を満たしやすくなるのです。
そのため、仮に1年目で科目合格を果たしたとしても、安易に科目免除を行うのは避けた方が良いでしょう。
運営管理対策におすすめのテキスト
中小企業診断士の運営管理対策には、科目別テキストである「最短合格のためのスピードテキスト」がおすすめです。
このテキストに対応した問題集もセット販売されており、これらを組み合わせて勉強することで運営管理を確実に合格レベル以上に引き上げることができます。
勉強法としては、問題集を解いてから、不明点をテキストで確認する、といった問題集主体のものを心がけましょう。
出版は大手予備校のTACであるので、テキスト・問題集はどちらも信頼度の高いものとなっています。
また、テキストを使って独学をしても点数が上がらないという方はプロの講師による講義を受けるのも検討しましょう。
特に運営管理を正確に理解しておくことは2次試験の解答作成に必須となるので、1次試験対策のうちから高いレベルのインプットをしておくのは非常に大切となります。
予備校に通うのも良いですが、社会人の方には忙しくてもスマホで隙間時間に講義が聞けるオンライン講座をおすすめしています。
スタディングのオンライン講座であれば運営管理対策の単科講座が用意されていますし、低価格であるにも関わらずクオリティがとても高いので、ぜひ一度受講してみることをおすすめします。
中小企業診断士の運営管理まとめ
中小企業診断士の運営管理まとめ
- 中小企業診断士の運営管理の難易度は比較的易しめだが、2次試験とも関連がある重要な科目である。
- 勉強法は暗記が中心だが計算問題も出題される。
- 勉強時間は150時間が目安で、暗記量も多いので時間をかける必要がある。
中小企業診断士の運営管理の勉強法について詳しくみてきました。
運営管理はしっかりと対策すれば得点につながりやすい科目です。
ベストな勉強法で試験に臨んでください。応援しています!