中小企業診断士の経済学の勉強法は?難しい理由や試験で使えるテクニックも解説!
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中小企業診断士
平井東
「中小企業診断士試験の経済学・経済政策って難しい…」「勉強法はどうすれば良いの?」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
経済学・経済政策は、中小企業診断士試験の1次試験の出題科目であり、苦手意識のある受験生も多いです。
ここでは中小企業診断士の経済学・経済政策が本当に難しいのかを勉強法や試験で使えるテクニックとともに徹底解説します。
この記事を読めば、経済学・経済政策の対策方法が確実に見えてくるはずです!
中小企業診断士の経済学・経済政策についてざっくり説明すると
- 中小企業診断士の経済学・経済政策を難しいと感じる受験生は多い
- 数学的な要素があり、勉強法を工夫することが大切である
- 試験で最低ラインを突破するためのテクニックがある
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中小企業診断士試験の経済学・経済政策の概要
中小企業診断士試験の経済学・経済政策を苦手と感じる受験生は多いです。
経済学・経済政策には数学的要素があるので、数字に抵抗があれば、なおさら取っ掛かりにくいのではないでしょうか。
しかし経済学・経済政策は1次試験だけでしか出題されず、2次試験には出ないので、経済学が苦手な人でも1次試験だけ突破すればよい科目なのです。
経済学・経済政策で学べること
中小企業診断士にとって経済学・経済政策は何のために必要なのでしょうか?
科目設置の目的について、試験案内では以下のように記載されています。
「企業経営において、基本的なマクロ経済指標の動きを理解し、為替相場、国際収支、雇用・物価動向等を的確に把握することは、経営上の意思決定を行う際の基本である。また、経営戦略やマーティング活動の成果を高め、他方で積極的な財務戦略を展開していくためには、ミクロ経済学の知識を身につけることも必要である。」 出典:中小企業診断士試験 「平成31年度(2019年度) 第一次試験案内」より抜粋
中小企業診断士になるためには、経済の仕組みを理解し経営戦略を立てたりマーケティング活動をする必要があるため、経済学・経済政策の勉強が大事であるということが分かります。
出題範囲
中小企業診断士試験の試験案内に記載がありますが、経済学・経済政策では、マクロ経済学とミクロ経済学の範囲から出題されます。
- 国民経済計算の基本的概念
- 主要経済指標の読み方
- 財政政策と金融政策
- 国際収支と為替相場
- 主要経済理論
- 市場メカニズム
- 市場と組織の経済学
- 消費者行動と需要曲線
- 企業行動と供給曲線
- 産業組織と競争促進
-
マクロ経済学(1~5)→国同士や国全体、市場といった、大きい視点から経済の仕組みを分析します。
-
ミクロ経済学(6~10)→個人や企業の行動といった、細かい視点から経済の仕組みを分析します。
配点
経済学・経済政策は、中小企業診断士試験の1次試験で出題されます。
科目 | 時間 | 配点 |
---|---|---|
経済学・経済政策 | 60分 | 100点 |
財務・会計 | 60分 | 100点 |
企業経営理論 | 90分 | 100点 |
運営管理 | 90分 | 100点 |
経営法務 | 60分 | 100点 |
経営情報システム | 60分 | 100点 |
中小企業経営・政策 | 90分 | 100点 |
配点は毎年一緒で、4点×25問の100点満点となっています。
経済学・経済政策の難易度
経済学・経済政策を難しいと感じる受験生が多いですが、以下実際のデータから本当に難しいのかをみていきます。
経済学・経済政策の合格率
ここでは経済学・経済政策の合格率を他の試験科目と比較してみましょう。
R4年試験
科目名 | 科目合格率 |
---|---|
経済学・経済政策 | 10.5% |
財務・会計 | 13.3% |
企業経営理論 | 17.3% |
運営管理 | 16.1% |
経営法務 | 26.9% |
経営情報システム | 18.5% |
中小企業経営・政策 | 10.9% |
R3年度
科目 | 合格率 |
---|---|
経済学・経済政策 | 21.1% |
財務・会計 | 22.4% |
企業経営理論 | 34.7% |
運営管理 | 18.5% |
経営法務 | 12.8% |
経営情報システム | 10.6% |
中小企業経営・政策 | 7.1% |
R2年度
科目 | 合格率 |
---|---|
経済学・経済政策 | 23.5% |
財務・会計 | 10.8% |
企業経営理論 | 19.4% |
運営管理 | 9.4% |
経営法務 | 12% |
経営情報システム | 28.7% |
中小企業経営・政策 | 16.4% |
上記からも分かりますが、他の各科目と比較すると経済学・経済政策はほかの科目と比較して比較的合格率も高く、受かりやすい科目であることがわかります。
経済学・経済政策が難しいと感じる理由
平均点や合格率を他の科目とも比較しても、経済学・経済政策の得点が特別低いことはないのに苦手意識を持ってしまう受験生が多いのはなぜでしょうか。
それは経済に対する馴染みのなさや計算問題の難しさからきているようです。
しかし、他の科目とは違って時事問題が出題されないので、対策すれば必ず点数が取れる分野であるという点では楽だといえます。
経済学・経済政策向けのおすすめ勉強法
経済学・経済政策の目安の勉強時間
もちろん経済学について勉強することは重要ですが、二次試験には直接関係のない科目なので、勉強時間をかけすぎるべきではありません。
しかしそうはいっても難しい科目なので、短時間で合格レベルまで持って行けるほど甘くはありません。
勉強時間は少し多めに180時間を目安にすると良いでしょう。
基礎の理解を大切にする
講義、教科書を中心に勉強を進めるのが良いですが、重要なのは基礎の理解です。
基礎をおろそかにしていると、後からわけがわからなくなり、結局テキストの読み直しから始めなければなりません。
ミクロ経済学の考えや概念を知っているとマクロ経済学も理解しやすくなるため、 順番としてはミクロ経済学を理解してからマクロ経済学を勉強するのがおすすめです。
図や表に慣れる
経済学の勉強を進めるなかで図や表の理解が大事となります。基礎的な論点を理解しているかチェックするために、過去問を解いてみると良いでしょう。
グラフを理解するためには、ただグラフを見るだけではなく、実際に自分でグラフを書いてみる、使ってみるのがかなり効果的です。
問題演習を繰り返しこなす
試験本番でスムーズに問題が解けるようになるためには、日頃から問題演習を繰り返しこなしておくことが大切なので 模試などで演習を積むと良いです。
教科書では分かったつもりでも、実際に問題を解いてみったら手がつけられないというケースも珍しくありません。そのため、勉強したことが理解できているかを確認するためには問題を解くことが一番です。
インプットしたことをアウトプットすることで理解が深まるので、なるべく問題を解くように意識しておくことが大切です。
頻出論点
経済学・経済政策の出題範囲において頻出論点としてはずせないポイントがあります。 過去問等で論点を意識して確認しておくことがおすすまです。
理解しながら体系的に勉強を進めることが中心ですが中には暗記する項目も含まれます。理解と暗記のメリハリをつけた勉強法も意識しましょう。
マクロ経済学の論点
- GDP、GNP(GNI)
- IS/LM分析
- インフレギャップ
- 減税の効果
- 流動性のわな
ミクロ経済学の論点
- 需要の価格弾力性
- 余剰理論(死荷重)
- 独占市場均衡/複占市場均衡
- ゲーム理論
経済学・経済政策の勉強に役立つもの
経済学になじみが薄い人にとっては、経済学・経済政策の勉強がさらに難しいと感じることがあるでしょう。
例えば「価格弾力性」「流動性のわな」など、用語そのものを暗記するだけでは、理解したことにはなりません。
ここでは、勉強法に役立つ書籍や動画などについて触れてみます。
入門書に目を通す
中小企業診断士試験の勉強を進めるときは教科書と問題集がベースになりますが、分かりにくいと感じることもあるかもしれません。
その際、入門書を見るだけで経済学を一歩身近に感じたり、分からなかった用語がクリアになることがあります。
あくまでも教科書と問題集を使用した勉強法がベースですが、入門書を補助的に活用するのも一つの方法です。
動画を視聴する
書籍からだけではイメージが掴みにくいこともあるかもしれません。その際、動画を見ることで情報が頭に入りやすいこともあります。
関連動画を視聴して論点について分かりやすい解説を聞くことで、教科書に書かれている内容を理解しやすくなったり勉強に役立つこともあるでしょう。
経済学・経済政策の勉強の大まかな流れ
経済学・経済政策の学習スケジュール
経済学・経済政策は体系的な理解が必要な科目なので、順序立てて勉強を進めることが大切です。勉強開始から試験本番までの大まかな流れについてみていきます。
- 教科書やテキストで基本的な論点を理解する。
- 図・表を中心とした問題を解き、論点が理解できているかを確認する。グラフの理解も意識する。
- 演習や模試などから、それぞれの項目において、主要な論点の理解度を確認する。理解が足りない部分は、最初に戻ってポイントを抑えるようにする。
勉強のどの段階においても基礎が大事です。 基本が理解できていないと、次の段階に進んだときは余計に分からなくなります。
つまずいた部分はテキストに戻り、理解を固めておくことが重要です。
先に勉強して科目合格を狙う人も多い
経済学・経済政策は理解に時間がかかる科目なので、経済学・経済政策が足を引っ張って1次試験に不合格になってしまうケースも多いです。
そこで、そもそも中小企業診断士試験に一発合格するのを諦めて、1年目は経済学・経済政策やその他の二次試験に関連のない科目の科目合格を狙う方も少なくありません。
特に経済学・経済政策は勉強に時間がかかるので、1年目に先に終わらせておくのは有効な作戦だと言えるでしょう。
経済学・経済政策は積み重ね型科目
暗記科目の多い中小企業診断士試験ですが、経済学・経済政策は暗記では太刀打ちできません。
経済学・経済政策は「積み重ね型科目」なので、地道な反復学習が欠かせないのです。
勉強を進めていて苦手な内容が出てきたときは、無闇に先に進めずに、それが理解できるまで同じ問題を毎日繰り返し、定着させることを意識しましょう。
焦って先に進めても、結局は途中で息詰まってしまうので注意です。
問題を解く時のテクニック
中小企業診断士試験の経済学・経済政策の問題を解くときにも、問題に応じたテクニックというものがあります。
勉強したことを確実に得点に結びつけるためには、どのような方法で問題を解いていくのがよいのでしょうか?
計算・知識問題は絶対に落とさない
経済学・経済政策には落としてはいけない問題があります。計算問題と知識問題です。
計算問題はやり方が分かっていれば解けますし、知識問題は知っていれば点数になります。
配点は高くないものの、勉強すれば必ず取れる部分なので落としてはならないのです。難しい問題だけに目を向けるのではなく、確実に点を取ることを意識するのも重要です。
統計問題は後回し
統計問題は出題を予測することができないので、一旦飛ばして後回しにするのも良い作戦だといえます。
焦っているとグラフを読み解くのに時間がかかるので落ち着いてグラフを動かしてみることが大切です。
経済学・経済政策対策におすすめのテキスト・問題集
中小企業診断士の経済学・経済政策対策には、科目別テキストが出版されている「最短合格のためのスピードテキスト」がおすすめです。
対応する問題集とセットで勉強することで経済学・経済政策を合格レベルにまで高めることができます。大手予備校のTACが出版しているので、テキスト・問題集ともに質は間違いありません。
経済学・経済政策に苦手意識のある方はこのシリーズのテキストと問題集を活用して、重点的に学習を進めましょう。
どうしても経済学・経済政策で得点できない場合
できる限りの手を尽くしても、経済学・経済政策で得点できないという状況に陥ってしまった場合は、現状の学習方法ではこれ以上伸びない可能性が高いです。
特に独学で学習している方の場合は、伸び悩みを感じたら予備校や通信講座を利用してプロの指導のもとで勉強をするのが効果的です。
ただし予備校の講座費用は非常に高く、加えて仕事が忙しくて通学する時間もないという方も多いかと思います。
そういった方は通勤時間などのスキマ時間を使って講義を受けられる通信講座を活用するのがおすすめになります。
特にスタディングの中小企業診断士講座であれば、スマホさえあれば電車内でも効率よく学ぶことができるので、働く社会人の方に特におすすめです。
もちろん経済学・経済政策の単科講座も用意されていますし、講座費用も14,300円と非常にリーズナブルです。
この機会にぜひ受講されてみてはいかがでしょうか。
中小企業診断士の経済学・経済政策まとめ
中小企業診断士の経済学まとめ
- 中小企業診断士の経済学・経済政策は他の科目より難しいわけではない
- 問題演習やアウトプットを意識した勉強法で理解が深まる
- 試験では計算・知識問題など得点できる問題を確実に取る
経済学・経済政策は、適切な勉強法で対策をすれば点数が取れる科目です。
中小企業診断士試験の合格を目指してがんばってください!