社労士試験の法改正にはどう対応する?対策時期や注目の法改正を紹介
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のんびり社労士いけい
「社労士試験の勉強をしたいけど、対策すべき法律の範囲がわからない…」
そんな悩みを抱えてはいませんか?
実際、社労士試験に出題される法律は改正によって変化する可能性があるので、以前の試験と範囲が同じとは限りません。
また、仮に試験に出題される法範囲を誤って対策していると貴重な試験勉強時間の浪費につながりますし、直前期の焦りの原因にもなってしまいますよね。
そこでこの記事では、どの時期までの法改正の内容が社労士試験に出題されるのか?と、2019年ではどのような内容の法改正が行われたのか?についてわかりやすく解説しています。
この記事を読むことで、社労士試験に出題される法改正の範囲について正しく理解し、余裕を持って試験対策に臨むことができるはずです!
社労士試験の法改正対策についてざっくり説明すると
- 受験年の4月までの法改正が出題される
- 2019年法改正は働き方改革が重要テーマ
- 2020年度も労働者災害補償保険法や雇用保険法で複数の法改正
- 社労士法改正で社労士の働き方も変化する
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社労士試験では法改正に敏感になろう
なぜ社労士試験において法改正に敏感にならなければならないのでしょうか?
まず、法改正とは「法律の条文を改め直すこと」です。
一度国会で成立した法律は、時代の移り変わりや海外の事例と照らし合わせて、現在の社会状況に合うように内容の見直しが行われます。
こういった見直しにおいて、国会で内容が審議され、新しい法律が成立したあと国民への周知期間として一定の時間をおいて、施行されることになります。
この一連の流れを「法改正」といいます。
つまり、社労士試験に備えて勉強した内容が法改正によって法律の内容が改正されている可能性があるということです。
また、社労士試験の不合格者には法改正と一般常識について学習が不足しているパターンが多いです。このパターンを考えると法改正項目が社労士試験の合否を分けるポイントとなるため、法改正は重要性が高いといえます。
社労士試験の模試前までに法改正については一通り学習した方がいいでしょう。ただし、法改正は毎年あります。そのため法改正の項目はあくまで不完全の状態ですので、試験範囲の確定前に内容を固定してしまうのはオススメできません。
法改正の対策はいつからすべき?
毎年改正される法改正はいつから勉強をすべきでしょうか?
まず、社労士試験に合格するためには約800~1,000時間の勉強時間が必要と考えられています。1日3時間の勉強時間を確保できれば、1年間で必要とされる1,000時間を超えることができます。
つまり、社労士試験が始まる1年前から勉強を開始すれば、十分な勉強時間は確保できるということです。
社労士試験で出題される法改正の試験範囲は毎年試験センターから4月~日までに施行されたものまでという形で発表されます。
具体的にみると、2021年度は下記のような形で発表がなされています。
なお、試験問題の回答にあたり適用すべき法令等は、令和3年4月16日(金)現在施行のものとします。 第53回(令和3年度)社会保険労務士試験 受験案内
社労士試験は8月にあるので、4月までに確定した法改正を5月から取り組んでも十分勉強時間を確保することができるでしょう。
序盤から法改正の勉強をしても、まだ未確定な部分が多いです。未確定な部分で不安になるよりも、確定してから集中的に勉強した方が効率はいいでしょう。
学習の際は、旧制度と新制度を比較して変更されたポイントとその背景を併せて理解することで、学習理解をより深めることができます。
法改正の対策方法は?
法改正に自分の力だけで対策を立てようと思っても、正しい方法もわからず難しいはずです。
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今年はどんな法改正があった?2019~2021年試験対策情報!
2019年度の法改正
2019年の社労士試験で重要となった法改正は働き方改革でした。その中でもポイントとなったいくつかの法改正を紹介します。
まずは雇用保険法です。雇用保険法では、特定受給者資格の範囲の見直しがされました。時間外、休日労働時間が3ヶ月連続で45時間を超えた場合、特定受給者資格に該当することに改正されました。
次に労働者災害補償保険法です。労働者災害補償保険法では、自動変更対象額等の変更、介護補償給付の額の見直しなど、金額面での改正が多いです。
そして健康保険法です。健康保険法では、年間平均を用いた随時改定の取り扱い、70歳以上の高額療養費の見直し等が改正されています。
最後に厚生年金保険法です。厚生年金保険法では、公務員に係る保険料率が上限に到達、支給停止調整変更額が47万円に改定されました。
来る2020年度試験では電子申請の義務化に関係する改正などが注目されています。また、民法の大改正によって影響を受ける部分にも気を向ける必要があるでしょう。
2020年度の法改正
ここでは2020年4月時点でわかっている法改正について、主なものをピックアップして紹介します。
まず労働基準法については、2019年の時間外労働の上限規制に引き続き、その適応範囲が大企業から中小企業にまで広がりました。
また、災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に関わる許可基準や、賃金請求権の消滅時効期間の見直し等も変更点としてあります。
労働者災害補償保険法についてはいくつか改正ポイントがあるので、しっかり確認しておく必要があります。特に民法改正に伴って労災保険法の改正が行われた点を押さえておきましょう。
雇用保険法の法改正では特に特定法人の電子申請が義務化されたことを押さえておきましょう。電子申請普及の流れは今後も続いていきそうです。
また、健康保険法で被扶養者の要件として「国内居住要件」が追加されたことも、しっかり把握しておきたいところです。
2021年度の法改正
ここでは、2021年4月16日時点で判明している法改正について、主要なものをピックアップしてご紹介していきます。
まずは、労働基準法です。労働基準法第38条第1項において、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定されています。
労働者が事業主を異にする複数の事業場で労働する場合の労働基準法第38条第1項の解釈及び運用について新しい通達が出されました。
さらに、36協定においても下記2つの変更がなされました。
- 36協定届等における押印・署名の廃止
- 36協定届の本社一括届け出の要件緩和
次に雇用保険法です。
雇用保険法では、被保険者期間の算定方法の見直しが行われ、改正前後で下記のような変更が行われました。
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改正前:離職日から1か月ごとに区切っていた期間に、賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月を1か月と計算。
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改正後:離職日から1か月ごとに区切っていた期間に、賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月、または、賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1か月として計算。
続いて、労働者災害補償保険法です。複数就業者の労災保険給付について、複数就業先の賃金に基づき、給付基礎日額の算定・給付の対象範囲の拡充などの見直しが実施されました。
また、特別加入者の対象範囲が拡大され、一人親方等に「柔道整復師」が追加され、特定作業従事者に「芸能従事者」「アニメーション制作従事者」が追加されました。
このほかにも「労働保険料徴収法」「健康保険法」「国民年金法」「厚生年金保険法」「介護保険法」「確定給付企業年金法」「確定拠出年金法」の分野で改正がなされています。
法改正によって社労士の働き方も変わる
実は社会保険労務士法も平成26年に法改正されています。社労士法の法改正により、社労士の働き方も大きく変わります。
平成27、28年に社労士に施行された法改正は、以下の3つです。
個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続における紛争の目的の価額の上限額の引上げ
補佐人制度の創設
社員が一人の社会保険労務士法人 出典:厚生労働省
まず、個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続における紛争の目的の価額の上限額の引き上げです。
従来の社労士は、厚生労働大臣が指定する団体の紛争の当事者を単独で代理することができ、紛争の目的の価額は少額訴訟で上限が60万でした。しかし、改正後は特定の社労士の価額の上限が120万円まで引き上げられました。
次に、補佐人制度の創設です。一部の社会保険に関する事項において、社労士は裁判所で弁護士の補佐としてともに陳述することが可能になりました。
最後に、社員が一人の社会保険労務士法人です。社労士が一人でも法人を設立することが可能になりました。
これらの法改正により、社労士の扱える金額、責任、法人の設立と活躍できる幅が広がったと言えるでしょう。
社労士試験における法改正まとめ
社労士試験における法改正まとめ
- 4月の法範囲確定後に集中して勉強する方が効率的
- 2019年は保険法についての改正を要チェック!
- 2020年の法改正は民法改正の影響範囲にも注目
- 改正により社労士の活躍の場が広がった
社労士試験の中で、手を抜きがちになってしまう法改正ですが、法改正を勉強することによって、今まで勉強してきた内容の復習にもなります。特に働き方改革にも関わる雇用保険法や労働基準法、そして改正の多い厚生年金保険法は必ず確認しましょう。
また、社労士法についても法改正されている事項があります。社労士を目指すのであれば社労士法の項目も確認しておくことをオススメします。
社労士試験に出題される法改正の範囲について正しく理解し対策を行うことで、万全の状態で社労士試験にチャレンジしましょう!