FP3級の難易度は?試験内容や合格率・独学での勉強法まで解説!
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ファイナンシャルプランナー
FPこう
「FP3級ってどれくらい難しいの?」
「FP3級は独学でも合格できるってホント?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事ではFP3級の難易度や合格率、試験内容や効果的な勉強法まで具体的なデータを元に徹底解説します!
FP3級ついてざっくり説明すると
- 試験難易度の非常に低い国家資格
- 合格率は試験実施団体により変化するが、概ね65%である
- 合格までに必要な勉強時間は30~120時間
- 独学でも十分合格可能
- 生活に役立つ「お金」の知識が学べる
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FP3級ってどんな資格?
そもそもFPとは?
そもそも、FP(ファイナンシャルプランナー)とはどのような職業なのでしょうか。
個人の家計について、その家庭の家族構成、収支・資産状況などの情報を基に、将来のライフプランに即した適切な資金計画やアドバイスを行うことを「ファイナンシャルプランニング」といい、それをする人のことを「ファイナンシャルプランナー」と言います。
銀行や郵便局、保険会社などの金融関係、不動産・分譲系、会計事務所などに勤務し、業務の一部としてファイナンシャルプランニングを行うFPが多いですが、その業務を専門として、事務所を立ち上げて独立自営しているFPもいます。
FPについての知識、それを証明する資格をもっているということは、自身が活躍できるフィールドの幅を広げることに繋がると言えるでしょう。
ファイナンシャルプランナー3級の試験概要
FP3級はFP試験の入門レベルの試験となっており、多くの人が独学合格を果たす試験です。
FP3級の試験は年に3回(1月、5月、9月)実施されており、毎年多くの人が受験している人気の試験となっています。
FP3級の主催団体として「FP協会」と「きんざい」の2種類が存在しており、どちらかの団体から受験を申し込んで受ける形となります。2つの協会の主な違いは実技試験の内容といえるでしょう。
FP3級は午前の学科試験と午後の実技試験に分けられ、学科試験では両協会とも問題が共通しているためどちらで受けても変わりありません。しかし実技試験においては受験できる内容・科目数が協会ごとに異なります。
受験生は受検申請時に実施団体と、実技試験の科目を1つ選択することになります。よって自分に合った実技試験科目を受験できる協会を選ぶことが必要となります。
申し込みの際には試験団体に注意
試験は実施団体が2つあります(きんざい、日本FP協会)。団体受験などで申し込み先が決まっている方以外は、基本的には、自分が実技試験で受けようとする科目の試験を行っている団体に申し込みを行います。
きんざい、FP協会ともに、郵送またはインターネットでの申請が出来るようになっています。
各回毎に受検申請期間が定められているので、忘れず確認するようにしましょう。
きんざいに申し込む場合
郵送申請
きんざいのホームページから「受検申請書」のPDFファイルをダウンロードして印刷。必要事項を記入し、受検料の支払い明細書(コピー可)を同封して郵送する。
インターネット申請
ホームページの「インターネット受検申請」のページより、「ユーザー登録」を行う。登録後、受検申請の手続きをする。受検料の支払い方法を「クレジットカード」か「コンビニ」より選択する。
日本FP協会に申し込む場合
郵送申請
協会に送付依頼するか、書店等の配布場所で「受検申請書(受検要項)」を入手する。必要事項を記入し、受検料支払い明細書(コピー可)を貼付して、専用封筒にて郵送する。
※配布場所は協会HPの「受検申請書配布場所一覧」で確認できます。
インターネット申請
協会のホームページから「インターネット受検申請画面」にアクセスし、必要事項を入力する。受検料の支払い方法を「クレジットカード」か「コンビニ」より選択する。
どちらの団体でも、インターネット申請の場合、受検料の支払いがクレジットカードであれば即時決済となりそこで申請が完了しますが、コンビニ払いを選択した場合は、入金の確認をもって申請完了となりますので、注意が必要です。
FP試験の申し込み方法や注意点についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
FP3級検定の受験資格・受験費用・試験方式
ファイナンシャルプランナー3級の試験の受験資格は「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」とされていますが、実際には誰でも受験可能となっています。
また、受験費用はFP協会・きんざいともに6,000円(学科・実技3,000円ずつ)+事務手数料となっています。
試験方式については以下の通りです。
学科試験
- 120分で60問の選択問題を解くマークシート方式
- 30問は○×問題
- のこりの30問は3択問題
- 日本FP協会ときんざいで同じ試験
実技試験
- 60分で3択問題を解く
- 日本FP協会ときんざいで科目や試験内容が異なる
FP技能士3級の学科試験の試験範囲
FP3級の学科試験の範囲を詳しく見ると、以下のような内容が出題されます。
税金(タックスプランニング)
所得税をメインに、住民税、消費税、法人税など様々な税金について勉強します。所得税控除や、確定申告等についてきちんと理解し、税金計算が自分で出来るようになることは、節税に大いに役立ちます。
ライフプランニングと資金計画
子供の教育資金計画や、老後の生活設計を立てるに当たって必要となる、公的年金、健康保険・介護保険、教育・住宅ローン等の仕組みについて勉強します。
金融(金融資産運用設計)
株や債権、外貨、投資信託等について、それぞれの特徴や仕組み、売買の方法について勉強します。また、金融市場や投資の基本理論についても併せて勉強することで、資産運用におけるリターンとリスクについて分析と判断ができるようになります。
不動産(不動産運用設計)
マイホームを購入したり、保有している不動産を売却したりするときに必要となる税金や関連法令、契約に関する知識、また、不動産投資について勉強します。不動産広告登記簿の内容を理解できるようになります。
リスク管理
病気やケガ、事故など、人生においてはリスクが付きものです。それらのリスクに対処するための、損害保険、生命保険などの各種保険商品について、種類やそれぞれの特徴、選択の方法、関連法令について勉強します。
相続(相続・事業承継)
財産の相続・贈与、事業の継承に際して関連する法令や税金、必要となる知識について勉強します。弁護士・税理士などの専門家への依頼もスムーズに進められ、身内間での遺産相続争いの防止に役立つ知識です。
FP技能士3級の実技試験の試験範囲
実技試験に関しては試験監督者の前で何か実際に行う様なイメージがありますが、そうではありません。学科試験と同じく、普通の筆記試験です。
実際に想定されるシーンやケースが問題として出題され、それに対し適当な選択肢を選ぶといった感じで、難易度も特別高くはありません。合格率で見るとむしろ学科試験より高くなっています。
FP協会ときんざいで受験できる科目は異なり、それに伴って実技試験の内容も異なります。
FP3級の実技試験はどっちの協会がおすすめ?
申し込む際は日本FP協会の試験の方が比較的難易度が低い傾向があるので、基本的にはそちらを受験するのが良いでしょうが、団体申し込みなどできんざいの方で受験をする場合は注意が必要です。
それぞれの実施団体の各試験内容は以下のようになっています。
日本FP協会の実技試験
日本FP協会で実施する実技試験の科目名は「資産設計提案業務」です。
主に個人のライフプランニングに関する問題が出題されます。
新聞や不動産のチラシ、金融商品のパンフレットを題材にした実務系問題が多いので、新聞・マネー系雑誌をよく読んでいる人や、日常的にそういった情報に触れている人には解きやすいでしょう。
実技試験3科目のうち、この資産設計提案業務はFPで学ぶ6分野全てが出題範囲となっています。
出題範囲は3科目の中で一番広いですが、素直な出題パターンが多いので、難易度は3科目の中で最も低いと言えるでしょう。
きんざいの個人資産相談業務
こちらも主に個人のライフプランニングに関する問題が出題されます。
FPで学ぶ6分野のうち、出題範囲は「リスク管理」を除く5分野です。市販されている問題集と類似した問題が出題される傾向が強いので、対策が立てやすいと言えます。
ただし、きんざいの試験では時々ひねりのある問題が出題されることがあります。少し考えてしまうかもしれませんが、それでも答えは3つの中から1つを選べば良いだけなので、落ち着いて考えれば大丈夫でしょう。
きんざいの保険顧客相談業務
この科目は保険分野からの出題割合が高いことが特徴で、全体の配点の40%を占めます。その分出題範囲は絞られており、「金融資産運用」と「不動産」を除く4分野となっています。
保険会社に勤めている方や、業務で保険を扱っている、個人的に保険に詳しくなりたい、という方はこの科目が適しています。
経理処理に関する出題があったり、税に関する出題の比率も3級の他の科目に比べると高かったりすることを考えると、他の科目よりやや難易度が高いと言えるかもしれません。
実技試験をきんざいで受ける場合は、難易度で考えれば「個人資産相談業務」を選択する方が良いでしょう。
試験実施団体による実技試験の違いについての詳細は、以下の記事を参考にしてください。
ファイナンシャルプランナー3級の試験は難しい?
FP資格取得を目指そうとするとき、まず照準を合わせるのがFP3級になるかと思います。
気になる難易度ですが、実はFP3級は国家資格の中でも極めて難易度が低い部類に入ります。
具体的には、FPが活躍する様な分野で実際に働いている人や自分の「お金」や「資産」についてしっかり考えたことがあるというような人であれば、特別な勉強をしなくても、今持っている知識でそれなりに対応できる程度の難易度であると言えます。
難易度が低い理由としては
- 選択問題の選択数が2択か3択と正解を選びやすい
- 頻出範囲が決まっており対策しやすい
- 難易度の高い内容が問われない
- 試験時間が長めである
などが挙げられるでしょう。
上位級になると難易度も上がり、しっかりとした対策が必要になってきます。しかし3級に関しては、きちんと受験に取り組む方であればそれほど気にする必要があるような難易度ではありません。
ただし、試験範囲が広いという点に関しては注意が必要です。全ての内容を覚えようとすると膨大な時間がかかってしまうため、効率よく勉強していくことが大切です。
FP3級の合格点は得点率60%
FP3級の合格基準は学科試験・実技試験ともに「試験の得点率が60%を超えていること」です。
具体的には学科試験では60点中36点、FP協会の実技試験では100点中60点、きんざいの実技試験では50点中30点を取ることが必要となります。
出題された問題の内、6割正解出来ていれば良いということです。
全ての受験者の中の上位何%が合格といった相対的な基準ではなく、絶対評価の試験であるため他の人を気にする必要はありません。
しっかり準備して知識を身につけてさえいれば、必ず合格できます。
FP3級の合格率の推移
ここではFP3級の難易度を、試験合格率の観点から見ていきましょう。
学科試験の合格率の推移
データ出典
FP試験は実施団体が「日本FP協会」と「きんざい」の二つあり、学科試験は共通の問題ですが、それぞれで合格率が違います。
上記グラフを見てわかるように、FP協会は70%~90%、きんざいは50%~70%前後で合格率が推移しています。
きんざいの方が全体的に合格率が低いのは、受験者数がFP協会に比べてかなり多く、その分勉強していない人も多く含まれているためです。
(「職場で団体受験するが自分は全然興味ない」「十分に準備できてないけど申し込んだしとりあえず受ける」など)
それでも、合格率から見ればきんざいで5割以上、FP協会であれば7割以上の受験者が学科試験に合格していることから、難易度は高くないことがうかがえます。
実技試験の合格率の推移
試験範囲の部分でも説明しまいたが、3級の実技試験は3科目あり、FP協会が1科目、きんざいが2科目実施しています。
以下、それぞれの合格率の推移です。
データ出典
FP協会の「資産設計提案業務」で合格率80%~90%、きんざいは「個人資産相談業務」で60%~80%、「保険顧客資産動産業務」で40%~70%位で合格率が推移しています。
科目によって合格率にややばらつきがあります。
以下は過去10回の試験(2020年1月〜2023年5月)における、科目毎の平均合格率を示した表です。
実施団体 | 試験科目 | 平均合格率 |
---|---|---|
日本FP協会 | 資産設計 | 85.186% |
きんざい | 個人資産 | 54.976% |
きんざい | 保険顧客 | 48.425% |
きんざい実施の「保険顧客資産相談業務」の合格率が低い実施回がありますが、それでも平均は48.425%の合格率です。FP協会の「資産設計提案業務」は平均で85.186%と、高い合格率となっています。
ここで、学科試験と実技試験の実施回毎の合格率を比較するとわかるのですが、基本的にどの回も実技試験の合格率より学科試験の合格率の方が高くなっています。
つまり、実技試験より学科試験の方が難しいということがわかります。
とはいえ、学科試験の合格率も先ほど見たように高い水準であり、総じてFP3級の難易度は低いと言えます。
FP3級取得に必要な勉強時間
FP3級の取得に必要な勉強時間ですが、一般に30~120時間と言われています。かなり開きがあるのは、もともとの知識量や、勉強に対する慣れ・不慣れによって、必要な勉強時間に差が出るからです。
保険や不動産、税などについてもともとある程度の知識がある人や、勉強に慣れているという人であれば、FP3級のための勉強はすぐに終えられます。
逆にそういった分野はこれから初めて取り組むという方や、まとまった時間がなかなか取れないという方は、勉強時間が少し長くなります。
単純に計算して、必要な勉強時間を30時間とすると平日2時間、休日5時間の勉強時間が確保できれば2週間で済みます。120時間の勉強が必要だとしても、同じペース1ヶ月半の勉強をすれば合格できることになります。
いずれにせよ、勉強を始めてから1ヶ月以内にFP3級を取得するのは資格の難易度から考えても難しくありません。
そこまでまとまって勉強時間が取れないという方でも、毎日少しずつの勉強で3ヶ月もあれば確実に合格できるはずです。
FP3級の勉強時間については以下の記事で詳しく解説しています。
学習スケジュールはしっかり決めよう
勉強に自信のある方や、個人資産についての知識(株や保険など)に自信のある方であれば、1ヶ月前に勉強を開始し、1~2週間でテキストを読み込み、残りの時間で過去問を2~3年分を解けば十分でしょう。
FPについての知識がほとんどなく、日々あまり時間は取れないけれど確実に合格をしたいという方であれば、3ヶ月前からテキストの読み込みや問題集を解き始め、1ヶ月前から過去問に取り掛かりましょう。
過去問は5年分も解けば絶対に大丈夫です。
自分の状況に応じた勉強スケジュールを立てられるようにしていきましょう。
FP3級とFP2級の難易度差はどれくらい?
FP3級とFP2級の難易度はどれくらい違うのでしょうか。
合格率や合格までの目安勉強時間を比べてみると次のようになります。
級 | 合格率 | 勉強時間 |
---|---|---|
FP3級 | 50〜85% | 30〜120時間 |
FP2級 | 20〜45% | 150〜300時間 |
FP2級に150時間程度で合格できるのは3級取得者であることを考慮すると、同じFPの資格でも2級と3級で難易度差が大きいことが分かります。
また2級は合格率も低く出題内容の専門性もグッと上がるので、独学だとなかなか突破できない試験になります。
Twitterでも「2級に落ちた、、」といった悲しみのツイートが多く、楽々合格できると思って臨むと痛い目を見てしまう可能性もあります。
FP2級の難易度についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
FP3級の難易度を他の資格と比較
FP3級について難易度を深く見てきましたが、ここではFP3級の難易度を他の資格と比べて見てみましょう。
日商簿記3級との比較
FP3級と同様に人気の高い資格である簿記3級と難易度を比較してみましょう。
FP3級の合格率は学科試験・実技試験ともに7割程度ですが、簿記3級の合格率はばらつきがあるものの平均4割程度になっています。
必要な勉強時間も、FP3級は30~120時間程度であるのに対して簿記3級は200時間程度であり、簿記3級の方が難易度は高めと言えるでしょう。
どちらの資格もお金についての内容であるため、簿記の資格が評価される場面ではFPも評価されやすい可能性が高く、両方取得することでのメリットを見込めます。
日商簿記3級の難易度については以下の記事を詳しくご覧ください。
証券アナリストとの比較
財務や業績の分析・評価などを行う金融のプロである、証券アナリストとの難易度比較を見てみましょう。
証券アナリスト試験は一次試験と二次試験がありますが、合格率はどちらも約5割となっています。約7割が合格するFP3級よりは難易度が高いと言えるでしょう。
必要な勉強時間は一次試験・二次試験あわせて約400時間であり、約30〜120時間の勉強で取得が見込めるFP3級よりは長期の対策が必要です。
全体的に見て、証券アナリストはFP3級より難しい資格です。
証券アナリストの難易度については以下の記事を詳しくご覧ください。
ビジネス会計検定3級との比較
FP技能士3級と同じく会計分野の資格であるビジネス会計検定3級と難易度を比較してみましょう。
まず合格率の面では、約70%が合格するFP3級に対し、ビジネス会計検定3級は約60%の合格率となっています。
次に勉強時間では、FP3級の合格には30~120時間程度の勉強が必要ですが、ビジネス会計検定3級合格には50~100時間程度と、ほぼ同じ程度の勉強時間が必要です。
これらよりFP3級は、ビジネス会計検定3級とほぼ同じ取得難易度の資格と言えるでしょう。
ビジネス会計検定3級の難易度については以下の記事を詳しくご覧ください。
行政書士との比較
次に、法律系で人気の国家資格である行政書士と難易度を比較してみましょう。
FP3級の合格率は約7割ですが、行政書士の合格率は1割強となっており、行政書士は合格が非常に難しいことがわかります。
また行政書士の試験範囲は非常に広く、600~800時間の勉強時間が必要とされています。これらより、FP3級は行政書士に比べると圧倒的に取得が易しい資格と言えるでしょう。
行政書士の難易度については以下の記事を詳しくご覧ください。
宅地建物取引士(宅建士)との比較
ファイナンシャルプランナー3級の難易度を、不動産取引業で人気の宅地建物取引士と比較してみましょう。
FP3級の合格率は学科試験・実技試験ともに平均70%程度であるのに対し、宅建士の合格率は約15%となっています。
また宅建士の試験合格に必要な勉強時間は200~400時間程度とされており、30~120時間の勉強が目安のFP3級に比べると長期の対策が必要です。
もし宅建士を取得している場合、FP3級に合格してダブルライセンスとすることで、顧客の将来までの視野を持った提案を行えるようになるでしょう。行政書士や司法書士とも関連が強いので、さらなる成長にも繋がります。
宅建士の難易度については以下の記事を詳しくご覧ください。
FP3級に合格するための勉強方法
いくらFP3級の合格率が高いといっても、受けた人が全員合格している訳ではないので、最低限きちんと勉強をしておく必要があります。
FP3級試験の学科試験の対策法
3級FP技能検定では、ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継の6科目が出題されます。
学科試験では各科目10問(◯×が5問、3択が5問)ずつ出題され、合計60%の正解で合格となります。
科目によって内容は大きく異なりますが、苦手科目を作らず、大きな失点を無くすことが最短で合格するコツと言えます。
また確実に合格するためには、受験当日に失敗してしまった科目をカバーできるように80%以上の得点が見込める得意科目を作っておくことがポイントです。
学習する科目の順序については、どれでも良いので自分が興味がある科目や、仕事に関連する科目から始めると興味が続きやすいでしょう。
科目ごとに重複する内容もあるので、まずは1科目を学習することで、次の科目も学習しやすくなるというメリットがあります。
FP3級検定の実技試験の対策は?
FP技能士3級の試験内容は、学科試験では二つの実施団体で共通ですが、実技試験では二つの実施団体で異なるため対策に悩む人も多いでしょう。
実は基礎となる学科試験の対策がしっかりとできていれば、実技試験にも十分対応可能です。というのも、3級FP技能検定の実技試験は学科試験と同じくマークシート方式なのです。
ただし、「FPが顧客に対して実際にアドバイスをする」という視点で出題されるという違いがあります。「自分のライフプランを考える際にどんな選択肢があるか」 などをイメージしながら学科試験対策を徹底した上で、公式問題集などを何回か解く練習をすると良いでしょう。
以下では、その際に特に重点的に対策するべき、試験種ごとの頻出テーマについて紹介します(きんざいは受験者が多い個人資産相談業務について紹介します)。
日本FP協会「資産設計提案業務」
- FPと関連業法
- キャッシュフロー表の作成
- バランスシートの作成
- 所得金額の算定
- 建築基準法
- 係数の問題
- 保険証券の読取
- 法定相続分
- 公的医療制度
資産設計提案業務では各科目から総合的に出題されますが、出題パターンがほぼ決まっているので、過去問演習がとても重要になります。
学科試験と被っているテーマも多いので、学科試験対策を固めた上で実技試験の演習に移ることで、効率的な対策が見込めるでしょう。
きんざい「個人資産相談業務」
- 公的医療制度
- 公的年金制度
- 株式投資
- 外貨建商品
- 所得の計算
- 不動産登記
- 建築基準法
- 遺言書
- 相続税
個人資産相談業務は、日本FP協会の資産設計提案業務とは異なり、生命保険・損害保険に関する出題がないことが特徴です。
頻出のテーマを把握して重点的に対策を行うことで、合格への最短ルートを歩めるでしょう。
ちなみに、きんざいの「保険顧客資産相談業務」については、保険関係の仕事に従事している方には適しています。ただし経理処理や税に関する出題が多めであるため、やや難易度は高いと言えます。
初心者の方で金融・保険業界に馴染みが少ない場合は、日本FP協会の「資産設計提案業務」か、きんざいの「個人資産相談業務」を選択することをおすすめします。
FP3級対策での独学と通信講座の長所・短所
FP3級の取得に向けて勉強する場合、「独学」か「通信講座」の2つの方法が考えられます。
それぞれのメリットとデメリットをまとめてみました。
独学のメリット・デメリット
独学のメリット
- 費用を抑えられる
- 自分のペースで勉強できる
- 好きなテキストを選べる
独学のデメリット
- 効率的な勉強が難しい
- 自分で学習スケジュールを組む必要がある
- 挫折しやすい
通信講座のメリット・デメリット
通信講座のメリット
- カリキュラムに沿って効率的に勉強できる
- 講義により理解が深まる
- 様々な合格サポートを受けられる
- 受講生の合格率が高い
通信講座のデメリット
- 費用が高いものが多い
それぞれに利点がありますが、FP3級の難易度を考えると、市販のテキストを購入し、自分のペースで独学で勉強しても十分に対策が可能です。
FP3級に合格するために何万円もする通信講座を受講する必要はありません。
独学での勉強方法とその費用
独学での学習がおすすめの方
勉強に慣れているという方や、出来るだけコストをかけずに勉強したいという方には独学が良いでしょう。
「独りで学ぶ」の言葉通り、わからないことがあっても自分で調べたり考えたりすることで解決に辿り着くことが出る人や、その過程が苦でない人は、独学に向いているといえます。
FP3級合格のための独学のポイント
3級FP技能検定は6科目の非常に幅広い分野から出題されるため、計画的に継続して学習を進める必要があります。
覚えることが学習の中心となるため、定着度を下げないためにも毎日少しずつでも良いので勉強時間を確保しましょう。
暗記が苦手という方は自分で暗記カードを作ったり、長期記憶に繋がりやすい寝る前の時間帯に学習を行うこともおすすめです。
また対策を開始したら、早い時期に過去問をみてみましょう。過去問は試験実施団体のウェブサイトから無料でダウンロード可能です。過去問を見ることで、紹介した頻出テーマが実際にどのように出題されているかなどが分かります。
独学での勉強スケジュール
人によって、自分に合う勉強方法というのが違います。ここに記載するのは一例です。勉強にかけられる期間や実際の生活リズムを考慮し、自分にとって適切なペースと方法で勉強しましょう。
試験前1週間まで
FP3級合格のポイントは、広く浅く学習することです。FP3級は難易度の割に出題範囲が広いので、まずは全体を把握することが必要です。勉強を始めたばかりの段階では、どこから進めれば良いか分からない人も多いです。
まずは、テキストを一通りしっかり読み込んでいきます。
一回目は「覚える」というよりは「知る」という感じで読み進めていって良いでしょう。この時、知らなかったことや、難しいと感じた箇所はマーカーや付箋などでチェックしておきます。
わからないところは2周目以降の読み込みで理解が深まってくるので、この段階で深入りしすぎないように気をつけましょう。
一通り読み終えたら、このタイミングで一度、過去問を解いてみます。テキストの内容が、実際にどのような形で出題されるのかを知っておくことは大事です。
過去問を解くことで、重要な分野・そうでない分野を体感することができ、今後の学習優先順位をつけるのに役立てることができます。
ここからは、本格的に「理解」していく勉強です。テキストに戻り、最初に読んだときにチェックした箇所をメインに、「何度も読む」「書き写す」など、自分に合った方法で知識を深めていきます。
この時、進めていく順番はテキスト通りでも良いですが、最初に読んだ際や過去問で、「得意」だった分野から始めるのも良いでしょう。
得意分野から進めることで「できる!」という成功体験を感じることで最後まで勉強を続けるためのモチベーションの維持に繋がります。
この様にして、試験の一週間前までには一通り、全ての分野を押さえておきます。
試験直前
とにかく過去問を解きます。出題形式に慣れること、試験の感覚を掴むことが重要です。
時間を計測し、実際の試験と同じ時間内に解く練習をするのも良いでしょう。
そして、言うまでもないですが、ただ過去問を解くのではなく、間違っていたところはテキストでしっかり確認します。「過去問」「テキスト」の行ったり来たりを繰り返すことで、知識を着実に吸収することができます。
当日の流れ
当日は、まずは受験票・筆記用具などを忘れないようにしましょう。当日は緊張から確認作業がままならないことも想定されるので、前日のうちに受験に必要なものを準備しておくことをおすすめします。
その後、早過ぎず、遅過ぎないタイミングで試験会場に行きます。
席に着いたら、これまで勉強してきたテキストやノートを眺めるくらいにとどめ、万全の状態で試験に臨むことに意識を向けましょう。余計な緊張や不安を取り込まず、意識して「気持ちに余裕」を作りましょう。
独学にかかる費用は?
基本的には、自分が勉強するのに使う「テキスト・問題集」と「ノート、筆記具等」の購入代が、かかる費用のほぼ全てです。
低コストなのが独学の最大のメリットとも言えます。
テキスト、問題集は一冊が概ね1,500円~2,000円程度です。各一冊ずつ購入し、ノート、シャープペンシル、ラインマーカー(3色)を新品で用意するとしても、5,000円前後で収まるでしょう。
ただし、難易度が低いとはいえ、確実に合格するためにはきちんと勉強することが必要ですから、テキスト選びは慎重に行わなければなりません。
自分に合わないテキストを選んでしまうと、その後の学習効率が大きく落ちることにつながるため、事前に比較検討を重ねた上でベストの一冊を選ぶようにしましょう。
FP3級のおすすめテキストは以下の記事で紹介しています。
FP3級の通信講座を受講する場合
何度も繰り返し述べているように、FP3級の難易度は低く独学でも十分に合格が狙えます。
一方で、勉強する習慣がほとんどない人や1人で勉強するのが不安という方であれば、通信講座の受講もナシではありません。ただし、通信講座を選ぶ際はコスパを重視すべきです。
FP3級の通信講座を受講するのであればスタディングの通信講座一択でしょう。
スタディングの受講料は4,950円と通信講座であるにも関わらず独学よりも更に費用を抑えて勉強できます。もちろん講義動画やテキスト・問題集といった講座内容も申し分ないので、確実に合格が狙えます。
逆にスタディング以外の通信講座によるFP3級講座はどう考えても高すぎです。(13,000~20,000円もかかります…)
FP3級と合わせてFP2級の受験を考慮している場合を除いては、それらの高額な通信講座を受講する必要は全くないでしょう。
FP3級を取得するメリット
就職や転職、昇級・昇格に有利なイメージのあるFPの資格ですが、実際のところ、業務の面で評価されるのは2級以上です。
FP3級は、就職・転職のシーンで有利とまでは言えませんが、未経験から金融・保険・不動産などの業界を目指す際など、その業種への興味を持っていることの大きなアピールになります。
何より、FP3級の試験を通じて学べる知識は、個人の生活においてとても役に立ちます。
「毎年の年末調整や確定申告」「結婚して新たに生命保険に加入する 」「マイホームを購入する」「資産運用で株式投資を始める」「子供の進学で教育ローンを利用する」「息子に社長を引き継ぐ」「親の遺産を相続する」等々・・・。
人生の様々な場面において、FP3級の知識があることでスムーズに物事を理解し、自分にとってのベストな判断がしやすくなります。
また、FP3級はFP2級の受検資格にもなるのでさらに知識を深めていくこともできます。
幅広い年齢層の方がそれぞれ目的を持って受験
FP3級はFP資格の登竜門に位置付けられる資格であり、受験資格もないことから、幅広い年齢層の方がそれぞれの目的を持って受験されています。
特に、金融リテラシーを高めて副業や独立に生きる知見を身につけるために受験される社会人の方や、家族のマネープランを練るために必要な知見を習得するために受験される主婦の方が多いです。
主婦の受験者は近年増加しており、仕事面でのみならず、生活にも役立つことが、その要因となっているでしょう。
キャリアアップにはFP2級の取得もおすすめ!
上述の通り、FP3級は難易度が低く取得が簡単なので、それだけではなかなか就職に有利になったり、昇級・昇格に繋がったりすることにはなりません。
一方で、より専門的な知識を学ぶFP2級であれば、キャリアアップにも繋がります。当然、知識の解像度も上がるので、自分自身の生活に知識を活かし易くもなります。
3級に比べると難易度は高くなりますが、FP3級自体が2級受験に必要十分な条件となっています。より知識を深めたい方やキャリアアップを目指す方には是非FP2級の取得をおすすめします。
FP資格を取得するメリットについてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
FP3級についてまとめ
FP3級まとめ
- 試験難易度はかなり低い
- 実技試験の合格率は科目によってやや差がある
- 合格に必要な勉強時間は100時間前後
- 独学の場合はテキスト選びと勉強のスケジューリングが重要
- 試験直前は過去問重視の勉強法を取り入れる
FP3級は難易度が低く、合格率が高いため、非常に取得しやすい資格であると言えます。そして、取っただけであとは「お飾り」になってしまう資格ではなく、生涯に渡って人生の様々なシーンにおいて役に立ちます。
難易度が低いので、勉強にそれほど多くの時間をかけずに済みますし、合格率を見ればわかるように、きちんと準備すれば確実に合格できます。
時間・労力・経費とも低コストで取得でき、活用度の高いFP3級は、非常にコストパフォーマンスの高い資格であると言えるでしょう。
FP3級に興味を持った方は、是非取得を目指されてみてはいかがでしょうか。