司法書士試験の難易度は難しい?合格率・基準点からおすすめ勉強法まで解説!
「司法書士試験の難易度が知りたい!」
「司法書士って難しいって聞くけど、実際どれくらい勉強しなきゃいけないの?」
このような疑問をお持ちの方も多いかと思います。
司法書士になるためには司法書士試験に合格しなければいけませんが、試験の難易度はどれくらいなのでしょうか。
司法書士試験の難易度を正確に理解するためには、試験の特徴もきちんと把握する必要があります。
そこでここでは司法書士試験の難易度や合格率、合格のために必要な勉強方法まで分かりやすく解説します!
司法書士試験の難易度をざっくり説明すると
- 国家資格でも有数の難しさを誇り、合格率は僅か4%前後
- 勉強時間にして3,000時間が必要とされており、合格までに2〜3年かかるのが普通
- 実態以上に難しい資格として捉えられている側面もある
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司法書士試験の難易度はどれくらい?
そもそも司法書士試験とは?
司法書士は、登記や簡易訴訟等に関して必要な書類を作成する高度な専門知識を備えた人たちのことです。
司法書士試験では、憲法、民法、商法、刑法、不動産登記法、司法書士法など、さまざまな法律についての知識が問われます。
実際に司法書士として働く上でも、これらの法律は業務に直接関わってくる必須の知識です。
試験は筆記試験と口述試験に分かれています。筆記試験に合格すると口述試験の受験資格が得られるため、まずは筆記試験を突破することが第一です。筆記試験は午前の2時間と午後の3時間に分けておこなわれます。
合計5時間の長丁場の試験になるため、最後まで気持ちを切らさない高い集中力も必要となります。
なお、口述試験では司法書士になる上での心構えなどが問われます。試験官と対面して答えるため、また違った緊張があるかもしれませんが、試験内容自体は筆記試験に比べるとそれほど難しくないでしょう。
しっかり自分の考えをまとめておけば、十分受け答えできます。
司法書士の難易度はかなり高い
司法書士試験の難易度はほかの国家資格と比較してもかなり高いことが特徴となっています。
合格率は例年3〜5%となっており、これは同じ国家資格である宅建士の約15%、社労士の約6%と比較しても低い数字となっています。
試験科目は11科目あるため、求められる知識の幅はもちろんそれら1つ1つに対しての知識も深めていかなければならず試験内容から見ても難易度の高い試験であることが伺えます。
勉強時間は3,000時間は必要であり、勉強時間は余裕をもって見積もることが大切です。
受験資格はない
難易度が高いといわれている司法書士試験ですが、受験に際しての受験資格は存在しません。
つまり学歴や性別などを問わずだれでも受験が可能な試験となっており、幅広い層の人が資格取得を目指せる資格となっています。
他の士業資格では学歴などによって受験を制限される場合もあるため、多くの人が公平に合格を目指せることが司法書士試験の大きな魅力となっています。
資格の偏差値はどれくらい?
司法書士の偏差値は72と位置付けられており、かなり高い偏差値です。
これは社労士の62・中小企業診断士の63などほかの有名国家資格と比較してもかなり高い数字となっており、偏差値の指標からみても司法書士の難易度の高さが伺えます。
3大国家資格である公認会計士の偏差値74・弁護士の偏差値75よりはやや低い数字となっており、超難関資格よりは少し偏差値が低くなっています。
以上から司法書士試験は超難関資格よりは難易度が劣るものの、それに近い量の勉強量を確保することが求められる資格であるといえます。
難易度を上げている要因
司法書士試験の難易度を上げている要因として、主に試験範囲が膨大であること・合格点が高いことの2つが挙げられます。
ここではこれら2つの要因について詳しく解説していきたいと思います。
試験内容が広い
司法書士試験は筆記試験と口述試験に分かれており、筆記試験では11科目が出題され、口述試験では筆記試験の科目の中から主に不動産登記法・商業登記法・司法書士法の3科目が出題されます。
ここからかなりの科目数を試験までに勉強することが必要になってきます。
しかし、これら11科目がまんべんなく出題されるということではなく、この中でも民法・不動産登記法・商法・商業登記法の4つが主要4科目としてよく出題されます。
また、主要4科目は筆記試験の択一式全70問のうち53問を占めるため、出題数の大部分を占めています。
よってこれら4科目を中心に対策を行っていくことが合格へのカギとなってきます。
ここでは主要4科目の簡潔な内容・対策方法について解説していきます。
民法
民法は70問の出題のうち20問を占める科目であり、司法書士試験の中でも最重要科目となっています。
出題内訳としては総則3問・物件4問・担保物件5問・債権4問・親族相続4問となっており特に不動産登記のために理解が必要な物権や親族相続からの出題が特に多くなっています。
難易度が高い科目ですが、受験生はそれを想定して入念な対策を練ってくるため得点率が比較的高くなる傾向にあります。
司法書士試験の中でも特に時間をかけて対策を進めていく必要がある科目の1つとなっています。
商法
商法は営利目的の会社の定義や取引活動のなどの一連の手続きのルールを定めた法律となっています。
70問の出題数のうち9問出題される科目であり、商業登記を理解するうえで必須となる科目となっています。
商業登記法との関わりが深い科目となっているので、商業登記法を常に意識したうえでの勉強が必要となります。
不動産登記法
不動産登記法は不動産の権利などを不動産登記簿に記録していくための手続き方法について定められた法律となっています。
70問の出題のうち16問が出題される科目となっており、民法の次にウェイトの高い科目となっています。
択一式の問題のほかに記述式の問題も出題されるため、知識の暗記と理解のバランスを重視して勉強を進めていくことが大事な科目です。
商業登記法
商法や会社法によって規定された登記事項を定めている法律が商業登記法となっています。
70問の出題のうち8問が出題され、対策が民法などに比べて後手に回ってしまいがちな科目となっています。
不動産登記法と同様に記述式問題も存在するため、暗記と同様に理解も重視することで両方の試験に対応が可能となってきます。
前提である会社法の学習が大切となってくるので、会社法の学習をベースにしながら商業登記法の学習を進めていくとよいでしょう。
他のマイナー科目もぬかりなく対策すべし
上記で紹介した主要4科目以外にも「民事訴訟法」・「民事執行法」・「民事保全法」・「供託法」・「司法書士法」・「憲法」・「刑法」がマイナー科目として試験で出題されます。
出題数は1つにつき多くて3問程度となっており、出題数は70問中17問であるためあまり勉強しなくていいと錯覚する人も多いでしょう。
しかし午前・午後に合格点が存在し、択一式に関しては8割程度の高い正答率が求められます。
よってこれらの足切りを安全に突破するためにもマイナー科目の学習をぬかりなく行うことが合格に大切な要素となります。
基準点が7割程度と高い
司法書士試験の基準点の平均はここ5年の数字で行くと280点中約206点、得点率にすると約73%と高い数字となっています。
また総合点とは別に午前・午後試験の択一式試験と午後の記述式試験の3つで基準点が存在し、これらすべての基準点を満たしていく必要があります。
基準点の具体的な得点率は、午前試験では最低でも8割の得点率、午後の択一式試験では最低7割の得点率、記述式試験の得点率は半分以上となっています。
注意点としては、これらの基準点は絶対評価ではなく相対評価であるためにあくまで目安に過ぎないということです。
よって勉強の際の点数目標として例年の基準点平均を余裕をもって超えられる得点率をそれぞれの試験形式で設定しておくことがおすすめです。
司法書士の基準点の詳しい詳細については下記の記事を詳しくご覧ください。
司法書士の難易度を合格率等の観点から分析
ここでは司法書士の難易度を合格率・受験人数・勉強時間の3つの観点から分析していきます。
司法書士試験の合格率
上のグラフは過去10年分の司法書士試験の合格率の推移を表しています。
このグラフから合格率は例年3~5%程度の低水準で推移しており、かなり合格者が絞られていることがわかります。
合格率の変動があまりないのが特徴的であり、今後も低い合格率のまま推移していくことが予想されます。
よって司法書士試験合格は狭き門と言えるでしょう。
ただし、その分、資格を取得できれば就職時や収入面で有利に働きやすいため、人気の資格であることには変わりありません。
例年の受験人数
まずは令和4年度以前、過去8年間の受験人数を確認してみましょう。
試験実施年度 | 出願者数 | 受験者数 |
---|---|---|
平成27年度 | 21,754人 | 17,920人 |
平成28年度 | 20,360人 | 16,725人 |
平成29年度 | 18,831人 | 15,440人 |
平成30年度 | 17,668人 | 14,387人 |
平成31年度 | 16,811人 | 13,683人 |
令和2年度 | 14,431人 | 11,494人 |
令和3年度 | 14,988人 | 11,925人 |
令和4年度 | 15,693人 | 12,727人 |
なお、受験者数は午前の部と午後の部の両方を受験した人数をカウントしています。
これらの数字を見ると、司法書士試験の出願者数、受験者数はともに年々減少傾向にあることがわかります。
よって競争する受験生が減っているため、一安心してしまうかもしれません。
しかし合格率は近年ほとんど変化していないことから倍率はほとんど変わっておらず、引き続き狭き門であるといえるでしょう。
合格者の男女比は約4:1
試験実施年度 | 合格者数 | 男性の割合 | 女性の割合 |
---|---|---|---|
平成28年度 | 660人 | 76.2% | 23.8% |
平成29年度 | 629人 | 76.2% | 23.8% |
平成30年度 | 621人 | 77.1% | 22.9% |
平成31年度 | 601人 | 77.5% | 22.5% |
令和2年度 | 595人 | 73.4% | 26.6% |
令和3年度 | 613人 | 70.3% | 29.7% |
令和4年度 | 660人 | 72.4% | 27.6% |
司法書士試験の合格者は男性が70~76%、女性が23~29%と、男性の方が多くなっています。しかし司法書士は男女問わず活躍できる職業であり、年々合格者の女性の割合も増加しています。
司法書士の勉強時間は3,000時間
司法書士試験に合格するためには、一般的に3,000時間以上の勉強が必要だと言われています。また、試験合格までに必要な期間は1~3年と言われています。
そのため、例えば1年で合格を目指すなら、3,000時間÷365日で、1日8時間の勉強が必要な計算になります。
ただし、1日どれほどの勉強時間が確保できるかは受験者の現在の状況によって大きく異なるでしょう。
学生の方や、特に決まった仕事に就いていない状態であれば、1日8時間の勉強時間を確保することは難しくないかもしれません。
また、無理なスケジュールを続けていくと、体調を崩してしまう可能性もあります。
3年勉強して司法書士試験合格を目指すなら、1日の勉強時間の目安は3時間より短くなります。自分の状況を鑑みながら、無理のない実現可能なスケジュールで勉強していくことが大切です。
なお、3,000時間の勉強が必要なのは、まったく知識のない状態から勉強を始める場合です。
例えば大学や専門学校で法律に関する勉強をしていた場合、司法書士試験の範囲の大部分は既習となり極めて効率良く学習が進められるでしょう。
このように、すでに知識として身に付いている分野があれば、3,000時間より少ない時間でも合格できる可能性があります。
勉強時間の配分も大切に
司法書士は膨大な範囲を勉強するために、配分にメリハリをつけないと十分な勉強時間を確保できないことにつながってしまいます。
よって重要科目を中心に勉強時間を配分していくことが大切です。
具体的には主要4科目に時間を多く割いて勉強することがおすすめで、特に民法など対策する範囲が多い分野を中心に勉強時間を割く必要があります。
どの科目でどれくらい勉強するかは、勉強を始める前にあらかじめ決めておくことがおすすめです。
司法書士の勉強時間の詳細は下記の記事を詳しくご覧ください。
司法書士の難易度を他の資格と比較
それでは、司法書士試験の難易度は他の資格と比べてどうなっているのでしょうか。
以下では他の国家資格試験の難易度を上げながら説明します。
行政書士試験との比較
行政書士は、法律に関する書類を作成したり、許認可申請を代理で行ったりするための国家資格です。
行政書士の資格とともに司法書士の資格をとり、法律に関する書類作成のスペシャリストとして活躍する人もいます。
行政書士試験は、例年約4万人ほどが受験し、約4千人が合格しています。合格率は9~10%程度です。
合格率を見れば司法書士試験の方が行政書士試験よりも難易度が高いと言えるでしょう。
ただし、行政書士試験の範囲も幅広いため、簡単に取得できる資格ではなく、一般的に見れば合格率が低く難易度の高い試験であると言えます。
ダブルライセンスを狙う場合は先に難易度の低い行政書士の資格を手に入れておく方が、精神的にも余裕が出るのでおすすめです。
行政書士試験の詳しい難易度は下記の記事を参考にしてみてください。
宅地建物取引士試験との比較
宅地建物取引士試験は、不動産の契約に関わる国家資格です。通称「宅建」と呼ばれています。
建物を販売したり貸したりする際には宅地建物取引士が重要事項説明をしなければならないため、不動産業やハウスメーカーで働く人が取得を目指すことが多いことも特徴です。
司法書士の主な仕事の1つである登記手続きの代理業務では不動産関連の登記が占める割合が非常に多いので、宅建を持っていれば業務にどんどん活かすことができます。
不動産分野を専門にして働くなど、司法書士としての仕事の進め方を考える上で、選択肢を広げるきっかけにもなります。
宅地建物取引士試験の合格率は15~17%程度です。
司法書士試験や行政書士試験よりも試験の出題範囲は限定されているため、司法書士試験などの方が難易度としては上だと言えます。
司法書士試験の範囲と被る部分もあるので、宅建資格からのスタップアップとして司法書士を目指される方もいらっしゃいます。
宅建試験の詳しい難易度は以下の記事をご覧ください。
土地家屋調査士試験との比較
土地家屋調査士とは、不動産登記に必要な土地・家屋の調査と測量を行う資格です。宅建と同じく、不動産登記において司法書士と関連性が高いため、ダブルライセンスがおすすめの資格です。
土地家屋調査士試験の合格率は8~10%であり、科目数も司法書士試験より少ないため、司法書士試験より易しいです。
ただし土地家屋調査士試験、法律問題に加えて測量や作図といった試験も加わるため、これらに苦手意識がある人にとっては難しく感じるかもしれません。
暗記だけでは対処できないため、問題演習を繰り返すことで慣れることがおすすめです。
税理士試験との比較
税理士は、税金のプロフェッショナルとして税務処理や納税書類の作成などを行う国家資格です。
官公署に提出する申請書類を執筆から提出まで代行する点で司法書士と共通しています。相続や会社設立において、司法書士と税理士の両方に依頼することもあるため、ダブルライセンスもおすすめです。
税理士の合格率は科目全体で約20%程度と言われています。11科目中5科目の合格が必要で各科目の分量が膨大であり、網羅的な知識習得と高い計算処理能力を求められる最難関試験です。
勉強方法でみると、司法書士試験は3年ほど集中的に勉強して合格するのに対して、税理士試験は1年に1科目ずつ合格を目指し、合計5年ほどかけて合格する人が多いため、学習期間の観点では税理士試験の方が難関であるといえます。
司法試験との比較
司法試験は法律系資格の中でも最高クラスの難易度を誇り、司法書士よりも難易度の高い試験です。
司法試験の合格率は近年大きく上昇しており、30~40%程度です。合格率だけ見れば司法書士のほうが難易度が高いように感じます。
しかし受験者層のレベルは全く異なります。司法試験を受験するには法科大学院を修了もしくは超難関の司法試験予備試験に合格する必要があるため、高いレベルでの合格争いとなります。
一方で司法書士は誰でも受験可能なので、母集団のレベルは司法試験と比べて低いです。
また司法試験は、論文式試験が3日間、短答式試験が1日の計4日間で実施されます。特に論文式は、高度な読解力や論理的思考力が求められるハードな試験と言われています。
一方で司法書士は、7月の択一試験と書式試験、10月の口述試験と計2日間です。こちらも記述式がありますが、司法試験との違いは解答のフォーマットが存在するため、問題に対する適切なフォーマットを選ぶことが鍵になります。
社労士(社会保険労務士)試験との比較
社労士は人事・労務に関する問題や手続きに対して業務を行う資格です。合格率は例年6〜7%程度であり、司法書士試験よりやや高くなっています。
また社労士試験は司法書士試験と比べて、出題範囲が労働に関するものに限られており、司法書士試験に存在する論述式・口述式がなく選択式・択一式のみとなっています。
よって、司法書士試験のほうが難易度が高いと言えます。
通関士試験との比較
通関士は輸出入に関わる手続きを行うための国家資格です。貿易会社、旅行会社、メーカー、金融機関などさまざまな場所で通関士の資格をもつ人が活躍しています。
通関士試験の合格率は10~20%程度です。出題範囲は、通関業法、関税法、通関実務など通関業にダイレクトに関わる部分が中心となります。
合格率や試験の出題範囲などを考えた上で比較すると、司法書士試験の方が難易度が高いと言えるでしょう。
このように、司法書士はよく見聞きするメジャーな資格と比べてもかなり難易度が高く、国家資格の中でもかなり高ランクな資格であることがわかります。
通関士試験の詳しい難易度は以下の記事をご覧ください。
司法書士が人気である理由
司法書士は取得することで多くのメリットを享受することができる視覚となっています。
ここでは資格取得の主なメリットについて話していきたいと思います。
独立しやすい
司法書士はほかの資格と比較しても非常に独立しやすい資格となっています。
この理由としては試験の内容が実践に即したものとなっていること・研修制度が充実していることが主に挙げられます。
独立することで自分の得意分野を生かした仕事ができたり、自分の生活に合わせて仕事量を調節できるなどメリットも多いので、おすすめの選択肢となっています。
年収が非常に高い
司法書士の平均年収は877万円であり、これは一般的な年収の倍近くとなる高水準の年収となっています。
また司法書士は独立して成功することで年収が3,000万円を超えるなど、場合によってはかなりの高年収を狙うことも可能な職業となっています。
注意点としては、事務所勤務では年収が400万前後とあまり高くないため、勤務したままでは年収がなかなか伸びにくいことです。
よってこの期間は独立のための下積み期間として活用し、ノウハウを学ぶことが重要となってきます。
女性も活躍しやすい
女性は出産や子供の育児などの影響で仕事の量をやむなく減らしたり、場合によっては転職しなければいけないケースが出てきやすいです。
しかし、司法書士の場合は登録することで司法書士事務所への就職・復職も簡単にできます。
また自分の家で事務所を開業することで家事と仕事の両立をすることが可能になり、仕事の量を自分に合った形にコントロールすることができます。
司法書士試験は難易度が高いイメージをもたれやすい理由
司法書士試験はもちろん事実として難しい試験なのですが、実態以上に突破するのが難しいというイメージをもたれがちです。
なぜ司法書士試験は過剰に難易度が高いイメージをもたれやすいのか、その理由を説明します。
受験資格と知名度
司法書士試験の難易度が高いと思われやすい理由の1つに、受験資格に関することが挙げられます。
司法書士試験は受験資格が限定されていないため、年齢や学歴に関係なく誰でも試験を受験できます。
この受験資格の間口の広さが、大勢の受験者を集め、合格率を厳しくしている要因の1つと言えます。
また、知名度の高さも受験生が多い理由に繋がっています。司法書士は国家資格のなかでも特に知名度が高く、憧れをもっている人が多くいます。そのため、例年合格率が3〜5%であるにも関わらず、大勢の受験者が集まるのです。
なお、司法書士試験を受ける人の中には、それほど準備せずいわゆる「記念受験」で試験に臨んでいる人もいます。
司法書士試験は準備をほとんどしないまま合格できるような試験ではありませんが、受験者数は加算されるため、大勢の人が試験に挑戦する難関な試験だというイメージに繋がります。
これらの要因などにより、受験者数の多さの割に合格者数が少なくなっている一面もあります。
もちろん、司法書士試験は内容そのものも難しいため、簡単に突破できない資格試験であることは間違いありません。
ただし、受験者数と合格者数だけを見て、合格率が示す通りの難易度であると判断することはできないとも言えます。
評価方法
司法書士試験が難関であるというイメージをもたれやすいもう1つの理由は、試験の評価方法にあります。
一般的に、試験の評価方法としては絶対評価と相対評価の2つがあります。
絶対評価試験は、定められた合格点を超えた人は必ず合格になるというものです。
例えば受験者が100人いたとして、100人が合格点を超えれば、全員が合格です。反対に、1人も合格点に届かなければ、合格者は0です。受験者がどれだけ多くても少なくても、自分の点数が合格ラインを超えてさえいれば合格できるため、受験者数を気にする必要がないことが特徴です。
一方、相対評価試験は、成績上位の一部の人を合格とするものです。この試験方法の場合、受験者数が多ければ多いほど、受験者全体における成績の良い受験者の割合も大きくなります。
したがって、よりほかの受験者よりも良い点数を取り、全体の中で上位に食い込まなければ、合格が難しくなります。
例えば前回は70点取っていれば合格できたとしても、今回もそうであるとは限りません。どの程度の点数を取れば合格ラインに食い込めるかの判断が難しく、受験者には大きなプレッシャーがかかるでしょう。
司法書士試験は相対評価試験であるため、自分以外のほかの受験者の状況によって合否が変わります。
つまり、ほかの受験者と競争しながら試験の合格を目指さなければなりません。このことが、合格が難しいというイメージに繋がっています。
なお、司法書士試験では各項目に基準点を設けています。1つでも基準点を超えていない項目があるとそれだけで足切りとなり、不合格になります。
受験者の中で上位の成績をおさめること、加えてすべての項目において基準点をクリアしていること、この2つを満たしていることで、初めて司法書士試験を突破することができるのです。
イメージだけでなく、合格するには実際に厳しい条件をクリアしなければならないのです。
難しいと言われる司法書士の試験概要
難易度が高いとも言われる、司法書士はどこが難しいのでしょうか?
ここではそれを解明するためにも試験の概要を解説していきます。
問題は覚えれば解ける傾向に
一般的に、国家試験の問題は
- 覚えれば解けるタイプの問題
- 考えて解く必要があるタイプの問題
の2つに大別されますが、司法書士の筆記試験はどちらかと言うと前者の覚えれば解けるタイプの問題に当たります。
もちろん覚える量は膨大ではあるものの、覚える量を増やしていくことで確実に得点が伸びていくと考えると希望を持ちやすいのではないでしょうか。
筆記試験の内容
司法書士の試験は筆記試験と口述試験の2つの試験から成ります。
そのうちの筆記試験は全部で11科目が出題され、配点の高い主要科目4つと配点の低いマイナー科目7つに別れます。
主要4科目
- 民法
- 商法(会社法)
- 不動産登記法
- 商業登記法
また、筆記試験の実施時期は7月で、3つのパートに分かれています。
試験 | 問題数 | 配点 |
---|---|---|
午前の部(多肢択一式マークシート) | 35問 | 105点満点(1問3点) |
午後の部(多肢択一式マークシート) | 35問 | 105点満点(1問3点) |
午後の部(記述式試験) | - | - |
なお、午後の部の記述式試験とは論文や読解のような何かを書かせる問題ではなく、司法書士の仕事である「申請書」の作成を行う試験になります。
口述試験の内容
口述試験は筆記試験に突破した人を対象に10月に行われます。
面接形式で司法書士に必要な知識を問われる試験で、主に不動産登記法や商業登記法の知識が必要になります。
一般的に口述試験では不合格になることはほとんどないと言われています。ただし、油断していると重大なミスをしてしまう恐れもあるため、きちんと復習をして気を抜かずに受けるようにしましょう。
司法書士は独学で受かる?
司法書士は独学で合格することが可能な試験となっています。
しかし、勉強のモチベーションを継続できる人・効率の良い勉強法を心得ている人など独学に必要な能力を持ち合わせていないと独学での合格は厳しくなってくるでしょう。
独学の際の勉強法
独学で挑戦する場合、以下のことを心がけましょう。
学習スケジュールを立てる
独学で勉強を進める際には、学習スケジュールをしっかりと立てることが大切です。司法書士試験は長時間ダラダラと勉強するのではなく、いつまでに合格するかを決めて集中して取り組むことが、合格における大きな肝となります。
自分の実力を把握したうえで、自分がそれぞれの科目の勉強にどれくらいの勉強時間をさけるかしっかり決めていきましょう。
具体的には1週間単位でどの科目をいつどれくらい勉強するか決めておくのがおすすめの方法です。
スケジュールを立てた後は、毎日のモチベーションを維持することが大切になってきます。どの勉強においても実力が1番つく方法は毎日の継続した勉強であるため日々のモチベーション管理には特に気を使いましょう。
効率の良い学習を心がける
択一式試験は11科目ありますが、科目ごとに出題数は1問から20問まで大きく異なります。特に出題数が多いのは、民法(20問)、不動産登記法(16問)、会社法・商法(9問)などです。
11科目全てに膨大な時間をかけて勉強するのは、効率的な勉強法と言えません。出題数が多い科目を優先的に勉強するのがおすすめです。
また司法書士試験では、問題1つ1つの難易度が極端に高いわけではなく、出題範囲の広さが難易度の高さに繋がっています。
そのため、全てを深く理解するのではなく、頻出の内容は深く理解し、そうでない箇所は適度な理解で留めるなどメリハリをつけた学習が大切になります。
自分に合ったテキストを選ぶ
テキスト選びも重要なポイントとなっており、自分の実力を見極めたうえで1人でも理解できるレベルの参考書を選ぶことが重要です。
具体的には初心者は基本知識の解説が手厚くなっているテキスト選んだり、上級者は演習がメインとなるテキストを選んでいくことがおすすめです。
自分に合ったテキストで勉強することで実力がつけやすくなり、勉強効率も上がっていくでしょう。
通信講座などでの勉強も選択肢に
もし大学や専門学校で法律に関する勉強していた経験があるなら、独学でも合格に向けた勉強をすることは不可能ではありません。
ただし、働きながら勉強するのであれば、独学では効率的な勉強がしにくいでしょう。前項で述べた通り、仕事に大きく時間を割かなければならないため、勉強時間の確保が難しいことなどが理由です。
全く新しい分野を勉強することは非常にエネルギーや集中力がいることなので、片手間で行えるものではありません。なかなか思うように勉強が進まず焦ってしまうこともあるでしょう。
そのため司法書士試験の合格を目指す際は、一般に予備校や通信講座を利用して勉強を行うのが普通です。
特に近年では費用が圧倒的に安く、スマホで隙間時間でも勉強しやすい通信講座が注目を集めています。
通信講座であっても予備校と比べて内容が劣るということはなく、司法書士試験向けに作られた専門的な学習プログラムであるため、無駄なく的確な範囲を勉強することができます。
したがって、通信講座を活用することで限られた時間の中でも効率的に学習を進めることができるのです。
また、最新の試験情報も得られるため、試験合格に向けた実践的な知識の習得にも役立ちます。特に法改正対策は独学ではほぼ不可能なので、通信講座は非常に強力な武器となるでしょう。
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司法書士試験の難易度まとめ
司法書士試験の難易度まとめ
- 司法書士試験の合格率は3〜5%だが、受験資格がないことや知名度の高さが原因で実態よりも数字が小さくなってしまっている
- 行政書士や宅建と比べても圧倒的に難易度が高い
- 自分のバックグラウンドや学習環境を考えて勉強時間を想定することが大切
司法書士試験の難易度は高めではありますが、正しい勉強法を実践すれば合格できる可能性は十分あります。
効率的に勉強するためには、通信講座の受講も検討すると良いでしょう。試験を突破するためには、合格率、試験の出題範囲など試験に関するデータ・内容をよく分析した上で、的確な難易度を把握することが大切です。
難易度をしっかり意識して、司法書士試験合格を目指しましょう。