司法試験を目指す人は司法書士資格の取得がおすすめ!メリットや難易度を徹底解説!
「司法書士試験の内容って司法試験に活かされるの?」
司法試験の勉強をしている人にとって、名前の似ている司法書士試験に対してこのような疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。
司法試験の勉強をしている人にとって、司法試験と司法書士試験の違いを理解しておくことは大切です。
司法書士試験と司法試験の出題内容は似ている部分もあり、まんべんなく勉強をしておけば、どちらの受験にも対応できるでしょう。
また、司法書士資格を取得するメリットを知っておくと、司法書士受験への意欲もわいてくると思います。
この記事では、司法試験受験者にとって、司法書士試験を受けるメリットを解説します。
これを読んで司法書士試験の受験も検討してみてはいかがでしょうか?
司法書士の資格取得が司法試験に有利である理由をざっくり説明すると
- 出題範囲が司法試験と似ている
- 大学に通いながら資格を取得でき、ハードルが低い
- 司法試験の対策にもつながりやすい
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司法書士試験と司法試験の違い
司法書士試験と司法試験では、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、試験科目と試験時期・合格率における違いについて解説します。
試験科目
司法試験と司法書士試験では「憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟」が同一科目で出題されるため、勉強する範囲は同じです。
ただし、司法試験では「憲法・民法・刑法」は短答式と論文式、「商法と民事訴訟」は論文式で出題されます。
つまり、問題によっては、自分の頭で考えながら、文章を作成して答えることもあるのです。
一方、司法書士試験では、5科目全てが択一試験になります。択一試験とは、正しい答えを指定された数だけ選ぶ方法です。
よって、出題範囲が類似していても、司法試験と司法書士試験では、出題形式や分析での論点が異なるのです。
司法試験ではそれぞれ別々の試験科目として、「刑事訴訟法・行政法・実務基礎」が出題されます。
一方、司法書士は登記が独占業務になっているため、司法書士試験のみ「不動産登記法・商業登記法」があります。
さらに、「民事執行・保全」「供託・司法書士法」も、司法書士試験で出題されます。
基本的に司法書士試験は、全て択一試験です。その後、口述試験として基本的な法律知識を問われる面接があります。
試験時期
司法書士試験は、5月の中旬に願書を提出します。
筆記試験は7月の上旬、口述試験は10月の中旬です。
8月に基準点の発表があり、筆記試験を受けた約3か月後の9月末~10月初旬に合格が発表されます。
口述試験を受けられるのは、筆記試験に合格した人のみで、最終的な合格発表は11月の上旬になります。
筆記試験は1日で終わりますが、午前と午後の二部制で実施されることが特徴的です。
一方、司法試験は11月の下旬から12月上旬に願書を提出します。
試験は論文式と短答式に分かれ、5月の中旬に計4日間で実施します。論文式試験が3日間、短答式試験が1日というスケジュールです。
6月に短答式試験の成績が通知され、下位25%~30%程度がここで落とされます。
論文式試験は短答式試験合格者のみが採点され、9月に最終合格が発表されます。
合格率
司法試験の過去5年分の合格率を以下の表にまとめました。
年度 | 合格率 |
---|---|
R4 | 45.5% |
R3 | 41.5% |
R2 | 39.2% |
H31 | 33.6% |
H30 | 29.1% |
司法書士試験の過去5年分の合格率を以下の表にまとめました。
年度 | 合格率 |
---|---|
R4 | 5.2% |
R3 | 5.1% |
R2 | 5.2% |
H31 | 4.4% |
H30 | 4.3% |
この表の数字だけを見ると、「司法試験の方が合格しやすい」と思われがちですが、2つの受験資格の違いが重要になります。
司法書士試験は誰でも受験可能で、初学者も受けていることが多いです。
このように司法書士試験は受験者全体の学力レベルが司法試験に比べ低いため合格率が低く出てしまいがちです。
一方、司法試験は法科大学院卒業もしくは予備試験に合格する必要があり、受験資格者の人数も減ってしまいます。
そもそも、司法試験を受験する人は、法科大学院に入学できる、または予備試験に合格できる学力がある人なので、学力が比較的ある層に限られてきます。
よって、受験者がある程度選抜されていることから受験者の学力レベルも高くなり、そこから合格者を選抜するので合格率が司法書士試験よりも高く出る傾向にあります。
両試験をの難易度を比較する際には、合格率の数字だけで判断しないように気をつけましょう。
司法試験を目指す人が司法書士資格を取得するメリット
司法試験を目指している人が司法書士の資格をあらかじめ取得するメリットとは、どのようなものでしょうか。
ここでは資格取得のメリットについて詳しく解説します。
在学中の資格取得が期待できる
司法書士試験は、年齢や性別・学歴・国籍などの制限がなく、誰でも受験可能です。
よって、大学に通っている期間から勉強し、在学中に資格取得できる可能性があります。
また、司法書士試験に合格する人は、平均受験回数が3回~4回です。つまり、1回で合格する人もいますが、落ちてしまってもしっかりと対策をすれば、数回の受験で合格できるかもしれないのです。
大学在学中の4年間に司法書士資格を取得できる場合もあり、大きなアピールポイントや自信につながります。
一方、司法試験は予備試験に合格する手段もありますが、大学卒業後に法科大学院へ通い、必要な課程を修了して卒業することが必須です。
大学在学中は、予備試験に合格した人以外は、司法試験の受験資格がありません。
しかし、司法書士資格を取得していれば、司法書士として就職した後に司法試験を目指すことも可能です。
予備試験対策に効果あり
司法書士資格を取るために勉強していた人は、司法試験の予備試験対策が可能です。
司法書士試験と予備試験の内容は重複している部分もあり、1つの勉強で2つの試験対策をすることができます。
あらかじめ司法書士試験の時に勉強をしているため、予備試験の時には再度の確認程度で軽く済む場合もあります。
特に「民法・民事訴訟法・商法」は予備試験短答式試験で210点ある中、90点を占める重要部分で、司法書士試験で身に付けたことを活かせる可能性が高いです。
場合によっては、司法書士試験の勉強内容がしっかりと頭に入っていると、短答式試験の9割以上の正解が見込めるのです。
このように司法書士試験をしっかり勉強することにより、司法試験の様々な場面で恩恵を得ることができます。
司法書士への転身も期待できる
司法書士へ転身できるのも、司法書士資格を持っているメリットです。
司法試験の合格を目指していても、受験回数や年齢によって諦めないといけないことがあり、その場合、司法書士として働くことが可能です。
司法試験の受験に失敗し続けていると、いざ就職する時になると就職が難しくなる場合もあります。新卒として採用されない年齢になると、既卒で初就職の難易度は高くなるでしょう。
しかし、司法書士の資格さえあれば、求人が都市圏を中心に数多くあり、就職に困ることは少なくなります。
また司法書士資格の保有者が就職できるのは、司法書士事務所だけではありません。銀行や商社・不動産会社・ハウスメーカーなどでの需要も多いです。
司法書士試験を経て司法試験を受験する方法
司法試験は法科大学院で必要な課程を修了し、法律に関する十分な知識がある人が受けられます。
また、司法予備試験に合格している人も受験可能です。法科大学院に入学するためには、大学卒業または審査試験合格の条件が必要になります。
しかし、法科大学院は入学してから卒業まで2年~3年はかかり、その分の学費と時間がかかってしまい労力が大きいです。
一方、司法書士資格を持っていれば、その知識を活かしながら勉強でき、働きながら司法試験を目指せます。
ただし、司法書士の仕事をしながら、法科大学院課程を修了するのは、あまり現実的とはいえません。なぜなら、勉強に費やす時間が少なくなってしまい、仕事で体力も消耗してしまうからです。
よって、司法書士資格を取ってから司法試験を目指す時には、法科大学院には通わず、まずは司法予備試験に合格するといいでしょう。
司法予備試験に合格後、司法試験という流れが現実的です。司法予備試験は、年齢や性別・学歴・国籍などの制限がなく受けられます。
法科大学院に進学できる費用や時間的な余裕がない場合は、司法予備試験を選択するといいのです。
司法書士資格を取得して有利に司法試験を目指す
司法試験受験者の司法書士の資格取得が有利である理由まとめ
- 似ている出題範囲が多い
- 受験資格がなく、ステップアップとしての受験が可能
- 予備試験対策につながる
- 司法書士への転身も期待できる
ここまで司法書士の資格取得が司法試験受験者にとって有利である理由について解説してきました。
司法試験を目指している場合でも、司法書士資格を取得することがおすすめです。
また、司法試験に合格できなくても、司法書士への転身や一般企業の就職活動もしやすくなり、将来の選択肢の幅が広がります。
この記事を読んで、司法書士試験の受験も同時に検討してみてはいかがでしょうか。