社労士資格はなぜ人気なのか|他の国家資格とどう違う?
更新
この記事は専門家に監修されています
社労士
のんびり社労士いけい
「社労士資格はなぜ人気があるの?」「他の国家資格とはどんな違いがあるのだろう?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
社労士は人気の国家資格です。 難易度の高さにもかかわらず受験者数は多く、男女問わず圧倒的な人気を誇っています。
難しい試験だと承知のうえで、社労士にチャレンジしようと思わせる魅力は何なのでしょうか?
ここでは社労士資格がなぜ人気なのか、他の国家資格との違いもあわせて徹底的に考察します。
この記事を読み終わるころには、社労士の人気の理由がわかるはずです!
社労士資格の人気をざっくり説明すると
- 社労士資格を持っていると就職や転職に強い
- 他の国家資格に比べて難易度が高すぎるわけではない
- 女性からも高い支持を集めている
- 今後も社労士の需要は継続する
社労士資格はなぜ人気なのか
社労士は、毎年4万人近くの受験者数がいる大人気資格です。
その人気には様々な理由があります。
超高難易度の資格ではない
社労士は 「勉強がずば抜けて得意」でなければ受からないような試験ではありません。真面目に勉強に取り組めば誰にでも合格のチャンスがあります。
一方で、社労士試験にはクリアしなければならない合格基準があるために簡単に合格することは絶対にできず、資格の格が保たれています。
総じてちょうど良い難易度だといえます。
就職や転職に強い
社労士の資格を持っていると、それが就職や転職をするときの強みになります。
社労士は労務や社会保険の専門家として、事務的な書類の作成からコンサルティングまで幅広いサポートを行います。社労士にしかできない独占業務もあります。
社労士が働く場所は、社労士事務所、法律事務所、企業の総務部や人事部などがあげられ、独立開業の道もあります。
実務経験があったほうが採用に有利になることは確かですが、経験不問の求人もあるので、未経験からでもチャレンジすることが可能です。
社労士の就職事情の詳細は以下の記事をチェックしてください。
独立開業もできる
社労士は税理士などと同じ士業なので、資格を生かした独立開業も一般的です。 開業にはメリットもデメリットもあり、開業するか企業勤務にするか悩む方も少なくないようです。
開業すると高い年収が狙える、自分で業務内容を自由に選択できる、仕事量を調整して自分の好きな働き方ができるというメリットがあります。
しかし、開業すると被雇用者であるときと比べて年収が安定しません。資格があるだけで仕事が舞い込んでくる保証はなく、常に集客を意識する必要があります。
社労士の独立開業については下記の記事を詳しくご覧ください。
年収が高い水準で安定している
先述の通り、社労士の資格を取ることで、独立だけでなく就職・副業という選択肢も生まれるので、安定した収入が期待できます。
社労士の平均年収は600万~700万であり、高い水準にあるといえます。資格手当がもらえることも多いため、資格を持っているだけで年収アップが見込めます。
社労士の年収についての詳細は、以下の記事を参考にしてください。
身につけた知識が役に立つ
社労士試験の勉強をすることで、社会保険制度や就労規則といった生活に身近な法律の知識が身につき、それをあらゆる場面で役立てることができます。
社労士の試験で学ぶ労務関連の法律は労働者を守るための法律であり、自分や家族の権利を守る武器にもなります。
厚生年金や国民年金、健康保険は生活していく上でなくてはならないもので、制度を知っておくと人生設計に役立てることができます。
会社勤めをしていると、就労規則、賃金、残業など社労士の勉強内容がより身近になります。もし不遇な状況に置かれても、法律の知識があれば毅然と対応することができます。
社労士資格は女性にも人気
全国社会保険労務士会連合会試験センターのデータによると、過去10年の社労士試験の男女別の合格者は、男性が61.2%、女性が38.8% と、他の士業と比較しても合格者に占める女性の割合が高いことがわかります。
社労士は女性に人気がありますが、そこには理由があります。
女性に向いている仕事
給与計算や書類の作成など、事務的な仕事は女性に適しています。 企業の総務部門には女性が多く、相談内容によっては女性のほうが話しやすい場合もあります。
社労士の業務には事務的な作業だけではなく専門性があるので、仕事が安定しやすいことに加えてやりがいがあります。年金や社会保険制度に関心を持つ女性も多いです。
また、フルタイムで働くことが難しい時期はパートに切り替えるなど、ライフスタイルに合わせた働き方ができるので、女性にとって魅力です。
女性社労士の活躍については以下の記事を参考にしてください。
他の国家資格と比べても人気が高い
先述の通り、社労士は人気のある資格ですが、他の国家資格と比較してその人気はどれほどなのでしょうか?
国家資格の受験者数ランキング
以下の表は令和5年度の国家資格別受験者数を表しています。
資格名 | 受験者数 |
---|---|
社労士 | 42,741人 |
公認会計士(短答式第二回) | 13,794人 |
税理士 | 32,893人 |
司法書士 | 13,372人 |
行政書士 | 46,991人 |
他の国家資格と比較しても社労士の受験者数は多く、社労士が人気のある資格だということは明らかです。
受験者数は減少傾向
以下の表は直近15年の社労士試験の受験者数の推移を示しています。
年度 | 受験者数 |
---|---|
H21 | 52,983人 |
H22 | 55,445人 |
H23 | 53,392人 |
H24 | 51,960人 |
H25 | 49,292人 |
H26 | 44,546人 |
H27 | 40,712人 |
H28 | 39,972人 |
H29 | 38,685人 |
H30 | 38,427人 |
R1 | 38,428人 |
R2 | 34,845人 |
R3 | 37,306人 |
R4 | 40,633人 |
R5 | 42,741人 |
上記のデータによると、ここ15年間で社労士の受験者数は減少傾向にあります。
受験者数が減っている理由としては、景気が回復したことにより求人が増加したことや資格ブームが過ぎ去ったことが考えられます。
受験者数が減っても需要は変わっていないので、社労士を目指す人にとっては今がチャンスだとも言えます。
なお、受験者数の減少は令和2年度を最後に停止しており、令和3年度以降は受験者数が増加に転じています。
今後の社労士のニーズは?
技術の進歩により社労士の仕事がなくなるのでは? と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、全く心配ありません。
人や企業を取り巻くさまざまな問題に対して、悩みに寄り添い適切なアドバイスをすることができるのは、人事・労務のプロである社労士です。
社労士の需要は今後も高まっていくでしょう。
独占業務は失われる?
社労士の独占業務として1号業務、2号業務があります。
1号業務では、労働社会保険関係諸法令に基づく書類を作成し、行政機関(公共職業安定所、年金事務所など)に提出します。事業所からの依頼により主張や陳述などの事務代行を行うこともあります。
2号業務では、主に帳簿書類を作成します。労働者名簿、賃金台帳、就業規則などが作成すべき帳簿書類にあたります。
1号・2号業務は将来的にAIなどによって代替される可能性があります。 しかし複雑な手続きが必要な書類もあるので、全てを機械的に処理できるわけではなく、社労士の手が必要な部分も残されます。
まだまだ将来性の高い資格
社労士の3号業務にはコンサルティング業務があります。具体的には、企業からの人事・労務に関する相談に乗り、適切な指導やアドバイスを行います。
長時間労働、残業代の未払い、パワハラ… これら様々な問題を抱える企業も少なくありません。労働者の権利を守るべく、企業と労働者の間に入って労働環境を整えるサポートを行うのが社労士の仕事です。
相談に対応したり、課題解決に向けた提案やアドバイスを行うことはAIにはできませんので、人事・労務のプロである社労士は必要不可欠な存在だといえます。
社労士の今後
3号業務を中心に、社労士にしかできない仕事はまだまだあります。
働き方改革などの労働環境の整備が進められている現代において、社労士の資格はますます存在感を放っていくといえるでしょう。
社労士の将来性についての詳細は以下の記事を参考にしてください。
社労士資格が人気の理由まとめ
社労士資格の人気まとめ
- 超高難易度の資格でないうえに、社労士資格を持っていると就職や転職に有利になり、年収も高水準である
- 仕事の特性から、社労士資格は女性に人気
- 他の国家資格に比べて受験者数が多く、人気が高い
- 今後は3号業務の需要が高まり、社労士が活躍できる場は多い
社労士資格の人気について、あらゆる側面から徹底的にみてきました。
社労士の仕事は企業や人にとってなくてはならないものであるため、今後も需要は高まっていくといえるでしょう。
社労士は魅力のある資格です。迷うことなくチャレンジしてみてください!