社労士の将来性は実際どうなの?AI時代の社労士需要を徹底考察!
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社労士
のんびり社労士いけい
「社労士の仕事は消えていくって聞いたけど本当なの?」
自動化やAI技術の進歩が目覚ましい現在において、このように社労士の将来を不安視している方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げると、社労士の仕事はなくならないどころか、今後ますます重要になってくると予想されます。
この記事ではそんな社労士の将来性について、具体的な理由も含めて丁寧に解説していきます。
また、将来も安泰な社労士になるための対策についても紹介しています。それでは早速みていきましょう!
社労士の将来性についてざっくり説明すると
- AI等の技術の進歩により社労士の業務の一部は機械に代替されていく
- 社労士の仕事の一部は需要が拡大する
- 社会の変化が社労士の将来性を高めている
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社労士の仕事の将来性
ここ数年、事務的作業のIT化による業務の効率化によって、社労士の仕事が減ってきているとの記事をよく見かけます。
社労士の仕事には主に書類作成などの手続き業務と、人事や労働問題に関する相談に乗るコンサルティング業務が存在します。
このうち、手続き業務が機械に代替されていくというのは紛れもない事実です。
それでは、単純に社労士の仕事の総量は減っていってしまうのでしょうか。
社労士の未来は明るい?
社労士の仕事と言えば、労働・社会保険関係書類の作成、給与計算書類の作成等のイメージがありませんか?
現在の不況で経費削減を行っている企業は、上記の様な事務手続きの仕事を自ら行うようになっているので、こうした社労士の仕事は企業にとってメリットを感じなくなってきています。
しかし、そのイメージだけが社労士の仕事ではありません。労務の専門家として、社労士は企業にとって重要な人事の分野で大いに力を発揮していきます。
今後の社労士の未来は、これまでのような事務手続き業務ではなく、労務の専門家としていかに企業をサポートできるかにかかってきます。そして、社労士にサポートを依頼したいと考える企業は今後ますます増えていくと考えられます。
社労士の仕事の幅は広がっている
社労士による企業へのコンサルティング業務は、働き方改革や企業競争が活発に行われる現在において、ますます必要性を増してきています。
現状世の中では様々な法律や制度が改変され、労働者時間の短縮や突発的な解雇の禁止など、労働者を守る方向に仕組みが変わりつつあります。
しかし企業側からしてみれば、自分の企業の労働者にはなるべく安く働いてほしいですし、都合が悪くなれば解雇も厭わないはずです。
このように相反する世の中の変化と企業側の要望を受けとめ、専門家として企業を導くのが社労士の仕事です。社会の変化に企業が対応するためには、社労士はなくてはならない存在なのです。
社会の変化が大きくなっている現在、それに伴い社労士の需要が高まっているのは想像に難くないでしょう。
AIの影響から見る社労士の将来性
それでは、AIによる仕事の減少は大丈夫なのでしょうか。高度な人工知能による仕事は、企業のコンサルティングにまで及んでも不思議ではありません。
しかし、社労士のコンサルティング業務はAI時代でも減ることほとんどないでしょう。なぜなら、社労士の扱う内容はデータベース上の問題ではなく、企業と労働者という「人」が深く関わる問題だからです。
人にはそれぞれ感情がありますし、個々人ごとに違ったデリケートな問題も多くなってきています。
FAQのような非常に単純な相談内容に限っては、AIに代替可能ではありますが、逆に言えばAIによる相談業務の代替はその程度に止まるでしょう。
機械による業務代替はそんなに簡単ではない
AIに関するニュースを見ていると、「近い将来人間の仕事はほとんど奪われてしまうのではないか」と不安になってしまうものです。
しかし、実際には機械に従来の人の仕事を任せるのはそこまで簡単な話ではありません。
人工知能も含めた機械は、決められた作業や過去のデータに基づいた判断しかできないので、日々変わり続ける現場での状況判断等は一切できません。
また、状況に応じた対応をさせようと思うと膨大な種類の機械を導入する必要があるので、企業としても結局人間に任せた方がコストを削減できる場合がほとんどなのです。
つまり、効率面でもコスト面でも機械が人間に勝てるケースは実はそこまで多くないので、あれもこれも機械に代替されるという未来はなかなかやってこないでしょう。
社労士の仕事にはどんなものがある?
社労士は社会保険労務士試験である国家資格に合格することで、社労士として仕事に就くことができます。
これまでみてきたように、労働・社会保険関係書類の作成や給与計算等の仕事が主な業務です。また、年金相談や快適な職場環境作りにも貢献しています。
一言で言えば、企業の悩みを解決するのが社労士の仕事です。その為に、コミュニケーション能力やAI時代へのITスキルを磨いていく必要がありますが、大変やりがいがある仕事です。
独占業務と呼ばれる、社労士の有資格者しかすることが許されない仕事が存在することも、社労士の仕事の特徴の1つです。
社労士の独占業務はどんなもの?
社労士にしかできない仕事にはどのようなものがあるのでしょうか。
社会保険労務士法第2条には、労働関係や保険手続きに関して、書類の作成や手続きを代理することを業として行うことができると規定されています。
独占業務はその内容によって、1号業務と2号業務に分けられています。
1号業務
1号業務は、社労士の独占業務であり、労働社会保険関係諸法令に基ずく提出書類の作成及び提出手続き代行業務です。
それらの書類を行政官庁へ提出したり、事業主の依頼を受け主張や陳述を行う事務代理を行ったりします。
2号業務
2号業務は、帳簿書類作成業務です。主なものに、就業規則作成、労働者名簿、賃金台帳作成があります。
このような業務は専門的な知識がなければ行うことができません。精度の高い書類を作成できれば企業からの評価も上がります。
将来性が注目されている3号業務
3号業務は、企業の人事・労務管理上の相談業務に対して適切なアドバイスや指導を行う業務のことで、いわゆるコンサルティング業務です。
近年では、派遣や非正規社員の賃金や雇用の問題などが多く発生しています。又、社員教育や評価制度などの人事問題も多くありますので、社労士の仕事の能力が試されるところではあります。
3号業務は、企業からの相談だけでなく年金問題等の個人の相談にも応じることができます。
社労士の業務の中でも特に将来性が注目されているのが3号業務になります。
社労士の詳しい仕事内容は以下の記事をご覧ください。
現役社労士は将来性をどう見てる?
実際に社労士として活躍されている方は、社労士の将来性をどのように考えているのでしょうか。
資格Timesでは現役社労士の伊計大樹様に、社労士の仕事は今後どうなっていくのかについてお伺いしました!
以下、取材時にいただいた社労士の将来性についての伊計様のコメントを抜粋して掲載します。
社労士資格保持者には「追い風」の状況が続くのではないかと考えています。
昨今の社会状況から雇用の維持のために活用できる雇用調整助成金をはじめ助成金業務のニーズが高くなっていることや、まだまだ従来の給与計算業務や社保手続き業務等の対応のため、採用枠を拡大している社労士法人も多いです。
さらに、勤め先の企業内で勤務等登録を行い「インハウス社労士」として人事労務を担って活躍している方もいます。
また2022年度には、年金制度の大きな法改正も行われるため、年金相談業務に携わる社労士にもスポットライトが当たりそうです。 社労士受験から実務・キャリアまで|社労士YouTuber伊計さんに取材しました!
このように、総じて社労士資格の将来性は高いのではないかと感じていることが伺えました。
社労士の扱う領域のニーズが拡大しているのですから、それと合わせて社労士需要も増大するというのは納得の理由ですね。
社労士とAI
AIが発達し、将来機械に多くの仕事が奪われていくと言われていますが、一方で以下の分野は機械に仕事を奪われにくいと言われています。
- クリエイティビティ系
- マネージメント系
- ホスピタリティ系
以上3分野です。
クリエイティビティ系の側面から考えると、企業と労働者の複雑な相談やデリケートな問題に対して、創造力を働かせて仕事をする社労士の仕事にはクリエイティビティがあると言えそうです。
マネージメント系の側面から考えても、社労士の仕事は当てはまると言えるでしょう。企業を経営するのは社長ですが、その社長と共に企業の諸問題に対処していくのが社労士の仕事であるので、AI時代でも奪われることがありません。
3つの内2つの生き残る仕事をしている社労士の仕事は、将来性抜群の仕事であると言えるのではないでしょうか。
AIに社労士の将来性を聞いてみた!
話題沸騰中のAI「Chat GPT4」に社労士の将来性を聞いてみたところ、以下のような返答が返ってきました。
質問:
社労士の仕事の将来性は?AIの技術進化と絡めて回答してください。
Chat GPT4の回答:
社労士の将来性は、AI技術の進化と密接に関連しています。AIは簡単なタスクや繰り返しの多い業務を自動化する能力があり、社労士の仕事にも影響を与えるでしょう。しかし、人間の専門知識や判断力が求められる複雑なケースや法改正への対応は、AIだけでは解決できない問題が多く残ります。
そのため、社労士は、AI技術を活用して効率的に業務を行い、より高度なコンサルティングや法律サービスに注力することで、価値を提供し続けることができます。また、労働法や社会保障制度は変化し続けており、その対応には人間の専門家が不可欠です。
結論として、AIの技術進化は社労士の仕事を変革するものの、専門知識と判断力を持つ社労士は引き続き重要な役割を果たし、将来性も確保されるでしょう。社労士は、AIと共存し、新たな価値を創造することで、業界の発展に貢献できます。
以上がChat GPT4の回答です。
AIがこれから進歩していっても社労士の未来は明るいと言って良さそうですね!
開業社労士の将来性
社労士として独立開業していくことに不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、心配はありません。毎年のように変わる法律や雇用形態の多様化、社会保険制度の複雑化などは、企業で対処していくには時間とコストがかかりすぎる問題です。
これまでのように独占業務を中心とした収益は見込めませんが、3号業務を中心に活躍できることでしょう。
ただし、3号業務主体で活躍するためには他の社労士との差別化が重要になってきます。
具体的には、どのような業務を取り扱うのかというポジショニングが大切であり、一言で「私は○○専門の社労士です!」といえるようにして、他者と差別化を図れるようにすることが重要です。
また、行政書士等の資格のダブルライセンスや豊富な実務経験など、今後は他の社労士に負けないプラスαの要素が開業社労士に求められるようになるでしょう。
開業社労士の将来性については以下の記事でも考察しています。
結局社労士は目指すべき?
社労士試験に合格する為の必要時間は大体1,000時間必要とされています。1日2時間、休日6時間勉強して330日必要な計算になります。合格までに1年程度はかかると見込んだ方が良いでしょう。
資格取得には多くの時間と努力が必要なので、今の仕事や他の資格と比較して、本当に社労士として頑張っていきたいと思わないとなかなか踏み切れるものではありません。
しかし、上記で見てきた様に社労士の需要は今まさに高まっており、将来性は申し分ないです。
実際、社労士の平均年収は高水準を維持し続けており、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、直近15年の平均年収は約640万円にもなります。独立した社労士の方には年収1000万円超えの人もいらっしゃいます。
将来性を考慮すれば、社労士は努力して目指すに値する資格であると言えるでしょう。
中小企業診断士の方が将来性が高い?
「せっかく資格を取るならできるだけ将来性の高いものを目指したい」
このようにお考えの方もいらっしゃるかと思います。
取得難易度が社労士と同じくらいで、なおかつ社労士よりも更に将来性が高い資格となれば、やはり中小企業診断士でしょう。
中小企業診断士は独占業務こそないものの、あらゆる業種で重宝される経営知識とコンサルティングスキルを身につけることができる資格です。
資格取得を通じて身につけたコンサルティング力・思考力はAIに代替されてしまう可能性が極めて低いので、近年ますます需要が高まっている大人気国家資格となっています。
中小企業診断士の将来性についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
社労士の将来性まとめ
社労士の将来性まとめ
- 独占業務の多くは失われてしまう
- 3号業務の需要は拡大し、今後社労士の主要な仕事となっていく
- ダブルライセンスや実務経験等があると有利
社労士の将来性について説明しました!
AIの登場により確かに失われる仕事は出てきますが、社労士の仕事は機械で簡単に代替できるものではありません。
今、社労士を目指すべきかについて悩んでいる人は、激動の現代においてますます将来性が期待される、この社会保険労務士という仕事に向けて一歩踏み出してみませんか。