中小企業診断士の将来性は?AI時代における需要・評価を徹底考察!
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中小企業診断士
平井東
最近では「今ある国家資格の殆どがAIの登場によって必要性のないものになるだろう」という大胆な予想が様々なメディアを賑わせています。
「中小企業診断士の資格って将来性あるの?」
「中小企業診断士の仕事はAIに奪われたりしないの?」
このような疑問をお持ちの方も多くなっていると思います。
そこで今回の記事では、中小企業診断士の仕事の将来性やAI登場後の需要の動向についてお伝えいたします!
この記事を読んで、中小企業診断士の将来性に関する疑問を一挙解決しちゃいましょう!
中小企業診断士の将来性についてざっくり説明すると
- 中小企業診断士の将来性はかなり高い
- 中小企業診断士の仕事はAIによる代替可能性が低い
- 今後も中小企業診断士の需要は伸び続ける
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中小企業診断士の将来性
中小企業診断士の資格の将来性はどのようになっているのでしょうか。
以下ではこれまでの企業内からの評価や今後の社会的な認知度の変化について解説していきます。
世間的な評価は年々上昇!
中小企業診断士は合格率4%前後の難関資格であり、取得までには1000時間を超える勉強が必要とされるため、今まで資格保有者であること自体が企業内で大きく評価されてきました。
とはいえ、企業内での評価に比べて社会的な認知度はいまだに高くはないという現状があります。
理由は様々ありますが、MBAや弁護士といった資格と比べると、中小企業診断士はまだまだ新しい資格であり、何をやっているのかイメージしにくいということが大きいようです。
そんな中小企業診断士ですが、嬉しいことに、ここ数年で社会的な認知度・評価ともに急上昇してきています。
なんと日本経済新聞が2016年に行った「ビジネスパーソンが新たに取得したい資格ランキング」では、「中小企業診断士」が堂々の一位を獲得しました。
これからは、中小企業診断士の資格自体がより一層必要性の高い、大きく評価される資格となることは間違いないでしょう。
企業内外を問わず評価される
中小企業診断士は、経営課題に対する診断や助言を行うことを主な仕事としています。
そのため中小企業診断士の資格を持っていることは、管理職や経営幹部になるために必要な能力である「マネジメント能力」を持っていることの一つの証明の形になるのです。
最近では、管理職への昇進時や昇給判断の際に、中小企業診断士の資格を持っていること自体をプラスに評価してくれる企業も少なくないです。
このように「中小企業診断士」資格は、昇進・昇給に直結する”コストパフォーマンスが良い資格”といえ、今後のキャリアアップに有意義な資格になっています。
AI時代における中小企業診断士の需要
さて、AIが台頭してくる今後の社会において中小企業診断士はどのように生き抜くことが必要になるのでしょうか。
AI時代の中小企業診断士の将来性や需要の動向について調べてみました。
人の仕事の半分がAIで代替される?
日本最大規模のシンクタンクとして有名な野村総合研究所とオックスフォード大学が2015年に共同で行った提言によると、今後10年で日本の労働人口の49%がロボットやAIといった機械に代用されるだろうと予測されています。
この値は、イギリスやアメリカと比べても高めです。
なぜ日本では半分近くもの労働人口が機械に代用されてしまう可能性があるのかというと、日本には「事務作業」や「ライン業務」など機械化できるはずなのに人の力で行われている業務が諸外国に比べて多いことが原因とされています。
それではAIの登場する10~20年後には、中小企業診断士の将来性や必要性はどのようになっているのでしょうか?
中小企業診断士はAIが登場してもなくならない
結論から言うと、中小企業診断士はAIが登場した未来でも機械や人工知能に仕事を奪われることがなく、非常に将来性があると言えそうです。
次の表は野村研究所とオックスフォード大学が示した、今後10~20年における主たる士業のAIによる代替可能性です。(日経新聞による発表)
士業 | AIによる代替可能性 |
---|---|
行政書士 | 93.1% |
税理士 | 92.5% |
公認会計士 | 85.9% |
社会保険労務士 | 79.7% |
弁護士 | 1.4% |
中小企業診断士 | 0.2% |
このデータを見れば、他の士業と比べて中小企業診断士はAIの登場により仕事を失う可能性が極めて低いことが分かります。
理由は単なる事務作業員や社会保険労務士、公認会計士、行政書士といった他の士業に比べて中小企業診断士が、時代やその時々状況に応じた柔軟な経営戦略の提案をすることができるからです。
また、AIには取引相手の説得や感情の機微を読み取るなどといったコミュニケーション行為が苦手です。
そのため、相手の発言や表情から隠れた需要や問題点を汲み取り、分析することのできる中小企業診断士は人工知能に代替される可能性が極めて低く、将来性のある安定的な資格といえるでしょう。
ちなみに先ほどの野村総研とオックスフォード大学の調査では、提言の最後に「人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業」をピックアップしています。
その中には、あらゆる士業のなかで唯一「中小企業診断士」がランクインしていました。
この点を考えてもやはり、中小企業診断士は将来性や需要があり、大きく活用することができる国家資格といえるのではないでしょうか。
コンサルティング業務は自動化できない
中小企業診断士は経営に関する多様な知識・技術を有しており、他の士業資格よりもコンサルティング業務の割合が多いです。
コンサルティング業務においても、AIが関わる部分は少なからず存在しますが、やはりAIのみで完全に自動化することは不可能でしょう。
中小企業診断士は、このように人間的思考やヒアリング能力が必須となる業務に従事することが多いからこそ、他の資格よりもAIによる代替が難しく将来性も高い、と言えるのです。
中小企業診断士の仕事はAIに奪われるのかをAIに聞いてみた!
資格Timesでは、昨今多くのユーザーを集めているChat GPT4に、「中小企業診断士の仕事はAIに奪われてしまうのか」を聞いてみました。
Chat GPT4の回答:中小企業診断士の将来性は、AIとの連携が重要となります。AI技術がデータ分析や業務効率化を支援することで、診断士は戦略立案やコンサルティングに集中できます。
一方、AIが単純作業を代替することで、求人数に影響が出る可能性があります。診断士は、AIと協働し、コンサルティングスキルや対人スキルを磨くことで価値を高めることができるでしょう。また、中小企業がデジタル化やグローバル競争に対応するため、AIを活用した新たなビジネスモデルや戦略提案が求められます。
以上がAIによる回答です。暗にデータ分析などの単純作業しかできない診断士の未来は危ういことが仄めかされていますね。
AIを単に脅威と捉えるのではなく、業務効率化のための強力な武器として活用していくことで、AI時代でも求められ続ける中小企業診断士となることができるでしょう。
将来的に生き残る中小企業診断士とは?
将来的に評価され、活躍できる中小企業診断士とはどのような能力を持った人なのでしょうか。
ここでは中小企業診断士の現在の仕事内容やAIに代用されない人材になるコツについて考えていきます。
中小企業診断士の仕事内容・独占業務
中小企業診断士の仕事は、主に「中小企業の経営や財務上の課題について適切な診断・助言を行うこと」です。
しかし現状では、経営コンサルティングは中小企業診断士の独占業務とはなっておらず、中小企業診断士の資格を持っている必要性はありません。
つまり中小企業診断士は、弁護士や税理士、社労士などの他の士業の人や一般企業のコンサル部門に勤めるサラリーマンなどに仕事を奪われてしまうことも十分考えられます。
そんな状況だからこそ、中小企業診断士は試験で培ってきた幅広い知識や、個人のアイデア・創意工夫を行う必要性があります。
自分自身のアイデアを生かして他の士業やコンサルタントとの差別化を図り、独自性を高めていくことが評価につながっていく世界といえるでしょう。
また将来的に中小企業診断士は、他の士業だけではなくAIも競争相手となる可能性が高いです。
先ほど中小企業診断士の仕事はAIに代替されにくいとお伝えしました。
しかしながら、中小企業診断士の仕事の中でも、マーケティングやニーズの分析、グラフの作成、財政指標の計算などの計算・解析作業はAIが非常に得意とする分野です。
そのため、現在中小企業診断士の仕事の一部であるこれらの仕事に関しては、10~20年後には人工知能を搭載した機械が担当していることが予想されます。
生き残るのは対話能力の高い診断士
AI時代も最前線で活躍する中小企業診断士に必要な能力は「対話能力」と「概念化能力」の2つだといわれています。
「対話能力」は、社員やビジネスパートナーを説得したり、クライアントが抱える悩みや不安を感じ取り、潜在的な需要を把握するためのコミュニケーション能力を指します。
相手とのコミュニケーションは、相手方が機械を嫌いである場合はこれが成立しませんから機械で代用することができません。
さらに、コンサルティングの現場には直接会ってみて表情の変化や雰囲気からしか感じ取ることのできない「生の声・悩み(=隠れた需要)」というものが必ず存在します。
そういった人脈を介すやり取りの中で、クライアントが抱える言語化できない悩みを引き出すコミュニケーション能力こそ、AIとの差別化につながる、将来的に活躍する中小企業診断士に必須のスキルなのです。
一方、「概念化能力」は物事を抽象的に考えてまとめあげ、本質を見抜く能力のことです。
例えば高級宝飾店の業績が落ちているという状況で、AIがこの会社のコンサルティングをするのであれば賃貸料・広告料の高い銀座や日本橋の店舗を閉めるように提言するでしょう。
しかし、これは「銀座に店を持つ高級宝飾店」という企業自体の拠っているブランドイメージを度外視してしまう提案であり良い案とは言えません。
このようにAIは「ブランドイメージ」や「経営理念」といった抽象度の高い、数値化しにくい情報についての扱いは苦手です。
そのため概念化能力を磨くことで、AIに処理できない需要に対応することができ、将来的に活躍が見込める中小企業診断士になることができます。
中小企業診断士は青天井
中小企業診断士の魅力は、国家が認めた肩書きを使ってフリーランスとして活躍できることです。
もちろん中小企業診断士の資格を取って会社に残る人も多いのですが、自分で独立してコンサル業を始めて高収入を得る方も一定数いらっしゃいます。
フリーランスのコンサルタントの独立後の業務としては、中小企業の海外進出をお手伝いしたり、中小企業の支店増設などの規模拡大をお手伝いしたりするようです。
コンサル業の魅力は何といってもその収益性です。経営者と一緒に頑張り、業績が改善して売り上げが上がれば、数百万円のインセンティブを貰えたりするなどして、年収が数千万円を超えることも珍しくない話です。
自分の頑張りがそのまま給与に如実に反映されていくのがコンサルの最大の魅力といえるのではないでしょうか。
結局中小企業診断士は目指すべき?
結局のところ、中小企業診断士は今から取得するのに適した資格なのでしょうか。
最後に年収やキャリアといった観点から将来性を考えてみます。
中小企業診断士の今後の年収
中小企業診断士の現在の年収平均は、700万円~800万円といわれています。
さらに冒頭でもお伝えしたように社会的な認知度や評価が高まっている現在の状況を踏まえれば、急激に資格としての価値が低下することは無く、年収も現在のような高い水準のまま安定すると考えられます。
また、AI登場後もAIにはできないコミュニケーションスキルや概念化能力を強みにすることで需要が増え続けることが予想されるため、将来性のある職業だと言えそうです。
自分の将来を見据えた選択を
中小企業診断士は、将来性のある国が認めた経営コンサルタントとして需要が高まってきています。
しかし、合格するための勉強量は非常に多く、優秀な人でもしっかりと時間を取って対策を行う必要性があります。
さらに、資格を生かしてお金を稼ぐのであれば、資格取得後も勉強会に参加するなど、自己研鑽を怠らないことが必要になってきます。
実際にこういった努力を積み重ねてフリーの中小企業診断士となり、年収3000万円を達成された方もいいらっしゃいます。
そのため資格取得を目指す際には今の仕事や将来のキャリアを考えたうえで、どれくらいプラスになるのかをしっかりと検討してからにするとよいのではないでしょうか。
中小企業診断士の将来性まとめ
中小企業診断士の将来性まとめ
- 中小企業診断士は将来性の高い資格である
- AIに仕事を奪われる可能性は極めて低い
- 対話能力を磨くことで将来的に活躍できる
中小企業診断士の将来性や今後の需要動向について様々な側面から解説してきました!
昇給や昇進、キャリア形成に有利な中小企業診断士、是非一度取得を検討してみてはいかがでしょうか。