司法書士の人数は増えすぎている?登録者数の推移や増加率から徹底考察!
「司法書士ってどれくらいの会員数がいるの?」
「司法書士の今後の需要について知りたい!」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
司法書士の数は年々増えていますが、それに伴って仕事は無くなっていくのでしょうか?また、今後の需要はどうなっていくのでしょうか?
ここでは司法書士の登録者数や仕事の将来性について解説していきます。
司法書士の登録者数と需要についてざっくり説明すると
- 司法書士の登録者数は毎年増えている
- 法人数も増えているため需要は今後もある
- 司法書士数は今後減少に転じると推測される
- 独立開業だけでなく様々な企業でも司法書士資格は生かせる
司法書士の人数は?
司法書士連合会によると、2021年4月1日時点で日本司法書士連合会に登録している司法書士の人数は22,718人です。
司法書士は今から140年前の明治5年から存在しており、今日に至るまで、業務の幅を広げながら街の法律家として様々な場面で活躍している士業です。
司法書士の人数はどれくらい増えてるの?
年度 | 司法書士の人数 | 司法書士法人数 |
---|---|---|
令和3年度 | 22,718人 | - |
令和2年度 | 22,724人 | 793 |
平成31年度 | 22,632人 | 701 |
平成30年度 | 22,488人 | 662 |
平成29年度 | 22,283人 | 624 |
平成28年度 | 22,013人 | 596 |
平成27年度 | 21,658人 | 550 |
司法書士の数の推移は、こちらの表のようになっています。
受験者数の減少に伴って近年では伸び率は下がってきてはいるものの、司法書士の人数は右肩上がりで増加していることがわかります。
また、合格者数に対して全体の司法書士数の増加数が少ないことから、合格しても司法書士登録をしない人、司法書士登録を解除した人が毎年一定数いることがわかります。
他の士業の人数と比較
では、他の士業と人数を比較してみましょう。
平成31年度の各士業の人数は次のようになっています。
士業 | 会員数 |
---|---|
司法書士 | 22,632人 |
弁護士 | 38,980人 |
税理士 | 78,028人 |
社会保険労務士 | 42,153人 |
行政書士 | 48,768人 |
社会保険労務士や税理士などの他の主要士業と比べても、司法書士の数は少ないことが分かります。
また、業務範囲が近い行政書士と比較すると半分ほどしかいないこともこの表から見て取れます。
各士業の人数の詳細については以下の記事も併せてチェックしてみてください。
司法書士は既に多すぎる?
上の表で見たように、司法書士の人数は年々増えていますが、まだまだ司法書士は飽和していません。
その理由は、会社法が変更されて法人設立が容易になった影響もあり、新設法人数も増加しているためです。 そのため、司法書士の主要業務である登記の仕事は無くなることはないでしょう。
実際に求人数も増えており、司法書士事務所を筆頭に数多くの募集があります。司法書士は貴重な人材であるため、条件面についても、一般の求人より好待遇なものが多いです。
今後は、電子申請の普及により司法書士の仕事がなくなることが懸念されていますが、近年では司法書士の業務も多様化しているため、むしろ新しい仕事が増える早さの方が上回ることが予想されます。
また、今後AIの発展により司法書士の仕事はいずれ消滅してしまう、という意見があります。
しかし、AIは簡単な事務作業や事務手続きを代行することはできても、複雑な法律を理解したり依頼者の相談に乗るなどのサービスはできません。
そのため、司法書士の既存の仕事が減っていますが、その一方で新たな需要も増えていくと予想されます。
司法書士の登録者数は今後どうなるのか
それでは、今後司法書士の登録者数はどうなっていくと予想されるのでしょうか?
司法書士の受験者数は年々減少しており、今ではピーク時の半分しか受験者がいない状況です。
また、2020年時点での司法書士の平均年齢は53.7歳であり、かなり高齢化が進んでいるため、今後司法書士登録をしなくなる方も増えていくことが予想できます。
したがって、司法書士の会員数はこれからは減少に転じていくことが推測されます。
このように司法書士の減少が予想されるのに対して、前述のように司法書士の活躍の場はまだまだたくさんあります。
特に、日本は高齢化社会に突入しており、成年後見に関する登記・相続に伴って発生する不動産登記などは急増する可能性があります。
これらの業務は、高齢化が進めば進むほど需要が高まるため、早い内から知識や実務を仕入れておき、専門的に取り扱うと大きなビジネスチャンスとなり得ます。
つまり、司法書士を目指すのは今後の需要や将来性を考えてもとても良い選択肢と言えるのです。
司法書士は就職・転職もできる?
司法書士試験に合格した後は、司法書士事務所に就職して、経験を積んだ後に司法書士事務所を独立して開業するという流れor就職を挟まずにそのまま開業をするという2つに分かれます。
経験なしに開業するとなると、人脈などが少なく案件を取りづらいため、後者のパターンを検討している人は事前に本当に大丈夫か検討する必要があるでしょう。
以下では、就職パターンを検討している人が押えておきたい、司法書士の主な就職先を2つ紹介していきます。
司法書士事務所
司法書士を取得して真っ先に就職先としてイメージされるのが司法書士事務所です。
多くの司法書士事務所は、不動産仲介会社などと提携して不動産登記に関する仕事をしています。
不動産の売買は時代や地域を問わず行われるため、今後もこの仕事がなくなることは無いでしょう。
不動産登記以外では、法人登記に関することや相続・債務整理に関する手続きを行っている事務所が多いです。
一般企業
多くの大手の企業では、法務を扱う部署があり、法人登記や法律関係の手続きなどを司法書士に依頼せずに自社で全て行っているところが多いです。
法務の部署では、法律関係に詳しい人材が求められるため、司法書士資格を持っていれば就職活動や転職活動を有利に進めることができるでしょう。
大手に限らず、最近は企業のコストカットの面から顧問契約を結ばずに自社完結を目指す企業が増えているため、社内に法務に詳しい司法書士を置こうとする風潮が高まっているのです。
ただし司法書士業務を一般企業で行うことはできないので、あくまで一社員として勤務することになることは知っておきましょう。
どんな人が司法書士になるの?
司法書士に向いているのはどんな人なのでしょうか。
ここでは司法書士の仕事の性質と、どんな人が司法書士として活躍しているのかをお伝えします。
専門知識を元に正確に仕事ができる人
司法書士は法律に関する様々な業務を行うため、仕事の正確性が何よりも求められます。
登記関係などは顧客の財産について取り扱うため、誤りがないように仕事をしていかなければなりません。
書類に不備があったりすると、顧客の利益を損ね信頼を失うなど、取り返しのつかない事態を招いてしまうため、司法書士には細かい作業を繰り返し行うことができる几帳面な人が向いていると言えます。
法律知識が豊富で、勉強し続ける人
司法書士は法律の専門家であるため、当然法律知識が求められます。
しかし、それだけでは足らずコロコロと改正される最新の法律知識を取り入れるなど、常に勉強していかなければなりません。
例えば、民法の大改正などが話題になっていますが、このような法改正に関するニュースには敏感になっておき、常に時事に関心を払うことができる人も司法書士に向いていると言えます。
司法書士の人数まとめ
司法書士の人数まとめ
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司法書士の人数は増えているが、近年では増加率が落ち着いてきている
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不動産登記や法人登記など、活躍できるフィールドが広いので、人数が増えても需要はまだまだある
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高齢化が進むにつれて、成年後見などの業務が増えていく
司法書士の数は年々増えていますが、顧客となる法人の数も増えているため、司法書士が飽和している事実はありません。
むしろ、高齢化やAIの発達に伴い、自分のアイデア一つで司法書士は高年収も狙うことができる仕事なのです。
就職する際にも高い評価を得られ、実務経験を十分に積んだ後は独立開業できるなど、柔軟性もあるためとても魅力的な資格といえます。
司法書士試験に合格するのは簡単なことではありませんが、ぜひ挑戦してみることをおすすめします!