司法書士は「食えない」はウソ!司法書士業務の実態と今後の展望を徹底解説!
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「司法書士は食えないって聞いたから取得するの諦めようかな」
「司法書士の将来性って実際どうなの?」
このような疑問や不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
確かにネットなどで「司法書士」と検索すると「食えない」という単語が出てくるため、不安になるのも仕方ありません。
しかしその噂は真実なのでしょうか?
そこでこの記事では司法書士業務の実態や、AIの登場による変化、将来性についてさまざまな角度から徹底的に解説します。
この記事を読めば、「司法書士は本当に食えない資格なのか?」「今後どうなっていくのか?」など、司法書士の実態が分かるはずです。
司法書士の展望についてざっくり説明すると
- 司法書士の仕事がなくなることはない
- AIが司法書士のすべての業務を担うことはできない
- 今までの司法書士の仕事だけでは難しいのは事実
- 新しいビジネスが拡大している
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司法書士は食えないと言われる原因と実態
司法書士は国家資格の中でも非常に難易度の高い部類に入ります。実際、司法書士は非常に多くの法律知識を持っているため、登記や訴訟手続きなど、幅広い業務に対応することができるのです。
そのため一昔前までは「司法書士になれば一生安泰」と言われていました。
しかし昨今は、そうした評価が一変して「司法書士は食えない資格だ」という声が少なからず聞こえるようになってきています。
ここでは「なぜ司法書士は食えない資格だ」と言われてしまうのか、原因や実態について説明します。
司法書士人数の増加
日本司法書士会連合会のホームページによると、2020年4月1日時点の司法書士数は22,724名、簡易裁判所の代理業務をおこなうことのできる「認定司法書士」は17,475人でした。
2019年4月1日時点と比べると司法書士数は1年間で92名増加しています。
司法書士の人数は毎年右肩上がりで増加していて、1年間で500名ほど増加したこともありました。
司法書士数が増えると当然一人当たりの仕事量が減ったり、就職しにくくなるため、将来を心配する声が出ることがあります。現在も増加は続いているものの、伸び率は下がってきています。
報酬規程が無くなり競争が激化
以前は司法書士の業務は報酬規程が定められていたため、仕事内容あたりに支払われる報酬は一律で、ほぼ同一料金でした。
しかし公正な競争の確保や合理性の観点から、この報酬規制は無くなり、司法書士報酬が完全自由化されたため「価格破壊が起こるのではないか」と懸念されました。
とはいえ、実際は報酬を安く設定する司法書士はそれほど多くなく、基本的には旧報酬規程を参考にして報酬が設定されています。
その一方で少なからず価格競争は行われていて、競争の激化に影響を与えていることは事実です。
機械化やAIの台頭
近年では簡単な行政手続きであればデジタル上で行うことができるようになりました。さらにインターネットの普及によって、誰でも申請方法などを簡単に調べられるようになっています。
それに加えてAIが登場したことで、その流れはさらに加速しているのです。
司法書士業務の中でも、登記の申請方法やひな型をインターネットで調べて、司法書士に頼らずに自分で手続きをおこなう人が増えました。
さらにデジタルファースト法という「行政手続きのオンライン化」を目指す法案まで登場したことで、一部の司法書士業務の存続が危ぶまれていると心配する声が広がっているのが現状です。
従来の士業の役割は失われつつある
一昔前は、一般の人たちは行政への書類作成に対しての知識がなく、調べることも難しかったため、専門知識を持つ士業が代わりにおこなうという役割を担っていました。
一般の人たちと士業では大きな情報格差があったために、士業の存在意義があったとも言えるでしょう。
しかし現在は先ほども述べたように、インターネットの普及により一般の人でも情報を得られるようになった上に、法務局に行けば行政サービスの向上の一環として、丁寧に教えてもらうこともできます。
情報格差が失われつつある現在は、今までの士業の伝統的な意味合いだけで仕事をするのは難しくなっています。
司法書士の「仕事がない」が間違いな理由
上述した原因を聞くと「やはり司法書士などの士業では今後仕事がないんだ」「廃業して就職するしかないんだ」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
上記の説明は全て事実ではありますが、あくまで、「従来の」士業の役割が失われているという話に過ぎず、士業の実態は日々変化を続けているため、全ての仕事が無くなっているわけではありません。
「司法書士は仕事が無いから今後食えない」と言っている人は、実は知識があるわけではないのに昔ながらの印象をベースに語っているケースが多く 、実際に現場で「士業はもうだめだ」と思っている人はほとんどいません。
そもそも無くならない仕事も多い
機械化や電子化で司法書士の仕事に影響があるのは確かですが、無くなるのはあくまで業務内容の一部であり、無くならない業務も多いです。
AIは日々進化していて、昔は人間がインプットした命令の通りに動く単純なものでしたが、最近は人間がインプットした情報だけでなく、AI自ら学習して考えることで、より適切な解を導き出せるようになっています。
そのため「今後AIが進化しすぎたら仕事を奪われるかもしれない」という考えが生まれるわけですが、実際はまだAIが司法書士のすべての業務をおこなうことはできません。
例えば不動産登記ひとつを取っても、AIが不動産の知識がまったくない依頼者から、書類作成に必要な情報を正確に聞き取って、間違いのない書類を作ることは非常に困難な作業です。
依頼者がもし言い間違えや選択ミスをしたり、そもそも質問の意図や必要事項が分からなかったら正確な登記はできないからです。
AIが司法書士のように人間とコミュニケーションを取るのはまだまだ現実的ではなく、さらに司法書士の仕事は複雑な業務が多いため、すべてAIが代替するのは不可能だと言えます。
司法書士の「無くならない仕事」とは?
司法書士の仕事は土地や会社の登記の他に、成年後見制度の代行業務、相続・遺言業務、債務整理、外国人の帰化申請など、多岐に渡ります。
その中でも成年後見制度の代行業務や相続・遺言業務は、高齢化社会の加速に伴って、今後さらにニーズが高まると見られています。
さらに、これらの仕事は依頼者に寄り添うことが重要となります。
老人ホームへの訪問や、家族との連絡をおこなう必要があり、そうした人たちと密にコミュニケーションを取ることは、AIにはできません。
こうした司法書士の仕事は、無くなるどころか今後より増えると考えられているのです。
新しいビジネスが様々生まれている
しかしながら、伝統的な書類作成などの単純な仕事の部分だけでも、機械やAIに任せられるようになったことは、司法書士にとってプラスに働くこともあります。
単純な書類作成などの事務的な仕事が減ることで、より付加価値の高い業務に時間を使えるようになるからです。
例えば小規模会社や個人事業主の会社を対象としたスモールM&Aなどが司法書士の新しい仕事として注目されています。
現在、全国各地の非常に数多くの「小さな会社」が後継者不足による廃業の危機を迎えています。
しかしスモールM&Aをすることによって、廃業の危機を回避して存続できるようになるだけでなく、会社を売却した経営者はお金を得ることもできます。
スモールM&Aに必要なのは「会社法」「金融」「不動産」「相続」に関する専門知識で、これらは司法書士の専門領域です。
上記の例のように司法書士の高度な専門性は、既存の業務にとらわれることなく、枠組みを超えてより付加価値の高い新たな仕事に活かしていくことも可能なのです。
稼いでいる司法書士は忙しい
そもそも仕事が順調で忙しく働いている司法書士は、インターネットなどに「司法書士は食えない」と無駄な書き込みをしている暇はありません。
つまり「食えない」などと書き込んでいる人は、ごく一部の仕事がうまくいっていなくて暇な司法書士であると予想できます。
それどころか司法書士試験に合格できなかった人や、さらには司法書士の仕事のことを詳しく知らない人が想像で書き込んでいる現状も残念ながらあります。
さらに言えばネット上で「司法書士は食えない」「仕事がない」という意見が目立つのは、その事実が珍しく、意外性があって目を引くからに他なりません。
「司法書士は稼いでいます」という当たり前のことをわざわざネットに書き込むことはないからです。
実際司法書士はどれくらい稼いでるの?
2012年の司法書士白書によると司法書士の平均年収は877万円でした。この数字を見れば「司法書士は食えない」というレッテルが実態とかけ離れていることは明白です。
「求人情報では月給20~25万円程度のものが多いじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、これは一般的に司法書士は独立志向が強いため「ある程度ノウハウを学んだら会社を辞めて独立するだろう」と考えられているためです。
さらに司法書士として年収が極端に低い層には、セミリタイア勢や開業後間もない人も多く含まれているため、実際の平均を引き下げている面もあります。
逆に年収1000万円を超える司法書士も大勢います。
ただし、司法書士は一般的に「独立開業」して働くため、資格にあぐらをかいて事務所運営の努力を怠っていれば、当然高年収を狙うことはできません。
それぞれの司法書士によって格差が大きいことはれっきとした事実です。
司法書士の将来性と今後の展望
ここまでの話を見てきてお分かりいただけたと思いますが、司法書士は決して食えない仕事ではなく、今後仕事が無くなることもありません。
しかし、上述したように従来の書類作成のような業務はAIなどによって、どんどん無くなってしまいますし、司法書士の資格を持っているだけで仕事が舞い込んでくるわけでもありません。
変化に対応しながら、仕事を獲得していく努力が必要となります。
司法書士の将来性は高い
先ほどスモールM&Aに関する仕事を例に挙げましたが、それは今後拡大していくであろう司法書士の仕事の一例でしかありません。
「スモールM&Aなど、今後拡大する仕事は司法書士の独占業務ではないので、それらの仕事をするなら司法書士の資格を取らなくても良いのでは?」と考える人もいます。
しかし、こうした新しい仕事に参入しようとした時に任せてもらえるのは、結局「司法書士」という資格が世間から信頼を得ているからに他なりません。
難関試験を突破して司法書士になったことは、しっかり専門知識を学んだことの証明になります。だからこそ、顧客は司法書士を信頼して仕事の依頼をしてくれるのです。
もっとも、司法書士の資格を取っただけで、仕事において知識不足だったり、信頼を裏切るような仕事の仕方では仕事は得られません。
しっかりと「知識」と「信頼」と積み重ねた司法書士は、新しくビジネスチャンスを掴んで事業を拡大する上で非常に強いと言えます。
積極的に動く人がチャンスを掴める
何度も取り上げてきたように、司法書士は既存の独占業務の仕事をするだけでなく、信頼と専門知識を活かして新しい仕事を拡大し、さまざまな仕事をするようになっていきます。
そのため、変化に対応できずに、昔ながらの仕事内容だけをおこなっていこうとする司法書士はどんどん遅れを取っていき、最悪の場合、廃業になることもあり得ます。
反対に自分の強みなどを上手にアピールして自分を売り込める人たちや、アンテナを張って情報を得る努力をしたり、積極的に情報交換をする人たちは、新しい仕事を獲得できるチャンスが多いため成功するチャンスが広がるでしょう。
今後はただ仕事を待っているだけでなく、積極的に動いて自分から仕事を取りに行く努力が必要になります。
結局司法書士は目指すべき?
これまで述べてきた現状を見ると、司法書士は「食えない資格だから諦める」どころか、逆に今がまさに目指すべきタイミングだと言えます。
スモールM&A、成年後見制度の代行業務、相続の生前対策など、司法書士の活動領域は物凄い勢いで拡大しています。
今の現状を理解した上で司法書士になれば、こうした新しい仕事がブレイクしていく波に乗って仕事を獲得していくことができるのです。
司法書士は高度な専門性と世間からの強い信頼を持っているため、今後、仕事内容が変化することがあっても、司法書士という普遍的な価値は変わることはありません。
そのため取得を目指す価値は十分にあると断言できます。
司法書士の今後の展望まとめ
司法書士の展望まとめ
- 司法書士は「食えない資格」ではない
- 積極的に新しい仕事を獲得していくことが重要
- 司法書士の普遍的な価値は変わることはない
司法書士の実態や将来性について様々な面から解説してきました。
今後さらに活動領域が広がって、活躍することが見込まれる司法書士。是非資格取得を目指してみてはいかがでしょうか?