司法書士は仕事がないって本当?司法書士の将来性から廃業率まで徹底解説!

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インターネットの口コミや人のうわさで、「司法書士になっても仕事がない」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

これから司法書士を目指そうという時にこのような言葉を耳にすると、つい不安になってしまう人もいるでしょう。

ここでは「司法書士は仕事がない」と言われる理由や司法書士の将来性の実態、司法書士として成功するためのポイントについて解説します。

司法書士の現状をざっくり説明すると

  • 減っている仕事がある一方で、増えている仕事もある
  • 主な業務範囲として登記や成年後見、債権整理などがある
  • 平均年収は高く、司法書士で仕事がないという人は少ない

司法書士の主な仕事とは

法律家のイメージ

「街の法律家」とも呼ばれる司法書士の業務は多岐にわたっています。

司法書士も含め、弁護士や行政書士といった士業は、それぞれ業務の範囲が決まっています。

ここではまず司法書士がおこなっている主な業務について、いくつかピックアップして確認していきましょう。

不動産登記・会社の登記に関する業務

司法書士の業務の1つが、不動産登記や会社の登記業務です。

不動産登記は、相続や売買などの原因によって土地、建物の権利を変更する必要がでたときに、法務局にある登記記録に原因によって生じた変更内容を記録して、国民に対して情報を公示する制度です。

法務局には、全国の土地や建物の権利者に関する情報が登録されており、一定の料金を支払うことで一般の人でも閲覧が可能になっています。

土地や建物の権利を変更する際に、法務局への登記申請などの必要な手続きを代行するのが司法書士の役割です。

会社の登記は、会社を設立したときなどにさまざまな事項を法務局にある登記記録に記載する制度です。

会社の登記では、商号や本店の所在地、会社設立の年月日などの取引をするうえで重要になる事項を登録します。

司法書士は、このような登記申請手続きの代行をするほかに、企業法務や組織再編といった、商業・法人登記に関する業務にも携わります。登記に関する相談も、司法書士の主要な業務です。

相続・成年後見業務

相続や成年後見業務も、司法書士の仕事に挙げられます。例えば、遺産相続が発生した場合、相続人に代わって必要な各種手続きをおこなうのが司法書士です。

遺言があるときには、司法書士が遺言執行者として遺言書に記載された内容を実行する役割も担います。また、認知症の高齢者などを対象におこなうのが、成年後見業務です。

成年後見業務は、病気や老齢、障害などで判断能力が不十分になった依頼者のためにおこなう業務です。

依頼者が不利益を被らないよう、財産管理を行う成年後見人としての役割を担うのも司法書士の仕事の1つになっています。

成年後見業務には、家庭裁判所を通す法定後見制度と任意後見制度があります。

司法書士は、いずれのケースでも後見人を務めることが可能です。平成27年に最高裁判所が発表しているデータによると、親族以外の成年後見人の選任割合では司法書士が最も大きくなっています

裁判業務

裁判所に提出する書類を作成するのも、司法書士の業務です。

司法書士が作成する書類には、民事訴訟に関する訴状や民事調停における申立書、家庭内のトラブルに関わる書類などが挙げられます。

このほかにもさまざまな書類の作成を代行しており、司法書士が取り扱う文書の種類は多岐にわたっています。

司法書士は、裁判の際には書類作成が主な仕事です。そのため、法律で定められた範囲を超えて交渉などをおこなうことはできません。

ただ、簡易裁判所の訴訟代理人の認定を受けた司法書士(認定司法書士と呼ばれます)に関しては担当できる業務の範囲が少し変わります。

簡易裁判所の訴訟代理人として法務大臣の認定を受けた司法書士は、訴訟の目的であるものの価値が140万円を超えない民事事件であれば、簡易裁判所で当事者の代理人を務めることが可能です。

この場合、簡易裁判所での民事訴訟の手続きはもちろん、和解交渉の手続きなどもおこなえます

債務整理業務

司法書士は、債務整理業務もおこないます。債務整理は、多重債務などに陥って借金が返済できなくなった人のために、法律のプロが債権者と交渉したり法的な手続きを行ったりすることです。

このような債務整理で借金返済の負担を減らすのが、司法書士の業務です。債務整理のうち、司法書士は任意整理と過払い金請求をおこなうことができます。

「裁判業務」の項目で紹介したように、訴額が140万円以下のケースに限っては代理人としての業務も可能な場合が多いです。

このような案件でどの時点まで司法書士が担当できるかは、ケースバイケースです。

例えば、控訴になったときには地方裁判所で引き続き審理がおこなわれるため、途中で弁護士などに業務を引き継がなければならないケースもあります

ちなみに、破産手続きや個人再生手続きにおいては、書類の作成業務が担当できます。

「司法書士になっても仕事がない」といわれる理由

仕事 「司法書士になっても仕事がない」といわれてしまうのには、いくつかの理由が考えられます。2つの理由について、ここでは説明します。

資格さえあれば稼げるという思い込み

理由の1つは、司法書士の仕事について「資格さえあれば稼げる」と単純に思い込んでいる人がいることです。

司法書士試験は合格率が低い難関の国家資格ですが、試験に合格したからといって楽して稼げるわけではありません

自分を信頼して仕事を依頼してくれる人がいなければ、収入を得ることは難しいでしょう。

実際、稼げない理由は、仕事が減っているからではなく、司法書士自身の営業力や経験不足が原因という場合がほとんどです。

資格取得後に順調に収入を得ていくためには、少しずつ経験を積んで、新規顧客を獲得するためのノウハウをしっかりと身につけることが大切です

売上目処や計画性の甘さ

売上目処をつけていない状態で仕事を始めたり、計画性が甘かったりすることも、稼げない理由の1つです。

実際、開業してもなかなか仕事が得られない場合、売上目処のつけ方や計画性が甘かったことが原因になっているケースも少なくありません。

経験を積み、さらに仕事や収入を増やすために開業を目指す司法書士も多いですが、スムーズに収入が得られないケースがあることは、あらかじめ知っておいたほうがよいでしょう。

例えば、人口が少なく、土地の売買もあまりない地域で事務所を構えたときなどは、見込んでいたほど仕事が入ってこないことも考えられます。

こういった地域では、事務所の賃料や家賃は安く済むかもしれません。ただ、土地の売買が少ないため、登記などの司法書士の業務が減る可能性があります。

「開業する地域での人脈がない」や「同業者が多い地域で開業した」なども、仕事が少なくなる原因の1つです。

このほか、「営業スキルが欠けている」や「ブランディングができていない」といった原因も考えられます。

開業資金の不足などは廃業に繋がりかねない問題になるため、要注意です。

司法書士の現状と将来性

未来のイメージ 司法書士を目指すうえでは、仕事を始めてからの見通しもチェックしておいたほうがよいかもしれません。

業務のニーズがあるかどうかや仕事をするうえでのリスクなどは、将来性を考えるときの1つのポイントです。

以下では司法書士の仕事に影響を与えている現在の日本の事象をお伝えします。

廃業率は低い

司法書士になった人の多くは将来的な独立を検討しているのではないでしょうか?

一方、この選択肢は行政書士など他の士業では廃業の可能性が高い選択肢であるといえるため、リスクも常につきものです。

ただ、司法書士の場合は数ある士業の中でも低い廃業率を誇ります。

これは、司法書士事務所が特別な設備を必要としないため、特別高い維持費を必要としないからであるといわれています。

また、廃業の背景にはただ仕事がないといった外部要因ではなく、計画性なく楽観的開業に踏み切ったことや、顧客への営業を十分に行えていないことなどが挙げられます。

よって、現状として廃業のリスクは比較的低く、またそのリスクは事前の入念な準備によりさらに低いものに抑えることができるのです。

超高齢化社会における代理業務の増加

司法書士の仕事に影響を及ぼすと予想されるのが、日本の超高齢化社会です。

高齢者人口が増える超高齢化社会になると、将来、成年後見制度に関する司法書士の代理業務が増加する可能性があります。

高齢化社会が進んだ場合、認知症になる高齢者が増えてくる可能性が高いです。

認知症の人は、病気の影響で判断能力が低下しているケースが少なくありません。不動産や保険の契約をするときなどに判断能力が乏しいと、不利益を被ることもあるのが問題です。

また、判断能力が低下している場合、遺産相続や財産管理の際にも自分の意向とは異なる結果になってしまうかもしれません。

高齢者や認知症の人などが不利な立場にならないようにサポートをすることは、司法書士の1つの役割です。

法定後見制度のニーズはもちろん、任意後見制度のニーズも高まると予想されるため、司法書士は社会において重要性が高い仕事になるでしょう。

AIの普及により登記業務の減少

成年後見業務の増加が見込まれる一方、司法書士の主要な業務だった登記業務は減少する可能性があります。

実のところ、不動産登記や商業登記の件数は、約10年間で30パーセントほど減少しています。平成19年に比べて平成28年は登記件数が少なくなっており、司法書士の仕事に大きな変化が現れ始めている状況です。

登記件数が減った理由には、景気の低迷が挙げられます。リーマンショックなどは、登記件数にも少なからず影響を与えている可能性があるでしょう。

また、少子高齢化による国内人口の減少も理由の1つです。人口が少なくなって不動産のニーズや法人の数が減ったことは、登記件数の減少にも関わっています。

このような状況に拍車をかける恐れがあるのが、AIの普及です。

人工知能であるAIは、人間に代わって事務手続きを始めとする業務の代行が可能になっています。

登記用のソフトウェアなども登場しており、今後は司法書士がおこなう登記業務がさらに減っていく可能性が高いです。

仕事は減っていく一方ではない

このように司法書士の仕事の一部は少子化やAIの登場などによって減っているものの、一方で成年後見などの新しい仕事が生まれてきているのも事実です。

さらに近年では司法書士業界全体が独占業務以外でも積極的に専門性を生かして活躍するようになってきており、司法書士の収益源はむしろ増えているのが現状です。

司法書士の将来についてより詳しく知りたい方は、以下のページを参考にしてください。

司法書士の平均年収から将来性を考察

収入のイメージ 司法書士白書によると経営者司法書士ではない方の平均年収は300~600万円のレンジが最も多いです(2021年時点)。

ほかの士業の場合と同様に、司法書士も営業をする地域や所属する組織の規模によって年収に差が見られます。

司法書士の勤務先として多いのが、個人経営の司法書士事務所や司法書士法人などです。

複数の司法書士が合同で事務所を営んでいるケースも多く、所属する組織の規模はその人によってさまざまです。

自分で開業している司法書士の場合、上記の勤務司法書士よりも年収が高いケースもあります。

取引先や引き受ける仕事の種類を自由に選べるのが、自分で開業した場合のメリットです。

選び方によっては、一般の司法書士よりも年収が大幅にアップするかもしれません。実際、1,000万円以上の年収を得ている司法書士も多くいらっしゃいます

こうした現状を考えれば、司法書士が「仕事がない」というのは事実に即した話ではないと言えるでしょう。

実際、司法書士の将来を嘆いている人の中に現場の人間はほとんどおらず、司法書士の仕事の特徴やそれを取り巻く環境から外部の人が考察しているに過ぎないケースが多いです。

司法書士で成功するためのポイント

乾杯の画像 司法書士で成功するには常に事務所運営のことを考え惜しまず努力することが何より大切になります。

ここでは成功するうえで押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

営業スキルを身につける

司法書士として成功するには、営業スキルを身につけることが1つのポイントです。

司法書士の場合も、優秀だからといって必ずしも仕事が多く、稼げるとは限らないのが難しいところです。

司法書士として優れていても、営業スキルがないと仕事が獲得しにくいことがあるかもしれません。

事務所に所属している場合、営業を担当するスタッフが取ってきた仕事をこなすだけという司法書士もいます。

司法書士法人などの大きな組織に所属しているときは、自分に与えられた仕事を淡々とおこなっている司法書士もいるでしょう。

このようなスタイルで仕事を続けていると、独立開業するときに不便を感じる可能性があります。

高収入を目指して独立する場合、営業も自分でこなさなければなりません。新規顧客を開拓する能力や宣伝する力などがないと、仕事を多く獲得するのは難しいでしょう。

仕事を増やすには、営業スキルを身につけることが大切になってきます。

人脈を大切にする

経験や人脈を大切にすることも、司法書士の仕事で成功するためのポイントです。

独立開業をした場合、新規の顧客を自分で開拓していく必要がでてきます。新規顧客を獲得する方法として有効なのが、すでに顧客になっている人から紹介してもらうやり方です。

自分の知り合いなどに事務所をおすすめしてもらえれば、以後も順調に顧客が増えていく可能性があります。

しっかりと仕事をこなしていると、同業者や関連会社から顧客を紹介してもらえるケースもあるかもしれません。

仕事に役立つ情報が得られることもあるため、顧客や同業者、取引先といった人脈は大切にしておきたいところです

同業者や取引先などが集まるイベントに参加したり、人脈を通じて事務所を積極的に宣伝したりすることも、顧客を増やすためのアプローチになるでしょう。

専門性や強みを持つ

司法書士の仕事で成功するには、専門性や強みを持つこともポイントになるでしょう。

司法書士の有資格者は、全国に大勢います。自分の事務所を顧客に選んでもらうには、専門性や強みを持つのが有効なアプローチです。

成年後見業務や債務整理業務などは、司法書士のブランディングに役立つ分野になるでしょう。

独立開業したときには、とくに事務所のブランディングが重要です。分野を問わずにさまざまな案件をこなしていると一時的に仕事量は増えるかもしれません。

ただ、こういった状態を長く続けているときには、顧客の印象に残りにくい可能性があります。

新規開拓や紹介へ繋がらないと最終的に仕事がなくなってしまう可能性が高いため、注意が必要です。

数ある選択肢から顧客に選ばれる司法書士になることが、成功するためには大切です。

営業スキルや人脈が大事!司法書士として成功しよう

司法書士は仕事がないのか まとめ

  • 仕事がない人は甘い見通しの下動いてしまっている
  • 資格を取ったからといって楽して稼げるということではない
  • 司法書士として活躍するためには積極的な営業も大切

司法書士の仕事は、登記業務のように分野によっては案件数が減っているケースもあります。

ただ、高齢化社会を迎えることで需要が高まっている成年後見業務のような案件も見られます。

司法書士として成功するうえでは、基本的な業務遂行能力はもちろん、営業スキルや人脈も大切です。

資格を取っただけで満足することなく、スキルを磨いたり人脈を築いたりして、確実に成功をつかんでいきましょう。

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