行政書士には需要がないって本当?業務の将来性や今後増える仕事を徹底解説!
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「行政書士の需要がないって本当?」
「行政書士の将来性は大丈夫なの?」
ネット上では「行政書士には需要がない」といった意見が散見されますが、これらは本当なのでしょうか。
行政書士とはいったいどんな仕事をしているのか、どんな将来性があるのかわからないまま資格を取るのは不安ですよね。
ここでは行政書士の需要の実態や今後成長が期待される分野について解説します!
この記事を読み終わるころには、行政書士という資格が持つ魅力や将来性についてよく分かるはずです!
行政書士の需要についてざっくり説明すると
- 行政書士は官公庁へ提出する書類手続きのプロ
- 行政書士の人数は年々増えているが、担当できる業務も増えている
- 特定行政書士になれば不服申し立てもできるようになった
- 企業のコンサルタント業務や、特定分野専門の業務に特化することができる
- 地域に密着した業務で安定した需要を見込むこともできる
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行政書士は需要のある仕事なのか
「行政書士は需要がないからなっても無駄」ということを言う人はネットのブログやSNSなどでチラホラ見られます。
このような意見を目にしてしまうと、長い勉強時間と労力に見合う仕事ができるのか、不安になってくる人も多いでしょう。
以下では行政書士の需要について徹底検証していきます。
行政書士は激戦状態
行政書士は受験制限がなく、誰でもチャレンジできるハードルの低い資格です。
学生から60代の人まで、学歴や年齢を問わず受験することができるので、資格を取ろうとする人がとても多いです。実際のところ、行政書士試験の合格者はここ10年間で20%増加しています。
しかし、行政書士の有資格者の人口が増え続ける中で、人口減少や各種業務の電子化に伴い、行政書士業界全体で業務が減少しています。
そのため報酬単価も下落し、競争はますます激しくなってきています。
競争激化の証拠として、行政書士の平均年収は600万円程度ですが、収入格差がとても大きくなっています。稼げる人は年収5000万円も稼げますが、年収200万円程度しか稼げない人もいます。
それでも減らない需要がある
行政書士業界は非常に競争が激しいものの、業務自体は無くなることはないでしょう。行政書士は、「書類作成のプロ」と呼ばれるほど、取り扱える書類の種類が豊富である点が魅力です。
行政書士の仕事は、官公庁への書類申請という方式が無くならない限り、必ず一定数の需要はあります。
複雑な書類手続きを自力でこなせる人は少ないからです。そのうえ行政書士は、「会社設立の手続き」「遺言書」「飲食店開業の手続き」「契約書各種」「建設業の許可」「外国人の労働ビザ」といった1万種類以上の官公庁への申請代行を行うことができるため、行政書士という職種自体が潰れる心配はありません。
また、行政書士と司法書士は良く似ているようにみえますが、司法書士は、登記や供託、相続のスペシャリストです。
株式会社設立に不可欠な商業登記、不動産登記や相続登記などが業務の範疇となるので行政書士とは被らず、すみわけがきちんとなされています。
よって、「司法書士を取れば行政書士の資格はいらない」という意見も誤っていることがわかると思います。
法改正で業務範囲拡大も
かつては行政書士の担当可能業務は7000種類でしたが、現在は1万種類を越えています。業務範囲が拡大した理由として、法改正により外国人受け入れやドローンの許認可申請などを行えるようになったことが大きな要因です。
しかし、行政書士は行政手続き全般を担当していますが、業務範囲が広い分他の法律系の資格との業務範囲との重なりも大きくなっているため、仕事を奪われないように注意しなければなりません。
ただ、行政書士も弁護士の仕事の一部を担当できる制度ができました。2014年に新設された「特定行政書士」といって、官公庁への不服申し立てができる資格です。
研修の後に試験に合格する必要がありますが、行政への申請を行った行政書士本人が不服申し立てまで担当できるため、取得することで損はないでしょう。
行政書士の将来性は?
行政書士同士の競争が激化していたり、法律系の国家資格での仕事の重なりなど、仕事の奪い合いになっています。
そんな中で、書類手続き以外の行政書士の仕事の将来性はどのようになっているのでしょうか。
機械化により二極化が顕著に
最近では、行政書士のメイン業務である申請書の作成は、PCなどを用いて電子申請を行うことができるようになってきています。
ネットでの知識をもとに少ないながら自力で書類を作成する人も増えているため、行政書士への依頼が減っていくかもしれません。
また、今後人工知能などを導入して自動申請書作成が始まってしまうと、申請業務の殆どは最初から最後まで機械任せで行うことができるようになってしまいます。
そうなれば、資本力のある大手事務所がPCを使った効率的な業務で顧客を独占し、申請業務しかできない個人営業の行政書士はすぐに稼げなくなってしまう可能性すらあるのです。
コンサルティングは生き残りのカギ
書類手続き以外の業務を生かして生き抜く上で必要なのは、機械には出来ない業務をして差別化を図ることです。その代表例として「コンサルティング業務」が存在します。
もともと行政書士は会計記帳、決算、財務諸表の作成など会計業務に携わることができます。また、トラブルを未然に防ぐ予防として企業をサポートすることもできるのです。
権利義務や内容証明書・遺産分割協議書・各種契約書などの作成、提出は行政書士の仕事の範疇です。
コンサルタントに必要なスキルは、対話をベースにクライアントの本当の悩みを感じ取り、経営やマネジメントなどの専門知識を活かしてアドバイスすることです。
中小企業に対して法務的観点から幅広いアドバイスが行える上、近年では電子申請の開始によりIT対応の申請が増加しています。
人工知能には真似することができないため、今後人工知能が業務に参入しても重要になってくることが予想されます。
今後に来そうな分野
行政書士は法改正で業務範囲が増えてきたことは上記の通りです。今後の法改正により新しい業務が生まれそうな分野として、ADR(裁判外紛争解決)や、外国人受け入れの申請についてのトラブルがあります。
ADRとは「裁判に代わる紛争解決」で、主にネット取引で用いられます。
ネット取引は取引金額が少額で遠方との取引も多いことから、裁判による解決が非常に難しいのが特徴です。
特に国をまたがった取引であればなおさらで、簡易で迅速・低コストの紛争解決手段として、注目されているのがADRです。
外国人の受け入れについては、外国人を雇用する際に必要となる入国管理局への申請手続などを行うことができます。
また、特定行政書士になれば不服申し立てまで行えるため、就業や起業などのサポートも一人でこなすことができます。
仕事にオリジナル分野をもつ
では、コンサルティング業務のようなコミュニケーションが苦手な人や、外国語が苦手な行政書士は今後生き残れないのでしょうか。
そのようなことは決してなく、他の人たちが参入していないオリジナル分野を持つことで生き残れる可能性があります。
コンサル業務以外にも差別化戦略はある
企業のコンサルティング業務を受け持つこと以外にも行政書士として生き延びるための差別化戦略はたくさんあります。そのひとつとして、ある特定の分野に特化して専門家になることでその市場を独占できるでしょう。
例えば、「スポーツ」「交通事故関連」「環境問題」「介護福祉」「宇宙産業」などは分野として存在するものの参入の敷居が高いため、なかなか専門家がいない分野です。
他の人たちが参入する前に専門家となって開拓することで、その分野での業務を望む顧客を総ざらいできる可能性があります。
専門分野に精通しておくことで、新しくその業界に参入したい企業や特定分野、たとえば介護業界の会社と取引を持ったり、交通事故専門の弁護士と組んだりすることで生き残ることも可能でしょう。
特に、他の弁護士や司法書士たちと一緒に事務所を作り、どのような依頼でも対応できるようにしている士業が最近は多くなってきています。
地域性を活かした戦略も
もう一つの差別化戦略として、地域のニーズと徹底的にマッチした仕事を行うという戦略があります。もともと行政書士は「法律関係の何でも屋」であることを利用して、その地域での申請を一手に引き受けるのです。
たとえば街中や繁華街に事務所を構える場合なら「飲食店や喫茶店の開業申請」を手がけたり、住宅街に事務所を構える場合なら「離婚問題」「相続問題」を取り扱います。
また、建設業が街の主要産業になっている所では「建設業の許認可」、薬局や病院の多い町では「薬局新規出店手続き」などを専門としてみたりと、地域の主要産業やニーズに寄り添ってビジネスを行うことで、継続的な需要を得ることができるでしょう。
行政書士の需要と将来性まとめ
行政書士の需要と将来性まとめ
- これからも法改正で多くの業務が解禁される可能性がある
- 外国人雇用やネットビジネスにおいての問題解決など、従来にない需要が発生している
- 専門分野を持つことで、コンサルタント業務が苦手でも生き残りの道はある
行政書士ができる仕事の範囲や、法改正で多くの業務を担当できるようになったこと、企業のコンサルタントや街での法律の専門家になるなど、多くの需要があることを解説してきました。
他の法律系国家資格と競合することもありますが、やり方によっては安定した需要と収入を得ることができるでしょう。
行政書士は「書類申請のプロ」です。何かを申請しなければいけない時には必ずそこに需要が発生します。
自分の得意なこと、開業している場所で顧客を呼べそうなことなどを考えてみると、需要がないかもしれないという不安はなくなるでしょう。