行政書士の資格取得って時間の無駄なの?資格の価値や役に立つ機会を紹介

更新

この記事は専門家に監修されています

行政書士

宮城彩奈

「行政書士の資格って本当に価値があるの?」

「行政書士に向けた勉強って時間の無駄なのかな・・・」

行政書士の資格取得を考えているけれど、一部では意味ない資格と言われていたりしていて、努力が無駄になるのではと不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん行政書士の資格が無駄なんてことは一切ないわけですが、このように不名誉な噂が流れてしまうのには理由があります。

そこでここでは行政書士資格の取得がなぜ時間の無駄と言われているのか、また実際に行政書士の資格はどのように役に立つのかについて解説します!

行政書士の実態や魅力をざっくり説明すると

  • 行政書士は誰でも簡単に取れるような資格ではない
  • 機械化やAIで仕事が失われるという噂の信憑性は高くない
  • 社会的な信頼度の高い士業系の国家資格である
  • 食える行政書士も非常にたくさん存在する

このページにはプロモーションが含まれています

行政書士を取ることは時間の無駄?

時計と植木鉢 行政書士は「頼れる街の法律家」とよばれ、官公庁に差し出す書類の作成・提出を独占業務としています。

行政書士になるためには年に1度しか行われない行政書士試験に合格する必要がありますが、これは例年合格率が10%程度の難関試験です。

一般財団法人行政書士試験研究センターの令和2年行政書士試験実施結果によれば、この年は10.7%の合格率でした。

官公庁に提出する書類は複雑で知識のない人にとっては非常に分かりにくいので、行政書士を頼りにしている顧客は多く存在します。

そういった需要の高さにも関わらず、世間では低評価の声を聴くこともままあります

ここではなぜ行政書士資格が価値のない資格と言われてしまうのか、その原因に詳しく迫ります。

行政書士=誰でもとれる資格なのか

行政書士資格が「食えない」「意味ない」資格と言われてしまう理由の1つに「誰にでも取得できる資格である」というイメージがあることが挙げられます。

というのも行政書士は公務員として長期間勤めれば無試験で行政書士資格を手に入れることが出来るなど、国家試験に合格せずとも取得できる道がいくつかあるからです。

また、資格試験そのものも弁護士や公認会計士など他の士業の資格と比べると少ない勉強時間で合格が目指せることや、受験者数が多いために合格者数も他士業と比べて多いことも理由の一つでしょう

就職に役立たないから意味がない?

行政書士資格の取得が時間の無駄と言われてしまう理由の2つ目としては「就職に役立たない」と思われていることが挙げられます。

そもそも行政書士は本来独立開業型の資格ですから、あまり就職を意識する必要はなく、したがって就活を行う際に直接的なアピールになることは多くはありません

そのため特に実務で活躍が見込める簿記や宅建士といった資格と比べると、どうしても就職に役立たない無駄な資格というイメージがついてしまいやすいのです。

もちろん行政書士資格の認知度が高く、人事の目からすると難関試験を突破したという能力の高さや努力できる姿勢は評価してもらえるので、必ずしも就活で役に立たないとは言えないでしょう

給料アップにつながらない

行政書士事務所での給料は一般企業と殆ど差がありません。

企業に勤めている人が行政書士の資格を取得することで給料がアップすることはほとんどありません。

なぜなら行政書士の資格が独立・開業に向いているからです。

実務能力が無く潰れることが多いのか

行政書士の資格が無駄と言われてしまう理由の3つ目が「すぐに廃業してしまう行政書士が少なくない」からです。

即戦力を求める行政書士業界では大抵の場合、資格を取得したばかりの新人は事務所で雇用されにくいので、なかなか経験を積む場を得るのが難しい現状があります

実際行政書士だけを募集している事務所は全国的に少なく、300~400件ほどと言われています。

そのため職を得ようと焦ってしまい、実務経験ゼロで十分な知識を持たないまま事務所を開業してしまうケースもあるのです。

いきなり開業はやはり難易度が高いので、結果的にうまくいかず廃業してしまう新人行政書士も少なくないのは事実です

よって、若手のうちに実践の場を数多く踏めるかでその後の開業の成否が大きく違ってくるでしょう。

日常的な問題の解決を一人でできるようにはならない

日常のトラブルを行政書士の資格を通じて自分1人で解決することは難しいです。

なぜなら、実際に発生する問題が複雑な要因が重なり合って生じているからです。

ただし、自分が法律のトラブルに巻き込まれたり、家族や知人がトラブルに巻き込まれた際に、相談したり、対策を考える手助けをすることはできるようになります。

機械化していく社会では夢がない?

行政書士の資格が「食えない」と言われてしまう理由の4つ目が「書類の作成や記入も機械が行うようになっていくから行政書士は未来がない」と思われているからです。

機械化により書類作成の仕事自体は減っていき仕事の単価も低くなっているため先細りの職業といった印象を受けやすいのでしょう

ちなみに行政書士の仕事の一部が機会やAIによって代替されていくのは事実ではあるので、この印象が全く間違っているとは言えません。

一方でこうした言説には機械化やAIのための法整備に対応する新たな業務が増えることを考えていなかったり、仕事のごく一部が失われていくことを誇張して表現しているものも多いです。

そもそもこうした言説は危機感を煽って注目を集めるのが目的ですから、鵜呑みにして、過度に信じるのは避けるのが無難でしょう。

主婦が目指す資格ではない?

行政書士は比較的取得難易度が低い資格であるので、主婦の方で挑戦されている方も多くいらっしゃいます。

そんな時に決まって周りの人から聞かされるのが「今更大企業の法務部や省庁に行くわけでもないし資格をとっても意味がない」という意見です。

このような意見は上述したように、行政書士資格が独立・開業してからこそ生きてくる資格であり、パートやアルバイトでは資格による優遇措置があまり期待できないことが起因しています。

実際はとっても価値ある資格

高いステータス 「苦労して行政書士の資格を取るなんて、金にならないし時間の無駄だよ」といった意見が目立ちますが、本当にそうなのでしょうか。

実は、行政書士でないと出来ない独占業務もいくつかあるのです。

行政書士には「行政書士法1条の2」に記されているもので、以下の業務は行政書士でないと報酬を貰って実行できない業務となっています。

行政書士の独占業務

  1. 官公庁へ提出する書類の作成(営業許可届け等)
  2. 権利義務に関する書類の作成(会社定款等)
  3. 事実証明に関する書類(車庫証明等)

このように独占業務が課され、需要は常に一定数保証されていることから、価値の大きい資格であるといえるでしょう。

就職ではなく転職で役立つ

行政書士の資格は行政手続きに対する知見があり、民法や行政法などの法律の知識も有しているという証明になります。

行政書士事務所や税理士事務所、弁護士事務所や司法書士事務所・特許事務所ではこうした専門性は高く評価されるので、転職する際に強力な武器となるでしょう。

また、大手の企業では法務部や総務部に法律担当の社員を募集しているところもあります。企業側としても行政書士を雇用することで行政手続きや顧客からの法的な相談の処理が任せられるというメリットがあるからです

大手の企業は官公庁に提出する書類も多いので、採用されるチャンスも高まるでしょう。

社会的な信頼はピカイチ

行政書士は士業の一つです。そもそも名前から弁護士や司法書士と並ぶ地位を持っていることが確認できます。

行政書士として会社の顧問ともなると「先生」と呼ばれるようになり、社長や社員から絶大な信頼を得ることもできる職種です

また最近では地位向上運動も行われたことで、行政書士が士業系の国家資格であり許認可申請のプロであることが更に認知されてきました

行政書士にとってますます活躍しやすい環境が整ってきているといえるでしょう。

身近なトラブルにとっても役立つ

独立開業する予定がなければ行政書士をとっても意味もない、という声もあるものの、例えば主婦の方でも行政書士の勉強をすることには大きなメリットがあります。

行政書士試験のために勉強した民法や行政手続きのやり方については、人生誰もが一度は遭遇する「離婚・結婚問題」「相続問題」などに巻き込まれたときに非常に役に立ちます

当然こうした知識は自分のために利用するだけでなく、友人や親族がトラブルに巻き込まれた際に相談に乗るといったことにも活用できます

法律を学ぶということは人生において極めて有意義なことであり、無駄なことは一つもないのです。

誰でも取れる資格ではない

確かに行政書士は「弁護士」「公認会計士」などの国家試験と比べると取得の難易度は低いかもしれません。しかし、合格率は10数%ほどで「働きながら目指せる資格としては最難関」とも言われています。

行政書士試験は、幅広い法律知識や行政手続きに関する知識を習得し、それを実務に活かす能力を要求されます。また、試験の難易度自体も高く、過去問を解いたり過去の合格者の体験談を参考にしたりしながら、継続的な学習と対策が必要です。

さらに、合格に向けての勉強を仕事や日常生活の中で両立させるというのは容易なことではありません。時間のやりくりや集中力の確保、効率的な学習法の模索など、自己管理や時間管理のスキルを磨く必要があります

そのため、行政書士資格を取得するには、それなりの努力と専門知識の習得が求められます。単に難易度が低いと言っても、誰もが簡単に合格できるわけではありません。真摯な姿勢と粘り強い努力が必要です。

行政書士資格は、その取得に向けて挑戦する人にとっては、一つの目標となります。その過程で得られる知識や経験は、個人の成長やキャリア形成に大きく寄与することでしょう。 決して誰もが合格できる資格ではありません。

資格取得に向けて頑張る経験が財産となる

資格取得のためには、合格を勝ち取るために試行錯誤しなければなりません。行政書士資格は確かに容易ではない資格です。

日々忙しい中でも、自己管理や時間管理のスキルを駆使して勉強を続け、合格を目指しました。その過程で、数々の困難や挑戦に直面し、それらを乗り越えるために努力しました。その結果、合格を勝ち取ることができたという経験は、私にとって大きな財産となりました。

このような経験は、将来のキャリアや人生においても大いに役立ちます。自己管理や時間管理のスキルは、どの分野においても必要不可欠な要素です

また、困難に立ち向かい、目標を達成するための戦略や行動力を身につけた経験は、自信や信頼性を築く上でも大きなアドバンテージとなるでしょう

資格取得の過程での試行錯誤と努力は、あなたが持つ財産となります。それは、頑張り抜いた証として、将来のさまざまな挑戦において勇気や意欲を養い、成功に向けて前進する原動力となることでしょう。

「食える」行政書士が意識していること

稼げる仕事

「食えない資格」と称される行政書士の中にも年収1000万円以上稼ぐ人はたくさんいらっしゃいます。

そういった方々は「ただ資格をもっているだけでは客は来ない」ということを自覚したうえで、顧客獲得のために様々な工夫を凝らしているのです。

以下では顧客獲得のための基本的な工夫についてご紹介します。

エキスパートかジェネラリストか

稼げる行政書士の多くが、「相続分野のスペシャリスト」「外国人関係の申請は私にお任せ」など自分の専門分野を決めて自分を売り込んでいっています

得意分野を決めておくと仲間の行政書士から自分の得意分野と関係の深い仕事が回ってくる可能性も高くなります。

一方であまり分野を絞りすぎるというのも考えものです。当然扱える分野が多い方が顧客も取りやすいので、複数分野に対応可能な万能行政書士も増えてきています。

もちろん複数分野に専門的に対応するためには、それだけの実務経験や知識が必要になるということは注意しなければなりません

このエキスパートとジェネラリストのバランスのとり方が、非常に重要になるといえるでしょう。

付加価値を付け足してみる

稼げる行政書士は、自分の得意なことと行政書士の仕事を融合させて差別化を図ることで仕事を獲得していることも特徴として挙げられます。

例えば、ドローンなどの電子機械いじりが趣味だった行政書士が、もともとの行政書士としての得意分野である営業許可申請手続き分野とドローンを融合させてドローンを使ったビジネスの許認可権取得支援という形で多くの顧客を獲得したという実例もあります。

行政書士は業務範囲が広い仕事ですので、自分の得意な分野や好きな分野はきっと見つかるはずです。

とにかく話を聞いてみよう

話を聞きに行く

ここまで行政書士は言われているような「食えない」仕事ではないことを説明してきましたが、まだ実際に稼げるのかどうか不安が拭えない方もいらっしゃるかと思います。

不安を解決する一番の方法は、実際にご活躍されている行政書士の方の生の声を聞くことです

YouTubeやブログ、資格予備校の講演会など、実際に働いている行政書士の方のお話を聞くチャンスはたくさん転がっています。

近年は、特に行政書士Youtuberが増えてきており、その動画で実際の現場の生の声を拾うチャンスが以前よりも多くあるのです。

自分一人であれこれ悩みすぎず、まずは先人の声を集めて実際どうなのかを総合的に判断するようにしましょう。

行政書士は時間の無駄かどうかまとめ 

行政書士の資格の価値まとめ

  • 行政書士は取得難易度が高く社会的評価も高い
  • 行政書士の資格は独立だけでなく転職のチャンスも広げる
  • 資格の勉強を通じて法律を学ぶことは非常に有意義である
  • 努力と工夫を怠らなければ十分食べていける仕事である

今回は、行政書士の資格の価値や、役立つ機会について紹介しました。

せっかく行政書士の資格を目指していても、役に立たない資格だと勘違いしてチャンスを逃してしまう人もいらっしゃいます。

資格の価値を正しく理解して、自分に最適な道を選択できるようになりましょう!

資格Timesは資格総合サイト信頼度No.1