税理士の仕事内容は?業務範囲や役割・今後減っていく仕事まで完全解説!

更新

この記事は専門家に監修されています

税理士

脇田弥輝

「税理士ってどんな仕事をしてるの?」

「税理士の具体的な業務範囲・仕事内容が知りたい!」

このような疑問をお持ちの方も多いかと思います。

税理士は税金に関する専門家だということは広く知られていますが、その具体的な業務内容についてはあまり知られていません

税理士は実際にどんな仕事をして、社会の中でどんな役割を果たしているのでしょうか。

ここでは税理士の仕事内容や社会的な役割について解説していきます!

税理士の仕事内容をざっくり説明すると

  • 税理士は税務代行や税務相談など税に関するあらゆる業務を担当する
  • 個人事業主や中堅中小企業を顧客に持つ場合が多い
  • 税理士の社会的役割は非常に大きい
  • 会計ソフトなどの台頭も目立つが、依然として税理士の将来性は高い

税理士の仕事内容は税務処理

税務のサポート

税理士の独占業務

税理士には資格を持っている人にしか業務を行うことが認められない「独占業務」が存在します。

税理士の独占業務は「税務代行」「税務書類の作成」「税務相談」の3つです。

税務代行ではクライアントから税務代理についての書類をもらい、クライアントに代わって税務署に対して法人税や所得税・相続税・贈与税の申告作業を行います。

税務署類の作成は、申告の際に必要な書類をクライアントに代わって作成する業務です。

税務相談は個人と法人を問わず、税金の節税対策や計算法についての相談を受け、適切なアドバイスをすることです。

業務の特性上、企業の決算時期や年末調整時期、個人相手だと確定申告の時期が、一般的に税理士の繁忙期となります。

一般企業に勤務する人で税金について詳しく知り尽くしている人はなかなかいないので、個人・法人の税に関するサポートを行うことが税理士の主な仕事となります。

税理士は顧客の権利も守る

税理士は顧客が税金に対する事件に巻き込まれて税務署の税務調査や処分を受けた時に、その場に立ち会うこともあります。

その際に、調査前に気をつけるべき点をアドバイスして対策を行ったり、調査立会の際に顧客の利益を守ったり税務署に処分の不服を申請したりすることがあります。

加えて、税理士は補佐人として弁護士と並んで裁判所に出向き、顧客の利益を守るために意見陳述を行うことができます。

このように、税理士は依頼を受けた顧客の利益を守るための仕事もあるのです

独占業務以外の仕事

独占業務だけが税理士の仕事ではありません。税理士の独占業務以外の仕事には、例えばコンサルティング業務があります。

税金のプロフェッショナルとして、記帳作業を行ったり、試算表や決算書類の作成、経営面に関するアドバイスや会社の運営方針に関する助言を行うこともあります。

これらの日頃の業務の積み重ねを丁寧に行うことで、年末調整や決算時期などの繁忙期をスムーズに乗り越えることができるのです。

公認会計士との違いとは

税理士と似た仕事に公認会計士があります。

公認会計士は監査法人という、独立した第三者の立場から企業の決算をチェックして正しいやり方で行われているかを検証します。

税理士とは顧客の層が違い、監査を受けるのは主に大企業であるため、公認会計士は東証一部に上場するような大企業を相手として決算や株式評価の仕事をします。

一方、税理士の顧客の層は幅広く、上場企業のみならず中小企業や個人を相手とすることもあります。

つまり、大企業をメインの顧客としているのが公認会計士、中小企業や個人を顧客に持つことが多いのが税理士ということです。

公認会計士の仕事内容については、以下の記事で詳しく解説しています。

税理士は具体的にどんな仕事をするの?

はたらく男性

税理士の果たす役割

税理士の主な役割は、煩雑で複雑な税金に関する計算を顧客に代わって代行し、適正な税の申告をすることです。

また、顧客目線で有効な節税対策についてアドバイスをすることもあります。

節税のアドバイスをする際には、顧客の利益を優先させたいがあまり「脱税」となってしまうケースがあるため、注意が必要です。

税理士は、高い品位と正義感を持ち、法令に則った適切な納税を推進していくことで顧客との信頼感を築いていく存在です

こうして国民の義務である納税を正しく行わせることで社会に対する大きな役割を担っているといえます

会社相手の税理士の業務

会社の税金である法人税を専門的に扱う税理士はとても多く、記帳代行が主な業務となります。

記帳代行は、顧客から送られてくる領収書などの資料を収集し、決算や法人税の申告に備える作業です。

地味ながらも非常に重要な仕事であるため、細かい仕事をコツコツと続ける根気が求められます。

また、法人相手の場合は顧問として会社の税金面を任されるケースが多く、これも非常に責任の大きい仕事です。

顧問契約を結ぶと法人税や企業に加算される税金の計算の代行やその申告書類の作成・提出を行ったり、節税対策や経営に関する方針、コスト削減策や有効な収益改善策の提案など、よりコンサルティングに近い形での業務が求められます。

法人相手の場合、中間決算や決算が行われる10月と3月は非常に忙しくなる傾向にあるので、この時期は残業も覚悟しておく必要があるでしょう。

ちなみに、税理士の顧問料は会社の規模により異なり、会社の規模が大きいほど、顧問料も高額になります。

個人相手の税理士の業務

税理士の中には、法人税ではなく個人事業主の方や相続問題などを専門に扱う人もいます。

特に、高齢化が今後も進むと考えられている日本において、相続税に詳しい税理士は重宝されるでしょう。

税に関して詳しい個人はあまりいないため、申告の際に税理士を頼りにする方が多いです。

個人を相手とする場合、所得税や相続税、贈与税、確定申告などの複雑な計算の代行やそれに関連した申告書の作成がメインの業務になります。

また節税方法などについて相談に乗ったり相続問題や中小企業の事業承継に関する問題の解決を行ったりするのも税理士の役割です。

それゆえ数字に強く、顧客の考えていることをしっかりと理解し様々な提案ができる税理士が好まれます。

個人相手の場合は確定申告が行われる2~3月に忙しくなるのが特徴です。

税理士に任せる仕事内容が絞られてきた

黒板と図

以下では、税理士と企業の関係の実態や現状について解説していきます。

税理士の仕事も機械化が進む

企業が税理士に仕事を任せようとするとき、顧問契約という形をとるのが一般的です。

しかし顧問契約は非常にお金がかかってしまい、会社にとっては大きなコストとなります。

顧問契約の業務範囲をしっかりと策定し、相応の顧問料を定めていないと会社にとっては年間でかなりの負担になってしまうのです。

それため、最近では税務に関しては自力でできるところは自分たちで処理をする傾向にあり、税理士の仕事内容でも会計ソフトなどで代行できる所はどんどん会計ソフトに移行しているのが現状です。

より効率的な顧問契約を結ぶ方が多い

最近は会計ソフトの発展が目覚ましく、現在では効率的な顧問契約をする際に、税理士に任せる仕事内容を予め決めてしまうケースが増えています。

例えば、「記帳業務と税務申告のみ」を委託するケースや「最終的な書類のチェックのみお願いする」ケースなどがあります。

このように限定的な仕事しか依頼しないことで、企業の経済的な負担を軽くすることができるためです。

そのため、このような企業の動きに合わせて、税理士の中には顧問契約ではなくスポット契約で単発的な仕事を請け負う税理士も増えています。

会社としても、コストを抑えられるためこのようなスポットで税務を依頼できる税理士は頼れる存在なのです。

税理士の将来性は大丈夫?

近年はAIなどのITの発達やそれに伴う会計ソフトの登場で、税理士の仕事の中でも簡単な計算作業や書類作成についてはAIに取って代わられる可能性が示唆されています。

しかし、税理士の仕事はこうした単純なものばかりではなく、専門知識に基づいた人間による解釈・判断が必要な業務も極めて多いです。

むしろ簡単な仕事をAIに任せて税理士の事務的な仕事を簡素化できるメリットの方が大きく、税理士はより専門性を生かした付加価値の高い業務を提供できるようになっていきます。

そのため、税理士の仕事は無くなるのではないかと不安視されることも多いですが、税理士は依然として税のプロフェッショナルとして必要とされる需要の高い仕事なのです。

税理士の将来性についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

税理士としての専門分野を確立する

良いチーム

医者の中で内科医・外科医など専門分野があるように、税理士の中でも相続税に強い税理士・法人税に強い税理士などのように、専門分野はそれぞれです。

実際に税理士として仕事を請け負い稼いでいくためには差別化と専門化が必要になります。

税理士試験では受験する科目を選べますが、自分が将来どのような分野で税理士として活躍したいかを十分に考えて科目を選択しないと意味がありません。

もちろんこうした科目選びだけでなく、税理士になってからも専門性を磨く努力をすることが重要でしょう。

相続税に強くなるためには

例えば、相続税を専門として扱いたい場合は相続税の科目を選択するのは当然ですが、併せて民法の知識も実務では求められます。

法定相続分や遺留分などは民法を学ばないと理解できない領域であるため、税理士の勉強だけだと網羅することができません。

そのため、税理士の資格を取得した後に民法の知識を自分で勉強ことで、相続税に強い税理士になることができます。

また、相続に関する知識を持っていると、税務相談の際に後々トラブルが起きないような提案もできるようになり信頼を得られるでしょう。

法人税に強くなるためには

法人を相手に税理士業務をしていると、節税に関するアドバイスを求められることが多々あります。

その際に税理士として適法の範囲でアドバイスすることは当然ですが、併せて中小企業診断士の資格を持っていると様々な面から企業の財務状況などの分析ができます。

これにより、節税の面だけでなくコストや経営状況などを勘案したより効果的な相談や提案ができるようになり、サービスの質が向上します。

このように、「税理士の資格+専門的な知識・資格」を持つことにより、より信頼される税理士になることができます。

税理士の仕事内容まとめ

税理士業務についてまとめ

  • 税理士は税金に関する様々な仕事を独占業務としている
  • 税理士の仕事は個人相手でも法人相手でも行われる
  • 自身の専門性を高める努力も大切

税理士は様々な場面で頼られる上に、果たす社会的役割も大きく、非常にやりがいのある仕事です。

またAIが今後更に発展し人々の仕事が奪われるような状況になっても、税理士の高い専門性は必要とされ続けるでしょう。

皆さんも是非税理士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

資格Timesは資格総合サイト信頼度No.1