税理士試験の勉強時間はどれくらい?科目別勉強時間やおすすめ科目まで紹介!
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税理士
脇田弥輝
税理士試験はかなりの難関試験として知られており、合格するのは簡単なことではありません。
その理由としては、税理士試験では11科目のうち5科目で合格をする必要があるため勉強量にかなりのボリュームがあることが挙げられます。
税理士試験に合格するためには、勉強に要する時間を把握し、自分なりのスケジュールをしっかり立てる必要があります。
それでは具体的にはどのように勉強計画を立てればよいのでしょうか?この記事では、税理士試験の所要勉強時間と勉強のコツ、選択科目の選び方までご紹介します!
税理士試験の勉強時間についてざっくり説明すると
- 税理士試験の総勉強時間は3000時間
- 税理士試験には科目合格制度が採用されている
- 税理士試験合格のためにはある程度の時間がかかるので、自分なりのスケジュールをしっかり組むことが必須
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税理士試験の勉強時間は3000時間が目安
税理士試験の総勉強時間の目安は3,000時間程度であり、平均勉強期間は4~5年と長期スパンでの合格を目指す必要があります。
科目別でみると、必須科目の簿記論・財務諸表論はそれぞれ500時間の勉強が必要となり、1科目ごとの勉強量も非常に多いのが特徴です。
以下では、税理士試験の勉強時間の詳細を多方面から解説していきます。
総勉強時間は3000時間
税理士試験合格に必要な勉強時間は、一般的に3000時間前後といわれています。
とはいってもこの数字はあくまでも目安であり、税務に関する事前知識の量や、法学部出身であるか否か、実務に携わった経験の有無などを考えると、人によって必要な勉強時間は異なります。
そのため、自身に足りない部分をしっかり補うような、抜かりない勉強ができるよう計画を立てることが不可欠になります。
税理士の試験科目とそれぞれの勉強時間
税理士試験の科目とそれぞれの勉強時間として、一般的に以下の表の時間が必要になるといわれています。
ただしいずれも目安となる時間でありますので、あくまでも参考程度にとどめておき、この表をもとにして自分なりの勉強計画を立ててみてください。
必須科目
科目 | 勉強時間 | 出題内容 |
---|---|---|
簿記論 | 500時間 | 計算100%/理論0% |
財務諸表論 | 500時間 | 計算50%/理論50% |
選択必須科目
科目 | 勉強時間 | 出題内容 |
---|---|---|
所得税法 | 700時間 | 計算50%/理論50% |
法人税法 | 600時間 | 計算50%/理論50% |
選択科目
科目 | 勉強時間 | 出題内容 |
---|---|---|
相続税法 | 500時間 | 計算50%/理論50% |
消費税法 | 300時間 | 計算50%/理論50% |
酒税法 | 200時間 | 計算60%/理論40% |
国税徴収法 | 150時間 | 計算0%/理論100% |
住民税 | 200時間 | 計算50%/理論50% |
事業税 | 250時間 | 計算70%/理論30% |
固定資産税 | 250時間 | 計算50%/理論50% |
税理士試験合格のコツを知ろう
税理士試験は簡単な試験では決してありませんが、科目合格制度を利用したり選択科目を上手く選ぶことで自分のペースでの合格設計がしやすい試験といえます。
つまり税理士試験のコツを掴むことができれば、資格取得も遠い夢ではありません。
無理せず確実な合格を
税理士試験では「科目合格制度」が採用されています。
この制度は、試験全体の成績は不合格となってしまっても、1つでも及第点に達した科目があればその科目については合格が認められるというものです。
科目合格制度は、税理士以外では公認会計士などの試験でも似たような制度が適用されていますが、公認会計士の場合は18か月間という有効期限があります。
一方、税理士試験の科目合格には有効期限がありません。1つの科目に一度合格できさえすればその科目については一生にわたって合格という扱いになり、その後の試験で免除が適用されます。
この制度を利用することで1年に1科目ずつ合格を積み重ねていくことが可能ですので、試験合格に至るまで長期間にはなりますが、確実に資格取得へとつなげることができるというのが税理士試験の特徴となっています。
ただし逆に考えれば、税理士試験は上記のような制度が採用されるほど難関な試験であるともいえますので、無理して1年に2科目・3科目と合格しようとしてしまうと、全て共倒れして不合格になってしまった…という結果も招きかねません。
1年に1〜2科目ずつ確実に合格していくというマインドを持っておくことが大切です。
税理士の科目合格制度については、以下の記事でより詳しく解説しています。
選択科目をナメない
税理士試験の選択科目の中には、酒税法や国税徴収法のように勉強時間が150時間程度で済むものから、相続税法のように500時間に及ぶものまで様々な科目があります。
そのため、5科目中4科目は実務や採用で重視される科目を選択しつつ、残りの1科目はなるべく勉強時間が少なく簡単な科目を選ぶ人が多いです。
ただし、税理士試験の合格ラインは満点の60%といわれているものの実質的には相対評価制が用いられているため、人気が高いほど激戦となり予想以上に受験者のレベルが高くなってしまうことに注意しておく必要があります。
最初の計画と心構えが大事
このように税理士試験は何年かかけて行う長期戦となることが基本となりますので、緻密な勉強計画を立てることが不可欠です。
また、試験合格まで長期間になってしまうことからモチベーションが落ちてしまう可能性もあり得ますので、ある程度の心構えが必要です。
税理士になるためのステップを把握
税理士資格を取得するためには、基本的には税理士試験で出題される11科目のうち5科目に合格することが必要です。
しかしながら、実は大学院で会計または税法に関する修士論文を執筆して国の認定を受けていれば、会計科目については1科目、税法科目については2科目の免除を受けることが可能です。
そのため、時間とお金をやりくりしながら大学院に通う道を選ぶか、それとも免除対象の科目を素直に勉強して受験に臨む道を選ぶか、どちらがより自分にとって適正かを考える必要があります。
1年ごとの計画修正が重要
税理士試験合格のコツとしては、まず「〇年で5科目に合格する!」という目標を最初に決めておくことです。
その目標をベースにして、1年ごとにいつ何の科目を勉強するかを具体的に決めていきましょう。
上述の所要勉強時間を参考にして1日に何時間勉強するかを割り振っていきながら、どんな参考書を使うかなどについても細かくスケジュールを練っていくことが大切です。
1年間の勉強計画が終了したら、次の年の勉強計画についても改善の余地があればその都度修正していくなど、柔軟に対応できるように心がけましょう。
各科目の合格率を知る
各科目で毎年どのぐらいの人数の受験生が挑戦し、どのぐらい合格しているのかを把握するのも重要です。
多くの受験者がいる科目は人気科目、または多くの税理士の業務に直結する科目であることが多いです。
下記は2022年度の税理士試験の科目別受験者数・合格者数・合格率を示した表です。
科目 | 受験者数 | 合格者数(合格率) |
---|---|---|
簿記論 | 12,888 | 2,965(23.0%) |
財務諸表論 | 10,118 | 1,502(14.8%) |
所得税法 | 1,294 | 182(14.1%) |
法人税法 | 3,454 | 425(12.3%) |
相続税法 | 2,370 | 336(14.2%) |
消費税法 | 6,488 | 740(11.4%) |
酒税法 | 454 | 60(13.2%) |
国税徴収法 | 1,709 | 235(13.8%) |
住民税 | 476 | 82(17.2%) |
事業税 | 269 | 38(14.1%) |
固定資産税 | 910 | 167(18.4%) |
このように選択科目でも、消費税法と事業税で受験者数は数十倍もの違いがあることが分かります。
このような、科目別の合格率・受験者数からも勉強計画を立てる一助を得られるのです。
勉強時間は多すぎるくらいに
働きながら勉強をしている人であれば、忙しかったり何らかの事情が重なったりして遅れが生じるということも当然出てきます。
そのような場合は勉強時間の帳尻合わせをしなくてはなりませんので、会社を定時退社する、朝早く起床する、SNSをやめるなど、何かを犠牲にしてでも勉強のための時間をかき集めていく覚悟が必要になります。
計画に乱れが生じないように、あらかじめ計画を立てる時点で多すぎると感じるくらいの勉強時間を確保しておきましょう。
税理士試験の計画例
税理士試験の合格には具体的な勉強計画が必要であるということをここまで述べてきました。それでは、一般的にはどのような勉強計画が用いられているのでしょうか?
合格のセオリー
通常は最初の年に簿記論・財務諸表論から初めて、会計の土台ができたところに税法を上積みしていくという勉強法が一般的な流れであり、1年間に1〜2科目こなすというパターンが基本となります。
1年間でいきなり5科目合格というのは現実的ではありません。科目別の所要勉強時間を参考にしながら1科目ずつ着実に取り組んでいきましょう。
ただし、大学生などで時間に余裕がある人や、裁量労働制の方などで時間的に融通が利くという人であれば、勉強時間を増やして1年に3科目以上の合格を狙ってみてもよいでしょう。
4〜5年で合格を目指すのが基本
税理士試験合格を目指す人の勉強法の一例をご紹介すると、以下のような流れになります。
-
1年目:簿記論・財務諸表論
-
2年目:法人税法
-
3年目:相続税法
-
4年目:国税徴収法
この計画では必須及び選択必須科目である簿記論・財務諸表論・法人税法を先に取得しています。
先に重要科目を押さえておくことで科目合格者として会計事務所等の求人にも応募しやすくなります。また、自分が試験にかけられる年数を踏まえて、残りの科目選びを柔軟に変化させることが可能になります。
もちろん計画の立て方は人それぞれですが、一つの参考としてご活用ください。
ただし、税理士試験はそれぞれの科目で合格率が14%前後しかないので、上記のような計画を立てていても結局5年目まで食い込むことも珍しくありません。
最初に立てた計画から追加で1〜2年かかる可能性も予め考慮しておくことが大切です。
勉強時間から受験科目数を設定
計画例は他にも、一か月(一週間)の勉強時間から受験する科目数を設定する方法があります。
1か月(1週間)あたりの学習時間 | 1年での受験科目数 |
---|---|
月40~60時間(週15~20時間) | 1科目 |
月60~80時間(週20~25時間) | 1〜2科目 |
月80~100時間(週25~30時間) | 2科目 |
1カ月当たりの勉強時間が60~80時間(週20~25時間)の場合に2科目受験する場合は、出題範囲が狭い税法科目を受験することをお勧めします。
この表から、数年単位での学習計画を立てることも可能になります。
社会人・学生など生活スタイルで勉強時間は大きく変わるため、上記の表を参考に受験科目数を設定してみてください。
勉強時間を短縮できる科目の選び方
税理士試験には、簿記論・財務諸表論の2つの必須科目の他に選択科目が存在します。
科目を選択する際は、税理士資格を取得して実際に税理士として働くことになった時に活用できるよう、実用性のある科目を選ぶことが好ましいです。
とはいっても税理士試験は非常に難関な試験であるため少しでも勉強時間を抑えて合格したいと考えるのは当然の話ですし、結局合格できなくては勉強した内容も意味がなくなってしまいますので、合格しやすい科目選択を重視するというのも悪い話ではありません。
コスパの良い選択科目は?
選択科目を選ぶ際は、難易度があまり高くなくて合格しやすく、かつ実務においても重要になる科目を積極的に選択することが理想です。
消費税法は受けておこう
選択科目の中では圧倒的に「消費税法」がおすすめです。
なぜなら消費税法は内容が身近で親しみやすいので勉強しやすく、その上実務においても役立ちます。それでいてボリュームはあまり多くはないので、科目として難易度はそれほど高くありません。
実際に消費税法は極めて人気が高く、あらゆる税法科目の中でも最も受験者が多い科目です。
消費税法の科目の特徴や難易度については、以下の記事で詳しく解説しています。
国税徴収法と固定資産税も取り組みやすい
「国税徴収法」は、計算問題がほとんど出題されないことから、選択科目の中でも最も簡単といわれている科目です。
そのため、計算が苦手な方や合格しやすさを重視したいという方であれば、国税徴収法を選択してみるのもよいでしょう。
ただし、計算がなく論理問題のみとなると暗記が多いので注意が必要です。
「固定資産税」は難易度と実務における重要度のバランスが良い科目です。内容としては国税徴収法ほど簡単ではありませんが、試験対策もしやすく人気が高い科目です。
意外にも選択必須2科目同時もアリ
「法人税法」は税理士の実務に欠かせない知識であるため、ほぼすべての受験者が選択します。
一方「所得税法」は非常に難易度が高く、わざわざ法人税法に合格した後に受験することはないなどと敬遠されがちです。
しかし、実は法人税法と所得税法では「事業所得」の部分で被っている範囲があり、法人税法の知識があれば所得税法の試験勉強を有利に進めることができるのです。
また、所得税法は法人税法ほどではないといえ重要度も高いため、法人税法と所得税法の両方の科目に合格しておけばキャリアにも好影響をもたらすことができるというメリットがあります。
時間が無くても効率的な対策は可能
税理士試験合格への道のりは長く、数年単位が基本となります。そのため、できるだけ時間とお金をかけないで合格できるよう独学という勉強法を選択したいと考える方も多いのではないでしょうか。
独学で税理士合格を目指す方も全くいないということはありませんが、税理士試験は超難関試験であることから、独学者はやはりかなりの少数派です。
独学はデメリットが多い
税理士試験は1科目ずつ合格を積み上げることが可能であることから、独学でもコツコツ取り組めば合格できるような気がしますよね。
しかし結論から言ってしまうと、税理士試験に独学合格を目指すのは無謀に近い行為です。
そもそも税理士試験は独学でチャレンジするような試験ではなく、ライバルはほぼ全員予備校や通信講座に通っています。その中で独学で上位14%に食い込むのは困難を極めるでしょう。
さらに税法科目については毎年のように税制改正が行われるので、独学での対策は実質不可能になってしまっています。
このほかにも長期間のモチベーション維持が難しいことや、自分の力だけでは学習内容の理解にかなり時間がかかってしまうことなど、独学のデメリットは枚挙にいとまがありません。
通信講座なら効率的対策が可能
かつては税理士試験の勉強というと予備校通学が主流でしたが、近年ではスマホの普及などの技術の発達により非常に優れた通信講座(オンライン講座)も多く出てきています。
通信講座を利用すれば、時間がなくて予備校に通うことができないという方でも空いた時間にPCやスマートフォンを使って勉強することができます。
さらに通信講座は費用の面でも予備校より圧倒的に安いため、最近は通信講座の方がむしろ人気になってきている傾向があります。
また、講座によっては学習スケジュールをシステムで管理したり、分からないところがあれば質問を送ることができたりと、様々なスタイルがあるのでモチベーションを保ちやすいというのも大きな魅力です。
税理士の通信講座のおすすめは?
税理士の通信講座の中でも特におすすめなのがスタディングの税理士講座です。
スタディングは数ある通信講座の中でも特にスマホ学習機能が優れているので、通勤時間や職場の休憩時間といったちょっとした隙間時間を活かして勉強することができます。
さらに講座費用も大手予備校の3分の1以下と、これまででは考えられなかったような破格の安さで受講可能です。
合格実績も非常に優れており、2022年度には272名もの合格者(科目合格者含む)を輩出しています。
忙しくてなかなか勉強時間が取れない…という方には特におすすめの通信講座です。この機会に是非チェックしてみてください。
Quelコーチングで効率的に学習
通信講座の多くは通信授業を見て自分で学習するタイプの講座ですが、自分で学習を進めることに不安がある人も多いと思います。
Quelコーチングの税理士講座は、資格試験の合否を左右するのは自習時間であるという考えのもと、担当コーチが「講義外の学習時間の学習サポート」をしてくれるので第3者からの意見を聞きつつ効率的に学習が進められるようになっています。
この講座を受講すると、定期的なオンライン面談の他、アプリでの学習進捗管理や学習計画作成のサポート、面談中の演習問題の質問対応など、1人1人に合わせたサポートを受けることができます。
2023年8月31日までの期間限定で、ご契約開始から30日以内であれば解約時に月額料金が全額返金される返金保証プログラムを開催しているので、この機会にQuelコーチングを利用してみてはいかがでしょうか。
税理士試験の勉強時間まとめ
税理士試験の勉強まとめ
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税理士試験合格に要する勉強時間は3000時間といわれており、科目合格制度の利用や綿密な勉強計画を用いて1科目ずつ確実に合格していくことが重要
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必須科目は500時間、選択必須科目は700時間、選択科目は300~500時間ほどの勉強時間を見込んでおく
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選択科目は合格しやすいもので、かつ実用性のある科目を選ぶ
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独学での税理士試験合格は茨の道なので、予備校や通信講座を利用して効率的に勉強することがおすすめ
ここまで、税理士試験合格に要する勉強時間とその勉強法について解説してきました。
税理士への道のりは長いものですが、自分に合った勉強法を見つけてしっかりとスケジュールを組めば、着実に合格に近づくことができます。
時間を有効に使って効率よく科目合格を積み重ねていきましょう!