税理士に独学合格は可能なの?必要な勉強時間やおすすめテキストまで徹底解説!
「税理士に独学合格なんて本当にできるの?」
「税理士を独学で目指す場合の勉強時間の目安が知りたい!」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
税理士は言わずと知れた超難関資格であり、税理士試験に合格するのは並大抵の努力では不可能です。
そんな税理士を独学で目指すことは現実的に可能なのでしょうか。
ここでは税理士の独学の難しさや目安の勉強時間、学習スケジュールの例まで解説します!
税理士の独学についてざっくり説明すると
- 独学で目指す人は少なく、難易度は極めて高い
- 勉強時間は3000時間以上必要
- 長丁場の勉強になるためスケジュール管理が大切
- 科目選択によっては独学はほぼ不可能になる
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【本当に無理?】税理士は独学合格可能なのか
税理士という職業を知らないという人はまずいないでしょう。社会的な地位も高く、クライアントからも頼られる非常に魅力的な仕事です。
一方で税理士になるのは簡単な話ではなく、予備校や通信講座を利用してかなりの勉強をしなければ税理士試験に合格することはできません。
そんな税理士試験に独学で挑むことは現実的なのでしょうか。
独学合格は極めて難しい
結論から言えば、税理士は国家資格の中でも最難関の部類に入るため、独学での合格は極めて難しいでしょう。
1年や2年で合格できる人ですら奇跡的で、5年前後かけて合格するのが一般的な試験です。
そのため、長期的な学習計画を立てて根気よく勉強を続けていく必要がありますが、独学だと学習ペースやスケジュールが掴めず効率的な勉強法もわからないまま勉強期間が非常に長引いてしまいます。
また、税理士試験は試験範囲が膨大で勉強量が多いだけでなく内容も難しいため、独学だと理解できずに1科目合格するだけでも何年も必要となってしまいます。
必要な勉強時間は3000時間以上
税理士試験は11科目のうち5科目に合格する必要があります。
科目の合格率はそれぞれ15%前後であり、1科目あたりに数百時間の勉強が必要といわれるくらい難易度の高い試験です。
そのため、5科目の合格までには合計で3000~5000時間の勉強時間が必要といわれています。
税理士の独学合格には何年必要?
税理士を独学で目指す際には、合格までに10年近くかかることも珍しくありません。
実際、20代や30代で税理士に合格する人は稀であり、税理士の平均年齢はとても高くなっています。
また、時間をかけてでも合格できれば良いのですが、独学でズルズルと不合格を重ねてしまい、やがてモチベーションも失われて途中で挫折する人も非常に多いです。
特に、仕事でまとまった勉強時間が取りにくい社会人の方は、この傾向が強いと言えるでしょう。
税理士に独学合格する人の割合は?
税理士試験に独学で合格する人は全体の何割くらいなのでしょうか。
資格Timesでは各予備校・通信講座が公表している官報合格者の数字と、各年度の官報合格者の総数から、税理士試験に独学合格した方(少なくとも最後の1年間は独学だった人)の割合を推定しました。
調査の結果、税理士試験に独学合格しているのは全体の35.09%以下(最大でも35%)であると算出されました。これは「官報合格した年に独学だった人の割合」なので、受験期間中に1度も予備校を使わなかった人はこれよりも更に少なくなります。
また、現役の税理士の方にヒアリングしたところ「完全に独学は10人に1人もいないと思う」とのことでした。難易度の高い簿財2科目や法人税法・所得税法だけ予備校を使い、その他の税法科目は独学で、という方も多いようです。
したがって、合格者の大多数は予備校や通信講座を(受験期間中に少なくとも1度は)利用していると言えそうです。
税理士試験の概要・難易度・合格率
ここでは、税理士試験の独学勉強法を見る前に税理士試験の概要や難易度をおさらいします。
実際の合格率など数値で難易度を確認することで、どのように試験対策を行えば良いかの対策にしてください。
税理士資格・試験概要とは
税理士とは、税務署などへの申告・申請を行う税務代理をはじめ、税務相談や税務書類作成などの独占業務を行う職業です。
税理士資格はその税理士を認定する国家資格と定められています。
毎年8月に実施される税理士試験は、税理士に必須の知識およびその応用能力を有するかを判定する試験です。
税理士試験は、会計学2科目と税法3科目の合計5科目の合格点を超えることで合格となります。
合格科目は生涯有効かつ一度に5科目全てに合格する必要はありません。
受験科目は以下の通りです。
- 必須科目:簿記論・財務諸表論
- 選択必須科目:法人税法・所得税法
- 選択科目:相続税法・消費税法・固定資産税・事業税・住民税・酒税法・国税徴収法
科目ごとに難易度が異なるため、どの科目で合格を目指すのかはそれぞれの受験生の勉強計画やキャリアプランによって左右されます。
税理士試験の受験資格
第一に、税理士試験を受験するためには一定の条件を満たしている必要があります。税理士試験の受験資格は以下の通りです。
- 学識による受験資格
- 資格による受験資格
- 職歴による受験資格
1つ目の「学識による受験資格」は大学等で法律学または経済学を1科目以上履修した者等を指しています。
また、2つ目の「資格による受験資格」は簿記1級の合格等を指しています。
学歴・資格・職歴による受験資格を満たしていない方は簿記1級を取得するなど受験のための事前の対応が必要です。
最新の受験資格の詳細は国税庁HPでご確認ください。
税理士試験の難易度・合格率
税理士試験の合格率の推移を次の表のようになります。
試験年度 | 合格率 |
---|---|
2016年 | 15.5% |
2017年 | 20.1% |
2018年 | 15.3% |
2019年 | 18.1% |
2020年 | 20.3% |
2021年 | 18.8% |
2022年 | 19.5% |
上記の合格率はその年の税理士試験の官報合格者と科目合格者の合計値をその年の受験者数で割った数値であるため、官報合格(5科目全てに合格すること)の合格率ではない点にご注意ください。
税理士試験の合格率は毎年20%前後で推移していますが、これはそれぞれの科目合格率がおよそ20%であるということを示しています。
つまり、5科目全てに合格する受験生の割合はもっと低いということになります。
この合格率の数値からも、独学では極めて難易度が高い試験であることが分かります。
税理士独学合格のための具体的な対策方法
ここでは難易度の高い税理士試験を独学で突破するための秘訣を紹介していきます。
ここで紹介した勉強法を押さえて、独学でも実力を伸ばせるようにしていきましょう。
正しい勉強法を実践する
間違った勉強法で突き進んでしまうのは独学者が最も陥りがちな間違いです。
税理士試験は範囲が膨大であるため、方向性の違いが原因となり、何年経っても合格に辿り着けないケースも珍しくないため、まずは正しいのやり方を一通りマスターするようにしましょう。
勉強法を押さえるために、インターネットで情報をリサーチしてメモなどにまとめて勉強法を理解することが大事になります。
また、近年は難関資格合格者が自らの学習メソッドを本として出版してくれるケースもあるため、信頼できる情報に効率よく当たりたい場合は、それらの書籍を購入して熟読することもおすすめします。
高い目標に到達するには、そこまでのルートをはっきりさせておくことは最初にやるべきことといえるでしょう。
スケジュールを立てる
独学者は通信講座や予備校と異なり、カリキュラムが存在しないので、自分でいつ何をするかのスケジュールをあらかじめ立てる必要があります。
スケジュールを立てていく流れとしては
- 試験の全体像を把握
- どの分野に力を入れるべきか考える
- 勉強時間のバランスを考える
まず試験の全体像の把握を行うことで、自分がどのくらいの勉強をこなさなければいけないかがわかります。それによって具体的なスケジュールの感覚がつかめてくるでしょう。
その後は試験範囲を押さえることで、時間をかけるべき分野を理解します。 特に必須分野の簿記・財務諸表論は難易度も高いので時間をかけていく必要があります。
最後に勉強時間をどの科目にどのくらい降っていくか考えることが大切です。 科目毎の重要度と、自分の科目ごとの苦手度を把握して決めるとよいでしょう。
無理のない範囲でスケジューリングする
税理士の学習者の多くは、仕事や学業と両立して勉強を進めていくため、できる最大限の学習内容を詰め込んだ理想的なスケジュールを立てても、計画倒れする可能性が極めて高いです。
よって、スケジューリングを行う際は、自分の可処分所得時間を事前に理解した上で、その時間内でこなせる無理のない量の学習計画を立てていくようにしましょう。
計画倒れすることで、学習モチベーションを失い、本来できる学習もできなくなってしまうパターンも十分考えられるので、無理のない範囲でのスケジューリングは非常に大切です。
モチベーションを維持する
長期間の勉強で陥りがちなのが、途中で勉強のやる気がなくなって伸びるはずの実力が停滞してしまうということです。
人間は物事に対して目標や明確な達成感がないと、このモチベーションを効果的に保つことができません。よってモチベーションを維持するには直近で達成すべき目標を作成してそれに向かって進むのがおすすめです。
具体的にはこの1週間でここまでの範囲をやるや、問題集で何問正解するなどの目標を立ててみましょう。
人は向かうべき道ができるとやる気が出やすいので、独学の際には必ず目標を立ててやる気を長期間保つようにしましょう。
科目ごとの対策
税理士試験は11科目の中から5科目選択する必要があります。
ここではその中でも必須科目である会計学の簿記論・財務諸表論と税法科目で選択者が多い法人税法と所得税法の合わせて4つについてそれぞれ紹介していきます。
簿記論
簿記論では参考書を通じて簿記の基本や会計処理の考えなどを一通り押さえることがまず大切になります。その後は問題演習をしていくことで理解力を高めていくことが基本となります。
なるべく多く問題をこなすことが必須となり、間違った問題については解説を読んで振り返りを行うことで理解を深めていきます。
この際、間違った問題の各処理の目的や注意点をスラスラと説明できるように、最終的な復習を進めていくことが必要です。
また簿記はすべてが計算問題なので、計算の速さ・正確性を高めていく必要があります。
この際計算の速さは電卓の使い方を工夫することで高めていき、正確性については計算しながら手順が正しいか随時追って確認していく必要があります。
特に正確性を高めるためには、正確さを阻害する最大の要因であるケアレスミスを最小限に抑える必要があります。
簿記論の難易度や目安の勉強時間については、以下の記事で詳しく解説しています。
財務諸表論
財務諸表論の独学を進める際は理論の学習に時間をかけていくべきでしょう。これは理論の学習内容が広範囲に上ることが主な要因として挙げられます。
逆に計算問題では素直な問題が多く基本知識を身につけることで高得点を狙うことができます。
ここから、まずは計算問題を通して内容を体に染み込ませてから理論学習を進めていくことで、理論の内容理解をスムーズに進めることができるでしょう。
理論問題については、幅広い分野を対策する必要がありますが、まずは各分野の基本を学習することで、点数が安定してくるため、基本的な理論の考え・定義をまず押さえることが重要です。
財務諸表論の難易度や対策法については、以下の記事を参考にしてください。
法人税法
法人税法は難問も出題されるため、まずは得点差がつきやすい基本の論点を固めていくことが大切になります。
この際個別の論点ごとに基礎知識を入れて、しっかりと理解を深めていくことが必要になります。
インプットが一通り終わった後は、基本問題を通して学んだ基礎知識をしっかりアウトプットし、各理論の理解度を確認するとよいでしょう。
その後はまとまった分量の問題を解いて、総合的な理解度を深めていくことがおすすめです。
法人税法の難易度や重要論点についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
所得税法
所得税法は法人税法と比べると受験者数は少ないものの、他の科目と比べて受験者層のレベルが高く合格が難しい科目となっています。
所得税法は試験範囲が非常に広いので、闇雲に勉強していては時間がいくらあっても足りません。予備校や通信講座などのカリキュラムを参考にしつつ、出来るだけ的を絞った学習をすることが求められるでしょう。
所得税法の勉強法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
税理士で独学合格を狙うための科目選び
税理士試験は科目選択制であるため、自分が効率よく勉強できる科目を選択すると良いでしょう。
以下で独学で合格するための「科目選び」のコツについてお伝えします。
ボリュームではなく論点の重複で選ぶ
独学者や初学者で受験を行う場合は、税理士の科目選びに際して酒税法や国税徴収法のような勉強量が少なくて済みそうな分野を選びがちです。
しかし、実はこれらの科目は他の受験生もしっかり対策をしているため合格を手にするのは想像よりもかなり大変です。
そのため、どうせ5科目合格するのですから科目単体だけを見るのではなく、一緒に勉強しやすい科目の組み合わせを選ぶのがおすすめです。
特に法人税法と所得税法は問題の論点や構造が似通っている箇所が多いため、横断的で効率的な対策が可能となるでしょう。
そのほかにも事業税と法人税、住民税と所得税の試験範囲はそれぞれ似ているため、これらは合わせて選択するのがおすすめです。
税理士としてのキャリアも無視できない
将来どのような場面で税理士資格を生かしていくのかという視点も、科目を選ぶ上で見逃せないポイントです。
税理士として就職・転職を行ったり業務を行う際には、どの試験科目を合格したのかも重要になってくるためです。
試験の受かりやすさも大切ですが、むしろ合格後のキャリアに合わせて科目を選ぶのが一般的です。
特に相続税などは今後高齢化がどんどん進んでいくため、難易度が高いものの需要が高く人気となっています。
独学者向けの税理士のテキスト・教材
簿記論のおすすめテキスト
簿記論は税理士試験会計科目の必須科目であり、他の科目と比較してもかなり難易度の高い科目となります。
しかし、独学のテキストは比較的充実していることから、どのテキストを選べばいいかわからないことも多いでしょう。
資格TimesではTAC出版の「みんなが欲しかった! 税理士 簿記論の教科書&問題集」をおすすめします。
このシリーズは全部で4巻に分かれており、これらのシリーズを通して全範囲の基礎学習を完成させることができます。
特徴としては、30年を超える受験指導の実績をもとにしたTACの税理士試験の合格メソッドが詰まった参考書であることが挙げられ、合格に必要な知識をピックアップしていることが大きな強みです。
本文もわかりやすく作られているため、初心者でも安心して学習を始められる1冊となっています。
テキストを選ぶうえで押さえたいポイント
独学で勉強していくには、ひとりでも勉強を進めやすいテキストを選ぶべきです。
ここでは税理士試験対策におけるテキスト選びのポイントや注意点をお伝えします。
シリーズを統一する
独学の際に必要な教材は大きく分けて、教科書代わりの参考書と問題集が挙げられます。これらのテキストはすべてシリーズを統一するようにしましょう。
これをそろえることで、問題演習に移った場合にテキストで学んだ知識をフル活用することができ、利便性を大幅にアップすることができます。
逆にそろえないと問題集で言っていることと、テキストで言っていることが微妙に違うことにつながります。
無駄な手間が増えてしまうことにつながるので、必ずシリーズを統一するようにしましょう。
教材の特徴を確認
教材の特徴を確認する前に、その教材の内容説明がわかりやすいかを確認するようにしましょう。
これは特徴を確認する前の大前提事項なので、必ず自分の目で見て確認するようにしましょう。
そのうえで、各テキストごとに特徴が異なります。具体的には初心者用のテキストから、問題演習用の問題集まで幅広くあります。
よって、これらの特徴を基に自分のニーズに合った特徴を持つ参考書を選ぶようにしましょう。
会計は簿記の2級のテキスト、税法は+αを
会計は必須科目でありテキストも比較的豊富に存在するので、しっかりと分かりやすいテキストを選んで買うべきです。
日商簿記の2級で土台となる知識を身に付けた上で、税理士試験向けの対策テキストを読みこなしていくとしっかりと基礎ができあがるためオススメです。
一方、税法科目は毎年のように税制が改正されているため、書店にある参考書では最新の税制がカバーできていない可能性があります。
改正された点については、インターネットや経済誌などを使って自分で情報を集めなければならない点に留意しましょう。
ミニ税法はそもそも参考書がないことも
酒税法や住民税、事業税などの人気のないミニ税法は市販の教材がほとんど存在せず、独学で学習するのは非常に困難です。
選択肢が限られているので、基本的には誰でも大手資格予備校であるTAC出版のものを選ぶことになります。
TAC出版の税理士受験シリーズは白黒で少々とっつきにくい印象を受けますが、内容は充実しているので、ミニ税法に限らずどの科目でもおすすめできる参考書となっています。
過去問もフル活用しよう
税理士の合格を目指す上で、過去問は非常に重要な学習ツールです。
参考書や問題集と並行して過去問学習も忘れないようにしましょう。
重要な論点は毎年のように出題されますし、本番レベルの問題に取り組むことで知識のレベルは着実に上がります。
問題を解き、解説を読んでも理解しきれていない論点があれば、次に同様の問題が出たときに解けるようになるまで丁寧に復習しましょう。
独学で勉強するメリット
独学で勉強して税理士を目指すのは極めて困難ですが、もちろん独学ならではのメリットもあります。
自分のペースで勉強可能
予備校などでは学習の時間帯が決められている一方、独学では勉強するタイミングやペース配分・勉強法などをすべて自分で決定できるのがメリットです。
例えば社会人の方で、繁忙期と閑散期の差が激しい職種の方でも、忙しい時は勉強を一旦ストップして時間のあるときに集中して多くの勉強時間を確保したりという柔軟な勉強が可能となります。
そのため、自分の都合に合わせた柔軟なスケジュールの組み方ができるのです。
得意を伸ばし、不得意を補える
独学では全て自己管理で学習を進めるため、その日にする勉強範囲や単元についても自分で決定することができます。
そのため、自分自身を分析して得意分野を伸ばしたり、不得意分野に多くの時間をかけて克服したりという自分に合った時間の使い方が可能 になります。
一方、予備校ではカリキュラムや単元が予め決められているため、得意不得意が分かれやすくなります。
カリキュラムが合わないと、十分理解していて勉強が必要ないような単元まで聞かなければならないなど、貴重な勉強時間を無駄にしてしまう可能性もあるでしょう。
育児や仕事と両立しやすい
独学は、勉強する時間帯を自分で決めることができるため、日中は忙しい会社員の方や主婦の方でも合間の時間などを見つけて勉強していくことができます。
つまり、隙間時間の活用で仕事や育児を十分両立しながら実力を伸ばしていくことができます。
最近ではスマホアプリでも問題を解けるものがあるため、隙間時間に活用しやすい学習ツールを見つけて自分のやりやすい勉強法を模索すると良いでしょう。
費用負担が少ない
独学最大のメリットは、予備校などと比べると費用の負担が最も少なく済むことです。
予備校に通うと受講料などで数十万円かかりますが、独学であれば市販のテキスト代や問題集代の数万円程度で済むため、金銭的な面では有利となります。
しかし、安く済ませるということだけに気を取られると学習材料が少なくかえって学習効率が悪くなるので注意しましょう。
合格に必要な知識を身につけるためのテキストは必ずそろえることで学習がはかどるでしょう。
独学で税理士を目指すデメリット
独学のメリットがある一方、デメリットも当然あります。
超難関資格である税理士を独学で目指す場合、メリットよりもデメリットの方が大きいケースがほとんどです。
独学用の教材が充実していない
そもそも税理士は予備校や通信講座を利用して勉強するのが一般的であるため、独学者向けの市販の教材はあまり充実していません。
実際、質・量共に非常に物足りないテキストが非常に多いのです。
特に税理士試験の科目の中でも主要ではないマイナーな科目(酒税法や事業税など)は圧倒的に教材が不足しており、独学で合格を目指すのはほぼ不可能といえます。
そのため、市販の教材だけで税理士試験の合格圏まで到達するのはとても困難なのです。
モチベーション維持が難しい
繰り返しになりますが、税理士の勉強は非常に長丁場です。
独学で勉強する場合は、地道に毎年1科目ずつ受かっていく戦略を取る方が多いため、およそ5年程度の長期間の勉強が必要になります。
5年間という長期間にわたって税理士の難解な勉強を続けるのは大変であり、心身共に疲弊します。
また、必ずしも1年で1科目合格できるとも限らないため、もし非効率な勉強法を続けてしまい不合格になってしまったりすると当然勉強期間が伸びてしまいます。
そのため、モチベーションを保つことが出来ずに挫折する人も少なくないのが実情です。
特に独学の方であれば、受講料を払っていないため自分に甘えてしまいやすく、より挫折しやすいといえます。
結局合格できないのが一番辛い
もし長期間に渡って勉強を頑張ったのに報われず不合格になってしまったら、精神的にこたえますよね。
独学で何年も勉強に費やしたのにもかかわらず、結局税理士を諦めてしまうことになった場合、これまで掛けてきた教材費や受験費用、膨大な時間が水の泡になってしまいます。
後になって「通信講座や予備校を利用していれば…」と後悔するのは非常に辛いことです。
独学よりも予備校や通信講座の方が遙かに合格する確率は高まるため、無理に独学にこだわる必要はないのです。
内容理解に時間がかかる
税理士試験で学ぶ内容は非常に専門的で難解なため、自分で市販のテキストを読んでいてもなかなか理解できない場合が多いです。
予備校や通信講座の講義を聞けばすぐに理解できるような内容に対して、長時間勉強時間を割いてしまい苦労することも珍しくありません。
また、独学だと分からない点が出てきても気軽に質問することができないので、学習が停滞してしまう恐れもあります。
このように、独学だと貴重な勉強時間を浪費してしまうというデメリットがあるのです。
税法は毎年変わる
税理士試験において、直近で法改正があった論点はよく狙われます。
会計科目については参考書や問題集が豊富にそろっていますが、税法科目は毎年税制が変更されるため、参考書や問題集が税法の改正を十分反映出来ていない場合が多く、自分で対策を考えなければなりません。
市販の問題集は1~2年前の税制をベースに作成されている場合が多く、最新の税制については自分で国税庁のホームページなどで調べたり情報を仕入れる必要があるため、かなり手間がかかるでしょう。
受験資格がない場合は大変
税理士試験には受験資格が設けられています。
- 大学・短大・高等専門学校を卒業し、法律学または経済学を1科目以上履修した人
- 大学3年次以上で、法律学または経済学を1科目以上含む62単位以上取得した人
- 司法試験合格者 公認会計士試験の短答式試験に合格した人
- 日商簿記検定1級または全経簿記検定上級に合格した人
- 税務官公署の事務またはその他官公署の国税・地方税事務に2年以上従事した人
- 法人または個人の会計事務に2年以上従事した人
以上は一例で、他にも受験資格を満たす方法はあります。
当然税理士試験を受験するには受験資格を満たす必要がありますが、学歴要件を満たしていない方は資格か実務経験で受験資格を満たすしかありません。
その際に、予備校や通信講座であれば簿記1級から簿記論(税理士試験科目)へのステップアップといった選択肢も取りやすいでしょう。
独学に向いている人の特徴は?
長い間モチベーションを維持できる人
前述したとおり、税理士の勉強は長期間に渡るので相応の覚悟が必要になります。長い間独学で進めていると、当然予備校に通っている人に先を越されたりする場合もあるでしょう。
こういった逆境に立たされた時にもめげずにモチベーションを保ち、また自分の勉強法を工夫して自分のペースでチャレンジし続けられるような人でないと独学での合格は不可能でしょう。
少々のことではめげずに、根気よく勉強を長時間続けることが苦にならない人は独学が向いていると言えます。
受験で長期間の間勉強を継続してきた人などは特に有利となるでしょう。
ずば抜けて勉強が得意な人
税理士試験は難関試験ではありますが、実は東大クラスの超高学歴層はほとんどいません。
そのため自分が東大レベルの学力を持っていれば、元々の地頭が良いため独学でも理解ができずに躓くことが少ないでしょう。
このような方々は効率的な勉強法も心得ているので、税理士の勉強においても効率的な勉強法を習得して順調に勉強を進められるはずです。
また万が一つまずいた場合でも修正方法をよく心得ている場合が多いので、ミスした場所でずっと立ち止まることが少ないでしょう。
したがって、地頭が良く圧倒的にハイレベルな人であれば独学も視野に入れられるでしょう。
税理士資格をとるメリットは?
税理士試験に独学合格するのは本当に難しいことです。
税理士はそんなに時間をかけてまで目指す価値のある資格なのでしょうか。
ここでは税理士資格を取得した先に待っているメリットについてお伝えします。
需要が高く超高収入も狙える
最近は転職市場の活性化もあり、盛んに転職活動と中途採用活動が行われています。そのため、今現在は転職市場全体は売り手市場になりつつあります。
特に税理士は人手不足が深刻であり、こうした売り手市場の傾向が顕著に現れています。
税理士が人手不足になった理由として、そもそも試験が難しく合格までに時間もかかるため税理士の平均年齢が高いこと、税理士を目指す人が減少して税理士の人材そのもの自体が少なくなっていることが挙げられます。
リーマンショック以来、毎年のように税理士試験の受験者数及び税理士合格者数が減少し続けており、今後も税理士の人材の供給はますます不足していくと考えられます。
このような理由から、税理士は現在とても需要が高くなっており、今後もこの傾向は変わらないでしょう。
このように転職に極めて有利なので、かなり高水準の収入が期待できますが、雇われるだけでなく独立することも可能なのも税理士の魅力です。
税理士は独立することで飛躍的に年収増加が見込めます。開業税理士の平均年収は3000万円とも言われており、他の士業と比べてもかなり高水準です。
社会的に尊敬を集める資格である
税理士は誰もが知っている士業であり、社会的地位は極めて高いと言えます。
税理士は、顧客が適正かつ陣族に納税できるようサポートすることで国に貢献しており、納税と市民の暮らしは密接につながっています。
税理士のサポートにより収められた税金は、社会を支えるのに役立っており、税理士の業務がもつ社会的意義はきわめて大きいといえるでしょう。
また、日本の税制はかなり複雑であり、それに詳しいということで個人法人問わず顧問先からも非常に頼りにされる存在になります。
定年なしで生涯働くことができる
税理士のような士業の資格は一度取得してしまえば一生有効であり、税理士には定年がなく何歳でも働くことができます。
税金に関する悩みを持つ人は全国にいますので、税理士は都市部でも地方でも場所を問わずに仕事を見つけることが可能です。
また、法人を相手に法人税などの相談をしたり、個人を相手に相続や資産運用の相談に乗るなど、働き方も自分で決定することができます。
特に年金に対する不安や不信感が報道され、老後資金に対する不安が高まっている現代において、何歳になっても収入を得ることができる税理士は非常に魅力的と言えます。
年金以外の収入源を確保できると、老後の暮らしがより豊かになるでしょう。
今から税理士を目指しても大丈夫?
税理士の主な顧客は中小企業ですが、不景気による倒産や後継者不足などの影響で徐々に企業数は減っています。
税理士として安定して仕事を獲得するためには、自身の専門性と信頼性を高めていくことがますます重要になっています。
そのため、税理士資格取得後も継続的に勉強して自身の知識を磨き続ける必要があるでしょう。
将来性については、今後はAIの発達に伴って簡単な事務作業や計算作業は機械に取って代わられる可能性は否定できません。
しかし、企業の決算内容や財務事情などを総合的に判断して必要なアドバイスを行うコンサルティング業務は機械には不可能で人間にしかできない仕事です。
このような経営コンサルティングの分野で力を発揮でき、きめ細かい相談やアドバイスが提唱できる税理士はいつの時代も必要とされる存在であるといえます。
独学と予備校・通信講座はどっちがおすすめ?
ここまで読み進めてこられた方なら分かる通り、独学でのチャレンジは正直おすすめできません。難易度的に独学で目指せるレベルを超えていると言っても過言ではないでしょう。
強制的に学習ペースを作れる通学制の予備校も決して悪くはないのですが、圧倒的にコスパが優れているのは通信講座です。
予備校を利用すると合計で100万円近くの費用が必要になってしまいますが、通信講座であれば1科目あたり10万円以下、5科目合わせても予備校の半額以下で受講することが可能です。
また、安いからと言って講義やサポートの質が低いということは決してなく、安さの理由は膨大な校舎の維持費がかからないからという側面が大きいです。
通学による時間のロスや地理的な制約も受けないので、働きながらでも続けやすい学習形態だと言えるでしょう。
通信講座はどこがおすすめ?
税理士の通信講座であれば圧倒的にスタディングの税理士講座がおすすめです。
スタディングはスマホ学習に特化しているので通勤時間などの隙間時間を使って効率的に学習を進めることができます。
また講座費用も圧倒的に安く、1科目あたり49,800円で受講可能です。これは予備校の3分の1以下の価格であり、まさに破格の安さだと言えるでしょう。
受講生からの評判も良い大人気通信講座です。この機会にぜひ一度チェックしておきましょう。
税理士の独学まとめ
税理士は独学で目指せるのかまとめ
- よほど地頭がよく、勉強に自信がある人でなければ独学はほぼ不可能
- 勉強時間の確保やスケジュール管理も難しいため、通信講座の利用がおすすめ
- 独学の場合は科目選択も限られてしまう
税理士は超難関資格であるため、独学での合格は困難を極めます。
通信講座等でプロの力をかりて短期間で合格できた方が、より早く税理士として活躍することもできます。
超難関資格なだけあり、取得した際のメリットはとても大きいため、今後のキャリアを大きく飛躍させたい方はぜひ挑戦してみてください!