税理士に独学合格は無理?独学で起こりうる悲劇や難易度の実態を解説!
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税理士
脇田弥輝
「税理士の資格を取得したいけど、独学で挑戦するのは無謀なのかな?」
「独学で税理士の勉強をしているけど、正直合格できる気がしない…」
このような疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
税理士はあらゆる国家資格の中でも最難関の部類に入る資格であり、独学での合格は困難を極めます。
また、税理士の独学が難しいのは試験難易度の高さ以外にも原因があるということも知っておかなければなりません。
ここでは税理士に独学でチャレンジすることの難しさやその理由についてお伝えします!
税理士の独学についてざっくり説明すると
- 予備校や通信講座を利用せず合格することは極めて難しい
- 仮に合格できたとしても膨大な時間がかかってしまう
- そもそも税理士試験は独学者向けの環境が整っていない
税理士の独学合格にこだわるのは危険
税理士は国家資格で、毎年4万人近くものの人が受験する資格です。独立開業ができるだけではなく、転職にも有利になるため非常に人気が高い資格となっています。
社会人で働きながら合格を目指す人も多く、費用を抑えるため勉強方法としては独学を選ぶ人も少なくありません。
しかし、独学で勉強を始めるとそのまま勉強することに集中してしまい、予備校や通信講座を受けるという発想にはなりにくいため、成績が伸びなくても独学合格をすることばかり考えてしまう人も多いです。
ここでは税理士の独学にこだわりすぎてしまう危険性についてお伝えします。
何年かけても合格できない
独学で非効率的な勉強をしてしまうことで、点数が伸び悩んでしまうことは往々にしてあります。
そのような状態になると、なぜ点数が伸びないのか自分では原因を分析することができず、いつまでも合格できないままになってしまい大変危険です。
プロの指導のもとでは学習方針や重要論点を細かく知ることができるので、伸びない原因を把握することができます。
しかし、独学であれば誰からもアドバイスを受けることができません。さらに、合格できないことを相談できる人もいないため、いつまでも改善することができないのです。
いつ合格できるともわからない日々を過ごし、受験期間が長引いてしまうことで心身ともに負担を感じ挫折してしまう人も多くいます。
年齢を重ねすぎて転職に不利になる
予備校などに通っている人の場合は、計画的に科目合格を重ねスムーズに合格までいける方が多いです。
しかし、独学の末合格した結果、予備校や通信講座を受講するよりもさらに長い期間がかかってしまうことが多くあります。そのため、年齢を重ねすぎてしまい、転職に不利になってしまうという恐れがあるのです。
そうすると、せっかく合格しても求人に年齢制限があれば応募できません。
また、もし応募できたとしても、もっと若くして合格した税理士が応募者にいれば、若い税理士の方が採用されてしまうといったケースもあります。
結果的にどこにも採用されない場合や、転職をするまでに時間がかかる場合、希望していたような仕事ができない場合などが考えられ、資格を手に入れたメリットが薄くなるという本末転倒な事態になりかねないのです。
教材費と受験料が想定以上に嵩む
独学していてうまくいかない場合、さまざまな教材に手を出してしまうことになりやすいです。
予備校や通信講座の場合、最低限の適切な教材が配られるため、余計なものを買う必要はありません。
もし、何か他の教材が欲しくなったとしても、予備校の講師に相談したり、通信講座でもおすすめの教材が指定されるため、そのようなものを買えば無駄なものを買ってしまうといったことはないと考えられます。
しかし、独学の場合は誰にも相談できず、情報を得ることも難しいため、例えば、同じような内容のテキストを何冊も買ってしまったり、問題集も似たような難易度、内容のものに次々と手を付けてしまうことがあるでしょう。
受験料ひとつとっても、本試験だけではなく模擬試験を何年も受けているとかなりの額になります。結果的に、予備校や通信講座の受講料よりお金がかかってしまうことも考えられます。
税理士に独学合格は無理?
ここまで、独学は難しいということを解説してきましたが、もちろん独学で合格している方はゼロではないため、独学での合格は不可能だ、無理だとと言い切ることはできません。
しかし、「不可能でない」「無理ではない」ということと「誰でも合格できる」ということは全く別の話であり、実際問題として独学での合格はかなりハードルが高く、あまり現実的ではありません。
以下では、税理士試験の独学合格が難しい理由についてご紹介します。
科目合格率はたったの14%
税理士に合格するには5科目に合格しなければなりません。
11科目から5科目を選びますが、必須科目や選択必須科目があるため、得意なものだけ受ければよいというわけではありません。
そして1科目あたりの合格率はたったの14%前後しかないため、単純計算では5回受けて一度も合格できないこともありえることになります。
1科目に合格するだけでも何年もかかってしまう人もいますし、5科目分ともなれば独学でこつこつ科目合格を重ねようとすると、途方もない時間がかかってしまう可能性があるのです。
実際に、税理士合格には10年以上かけてしまう人もいるため、決して軽く見てはいけません。
周囲はほぼ全員予備校や通信講座の受講生
各科目の合格率14%の枠を奪い合うのは、自分と同じ独学者ではなく予備校などに通っている人たちです。
科目合格だけではなく、合格の条件である5科目に合格する受験生はほとんどが予備校などに通っている人であり、独学の方はほぼいないと考えられます。
独学をしている人は、専門的な知識を持った講師たちから教わってきた他のライバル受験生たちと、自分の力だけで勝負しなければならないのです。
独学の方は、予備校や通信講座に通っている方に負けない勉強量、知識量を自分で培わなければならず、試験を解くにあたってのコツなども教わっていないため、分が悪いと言えます。
実際に、大手予備校や通信講座の受講者数、合格率、合格者数などから、税理士試験に合格する方の8割以上は予備校や通信講座の受講者であると推測することができます。
独学合格者の意見は参考にならない
インターネット上やSNSで「独学3年で合格」というような体験談を見たことがあるという方は多いでしょう。
しかし、このような体験談は真実かどうかわかりません。そんな短期間で合格できたのかも怪しいですし、そもそも本当に合格しているかどうかすらもわからないのです。
独学合格と謳っていても、実際には、税理士試験にではなく実は簿記論にしか合格していない人もいます。
また、詳しい話を読むとそのように科目合格だったというケースもありますが、科目合格しかしていないのに一切そのような話はせず、税理士試験自体に合格したと偽っているケースもあります。
仮に本当に合格していたとしても、その人の得意不得意や普段の生活でどのくらい勉強時間を作れたかなどの点で、自分とは状況が違うでしょう。
そのため、インターネットで見られる合格者の体験談は参考にならないと言えるのです。
そもそも独学の環境が整っていない
税理士試験は予備校や通信講座を利用して勉強することが一般的です。そのため、独学で勉強する方に向けた教材はどの会社からもあまり出版されていません。
せっかくテキストを買えても、内容が充実していないことが多く、独学の助けにはならないというケースもあります。
簿記論や財務諸表論といったメインの科目については独学者用のテキストは最低限出版されていますが、酒税法や事業税などの税法科目は参考になる教材は数冊のみです。
また、税法はたびたび改正されることがありますが、予備校や通信講座ではその都度最新の情報に基づいた教材で講義を受けることができます。
しかし、独学の場合は自分で新しい情報を得なければならないため、改正点を知っていたとしても正しく理解できなかったり、間違った解釈をしてしまうこともあります。
このように、税理士試験においては独学をする環境は整っているとは言えず、独学だけで合格することが実質不可能な科目も多いというのが実情なのです。
学習法や勉強時間に関する情報が少ない
独学では、自分に合った学習方法や学習の秘訣を自分で見つける必要があります。科目ごとに要する学習時間が変わるため、学習計画や受験のタイムテーブルの設定は、慎重に計画し調整する必要があるのです。
科目 | 財務諸表論 | 簿記論 | 法人税法 | 所得税法 | 消費税法 | 相続税法 | 酒税法 | 国民徴税法 | 住民税法 | 事業税法 | 固定資産税 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
時間 | 450~500時間 | 450~500時間 | 600~700時間 | 600~700時間 | 450~500時間 | 450~500時間 | 150~200時間 | 150時間 | 200時間 | 200~250時間 | 250時間 |
要件 | 必須 | 必須 | 選択必須 | 選択必須 | 選択 | 選択 | 選択 | 選択 | 選択 | 選択 | 選択 |
税理士試験には11科目あり、必須科目、選択必須科目、選択科目から合計5科目を受験する必要があります。各科目に要する学習時間は150時間から700時間と大きく異なり、選ぶ科目に応じて、学習には最大で約4,000時間がかかることもあるでしょう。
さらに、税務の実務経験や日商簿記の2〜3級レベルの知識の有無によって、どの科目から学び始めるか、どういった学習方法が適しているかも変化します。基本的な知識が求められる科目や実務経験に基づいて、効果的な学習の進め方が変わるのです。
長い間学習を続けることが難しい
税理士試験の合格は一度の挑戦で達成するのが困難で、通常、数年間の長い準備期間が求められる資格です。そのため、長い期間にわたって自分の学習へのモチベーションを保つことが、独学での合格への大きな障壁となっています。
全日働きながら、学習時間を見つけ、効率的な学習計画を立て、長いスケジュールを管理するのは非常に厳しい作業です。
一部の受験生は、このモチベーションの問題を解決するために、税理士の助手として(税務代理業務や税務書類の作成、税務相談の補助などを行う)働きながら、税理士の資格取得を目指す道を選ぶこともあるようです。
独学合格は諦めた方が良いの?
ここまで、独学での合格は非常に難しいことについて解説してきましたが、独学での合格は諦めた方がよいということなのでしょうか。
事前知識があれば独学でも科目合格は狙える
どうしても予備校や通信講座に通うことが決められないという方は、最初の一年を独学で勉強してみて様子を見るということでもよいでしょう。
また、既に簿記系の知識がある方、勉強が得意な方、会計事務所での実務経験が豊富な方など、他の受験生よりも有利な点がある方であれば、独学での科目合格を重ねることができるかもしれません。
ただし、どうしても受験が長期化してしまいがちなので、それを避けたい場合は独学をすることは避けた方がよいと言えます。
いくつかの科目合格が可能だとしても、5科目全ての合格を独学ですることは難しいことだと言えます。
一年間独学して結果が出なかった場合、予備校や通信講座への切り替えをすることをおすすめします。
学位取得によって科目が免除される制度も
学位の取得によって科目免除を受けられるため、学習の負担が減少し、独学での合格確率が向上します。以下に、学位によって免除可能な科目の詳細が続きます。
- 2002年3月までに大学院に進学した者
商学の学位(修士または博士)を持つ者は会計系の科目、経済学のうち財政学の学位(修士または博士)を持つ者は税法系の科目
- 2002年4月以降に大学院に進学した者で、会計系あるいは税法系の修士論文を執筆し学位を得た上で、それぞれの科目に1科目以上合格した者
会計学に属する科目等の学位を持つ者は残る会計系の科目 税法に属する科目等の学位を持つ者は残る税法系の科目
- 2002年4月以降に大学院に進学した者で、会計系あるいは税法系の博士論文を執筆し学位を得た者
会計学に属する科目等の学位を持つ者は会計系の科目 税法に属する科目等の学位を持つ者は税法系の科目
がそれぞれ免除されます。
国税従事による科目免除は独学で合格しやすい
- 10年または15年以上税務署に勤務した国税従事者
経験した職域に応じて、税法(国税または地方税)に属する科目
- 23年または28年以上税務署に勤務し指定研修を修了した国税従事者
経験した職域に応じて、税法(国税または地方税)に属する科目
- 国税従事した期間が通算して二十年以上になる者
経験した職域に応じて、税法(国税または地方税)に属する科目
がそれぞれ免除されます。 これらの制度を利用して、税理士資格の取得に近づきましょう。
予備校は費用負担がかなり大きい
独学を推奨しないとはいえ、予備校に通うと1科目あたり15万円という膨大な費用がかかってしまうのもまた事実です。
また不合格になってしまった場合は更に費用が嵩むので、金銭的に厳しいという方も少なくないでしょう。
そこでおすすめなのが通信講座を利用することです。通信講座であれば1科目あたり5~10万円ほど受講料が安くなるので、費用面での負担が大きく軽減されます。
また、予備校とは異なり校舎に通う必要がないので、働きながらでも勉強が続けやすいというのも魅力的なポイントです。
おすすめはスタディングの税理士講座
税理士の通信講座の中でも特におすすめなのがスタディングの税理士講座です。
スタディングはスマホ学習に特化しているので、通勤電車の中などのちょっとした隙間時間を生かして効率よく学習を進められます。
更にスタディングの講座費用は業界最安値であり、予備校に通う場合よりも5科目で60万円以上安く受講することができます。
この価格差は無視できるレベルを超えており、スタディングほどコストパフォーマンスに優れた税理士講座は他にありません。
税理士を志す方であればぜひチェックしておきましょう。
税理士の独学は無理なのかまとめ
税理士試験の独学まとめ
- 独学で不合格を重ねてしまうデメリットは非常に大きい
- 1科目の合格率は14%しかないため、科目合格だけでもかなり難しい
- 市販の教材が少ないなど、独学するための環境が整っていない
税理士試験を独学で合格することは無理なのかということについて解説しました。
独学で合格することは不可能ではありませんが、かなり難しいです。何年も不合格を重ねたり、途中で挫折してしまうこともありえるため、おすすめできる方法だとは言えません。
無理をして独学だけをするのではなく、予備校や通信講座の受講も視野に入れるのが良いでしょう。
税理士は努力して取得する価値のある魅力的な資格です。効率的な勉強を続けて、ぜひ税理士試験に合格しましょう!