アクチュアリーの仕事は激務って本当?仕事内容から就活のことまで徹底解説!
「アクチュアリーってどんなことをしてる人なの?」
「仕事は忙しいのかな?」
このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
アクチュアリーは保険会社や信託銀行といった金融機関において、確率論や統計学等の数学的手法を駆使して、様々な事象を取り扱う数理のプロフェッショナルです。
仕事をする上で高度な専門知識・思考力が求められる為、つまらない上に激務ともいわれています。
この記事では今回はアクチュアリーはつまらない業務な上、激務というのは本当なのか、また仕事内容から就活の事まで詳しく紹介していきます。少しでもアクチュアリーの仕事に興味のある方はぜひ参考にご覧ください!
アクチュアリーの仕事内容や就活についてざっくり説明すると
- 数学的なスキルだけでなく高いコミュニケーション能力が必要
- 業務内容は非常に高度なので激務
- アクチュアリーの資格は就活に有利
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アクチュアリーの仕事内容とは
アクチュアリーという言葉は、普段あまり聞きなれないのではないでしょうか。日本語では、保険数理士・保険数理人等と訳される事もあります。
日本語の通りアクチュアリーは、保険会社や信託銀行等の金融機関において勤務する職業なのですが、そもそも詳しくは知らない方も多いのが現状です。
そこで、まずはアクチュアリーという職業についてを紹介します。
アクチュアリーという職業
昔イギリスの牧師たちが、仲間のうちから万が一死者が出るときのために、資金を出し合い助け合うという仕組みを作りました。
しかしそのような制度では、残された人の負担というものが徐々に重くなっていく傾向にあったので、最終的に破綻したそうです。
その後、それまでのアイディアを生かして生命保険を作り出したのですが、生命保険により加入者の条件により掛け金が変更され、全員の負担が平等になりました。
ただ全てが上手くいったわけではなく、どのような条件を判断するのかという問題に直面しました。
そこで生まれたのが今回紹介する「アクチュアリー」という職業です。アクチュアリーは確率論や統計学を用いて、様々なデーターから適切な条件を導き出すプロフェッショナルとして今日まで、進化してきました。
またさらに様々な企業からの経営判断の助言等、コンサルタント業務を委託される事も増えてきているのがアクチュアリーという職業の特徴でもあります。
アクチュアリーの業務内容
アクチュアリーは確率論や統計学を用いて適切な条件を導きだす事に加え、様々な企業でのコンサルティング業務も担う為、データー分析の数字的なスキルのみならず、高いコミュニケーション能力が必要となります。
とはいえアクチュアリーの基本的な業務はデーターの分析であり、死亡率や自殺率といったデータから、経済的・社会的情勢といったものまでを加味しながら必要な数字を求める事が主となっています。
さらにそのデーターを用いて、適切な保険金・掛け金を算出して準備金や配当金を算定していきます。
アクチュアリーの業務内容を見るだけでも非常に激務である事がわかります。
アクチュアリーの役割
リスクマネージメントの要ともいえるアクチュアリーが存在するからこそ、未来予測を行い保険や年金の適格な掛け金及び支払金を運用できるのです。
その結果会社経営は長期にわたり存続して、お客様への不安を取り除く事につながっていきます。
アクチュアリーの仕事はつまらない?
膨大な資料を読みこんだり、計算したりとアクチュアリーという職業にしかできない仕事が多いのが特徴です。
もちろんコツコツ数字と向き合う事が好きな方だと良いのですが、自分の答えに納得するまで、一つの事を突き詰めて考えなければいけないので、忍耐力が必要です。
残念ながら、毎日永遠と続くデータの読み込みや計算の繰り返しにより「つまらない」と感じてしまうアクチュアリーもいるのが現状です。
人間はつまらないと考えるとどうしてもやる気が起きなくなってしまうため、やめてしまう方も多いようです。
アクチュアリーは激務?
上ではつまらなくやめてしまうアクチュアリーもいると紹介したのですが、このように幅広い業務を請け負っているので、仕事内容も激務なのではと心配になる方もいるのではないでしょうか。
実際、非常に高度で多岐にわたって専門性が問われる為、業務として大変です。
ちなみにこれは日系・外資系どちらであっても扱いがあまり変わらず、職業として成果主義的な傾向があります。
しかし激務の中でも、企業にとっては非常に重要なポストである為、試験勉強へのサポートを行う会社も多くあります。
アクチュアリーのここが魅力
アクチュアリーの仕事内容を見るだけでも、つまらない上に大変そうという印象が残るのですが、もちろん魅力もあります。
まずアクチュアリーは金額を決定するだけではなく、企業の経営及び方針等にも携わる為、自分の所持しているスキルが直接的に人々の力になる事を実感できます。
またアクチュアリーの仕事をする事によって、国際資格であるCERAの資格を持つことができます。この事により日本のみならず協定国でも活躍をする事が可能となるのです。
職業柄もちろん大変さはあるのですがその分、年収や待遇は良いと言われています。年収については、後程詳しく紹介しますが人によっては1,500万以上もあります。
仕事内容が激務でハードだからこそ、年収や待遇が良いという事は最大の魅力でやる気にもつながるのではないでしょうか。
アクチュアリーは就活に強い?
アクチュアリーの資格を所持していると就職活動に強いのでしょうか?
アクチュアリーは、企業にとって非常に需要があるポストなのですが、資格を所持している人が非常に少ないと言われています。
つまり、企業にとってアクチュアリーの資格を所持しているという事は非常に希少価値があるのです。
アクチュアリーの資格を所持している=高度な数学・政治・経済的な知識があるという事なので、就活では非常に強い(有利)です。
現在大学生で、頼られる仕事に就きたいと考えている方は資格所得を検討してみてはいかがでしょうか。
就職先と仕事内容
アクチュアリーという資格を持っているだけで、生命会社及び損害保険会社はもちろんのこと、官公庁やシンクタンクといった機関に至るまで様々な業界から求められます。
それほど、高い専門知識や能力を所持しているアクチュアリーは強いのです。
ここからはアクチュアリーとして就職する上で、就職先での仕事内容についてを一つずつ紹介します。
生命保険会社
生命保険というのは被保険者が死亡した際、一定の金額を支払う対価に保険契約者が保険料を支払うというものです。
この事から生命保険は自分自身の人生を支えるものとなるので、非常に長期的な運用を行わなければいけません。
結果アクチュアリーはこの運用を手助けするため、各種データを分析して重要な情報を抽出、正確な将来予測を行う為に適正な金額を設定する事が必要不可欠となります。
もちろんそれだけではなく、企業の資産と負債の両方を管理する事で企業のリスクを減らしていくといった業務も行います。
損害保険会社
損害保険というのは、被保険者の事故をはじめ地震等の被害に遭遇した際の損失を補うもので、先ほど紹介した生命保険とは異なり短期的な契約が多いのが特徴の保険です。
しかし一方では、予測しづらい事象が対象となるため各保険商品におり異なるリスク条件をもったものとなり、統計学を用いた上で数学的に処理をしていく事が求められます。
このことから生命保険以上に企業がリスクに合う可能性は高くなるため、結果アクチュアリーが重視される傾向にあります。
信託銀行
金銭のみならず投資といった形で資産を預かり運用する業務がある信託銀行では年金分野、つまり企業を対象に企業年金を運用する機会が多い事が特徴です。
運用するための能力に加え、顧客企業との議論を適切に行うためのコミュニケーション能力が求められます。
その他の企業
上で紹介した生命保険会社・損害保険会社・信託銀行の他、リスクマネージャーとしての能力を求めている企業があります。一例を出すとシンクタンクや証券会社です。
このような企業も、高度な専門知識・思考力が求められるるためアクチュアリーを必要としています。
活躍が期待される理由
全ての保険会社においてアクチュアリー(保険計理人)という役職が必ず在籍しており、販売する際そのアクチュアリーの承認が必要不可欠となります。
近年、国際会計基準が導入されたこともあり、今までの業務に追加して資産を時価で評価するといった事もしなければいけません。
ニュースでも度々取り上げられるリーマンショック等により、経営状況の変動が激しくなる影響で、リスク管理の需要性も非常に高まっています。
リーマンショックのみならず、アクチュアリーを求めている現場が多様化しているので、就職してからの活躍は大いに期待できます。
アクチュアリーの会員・準会員・研究員とは
アクチュアリー試験の中で、基礎科目で1~4科目正解すると、アクチュアリーの中の研究会員というものになります。
もちろんこの研究会員でも企業側は歓迎はしてくれるのですが、企業側は早くアクチュアリー正会員になる事を求めます。
企業の中には、アクチュアリー研究会員が早く正会員になれるように勤務時間を短くするまたは、自宅勤務にして勉強時間を与えてくれたりもします。
つまりアクチュアリーとして働くというよりも近い将来、アクチュアリーになれるように育てあげるといった傾向があります。
ちなみに、アクチュアリーには準会員というものもあるのですがこの場合は、試験の基礎科目すべてに正解、さらに専門科目2科目に合格して、さらに初期研修を行えば、晴れて正会員になる事が出来ます。
アクチュアリーの転職先と年収
アクチュアリーとして企業に採用された後、転職を考える方もいると思います。 ここではアクチュアリーの転職先、またどれほどの年収がもらえるのかを詳しく紹介します。
アクチュアリーの年収
先ほどアクチュアリーには正会員・準会員・研究会員の3種類があると紹介しました。
どの企業でも同じことが言えるのですが、役職や立場によっても年収は異なります。
会員 | 年収 |
---|---|
研究会員 | 約500万 |
準会員 | 約700万 |
正会員 | 訳1000万 |
上の表は、あくまでもこの年収からスタートというイメージです。
アクチュアリーは高度な能力が問われる職業となっているので、英語ができるとさらに年収アップにつながるといった事もあります。
年収は大体10%~20%程度増加するともいわれていますが、能力次第では1500万以上の年収をもらっている方もいるのが現状です。
アクチュアリーの転職
アクチュアリーの転職についてですが、基本的には転職の動きは保険会社においてよく見られます。
一例でいうと日系の保険会社から外資系の保険会社へ移動するといった事があるのですが、理由としては年収の違いが挙げられます。
しかし実際は、外資系の保険会社へ移動したからといってそこまで年収が大きく変更されるわけではなく、日系に比べて若干高い程度です。
アクチュアリーは転職しても、希少価値がある為大切に扱われるのですが、福利厚生を含め待遇はそこまでどの企業も大きくは変わりません。
アクチュアリーの就活対策
アクチュアリーの就活対策で大事な事が2つあります。まず一つ目は、アクチュアリーを志望している人同士でコミュニティーを作る事です。
なぜならアクチュアリーは希少価値の高い職業であるため、情報量が就活のカギとなるからです。
またアクチュアリーとして入社した後でも、会社に関係なく情報交換する事が出来るため、長い付き合いが出来るように就活時、コミュニティーを作る事をお勧めします。
二つ目は、企業へのインターンには積極的に参加する事です。どの企業でもインターンを行う上で業務内容に大差はないのですが、その企業の人や企業の雰囲気を知る事は大事です。
アクチュアリーとして就職を考えている方は、ぜひここで紹介した就活対策2点を頭に入れておきましょう。
アクチュアリーの就活の特殊性
他の企業の就活に比べアクチュアリーの就活には3つの特殊なところが3つあります。
まず1つ目は選考が他の総合職と比べて早く始まるため、情報の収集が肝心である点です。
2つ目はもともと理系であれば問題ないのですが、線形代数や確率などといった数学的な知識が必要になる点です。
3つ目は、実際に就活する際の企業面接においての面接官がアクチュアリーの社員である点です。
アクチュアリーの新卒採用企業
アクチュアリーを求めている保険会社は多くあるクチュアリーを求めている保険会社は多くある)と紹介しましたが、現在募集を行っている企業名を紹介しておくと次の通りです。
アクチュアリー募集企業 |
---|
三井住友海上火災保険 |
東京海上日動 |
あいおいニッセイ同和損害保険 |
第一生命保険 |
三井生命 |
明治安田生命 |
かんぽ生命保険 |
三井住友海上あいおい生命 |
ソニー生命 |
東京海上日動あんしん生命 |
黄色いマークでしるしている企業は大手保険会社です。このように多くの保険会社がアクチュアリーの新卒採用を積極的に行っています。
アクチュアリーにおすすめな人
アクチュアリーという職業に向いている人、それは転職したくない人です。
金融関係の仕事というのは、基本的に様々な支社に移動しなければいけないので、全国転勤が頻繁にあります。
しかしアクチュアリーは会社の根幹業務である数理部門を担当する事が多いので、転勤が苦手な方には最適です。
また安定した雇用を求めている人に対してもおすすめです。あの大企業ともいえるトヨタを例に出すと、安定した雇用が約束されていたのにも関わらず現在、終身雇用は難しいという発言がでています。
しかしアクチュアリーは需要が非常に高い職業であるため、会社にとっては必要不可欠の存在でリストラされる事はまず考えられません。
アクチュアリーと関連した職業
アクチュアリーに関連した職業があります。それはクオンツです。
一般的にはアクチュアリーよりもクオンツの方が難しいと言われています。このクオンツとは一体どういった職業、またアクチュアリーとの違いについてを紹介します。
クオンツとは何か
クオンツとは日本語に訳すと数量的・定量的といった意味があります。数学や物理学といった高度な理系的知識を用いた上で、市場の動き及び企業業績の予測や分析を行い、その上で投資や商品開発を行う職業です。
クオンツという職業は、高度な理系知識が必要となるの大学院の修士・博士卒の方が採用されやすい傾向にあります。
クオンツとアクチュアリーの違い
クオンツ・アクチュアリーの仕事内容を確認しても、両方理系的知識を用いる点では同じという事が分かります。
しかしアクチュアリーに必要な知識は、クオンツに必要な知識と比べると少ないです。
ちなみにクオンツでは理系大学出身者がほとんどですが、アクチュアリーを志望している人の中には文系大学出身もいます。
またクオンツが、分析や商品開発といった業務内容である為、実際には研究者に近い一方で、アクチュアリーはプレゼン能力及びコミュニケーション能力が問われるので、営業職に似ています。
ちなみにクオンツはアクチュアリーのように必要とする資格がない為、どちらもエントリーする事が可能です。
アクチュアリー試験の難易度と合格率
実際、アクチュアリー試験の難易度や合格率はどれほどなのでしょうか。
まず試験に通過するためには、日本アクチュアリー会が実施している基礎科目試験の全科目に合格する事が最低条件、それに加え専門科目試験6科目中2科目を選択した後、その試験も合格する必要があります。
そのため勉強時間の事を考えると、合格には最低でも2年はかかると言われています。さらにプロフェッショナリズムという初期研修にも参加しなければいけません。
この事を考えると、アクチュアリーへの道はそう簡単ではない事が分かります。
アクチュアリーの難易度
アクチュアリーの基礎科目には、数学・損保数理・生保数理・年金数理・会計、経済、投資、理論の計5つがあります。
専門科目は生保コース・損保コース・年金コースのうち一つを選択します。どのコースも2科目で構成されています。例えば生保コースは「生保1」、「生保2」の2科目から構成されているということです。
先ほどアクチュアリー試験に合格するには2年かかると紹介しましたが、これはあくまでも最低限の事で、平均所得年数は8年ともいわれています。
アクチュアリー合格の難易度は非常に高いです。
アクチュアリーの合格率
アクチュアリーのその年によって差があります。しかし、基礎科目・専門科目どちらも合格率は約10%~20%です。
全国のアクチュアリー会員の数ですが、正会員・準会員・研究会員合わせてもたった5000人程度しか存在せず、正会員ともなるとわずか2000人弱しかいません。
同程度の合格率と言われている税理士と比較すると(税理士の合格率は約10%)、資格保有者は全国に8万人いるので、非常に人数が少ない資格である事がわかります。
アクチュアリーの試験対策
合格まで最低でも2年、さらに平均8年もかかるといわれるアクチュアリーの試験なのですが、試験対策にはいくつかの方法があります。
まず公式サイト上で数十年分過去問が無料で公開されていますので、受験を考えている方は一度目を通しておく事をお勧めします。
また、アクチュアリー会が開催している講座も存在します。この講座では様々な大学の教授、生命保険会社等で実際に勤務している方を講師に招いて、講義をしてもらえます。
もちろん受講する為には、料金が発生するのですが企業によっては就職後、アクチュアリーを目指してもらう為、受講料を負担してくれる所もあります。
独学・講義出席等方法は様々ですので、自分にあったやり方でアクチュアリーを目指す事が重要です。
アクチュアリーの仕事内容や就職についてまとめ
アクチュアリーの仕事と就職まとめ
- アクチュアリーの合格率は低い
- アクチュアリーを求めている企業は多い
- 企業のインターンに参加する事が大切
- 講義や過去問公開等といった試験対策がある
今回は、アクチュアリーの仕事内容から試験の難易度や就職についてを様々な方面から紹介してきました。
アクチュアリーの合格率はわずか10%~20%で、合格するまでにも最低2年、平均8年もかかるため、大変難易度の高い職業です。
しかしアクチュアリーとして企業で働くと、つまらないと感じる方はいるものの企業から頼りにされる為、非常にやりがいのある仕事でもあります。
大学生はもちろん、現在社会人として働いている方でもこの記事をみて少しでもアクチュアリーの仕事に興味を持たれたら、ぜひ一度受験を考えてみてください!