情報セキュリティマネジメント試験の難易度は易しい!合格率から勉強法まで解説!
インターネットの普及にともなってサイバー攻撃が頻発している昨今、情報セキュリティ対策の重要性が増加しています。
こうした時代背景の中で、今、注目を浴びている資格試験が、情報セキュリティマネジメント試験です。
この記事では、情報セキュリティマネジメント試験の難易度に関連し、合格率や合格点、勉強法まで解説します。
IT関連の資格に興味のある人は、ぜひ読みすすめてください!
情報セキュリティマネジメント試験の難易度をざっくり説明すると
- IT関連の知識ゼロの受験希望者の場合は200時間
- 合格率は50%前後で推移
- 合格点は1000点満点中600点以上
- 情報セキュリティマネジメント試験のITスキル標準は「レベル2」
情報セキュリティマネジメントの難易度は今のところ易しい
情報セキュリティマネジメント試験は、ITスキル標準によって13の試験で構成されている「情報処理技術者試験」の1つとして2016年度から始まった資格試験です。
ITスキル標準とは、経済産業省がIT人材に求める知識やスキルを4つのレベルで示した指標で、試験の難易度とも言えます。
情報セキュリティマネジメント試験のITスキル標準は「レベル2」で、ITパスポート試験は「レベル1」です。
つまり、情報セキュリティマネジメント試験は情報処理技術者試験ではITパスポート試験に次いで易しく、独学合格を狙える難易度の試験と言えるでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験は、対象者を「ITの安全な利活用の基礎知識・技能」としていることから難易度は抑えられています。
そのこともあって、合格率は50%台~70%台 での推移です。
よって、現時点での情報セキュリティマネジメント試験の難易度は易しいのですが、この高い合格率は、同じ「レベル2」の基本情報技術者試験の合格率20%台とは大きな差があります。
このことから、今後、試験内容の見直しなどで難易度が上昇する可能性があるので注意が必要です。
受験資格はない
情報セキュリティマネジメント試験の「受験資格」には、性別・年齢など何の制限も設定されていません。
したがって受験ハードルが低く、だれでもが合格を目指せます。 ただし、次の2つの手続きを誤ると受験できないので注意が必要です。
①指定された方法(インターネットか郵送)で申込みを行うこと
②受験費用7,500円(税込み・手数料は自己負担)を振り込むこと
情報セキュリティマネジメント試験の合格率
情報セキュリティマネジメント試験の合格率は、50%台~70%台で推移しています。
同じ「レベル2」で合格率が20%台の基本情報技術者試験と比較すれば、「易しい」難易度の試験と言えるでしょう。
情報セキュリティマネジメントの合格率は50%台~70%台
ここに、これまで実施された情報セキュリティマネジメント試験の合格率を過去5年分紹介しておきます。
2022年秋期までは上期・下期に2か月ずつ受験可能期間が設定されていましたが、2023年4月からは通年試験となったため、毎日受験が可能になりました。
実施年 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
平成30年秋期 | 19,692人 | 15,579人 | 7,220人 | 46.3% |
平成31年春期 | 18,129人 | 13,761人 | 7,148人 | 51.9% |
令和元年秋期 | 18,550人 | 14,355人 | 6,754人 | 47.0% |
令和2年秋期 | 9,694人 | 9,121人 | 6,071人 | 66.6% |
令和3年春期 | 15,441人 | 14,089人 | 7,376人 | 52.4% |
令和3年秋期 | 16,231人 | 14,738人 | 7,949人 | 53.9% |
令和4年春期 | 14,253人 | 13,131人 | 8,033人 | 61.2% |
令和4年秋期 | 17,609人 | 15,420人 | 8,018人 | 52.0% |
令和5年4月 | 2,941人 | 2,770人 | 2,111人 | 76.2% |
令和5年5月 | 2,662人 | 2,438人 | 1,906人 | 78.2% |
令和5年6月 | 2,478人 | 2,279人 | 1,651人 | 72.4% |
平成30年秋期〜令和4年秋期 データ出典:応募者・受験者・合格者の推移表
令和5年4~6月 データ出典:統計資料
このデータから、情報セキュリティマネジメント試験の合格率は50%前後で推移していたものが、新試験への移行で70~80%弱まで急上昇しており、合格率の上昇傾向を窺い知ることができます。
情報セキュリティマネジメントの合格点
情報セキュリティマネジメント試験は、以前は午前試験90分(50問・100点満点)・午後試験90分(3問・100点満点)の2つの試験で実施されていました。
しかし現在は、午前試験・午後試験がそれぞれA試験・B試験という名称に変更され、A試験・B試験が2科目まとめて実施されるようになりました。
試験時間は120分、出題数は60問に変更されました。それに伴い、B試験の長文問題の文章量がかなり減りました。
合格点(合格基準点)は、1000点満点中600点です。ですから、合格するためには、全体の6割以上得点しなければなりません。
なお、採点方式がIRT(項目応答理論)方式に変更されました。従来のように1問ごとに配点が決められているわけではなく、解答結果に基づいて配点を決定する仕組みになっているため、試験方式の変更は事前に変更しておくと良いでしょう。
必要な勉強時間は200時間
情報セキュリティマネジメント試験に向けた勉強時間の目安は、IT関連の知識ゼロの受験希望者の場合は200時間です。
つまり、毎日3時間勉強をする場合は約2カ月半、2時間の場合は約3カ月半の日程を必要とします。
これは、IT関連の知識ゼロの場合の目安ですから、ITパスポート資格を取得していたりIT関連の基礎知識を持っていたりする場合は、もっと短い勉強時間でも問題はありません。
しかし、受験希望者の多くは、毎日勉強することはほぼ不可能です。
ですから、毎日3時間といったタイトな勉強時間を設定したうえで受験日を決めないで、少し余裕を持ったうえで受験日を選択するようにしてください。
情報セキュリティマネジメント試験の勉強時間はこちらをチェックしてください。
他のIT系資格と難易度を比較
ここでは、「情報セキュリティマネジメント試験(比較表では「情報セキュリティM」と表示)」と他のIT系の資格試験のITパスポート試験・基本情報技術者試験・情報処理安全確保支援士試験の難易度を比較します。
なお、比較するデータ項目は、「ITスキル標準」「合格率」「勉強時間」の3項目です。
ITパスポート試験
ITパスポート試験とは、ITに関する基礎的知識を証明する資格試験です。
ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3つの分野から、日常業務に深く関わる内容が出題されます。
両試験を3項目で比較すると次のとおりです。
情報セキュリティマネジメント | 比較項目 | ITパスポート |
---|---|---|
レベル2 | ITスキル標準 | レベル1 |
合格率は70%前後 | 合格率 | 合格率が50~60%台 |
200時間 | 必要勉強時間 | 100時間 |
ITパスポート試験は情報処理技術試験の難易度は最低のレベル1で、レベル2の情報セキュリティマネジメント試験へすすむための入門的試験に位置づけられています。
また、必要な勉強時間は目安の時間ながら倍半分の違いがあり、総合的に見てITパスポートよりも情報セキュリティマネジメントの方が難易度の高い試験です。
ITパスポートの難易度は下記の記事で詳しく解説しています。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験とは、情報技術全般に関する基本的な知識・技能を持つ人やIT企業勤務者が最初に取得する国家資格の認定試験です。
この試験では、情報技術に関する知識を実践で活用できるかどうかが問われます。
両試験を3項目で比較すると次のとおりです。
情報セキュリティマネジメント | 比較項目 | 基本情報技術者 |
---|---|---|
レベル2 | ITスキル標準 | レベル2 |
合格率は70%前後 | 合格率 | 合格率が20%台 |
200時間 | 必要勉強時間 | 100~200時間 |
難易度は同じレベル2ですが、両試験には合格率で大きな違いがあります。
この合格率の極端な違いを生む要因は2つあり、1つは基本情報技術者の試験範囲の方が広いことです。
また、もう1つは、情報セキュリティマネジメントの対象者はIT使用者(ユーザー)で基本情報技術者試験はIT技術者であることです。
よって求められる知識の専門性はIT技術者向けのほうが高くなります。
これらから 試験の難易度は、IT技術者向けの基本情報技術者試験の方が難しいと言えます。
基本情報技術者の難易度は下記の記事で詳しく解説しています。
情報処理安全確保支援士試験
サイバー攻撃による社会的脅威が急速に増大しているなか、政府機関や企業などにおける情報セキュリティの確保・支援できる人材を認定するのが情報処理安全確保支援士試験で、情報セキュリティ系最高峰の資格試験です。
両試験を3項目で比較すると次のとおりです。
情報セキュリティマネジメント | 比 較 項 目 | 情報処理安全確保支援士 |
---|---|---|
レベル2 | ITスキル標準 | レベル4 |
合格率は70%前後 | 合格率 | 17~18% |
200時間 | 必要勉強時間 | 500~1,000時間 |
両試験をすべての項目から判断して、情報セキュリティマネジメント試験よりも 情報処理安全確保支援士試験の方がはるかに難易度が高いのは言うまでもありません。
情報セキュリティマネジメント試験を受験して基本知識を身につけてからの受験をお勧めします。
情報処理安全確保支援士の難易度は下記の記事で詳しく解説しています。
情報セキュリティマネジメントを取るメリットとは?
サイバー攻撃の増加にともなってセキュリティー対策の重要性が増し、セキュリティエンジニアは企業や団体などに欠かせない人材と言われています。
では、情報セキュリティマネジメントの資格取得に、どのようなメリットがあるのでしょうか?。
ここでは、情報セキュリティマネジメントの資格取得のメリットについて解説します。
セキュリティ関連の知識が身につく
情報セキュリティマネジメント試験は13ある情報処理技術者試験の1つで、ITパスポート試験とともにセキュリティ系の入門的な試験に位置づけられています。
この情報セキュリティマネジメント試験の受験勉強をすることで、現在どの企業でも求められている「情報セキュリティ関連の知識」を体系的に身につけられるのです。
なお、資格を取得したことでIT分野の職種に異動になるかどうかはともかく、 情報セキュリティ関連の知識を習得することは、企業人にとって重要なことに違いありません。
周りから信頼される
IT業界内ではセキュリティマネジメントの専門家とは認められていないようですが、情報セキュリティマネジメント試験はれっきとした国家試験で、大臣名での合格証が届きます。
人事や処遇上で特段の優遇を受けないかもしれませんが、周りからは「情報セキュリティに関して基本的なことは分かっている人」との評価を得られるでしょう。
就職で有利になることも
現時点では、情報セキュリティマネジメントの資格を取るだけで有利になる、とは断言できません。
もともと、就職や転職に役立てるために取得するような資格ではないのです。
情報セキュリティマネジメントの資格は、「仕事で情報セキュリティの知識が必要な人」「情報セキュリティの基本知識を習得したい人」に有効な入門的資格といえます。
しかし、就活中の人は「挑戦意欲の証明」に使えますし、IT企業に就職する際にはさらなる上位資格を目指すことをアピールする材料に使えます。
情報セキュリティマネジメントは独学できる?
資格試験の勉強方法には講座・通信教育・独学の3種類があり、どの方法で勉強するかは試験の難易度に因るのが一般的です。
情報セキュリティマネジメント試験は、独学合格を目指せないほど高難度の資格試験ではありません。
ここでは、独学合格のための勉強方法についについて解説します。
独学合格のための勉強法
情報セキュリティマネジメントは独学で十分合格可能な試験であり、そのためには正しい勉強法を押さえる必要があります。
ここではその詳しい内容を紹介していきます。
学習スケジュールを立てて継続的に勉強する
独学を成功させるためには、学習スケジュールを立てて継続的に勉強することが大切です。
継続的に勉強するためには、次の3つのポイントを押さえた学習スケジュールをつくります。
- 1日当たりの勉強時間は、70~80%レベルで作成:1日3時間勉強を続けたい場合でも、学習スケジュールは1日2時間程度で作成します。
- 週1回は休息日を設定:勉強を中断するために設定するのではなく、計画どおりにいかなかったときのリカバーに充てるのです。
- 学習スケジュールの見える化:勉強の進捗状況や試験日までの道のりを見える化することで、ゲーム感覚で自分自身を監視したり激励したりできます。
インプットとアウトプットのサイクルを徹底
資格試験の勉強では、テキストを読み込むインプットは欠かせません。
しかし、より重要なのはアウトプット、つまり過去問を解くことです。
一般的には、最初にまずテキストを1回読破することで、試験範囲全体の情報をインプットします。
その後は過去問を解き、知らなかった・誤解していたといった情報を、テキストに戻って修正・補完し、正しい情報・必要な情報だけを記憶します。
つまり、アウトプットによって明らかになった記憶しなければならないことだけをテキストでインプットすることを繰り返すのです。
過去問は貴重な演習の機会
極端な表現ですが、「過去問を手に入れない、過去問を利用しない」で資格試験の勉強は成り立ちません。
資格試験の合否は、過去問の利用の仕方で決まるとさえ言えるでしょう。
過去問は、ホームページからダウンロードできますし、市販されているものを買うことで簡単に手に入れることが可能です。
この過去問は、実力を試すためではなく、テキストから何をインプットすべきことは何かを知るために利用します。
また、過去問を解くことで、問題形式や解答時間についての貴重な演習の機会になるのです。
また、情報セキュリティマネジメントは始まったばかりの試験なので過去問のストックが少ないです。
よってむやみに使いすぎないようにしましょう。
情報セキュリティマネジメント試験対策におすすめのテキスト
情報セキュリティマネジメント試験は、独学で勉強する機会の多い試験であるため、どのテキストでの学習が効果が上がりやすいか知っておく必要があります。
今回紹介するおすすめテキストは、「ニュースペックテキスト 情報セキュリティマネジメント 2023年度」になります。
この本の特徴としては、緻密な出題傾向の分析のもと基本分野を確実に学べる構成となっていることです。
更にテキストはフルカラーにすることで、開いた時のモチベーションを高める工夫がなされていたり、図や表をたくさん使うことで、文章での説明だけではわかりにくい内容もわかりやすく解説しています。
独学がきつい人は通信講座も検討
情報セキュリティマネジメント試験を独学で勉強してみたものの、思ってた以上に難しくて挫折しそうになっている人もいるのではないでしょうか?
そのような人は、わかりやすい解説で合格までの知識を着実に身に着けられる通信講座の受講を検討してみてはいかがでしょうか?
特に難関資格対策でも評判の資格の大原は、非常にクオリティの高い講座を提供しているため受講がおすすめです。
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情報セキュリティマネジメント試験の難易度まとめ
情報セキュリティマネジメントについてまとめ
- IT関連の知識ゼロの場合の目安は200時間で、毎日3時間勉強を継続して約2カ月半~3カ月
- 合格率は50%台から70%台で推移
- 科目A・Bの2つの試験とも合格点はそれぞれ60点以上で、片方でも60点以下の場合は不合格
- 情報セキュリティマネジメント試験のITスキル標準は「レベル2」
情報セキュリティマネジメント試験について、難易度を中心に紹介してきました。
レベル2の国家資格ですが、独学でも合格が可能な試験です。
情報セキュリティの基本的な知識を身につけるために、ぜひ受験を検討してみてはいかがでしょう!