司法書士と社労士はどちらが難しい?仕事内容や年収差を徹底調査!

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「社労士と司法書士はどちらが良いの?」「難しいのはどっち?」「ダブルライセンスはありなの?」

このように、この2つの資格を比べて迷っている方はいらっしゃいませんか?

この記事では人気資格である社労士と司法書士の業務内容の違い、年収の差、試験範囲の違い、さらにダブルライセンスの相性まで徹底分析します!

社労士と司法書士をざっくり比較すると

  • 社労士も司法書士もどちらも法律を扱うが、領域が異なる
  • 難易度は司法書士の方が高い
  • ダブルライセンスによるメリットは大きい

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社労士と司法書士はどちらも大人気資格

勉強道具 法律の専門家としての資格は様々ありますが、弁護士の次に知名度が高いのが「社会保険労務士(以下社労士)」と「司法書士」です。

この2つは、どちらも難易度の高い国家資格です。

近年、セクハラやパワハラ、労災などの問題、さらに高齢化による年金や雇用保険の法改正も頻繁であり、それに伴い様々な手続きが複雑化しています。そんな中、そのような問題に柔軟に対応することが出来る資格として「社労士」と「司法書士」は需要が高まっています。

どちらもまだまだ伸びしろがある資格なので、新規参入が望める今のうちに取得しておくことがおすすめです

社労士と司法書士の違い

同じ法律を扱う資格である「社労士」と「司法書士」ですが、この2つの資格の大きな違いは専門とする分野が違うところです。

社労士の仕事

社労士は、雇用保険や健康保険、厚生年金といった社会保険や労働に関する法律の専門家です。そしてこれらに関わる書類作成や提出代行は社労士の生業です。

具体的には、健康保険や厚生年金、労災、雇用保険の申請手続きや企業助成金などの申請手続きを行います。

また、就業規則や給与規定の作成のアドバイスも行うことが出来るので「人事コンサルタント」のような側面もあります。社労士は、企業の活動に必要な「人・物・金」のうち「人」に関する部分のスペシャリストなのです。

社労士が相手にするのは、企業だけではありません。社会の変化と共に年金制度が複雑化していることもあり、年金相談も増えてきています。必要に応じて各種事務手続きを行うのも社労士の仕事です。

社労士の仕事内容は以下の記事で詳しく確認してください。

司法書士の仕事

司法書士は、民法や商法、民事訴訟法などの法律の専門家です。裁判所や検察局、法務局等に提出する書類の作成は独占業務となっている他、供託に関する手続きを代理で行います。

特に登記関係の仕事の割合は多くなっており、土地を購入した際の不動産登記や会社設立にともなう法人登記商法登記は、代表的な登記の仕事として一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

例えばベンチャー企業の法務支援に特化している司法書士事務所もあり、ベンチャー企業の増加に伴い司法書士は今後も高い需要を維持し続けると予想されます

また、近年では書類作成のみならず、認定司法書という資格を得ることで、訴訟額140万円以下の簡易裁判においては弁護士同様の業務を行うことが出来ます。

司法書士の仕事内容は以下の記事で詳しく確認してください。

社労士と司法書士の試験を比較

資格試験の難易度差は?

社労士と司法書士は、どちらも合格率は1桁であり難しい国家資格ですが、司法書士の方が難易度は高く合格率が低くなっています。

<社労士の合格率>

実施年度 受験者数 合格者 合格率
H25年度 49,292 2,666 5.4%
H26年度 44,546 4,156 9.3%
H27年度 40,712 1,051 2.6%
H28年度 39,972 1,770 4.4%
H29年度 38,685 2,613 6.8%
H30年度 38,427 2,413 6.3%
R1年度 38,428 2,525 6.6%
R2年度 34,845 2,237 6.4%
R4年度 40,633 2,134 5.3%
R3年度 37,306 2,937 7.9%
R5年度 42,741 2,720 6.4%

出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイトより

<司法書士の合格率>

実施年度 受験者数 合格者 合格率
H25年度 22,494 796 3.5%
H26年度 20,130 759 3.8%
H27年度 17,920 707 4.0%
H28年度 16,725 660 4.0%
H29年度 15,440 629 4.1%
H30年度 14,387 621 4.3%
R1年度 13,683 601 4.4%
R2年度 11,494 595 5.2%
R3年度 11,925 613 5.1%
R4年度 12,727 660 5.2%

出典:法務省公式HPより

この表からも、社労士試験に比べて司法書士試験の合格率は明らかに低いことが分かります。

合格までに必要な勉強時間も、社労士は800時間から1000時間と言われているのに対して、司法書士は3000時間と言われており、ざっくり計算しても3倍の時間を要します。

3000時間というとイメージが涌かないかもしれませんが、一日8時間勉強して1年、一日2時間の勉強だと3年かかる計算です。

365日8時間の勉強はなかなか難しいと思いますので、合格までの道のりはなかなか険しい資格だと言えます。

各試験の難易度の詳細は以下の記事を詳しく見てください。

それぞれの受験資格

社労士試験の受験資格

社労士試験の受験資格は、「学歴」「実務経験」「国家資格」の3つに分けられます。

学歴

  • 大学、短大、高等専門学校(5年生)を卒業した人
  • 大学中退または在学中の場合は一般教養の学習を終えているか、62単位以上を習得している人(短大は除く)

(専門学校卒の場合は、卒業だけでは受験資格にならず条件が必要になります)

実務経験

  • 労士事務所または法人での実務経験3年以上
  • 公務員や独立行政法人、労働組合等で労働社会保険諸法令に関した実務3年以上

国家資格

  • 厚生労働省が認める80の国家資格(司法試験予備試験・税理士・公認会計士・弁理士など)のいずれかを有するもの

司法書士試験の受験資格

意外なことに、司法書士試験には受験資格はありません。年齢、性別、国籍、学歴に関係なく誰でも、そして何度でも受験することが出来ます。

試験で学ぶ内容

社労士と司法書士は、同じ法律を扱っていても守備範囲が全く違うため、試験の科目ももちろん違います。

科目数も、難易度と同様に司法書士の方が多くなっています。どちらの試験も特徴があり、人によって合う合わないや得意不得意があるかもしれません

それでは実際に2つの試験内容を比べてみましょう。

社労士試験の試験内容

社労士試験の出題範囲は以下の8科目です。

社労士試験の試験科目

  1. 労働安全法および労働安全法
  2. 労働者災害補償保険法
  3. 雇用保険法
  4. 労務管理その他労働に関する一般常識
  5. 社会保険に関する一般常識
  6. 健康保険法
  7. 厚生年金保険法
  8. 国民年金法

出題形式

  • 選択式(文章中の5つの空欄に当てはまる語句を20の選択肢より選ぶ)

  • 択一式(5つの文章から1つを選ぶ)

社労士の試験内容は以下の記事を詳しくチェックしてください。

司法書士試験の試験内容

司法書士試験の試験科目は次の11科目です。

司法書士試験の試験科目

  1. 憲法
  2. 民法
  3. 商法
  4. 刑法
  5. 不動産登記法
  6. 商業登記法
  7. 民事訴訟法
  8. 民事執行法
  9. 民事保全法
  10. 供託法
  11. 司法書士法

出題形式

  • マークシートによる択一式
  • 記述式試験
  • 口述式

このように、試験科目も出題形式も全く違うことが分かります。

社労士は、「労働」に関する法律に絞ってありますが、一方で司法書士は、法律を幅広くカバーしているためボリュームがかなり多いことが特徴です。

さらに、筆記試験に加えて口述試験もあります。このことも、難易度が高くなっている理由でしょう。

司法書士の試験内容は以下の記事を詳しくチェックしてください。

社労士と司法書士はどちらの資格を取るべき?

別れ道の画像 どちらの資格を取得するべきかは、自分のしたい仕事で変わるためどちらが良いと一概に言うことは出来ません。

ただし、司法書士の方は取得がかなり難しいので、目指す際は相当な覚悟が必要だと言えます。

就職先としては、社労士は労働に関する法律を扱うため、企業の人事や総務、社労士事務所や法律事務所での相談や指導業務で仕事するのが一般的です。一方、司法書士は司法書士事務所へ勤務するか、企業の法務部で企業内司法書士と働く人もいます。そのほかにはどちらの資格も開業してフリーで働くことになります。

年収で比べた場合、社労士も司法書士も共に平均700~900万円前後だと言われており、大きな差はありません。

しかし、この数字はどちらも企業や事務所に雇われて給与を貰った場合の数字です。独立して開業した場合には、その人次第でもっと上の年収を狙うことも可能です。

社労士も司法書士もそのようにしてもっと高い年収を得ている人もいますが、年収が1,000万円を超えているのは司法書士の方が多い傾向があります。

社労士と司法書士のダブルライセンスの相性

社労士と司法書士は、専門としている分野に重なりはありませんが、互いの業務に関連性がありとても相性のよい資格です。

ダブルライセンスのメリット

業務の幅が広がる

近年、パワハラやセクハラなどの労務トラブルや年金制度の改正なども頻繁にあるため「労働問題に強い司法書士」の需要が高まっています。 また、年金や相続の分野においても、この2つの資格の関連性は極めて高いです。

例えば、社労士として年金の相談を受けていて成年後見制度について話が及んだ場合、司法書士の資格を持っていれば、そのまま相談にきていた顧客の成年後見人となることも可能です。

遺族年金に関するアドバイスをしていた場合には、司法書士資格があれば、相続時に必要となる不動産登記業務まで行うことも出来ます。

さらに、特定社会保険労務士と認定司法書士を取得している人であれば紛争解決の業務を拡大することが出来ます。このように、1人で行うことの出来る業務がぐんと広がります。

収入の安定性

前述した通り、社労士と司法書士のダブルライセンスによって、取り扱うことの出来る業務が増えるため、1人のお客様に対して出来ることが増えます。

結果的に長期的なお付き合いになるので、仕事を継続的に受けることが出来ます。特に開業した場合には、これは大きなメリットです。

勉強のしやすさ

難易度は、司法書士の方が高いことから2つの資格を取得するのであれば、司法書士を先に取得することをおすすめします

司法書士を習得している方であれば、基本的な法律の知識があるため社労士試験を1から勉強する人よりも比較的短い勉強期間で試験へ臨むことが出来るでしょう。

社労士と司法書士まとめ

社労士と司法書士まとめ

  • 社労士は人事や労務に関する法律の専門家

  • 司法書士は、法律全般の幅広い知識を持つ

  • 司法書士の方がかなり難しいが、超高収入も狙える

  • どちらを目指すかは業務内容が自分に合うかどうかで決めるべき

  • ダブルライセンスを目指すなら司法書士から

社労士と司法書士の違いについて説明しました!

難易度のみで比べれば社労士の方が低いですが、どちらを受験するかは自分のやりたい分野で選ぶべきです。

また、2つの資格は、試験だけで見ると関連性はあまりないですが業務での関連性は強い資格です。ダブルライセンスで得られるメリットも大きいといえます。

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