司法書士試験におすすめの勉強法とは?勉強時間から独学での最短合格法まで解説!
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司法書士は国家試験の中でも難易度が高いことで有名です。
膨大な知識を覚える必要があるため学習をどのように進めていけば良いのか悩む人も多くいます。
難関である司法書士試験はただやみくもに学習しても攻略することは難しく、しっかりと対策を立てることが重要です。
ここでは司法書士試験のための勉強法や効率よく勉強するコツについて詳しく解説します。
司法書士試験の勉強法についてざっくり説明すると
- 六法全書を引く癖をつけることが大切
- 初学者が合格までに必要な勉強時間はおよそ3000時間
- 学習計画を立てずに勉強を始めるなど、闇雲な勉強法で臨むのは避ける
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【初心者にもおすすめ】司法書士試験の勉強法
司法書士試験を合格するためには、効率の良い学習が必須になります。
法律学習初心者の方でも実践しやすい、司法書士のおすすめ勉強法について、ご紹介します。
六法全書を引く癖をつける
司法書士試験を合格するためには、普段の学習の中でも六法全書を引く癖をつけることが大切です。
司法書士試験を勉強するためには六法全書が必要不可欠です。ただし六法全書を読んだり、条文を暗記するだけでは試験の学習としては不足しています。
条文の意味や論理構成までをきちんと理解することがポイントであり、条文の丸暗記はむしろ不必要です。
必要なのは条文に使用されている用語の意味や、この条文が策定された目的を深く理解することです。
司法書士に必要な思考力を高めるためにも、わからないところが出てきたら、すぐに六法全書を引いて調べる癖をつけていくように心がけましょう。
調べたものはノートなどにメモを取っていくと、自分だけのテキストを作成することができるのでオススメです。
条文を読むときには黙読だけではなく、音読をするようにしましょう。人間の脳はたくさんの刺激がある方が暗記をしやすいという特徴があります。
ただ目で条文を追って行くよりも、声に出して読むことで記憶に残すことが期待できます。
黙読しても理解できなかったことが、音読をすることで理解できるというケースもありますので、様々な方法を試してみましょう。
法律は不変なものではありません。法改正などもあり常に変わっていくものなので、六法全書は1年で新しいものに買い換えることがおすすめです。
条文は毎年追加され、解釈も日々変化する部分もあるため、司法書士はそれに対応するだけの柔軟性も求められます。
基礎知識を身につける
司法書士の試験は広範囲で科目数も全部で11科目と多いため、あれもこれもと様々な学習を進めようとするケースが多く見られます。
これはあまりおすすめできません。まずは基礎知識の土台をしっかりと固めることが大切です。
膨大な量を覚える必要があるので、何から手をつけていいのかわからなくなったり、全ての分野に取り組んでしまい、あやふやな知識ばかりが増えただけで終わったりしがちです。
学習することが多くて焦ってしまう気持ちもわかりますが、基礎知識がなければ応用問題も解くことはできず、点数の伸びない大きな要因となるため、その重要性は計り知れません。
他の受験者がどんどん応用問題に取り組んでいても、自分は自分と割り切って基礎固めをしっかりと行いましょう。
しっかりと基礎知識を身につけた上で応用問題に取り組んだ方が、より理解度を深められることが期待できます。
過去問を繰り返し解く
司法書士試験において過去問は非常に重要な役割を持っています。
試験の合格者の多くは過去問を繰り返し解き、出題年度まで答えられるほど問題に深く取り組んで勉強しています。
筆記試験は多肢択一式のため過去問を繰り返し解くことで、試験のスタイルに慣れることもできます。
確実に正解ができるまで過去問に取り組めば確実に実力を伸ばすことができるでしょう。
ただし、いきなり過去問に挑んでも理解力が足りないと問題を理解するまでに必要以上に時間がかかってしまい、時間を大きくロスしてしまうので注意してください。
基礎知識を十分に学んだ後に、その分野の過去問に取り組んで勉強するという方法が効果的です。
記述式の対策はどうやって行うべき
司法書士試験は、択一式・記述式の両方で出題されますが、特に対策が難しいのが不動産登記法・商業登記法で出題される記述式です。
まずは、文章の型を覚えるところから始めましょう。どのように書くかというで戸惑わなければ、文章を理解し、内容を判断することにより多くの時間を割けます。
書き方を理解したら、問題演習を多く積むことが大事です。記述力の向上には、より多くの文章を書くことが欠かせません。
かかった時間を気にしながら、毎日記述式の問題に取り組み、文章を一つ書く、というようにルーティン化することが非常におすすめです。
答練や模試も活用して隙のない対策を
テキストや過去問での学習が一通り終わったら、答練や模試にも挑戦してみましょう。
実際の試験に近い環境で、より実践的な試験対策を行うことができます。
もちろん、まずはテキスト・過去問の理解を十分に行うべきです。時間に余裕がある場合に利用するものである、という点を忘れないようにしましょう。
答案練習会の内容
答案練習会は例年、年明けから試験直前までの期間に実施されます。
基礎のレベルから本番レベルの問題まで、段階的に開催されており、週1のペースで受験することが可能です。
答練では、受験後に丁寧な解説をもらうことができ、さらに自分の現在の順位もわかるため、時間をかけて復習をすることで大きな学習効果を得ることができます。
簡単な試験を受けても意味がない人もいるでしょう。自分のレベルにあった答練を受けることが、効率面を考えると最もおすすめです。
公開模擬試験の内容
公開模擬試験も、各種予備校で開催されています。こちらの方が実際の試験に近い環境で受験することが可能です。
ただし、公開模試は実際の司法書士試験のような特異な問題が出題されることがあるため、自分の実力がそのまま反映されるとは言えない、という特徴があります。
そのため、実際の試験の雰囲気に慣れたり、時間配分を実践で試す練習として利用すると良いでしょう。
模擬試験は実際の試験と同様の日程で行われるため、練習してきたことを本番で活かす場面として、受験するメリットがあります。
司法書士試験の勉強時間・期間の目安
試験に合格するためには、どのくらいの学習時間が必要なのか気になる受験者も多いです。
司法書士試験も、ほかの試験同様に何時間勉強したからといって必ずしも合格できるわけではありません。ただ学習時間を試験勉強の一つの目安とすることはできます。
例えば、過去の合格者の勉強時間から見てみると、法律の知識が全くない受験者の場合には合格に必要な勉強時間は約3,000時間といわれています。
試験の1年前から勉強を始めたとすると、週に約59時間の勉強時間が必要ということになります。
15カ月前から勉強を始めた場合でも週に約47時間、1日あたり約6時間半の勉強時間となります。
このように司法書士試験のためには、勉強時間を確保することも非常に重要なポイントになってきます。
会社員や主婦の場合には本業があったりと、まとまった時間が取れないことも多いです。
それでも試験に挑む受験者は、通勤時間や休憩時間などをかき集めて学習時間を確保しています。学習時間をしっかりと確保することができない場合には、短時間でも効率的に学習ができるように工夫をしましょう。
司法書士の勉強時間に関する詳細は以下の記事をご覧ください
独学で効率よく司法書士試験の勉強を進めるコツ
司法書士試験は、膨大な勉強時間と合格率3~5%を誇る超難関試験です。
よって、独学で合格するためには必要とされる要素をきちんと押さえたうえで、限られた時間で適切に勉強を進める必要があります。
限られた時間の中で効率よく勉強するためには、いくつかのコツがあります。以下では司法書士試験の勉強を進めるコツについて説明します。
しっかりと学習計画を立てる
試験までの時間は限られていますので、効率よく勉強するためには綿密な学習計画が必要です。
合格までのスケジュールをしっかりと立てることが重要であり、それによって合格率も変わってきます。
学習計画の立て方は、まず試験日から逆算していき長期スパンで考えます。その上で基礎や応用などについて、いつまでに何をすべきかという具体的な計画を立てます。
この時のポイントとしては、試験前の1週間は学習の進み具合によって調整できるように、あえて白紙の期間として空けておくことです。
長期スパンでの計画が決まったら、それをさらに細分化していきます。
過去問を1日に何問解けば過去問を網羅できるかということを考えて、1日の勉強量のノルマなど細かい学習計画を立てるのがおすすめです。
反復学習をして知識を落とし込む
司法書士試験は覚えることが多いため、時間が経つと最初の方に覚えたことを忘れてしまいます。
これは仕方がないことなので、忘れることを前提に学習を進めるのがおすすめです。
具体的な方法としては短期記憶ではなく長期記憶をすることを心がけるようにします。短期記憶は一回で覚える方法なのですぐに忘れやすいです。そのため短期記憶から忘れにくい長期記憶に変えていく必要があるのです。
長期記憶とは長く記憶されることで、例えば子供の時に嬉しかったことなどを今でも鮮明に思い出すことができるのは、この長期記憶が行われているからです。
長期記憶のためには復習することが一番です。繰り返して学習することで、大切な情報として記憶に残すことができます。
例えば講義を聞いた翌朝までに1回目、1週間後に2回目、1カ月後に3回目、と忘れる前に3回ほど復習すると非常に効果的であるといえるでしょう。
勉強範囲を広げすぎないように注意
司法書士試験の勉強を進める上で、次のことに注意するようにしましょう。
まず勉強範囲は適正にとどめることです。
勉強範囲を広げすぎると、今まで身につけてきた知識が、あやふやになってしまう可能性があります。
あやふやな知識がたくさんあることよりも、少なくても確実な知識を身につける方が大切だということを念頭におきましょう。
特に独学者は、講師などがここを重点的にやった方がいいという指示を受けることが難しいため、適切な範囲で勉強を行うという意識は常に持っておく必要があるのです。
また模試や演習などの成績結果に振り回されないことも重要です。
結果が悪くても気を落とさず、途中であきらめないように継続して学習していくことが大切です。
司法書士の独学については下記の記事をご覧ください。
司法書士勉強で用意すべきおすすめ参考書
当然ですが、独学で司法書士合格を目指す場合、六法だけでは十分な対策はできません。
それ以外にも、合格のためには信頼性の高い参考書も用意しておく必要があるのです。
基本書は用意しなくともOK
以前は、今ほど司法書士対策用の参考書が充実しておらず、基本書は必須と言える状況でした。
しかし、現在は各種予備校・講座会社の講師が執筆した、より試験対策が行いやすい参考書が多く出版されています。
そのため勉強をする際に、「基本書は必ず用意すべき」とは言えない状況なのです。
勉強は参考書中心に進めて、参考書では理解が不足している点や、より詳しく知りたい点が出てきた場合に、基本書を用いて勉強をします。
まずは参考書を揃えて、上記のような点が出てきたら基本書を購入する、とすると無駄がないでしょう。
参考書のおすすめ1:オートマシステム
司法書士試験対策の参考書として、最もおすすめなのが「オートマシステム」シリーズです。
法律系の資格対策に強みを持つWセミナーの講師が執筆しており、多くの受験生から支持を得ています。
司法書士のテキストとしては、定番の一冊と言えるでしょう。
過去問も収録されており、問題演習も十分に行うことができます。
民法や不動産登記法、商業登記法まで、法律ごとに揃っているため、シリーズで揃えることをおすすめします。
参考書のおすすめ2:デュアルコア商法
オートマシステムの数少ない弱点として、「商法が弱い」と言う点が挙げられます。
この弱点を補完できるのが、このデュアルコア商法です。商法のみデュアルコアを利用する、とすると隙のない対策ができるでしょう。
薄めのテキストながら、商法対策のエッセンスが詰まっているため、やり込むことで目に見える効果が実感できます。
司法書士試験について
司法書士試験の勉強法をマスターするためには、司法書士の試験がどのような試験なのかということも事前に知っておくことが大切です。
ここではまず試験の概要や試験科目、合否判定方法などについて説明します。
試験の概要・日程
司法書士試験には受験資格の規定はありません。年齢・性別・学歴を問わず誰でも受験することが可能です。
願書の配布期間は4月上旬〜5月中旬頃で、交付場所は各都道府県の法務局、または地方法務局の総務課になります。
願書は郵送でも請求することが可能です。その場合には返送用の切手を貼った返信用封筒を同封して、宛名のところに「司法書士請求」と朱書きする必要があるので注意してください。期間内に忘れずに願書の交付を受けましょう。
願書の受付期間は5月上旬~中旬頃で、提出場所は試験場の所在地を管轄する法務局か、地方法務局の総務課になります。
提出書類は、願書・写真票・筆記試験受験票・受験手数料8,000円などがあります。
写真票には受験者の写真を添付する必要がありますので貼り忘れがないようにしましょう。
写真は申請前の3か月以内に撮影した写真のみ有効です。受験手数料は収入印紙で所定の欄に添付します。
これらの書類に不備があった場合には返却になり受理されないこともありますので、間違いのないように提出するように心がけましょう。
筆記試験の試験日は例年7月の第1日曜日となっています。
基準点の発表日は例年8月の上旬~中旬にかけて、筆記試験の合格発表は例年9月下旬~10月上旬にかけて行われます。
司法書士試験の科目・出題内容
司法書士試験には筆記試験と口述試験があります。それぞれの試験科目や内容について詳しく解説します。
筆記試験
司法書士試験の筆記試験は、午前午後と1日かけて行われます。
筆記試験は多肢択一式(マークシート)と記述式の問題があるため、それぞれに対しての対策が必要になります。午前の部の試験科目は憲法・民法・商法・刑法の4つがあります。
この4科目は多肢択一式で行われます。憲法は比較的簡単な問題から難易度の高い問題まで幅広く出題され、その年によって難易度は異なります。
民法は計20問で、総則3問・物権4問・担保物権5問・債権4問・親族相続4問の割合で出題されます。司法書士試験の中で最も難しいのが、この民法です。
商法は主要4科目の1つであり、商業登記の理解のために必要な科目のため難易度が高い傾向にあります。
例年、商法総則・商行為法から1問出題されています。刑法は学習範囲が広く、カバーすることに苦労するため苦手な受験生も多い科目です。
午後の部は、不動産登記法・供託法・司法書士法・商業登記法・民事訴訟法・民事執行法・民事保全法の7科目から出題されます。
ほとんどの科目では多肢択一式試験ですが、不動産登記法と商業登記法については記述式の問題が出題されます。
不動産登記法と商業登記法はそれぞれ主要4科目の1つで、司法書士の実務に深く関わる科目です。
供託法と司法書士法は、比較的対策の取りやすい科目ですが、試験の年によっては難易度の高い問題が出題されることもあるので油断はできません。
民事訴訟法・民事執行法・民事保全法は学習内容が多く範囲も広いわりに出題数が少ないので、対策が難しい科目です。
不動産登記法と商業登記法の記述式問題は、それぞれ正しく理解をしてないと解答することが難しい問題です。
記述式のスタイルにも慣れておくことが大切ですので、書いて答えるという練習も必要になります。
口述試験
口述試験は、筆記試験を合格した受験者だけが受験することができます。
口述試験は試験官と口頭で受け答えをする試験です。受験者の本人確認と司法書士の実務に必要となる会話能力を確認するための試験だといわれています。
筆記試験の合格者だけが口述試験に進むことができますが、口述試験で落ちることはほぼありません。
筆記試験を突破するだけの力があれば、口述試験はほとんどが合格するという傾向にあります。
そのため、筆記試験に合格してから口述試験の準備を行っても間に合うケースが多いです。
ただし、ほとんど合格すると言っても事前の準備や対策をしないまま試験を受けると緊張してしまい、頭が真っ白になって答えられる問題にも答えられなくなってしまうということもありえます。
きちんと過去の口述試験を確認して、口頭での受け答えの練習をしておくのがベストです。
まず筆記試験を合格することが第一関門ですので口述試験の対策は筆記試験の合格後でも大丈夫ですが、口述試験がどのような試験なのかを頭に入れておくことはしておきましょう。
合否判定方法
司法書士試験における筆記試験の合格発表は、9月下旬~10月上旬頃になります。
筆記試験には午前の部の多肢択一式、午後の部の多肢択一式と記述式にそれぞれ基準点が設けられています。
合格するためには、その基準点を満たすことが第一条件です。次に総合点で合格点を超える必要があります。
たとえ総合点が合格点を超えたとしても、1つでも基準点を満たさない試験があれば合格することはできません。
つまり司法書士試験を合格するためには、すべての試験で基準点を満たすためにバランス良く学習する必要があるということです。
司法書士試験のおすすめ勉強法まとめ
司法書士試験の勉強法まとめ
- 口述試験は落ちにくいので、まずは筆記試験対策を主眼に学習を進める
- 基本知識を身に着けることは最重要
- 学習計画としっかりと立てる
司法書士試験は膨大な量を覚えることが必要です。
そのため試験日から逆算し、しっかりと計画を立てて勉強することが重要になります。
土台である基礎を固めた上で、過去問を繰り返し解くことも大切です。
難易度の高い試験ではありますが、法律初心者でも合格を目指すことは可能なので、時間を有効に使える効率的な勉強方法を取り入れましょう。