行政書士試験の難易度は?合格率・受験者層・勉強時間から実態を考察!
「行政書士の資格に興味があるけど、実際どれくらい難しいの?」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
行政書士は難易度の高い国家資格として知られていますが、実際どれくらい難しいのか、どれくらいの勉強時間をかければ合格できるのかなど、不明瞭な部分も多いかと思います。
そこでここでは行政書士の資格の取得難易度について、試験の合格率や必要な勉強時間、他の国家資格との難易度比較など様々な側面から具体的に解説します!
行政書士に興味がある方は必見です!
行政書士試験の難易度についてざっくり説明すると
- 難易度は高いが、法律の事前知識がなくても合格を目指せる資格である
- 独学でも合格は不可能ではないが、合格率は低い
- 法律系国家資格の中では中程度の難易度
- 合格率が低いのには理由がある
行政書士の難易度はどれくらい?
行政書士試験の合格率は10%前後と難易度の高い国家資格の1つに挙げられます。
しかし、合格率に関して言うと近年は2ケタ台で安定しているものの2012年以前は1ケタ台の合格率が当たり前の試験であったため、以前と比較すると難易度は抑えめになってきています。
またほかの国家資格と合格率を比較してみると社労士は約6%、司法書士は3%前後となっており、これらの資格と合格率を比較すると行政書士試験は比較的高い合格率であるといえるでしょう。
これらの背景から行政書士試験の難易度は異常なほど高くはなく、試験の内容を押さえて対策することで十分合格を狙える難易度と言えるでしょう。
偏差値は比較的抑え目
偏差値も資格の難易度を比較するために適した指標と言えます。
行政書士の難易度を偏差値で表すと60となっており、これは同じ国家資格である中小企業診断士の63、社労士の62と比較して低い数字となっています。
ここから行政書士は、だれでも簡単に取得できる資格ではないものの、国家資格の中では難易度が比較的抑えられている資格であることが言えるでしょう。
行政書士の難易度を押し上げている要因
行政書士の難易度を押し上げている要因として主に考えられるのは、試験範囲が広いこと・記述式問題が出題されること・足きり点が存在することの3つが挙げられます。
ここではこれらの要因の詳細についてみていこうと思います。
試験範囲が膨大
行政書士試験の試験科目は主に「法令科目」と「一般知識」の2つに分かれており、その中でも科目をさらに細分化すると8つの分野に分けることができます。
「法令科目」では「基礎法学」・「憲法」・「民法」・「行政法」・「商法・会社法」が出題されます。実際の試験では、これらの法律の中でも行政書士の業務と関連する内容が出やすくなっています。
「一般知識」では「政治・経済・社会」、「情報通信・個人情報保護」、「文章理解」が出題される試験となっています。勉強をおろそかにしていると点数を落としがちな分野であり、注意が必要となります。
これらの科目数の多さが行政書士が一般的に難しい試験であるといわれている1つの大きな理由となってきます。
ここからは各科目の特徴と対策法について紹介していきます。
基礎法学
基礎法学は法律全般に関する基本的な知識や裁判制度の仕組み等を中心に学んでいく科目となっています。
勉強する範囲は膨大ですが、これらの範囲は他の法律科目を勉強する中で自然と理解が深まっていくので、最初にできなくてもあまり気にする必要はありません。
できるだけ深入りせずさらっと理解する程度の勉強で十分です。
憲法
憲法は主に国民の権利について定めた人権分野と国家運営の決まりについた定めた統治分野の2つを学んでいく科目となっています。
配点はそこまで高くないですが、憲法の勉強がメイン科目である行政法の勉強につながってくるので丁寧な勉強が必要となります。
試験範囲が絞られているので、その部分を中心に勉強することがおすすめです。
民法
民法は借金債務や相続に関する決まりなど、我々の生活とも関わりを持つ分野を中心に学習する科目となっています。
民法は条文が多いため難易度の高い科目となってきますが、条文を暗記するだけでなく1つ1つをしっかり理解することが大切となってきます。
配点が76点と非常に高い科目となっているので、試験勉強の中でもウェイトを置いて勉強する必要があります。
行政法
行政法は国民が行政機関から不当な扱いを受けないように定められた法律であり、行政手続法や行政事件訴訟法などをメインに学習する科目となっています。
法律用語も難解なものが多数出てくるためとっつきにくい内容となっていますが、配点が最も重い科目であるため避けて通ることはできません。
しかし問題自体は暗記で対応できるパターンが多いため、繰り返しテキストを読み込んで愚直に知識を頭に叩き込む基本的な学習が有効となってきます。
商法・会社法
商法・会社法は営利目的の取引活動を定めた法律を中心に学習する科目となっています。
配点が少ない割には出題範囲が広く、内容も複雑であるために時間をかけすぎることはお勧めできません。
出題5問のうち2問は基本的知識で対応できる問題が出題されるので、その部分を中心に点を取りに行く学習が有効です。
政治・経済・社会
この科目では政治制度などニュースで取り上げられる内容を中心に幅広く学んでいきます。
配点が「一般常識」の中で最も高く、出題範囲も曖昧なため対策しづらい科目となっています。
日本のみならず世界の時事問題の基本事項が出題されるため、過去問題などでの対策はあまり有効ではなく、社会事情に常にアンテナを張って知識を蓄えておくことが大事になります。
情報通信・個人情報保護
この科目では行政書士として働く上で最低限押さえておくべき個人情報の知識やそれらの法律について勉強していきます。
個人情報保護法が特によく出題され、過去問での演習によって力を伸ばせる科目となっています。
難易度も高くないので、出題傾向や問題の癖を演習でつかんで全問正解を狙っていきましょう。
文章理解
この科目では、長文の論旨を的確に捉えたり、言葉の意味を正しく把握したりすることが求められ、イメージとしては中高の国語のような感じです。
過去問を通して長文読解に慣れ、文意を正確に捉える勉強が有効となってきます。
記述式が出題される
行政書士試験では選択式の問題だけでなく、行政法と民法からそれぞれ記述式の問題が出題されることが特徴の1つとなっています。
記述式では該当分野の正確な知識を体系的に理解したうえでそれを文章にまとめる力が必要になります。
選択式に比べて知識を高度なレベルで理解しなければいけないので、記述式の難易度は選択式に比べて高くなっています。
出題は基本論点が中心となるため、普段の勉強の中から記述式で大事になるワードを中心に覚えることが大事になってきます。
また、記述式は途中点をもらえる形式となっているので、わからない問題に出会ってもわかる範囲までのことを文章でうまくまとめられるよう普段の演習から心がけることも重要です。
行政書士の記述式については下記の記事を詳しくご覧ください。
苦手科目を作れない
行政書士試験では法令科目の得点・一般知識科目の得点・全体の得点の3つでそれぞれ合格ラインが設定されており、それらをクリアすることが必要になります。
具体的には法令科目で122点以上、一般知識科目で24点以上、全体で180点以上取る必要があり、どれか一つでも満たせなかった場合は無条件に不合格となります。
よって配点の大きい分野を中心に対策して、苦手科目を捨てた上でトータルの合格点を突破するといった戦法を取ることができません。
配点の低い一般知識の科目も含めて各科目まんべんなく得点を重ねる必要があります。このことも試験の難易度を押し上げている要因の1つといえるでしょう。
行政書士の合格率はどれくらい?
資格試験に向けた勉強を始めるにあたって、合格率や受験者層、その他のデータから試験の難易度を知るということもとても重要です。
合格率一つとっても、ただの結果としての数字として捉えるのではなく、なぜその様な数字になるのか、例年それくらいなのかなどを分析することで試験そのものや受験する自分自身の立ち位置を冷静に捉えることが出来ます。
また、自分の立ち位置が分かれば、ゴールに向けての戦略を具体的に立てることができます。
難易度を知ることは、受験のスタート時には非常に重要なことなのです。
行政書士の合格率は以前より高い
行政書士試験の直近10年間の合格率を見ると概ね10%弱~15%の間を推移しています。2012年以前は合格率一桁台が当たり前でしたが、翌年以降は緩やかに上昇しており、ここ数年の合格率は二桁台が続いています。
また、2012年以前も2013年以降も年ごとに合格率に差があることがわかります。10年間の平均合格率は10.9%で、難関資格らしく合格率は決して高くありません。
とは言え、2012年以前の5年間の合格率の平均が7.9%、2013年以降昨年までの合格率の平均が11.6%であることを考えると、以前に比べて合格率は高くなっていると言えます。
基本的にはその年に出題される問題の難易度によってある程度は合格率が決まってくるものです。
ここ数年合格率が二桁台で推移していることを見ると、以前と比べると試験難易度も比較的易しくなったと見ることができるかもしれません。
行政書士は合格率ほど難しくはない
10年間の平均合格率が10%程度ということで少し尻込みした方もいるかもしれません。しかし、実際の合格率がどうかと考えると、そこまで小さな数字にはならないと考えられます。
というのも、行政書士試験は「義務」ではなく、自分でモチベーションを高く維持しながら勉強をし続けなければいけないものなので、十分に勉強できないまま本番試験に臨む人が多いからです。
試験は申し込んだもののモチベーションを維持できず勉強は不十分、でもとりあえず受けておく、といった受験者は多くいます。
また、受験資格等も特にないので、いわゆる「記念受験」的な感じで受ける人もいます。
合格率を出す時の母数となる受験者数にはそういった人たちも含まれているため、しっかりと勉強してきた人たちだけを母数として考えると、実際の合格率は公表されているより高い数字になるはずです。
それを考えても、しっかり勉強をすれば合格に近付くので、きちんと試験対策をして効果的に勉強をしていくことが必要です。
公表されている合格率の数字に戸惑うことなく、勉強したことに自信を持って試験に臨みましょう。
知識0の状態から勉強を初めても合格出来る
行政書士試験は、先ほども述べたとおり、受験者全体のレベルは実はそれほど高くありません。年度によって難易度に差はあるとしても、問題自体は他の法曹系資格と比べても難しいというものでもなく、きちんと勉強した人が受かる試験です。
マニアックな法律知識までないといけないというタイプの試験でもなく、法律の基礎知識をしっかりと定着させ、基本問題を確実に解答し得点できれば、必ず合格出来ます。
合格率に怖じ気付いて、予備知識がないと合格出来ないなどと考えて躊躇する必要はありません。
行政書士合格のための合格点と勉強時間
詳しい難易度を把握するためには、試験形式や合格点がどのようなものが把握することが大事になってきます。
ここでは合格点・試験形式・勉強時間を中心に解説していきます。
合格点の基準
行政書士試験は法令科目が244点満点、一般知識という科目が56点満点の、合計で300点満点となっています。
難易度によって合格点が変動する相対評価ではなく、難易度関係なく必要点数を満たしているかが重要な絶対評価の試験となっています。
合格には、法令科目で122点以上、一般知識等科目で24点以上、且つ全体で180点以上という3つの条件を満たす必要があります。
例えば法令等科目で160点、一般知識等科目で20点だった場合、合計180点で全体の点数としては足りていますが、一般知識等科目が基準点に達していないので、不合格となります。
両科目でボーダーラインがありそれをクリアすることが大前提で、さらにプラスして得点を稼ぐ必要があるということです。
問題数と試験時間
行政書士試験では60問を180分で解く必要があります。
60問の出題形式は、法令等科目が択一式(5肢択一式及び多肢択一式)と記述式、一般知識等科目が択一式(5肢択一式)となっており、様々な出題形式に対応する必要があります。
配点は1問につき5肢択一式問題が4点、多肢択一式が8点、記述式が20点です。
180分で60問を解く、というのはなかなかタフな作業になります。記述式の問題に時間がかかることを考えれば、択一式の問題などはかなりのスピードで解答していかなければなりません。
正答率を上げるのはもちろんですが、普段から問題を解く速さを上げる練習もして、当日に慌てないで済むよう対策をしておく必要があります。
目安の勉強時間
行政書士試験は年に一回なので、きちんと計画を立てて勉強しなければなりません。
行政書士試験の場合、勉強時間は600時間が必要と言われることが多いです。法律初学者(0から勉強する)だと800時間くらいかかる場合もありますし、独学となるとさらに膨大な時間がかかると言われています。
勉強期間は1日3時間程度の勉強時間を確保すると、600時間の場合は半年ちょっとかかり、800時間の場合は9か月弱かかる計算になります。
勉強時間を見る際の注意点としては600時間、800時間の数字はあくまで勉強時間の目安にすぎず、状況によってこれより長くなることも短くなることもあり得ることです。
この数字にこだわりすぎる必要は全くなく、試験までに時間は取れるだけ取った方が当然良いです。一年間は勉強に費やすくらいの余裕を持って取り組むことができると安心でしょう。
科目別勉強時間の目安
行政書士試験で出題範囲となる科目別の勉強時間を表にしています。あくまでも目安ではありますが、一つの参考になるはずです。
科目 | 勉強時間 |
---|---|
基礎法学 | 30時間 |
憲法 | 70時間 |
行政法 | 200時間 |
民法 | 210時間 |
商法・会社法 | 30時間 |
政治・経済・社会 | 15時間 |
情報通信・個人情報保護 | 25時間 |
文章理解 | 20時間 |
合計 | 600時間 |
行政法、民法に勉強時間の過半数を使うことになります。
合格基準には科目毎の足切りはないので(例えば「基礎法学」で~点以上、など)、得点効率の高い科目から優先的に勉強するのが良いでしょう。
注意点として、小科目毎の基準点はないものの法令等科目、一般知識等科目の大別では基準点があります。
毎年、「法令等科目では基準点を大きくクリアし総合得点でも180点を超えているのに、一般知識等科目で得点が足りず不合格・・・」という人が一定数います。
法令等科目に重点を置きがちですが、一般知識で足切りにならないようにすることも大切です。
行政書士の詳しい勉強時間は以下の記事を詳しくご覧ください。
行政書士試験の難易度を受験者層から考える
受験者層も試験の実際の難易度を決定づける非常に重要な要素となります。
例えば「合格率60%以上だけど、受験者の8割が東大卒」の試験は、簡単とは決して言えません。
この様にどのような人が多く受験していて、どういう数字が出ているのかを見ることで、実際の難易度を推し測ることが出来るのです。受験者層の分析は、難易度を考える際には外せません。
行政書士合格者の年齢層
以下では令和2年度試験の行政書士試験合格者(4,470名)の年齢毎の比率を表にしています。
年齢(年代) | 比率 |
---|---|
10歳代 | 1.2% |
20歳代 | 26.2% |
30歳代 | 28.9% |
40歳代 | 23.6% |
50歳代 | 14.6% |
60歳代以上 | 5.5% |
表を見てわかるように、20~40代の働き盛りの人が合格者の過半数を占めています。
中には「勉強のために一年間休職した」という人もいるかも知れませんが、多くは仕事をしながらの受験であると考えられます。ここから、行政書士試験は仕事をしながらでも十分に合格を目指せる難易度であることがわかります。
また、この年代での行政書士資格の取得は、企業で会社員勤務をするにしても独立開業を目指すにしても、その後十分に資格を生かしていく時間があると言えます。
一年間、勉強のために他のことを諦めたとしても、その後取り返せるという前向きな希望や意思を持って、モチベーションを高く維持出来るのがこの年代であると言えるでしょう。
行政書士合格者の男女比
次に、同じく令和2年度試験の合格者の男女比と男女別の合格率を表にしてみます。
受験者数 | 合格者数 | 合格者割合 | 男女別合格率 | |
---|---|---|---|---|
男性 | 29,566名 | 3,278名 | 73.6% | 11.1% |
女性 | 12,115名 | 1,182名 | 26.4% | 9.8% |
合格率を見ると、男性の方が高くなっています。また、合格者割合も男性の方がかなり多いです。
しかし、だからといって男性に有利、女性の合格は難しい、ということを示しているわけではありません。
まず、男性の方が圧倒的に受験者数が多いので、当然合格者の割合も男性が多くなります。
合格率が男性の方が高いことも、男性の方が資格取得に積極的で、キャリアアップ等のために真剣に試験に臨んでいる方が多いことが主な要因と推測されます。
また、近年は男性の育休取得等も積極的に言われるようにはなってきたものの、やはり日本ではまだまだ家事・育児は女性がするものという認識が意識的・無意識的に関わらずあります。
女性が男性と同じように真剣に試験に臨もうと思っても、小さい子供がいる家庭などではどうしても女性に負担がかかりがちです。
意欲を持って受験申込をしたものの、男性と同じ様に勉強に集中するのは難しいという状況もあることが、男女の合格率の差の一因となっている可能性もあります。
そのような社会的な要因も大きく考えられるので、表に現れた差が男女の能力の差であるとか、女性には難しい試験であるとかいう風には考える必要はないでしょう。
女性行政書士の詳しい内容は以下の記事をご覧ください。
その他資格の国家試験との比較
国家資格 | 勉強時間の目安 | 難易度 |
---|---|---|
宅建 | 300時間 | 普通 |
行政書士 | 500~800時間 | やや難関 |
社労士 | 1000時間 | 難関 |
司法書士 | 3000時間以上 | 超難関 |
税理士 | 3000時間以上 | 超難関 |
弁護士 | 10000時間以上 | 超難関 |
上の表は国家資格の難易度がどれくらいなのかを表した表となっています。
行政書士がほかの資格と比べてどれくらいの位置にいるかこの表を見て把握していきましょう。
ここでは行政書士とほかの資格を詳しく比較していきます。
司法書士
行政書士と司法書士は両者とも書類作成にかかわる仕事を中心に行い、独占業務もそれぞれ持っている資格となっています。
難易度としては合格率・試験範囲の広さなどどれをとっても司法書士のほうが難しくなっています。
具体的には行政書士の合格率が10%程度であるのに比べ、司法書士の合格率は3%程となっており、合格率に大きな差があります。
この二つのWライセンスを目指す場合は、先に行政書士を取得して、法律の知識がある程度ある状態で司法書士の勉強をするのが良いでしょう。
司法書士の難易度については以下の記事を詳しくご覧ください。
宅建
宅建士の合格率は15~17%、勉強時間が一般的に300時間程度といわれており、行政書士との比較で言えば宅建の方が簡単です。
宅建試験における民法の範囲は行政書士試験より狭く、内容もそこまで深くはないので、行政書士取得後であれば宅建試験の勉強範囲を減らすことが出来ます。
また、宅建は安定して仕事に繋がりやすい資格でもあるので、行政書士とのダブルライセンスは将来の安定にも繋がると考えられます。
宅建の難易度については以下の記事を詳しくご覧ください。
社労士
社労士の合格率は6%程度、必要な勉強時間は1000時間と行政書士と比較すると社労士の方がやや難易度が高いです。
また、行政書士の資格を持っていることが社労士試験の受験資格になるのも特徴です。
この二つの資格は範囲が異なるので、ダブルライセンスを目指す場合は二つの資格分それぞれの勉強が必要です。
しかし、その分両方を持っている人も少ないので珍しく、独立した際に成功しやすい資格の組み合わせであるといえます。
社労士の難易度については以下の記事を詳しくご覧ください。
税理士
合格率は12%~17%で推移している税理士ですが、合格までに必要な時間は短い人でも2,500時間と言われており、数年かけて合格を目指す試験です。
よって当然、税理士の方が行政書士より圧倒的に難易度が高いです。
さらに税理士試験は会計の科目があり計算も試験範囲に含まれるので、数字に弱い人にはかなり難しい試験です。
一方、行政書士は試験範囲は広いものの暗記と法律の解釈であるため、数字に弱くても合格できる試験であると言えます。
税理士の難易度については以下の記事を詳しくご覧ください。
行政書士になるメリットは豊富
行政書士になるメリットはたくさんあり、今回はその中でも4つを抽出して紹介していきます。
独立開業できる
行政書士は、その資格一つで独立開業が可能です。自分の名前で仕事をして収入を得る喜びは他では得がたいものです。
開業してすぐに仕事と収入を安定させることは難しい面もありますが、冒頭でも述べたように、行政書士が扱える書類は10,000種を超え、相談内容も多岐に渡ります。
その中で自分の専門分野を極めて同業者と差を付けて勝負していくこともできるでしょう。
就職・転職が有利になる
行政書士は一般企業の中で「企業内行政書士」として独占業務を行うことはできません。
そのため資格があるだけで即採用というのは難しいですが、企業の法務部やその関連部署への就職や転職において、行政書士資格を持っていることは有利になることはあっても不利になることはまずありません。
自社内に、法律や書類作成等手続きの専門家がいるということは企業にとって大きなメリットとなります。
また、難関資格を取得したという事実そのものも、能力の高さや努力できる姿勢の証として高評価のポイントになります。
今の職場で昇給・昇格が狙える
今の職場が法務部等であるなら、行政書士資格を取得することによるメリットは非常に大きいと言えるでしょう。
自社の業務における法律・行政手続きに対して、専門家として的確なアドバイスが出来るようになります。頼れる存在として社内での評価が高まることは間違いありません。
自己研鑽になる
自身のスキルアップという面でも、行政書士資格の取得はメリットがあります。
資格取得のために勉強する努力をすることで得られるものもあるでしょうし、何より行政書士の勉強を通じて身に付く民法などの知識は自身や家族が生活していく上で役に立ちます。
資格を取得してから、その後の働き方を考えていくということも出来るでしょう。
法改正など社会の動きにも敏感でなければなりませんが、行政書士登録をしておけば常時最新の情報が得られるようになっているため、制度の変更や知識のアップデートも難なくできます。
行政書士は独学で対応可能な試験
行政書士試験は難易度が高いですが、独学では対応が出来ないと言うほどのものではありません。
しかし、試験範囲の法律が多い分、勉強する内容が多いので自学が苦手な方やモチベーションの維持が困難なタイプの人には難しいかも知れません。
また、巷では「行政書士は簡単だ」という声も散見されますが、いずれも根拠に欠ける信憑性の低いものばかりです。
簡単だと舐めてかかると何年も不合格になり続ける羽目になるので、行政書士を独学で目指す際は入念な準備の上で試験に臨みましょう。
独学の際の勉強法
独学では正しい勉強方法を実践して実力を伸ばすことが最も大切になってきます。
ここでは独学の際に実践するべき勉強法を紹介していきます。
まずはスケジュールをしっかり組む
行政書士の試験は上でも述べたように試験範囲が膨大であり、無計画のまま勉強した場合、試験日までに実力が身につかない可能性が高まってしまいます。
合格までの日数を逆算したうえで、どこで何をやるかを最初にある程度決めるとよいでしょう。
具体的には1週間単位で勉強時間とやるべき内容を書き出して1つずつ実行していくことがおすすめです。
注意点としては実行できそうにない勉強計画は絶対立ててはいけないことです。
体調を崩したり、モチベーションを落としてしまう原因となってしまい、勉強のペースが崩れてしまいます。
自分の普段の生活習慣に合った計画を立てていくことが大切です。
重要度の高い科目を優先して勉強
行政書士試験は科目ごとの配点が異なり、特に民法・行政法の配点が全体の65%とかなり高くなっています。
よって点数を効率よく稼ぐためにもこの2教科に関しては重点的に勉強することがおすすめです。
具体的な勉強法としては、両科目とも条文や用語の暗記が学力の基礎となる科目となっているため、テキストを繰り返し読み込み場合によっては内容をまとめてみることがおすすめです。
その際の注意点としては、覚える内容が多いので暗記だけでなく理解も同時に取り入れることが重要です。
キーワードを正しく暗記
行政書士試験の配点のうち60点を記述式が占め、これらの対策を怠ってはいけません。
記述式の採点の際、問題でカギとなるキーワードが適切な文脈で使われているかが大きなポイントとなってきます。
よって勉強の際には単語を暗記するだけでなく、その用語がどのような場面でどういう風に使われているかを意識的に押さえた上で勉強することが効果的です。
過去問はしっかりやりこむ
独学の際には、過去問をやりこむことで試験の頻出範囲や出題傾向をつかんでいくことがとても大切になってきます。
また過去問演習は問題の間違えを通して弱点を発見できるので、自分を客観的に見つめなおす材料として効果的です。
独学の過去問演習の注意点としては、演習をただやって丸付けすることは絶対にやってはいけません。
答えを丸暗記して終わりになってしまい、出題の形を少し変えられただけで対応が難しくなってしまうからです。
独学の際には、自分が過去問を有効活用できているか常に把握しておくことが大切です。
質のいいテキストを買うことが合格へのカギ
独学の際は質のいいテキストを使うことで学習を効果的に進めることができます。
おすすめのテキストとしてはTAC出版の「スッキリわかる行政書士 2020年度」が挙げられます。
試験に出るところだけを徹底抽出した1冊となっており、無理なく・無駄なく合格点の6割に到達する学力が身につけられる1冊となっています。
テキストを購入する際に必ず注意することとしては
・最新版を購入する
・問題集も同時に買う
の2点が特に大事になってきます。
最新版を買うことは、内容が法改正に対応するため、最新の試験傾向を押さえるためにとても重要です。
また問題集を合わせて買うことで、知識を覚えた後の問題演習がスムーズにいくようになり、学習効率が飛躍的に上がります。
「行政書士試験攻略本」で勉強がスムーズに
行政書士試験は難関であるため、特に独学者は壁に何度もぶち当たることになるでしょう。
そんな時に持っておくと便利なのが大手資格学校のクレアールが出版している「行政書士試験攻略本」です。
独学の際に悩むことの多い科目ごとの勉強法や実際の問題で点数をどうとるかが載っており、独学勉強の際の頼れる1冊となっています。
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行政書士試験は通信講座で突破しよう!
行政書士試験の難易度を考えると、独学での合格はやっぱり厳しいという方は多いのではないでしょうか。
そんな時には通信講座の受講がおすすめです。
独学と比較しても費用が変わらないものも多く、価格の面でもデメリットになることが少ない選択肢となっています。
資格Timesでは数ある通信講座の中でもフォーサイトの通信講座をおすすめします。
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行政書士の難易度まとめ
行政書士まとめ
- 行政書士はあらゆる書類作成に携わることのできる士業系の国家資格
- 行政書士の合格率は例年10%前後だが、近年は合格率が上昇傾向にある
- 行政書士の合格者は社会人の方が多く、働きながら合格を手にしている人も多い
- 行政書士は税理士や司法書士といった超難関資格ほどは難しくない
行政書士の活動範囲は多岐に渡り、近年の法改正で新しく携わる業務も増え、社会的にも大きな役割が期待されています。
試験は決して簡単ではないものの、受験資格もなく隣接する国家資格の中でもチャレンジしやすい試験です。また、独学も可能で、難易度も合格率が示すほどには高くないと言えます。
行政書士試験を受けようか迷っている人、これから何かじっくり取り組んで資格取得を目指したいと考えている人には、是非行政書士試験に挑戦することをお勧めします。