土地家屋調査士が開業・独立するには?儲かるかどうかや・合格後のきつい実情も解説

「土地家屋調査士資格があると独立開業できるの?」

「土地家屋調査士として独立開業するとき、ダブルライセンスは必要?」

このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

土地家屋調査士は不動産系資格の中では難易度が高く、独立開業しやすい資格です。

しかし、実績や実務能力が十分でないまま独立開業しても「仕事がない」「事業がうまくいかない」という状況になってしまいます。

こちらの記事では、土地家屋調査士試験合格後に独立開業する場合や、独立開業後の実情・儲かるポイントについて解説していきます!

土地家屋調査士の独立開業についてざっくり説明すると

  • 独占業務があり、独立開業しやすい資格である
  • 独立後は営業スキルが求められる
  • 多くの機材は不要で、初期費用は低く抑えられる
  • 独立後間もない頃はなかなか仕事を得ることができず苦労する

土地家屋調査士の多くが開業する

植物の画像

土地家屋調査士は独立開業しやすい資格です。

多くの土地家屋調査士は自分の個人事務所を開設したり、他の土地家屋調査士と協力して法人を作って経営者となったりしています。

開業後間もないころはなかなか仕事をもらうことができずに経営の危機に陥ることもありますが、コツコツと努力を重ねて事業が軌道に乗れば問題ありません。

「表示に関する登記」は独占業務

土地家屋調査士には無資格者には行うことができない独占業務が与えられており「表示に関する登記」は土地家屋調査士の独占業務となっいます。

この業務は不動産の現況を法務局に届け出るもので、法律の知識と測量の技術の両方のスキル必要であるため、弁護士や測量士でも行うことができません。

また、この「表示に関する登記」は建物を新築したり増築したりする際には届け出ることが義務となっているため、土地家屋調査士の需要が無くなることはありません。

「表示に関する登記」の仕事内容

この土地家屋調査士の重要な仕事である「表示に関する登記」の仕事内容を紹介します。

まず、依頼者からの依頼に基づいて土地を調査し、立会いや分筆を経て「地積測量図」という図面を作成します。

その作成した図面に誤りがないことをチェックした後に、法務局に提出するという流れになります。

現地の調査や測量は必ず行う必要があり、地目変更や建物の増築の際も登記が必要となります。

その都度現地で調査を行い、正確な図面を作成して法務局に届け出なければなりません。

独立後の主な仕事内容

土地家屋調査士の仕事は非常に専門性が高いため、独立開業しやすい資格です。

土地家屋調査士の仕事として、顧客へのヒアリング、測量・製図作業、隣地所有者を含めた立会い、法務局への申請手続きがありますが、慣れてくれば一人で行うことができます。

しかし、それ以外にも経理作業や税務申告などの雑務、スタッフを雇った場合は勤怠管理や保険などの諸手続きも必要となります。

また、税金が絡んでくる場面では税理士との打ち合わせも必要となるため、やるべき仕事はかなり多いのです。

さらに、顧客を獲得するためには地域の集まりへの参加や法人企業への声かけ、町内会や商工会の役回りなどの営業活動も必要となるため、何事もコツコツとこなす忍耐力が求められるでしょう。

土地家屋調査士は開業すると儲かる?

重要なお金の話

独立開業すると、企業や事務所に勤務していたときよりも収入を増やすことが可能です。

自分の営業力やスキル次第ではかなりの高収入も狙えるため、非常にやりがいは大きいと言えます。

しかし、独立開業するにあたってはメリットだけではなく一定のリスクもあることに留意しましょう。

実際、独立開業後に間もなく廃業している土地家屋調査士もいるため注意が必要です。

土地家屋調査士の収入事情

一般的に、土地家屋調査士の平均年収は独立している方と勤務している方をまとめて400~600万円程度と言われています。

ただし、この年収には個人差があるため、誰もが400〜600万円を稼げるわけではありません。

独立開業して多くの仕事を請け負っている方であれば年収1,000万円以上稼ぐことができ、逆になかなか仕事がもらえない方だと年収300万円以下で苦労している方もいます。

独立開業した後の収入に関しては完全に自己責任となるため、自分のスキルや営業力を冷静に分析して独立開業するかどうかを決めましょう。

以下の記事では土地家屋調査士の給料事情について詳しく解説しています。

土地家屋調査士が開業するメリット

成功の標識

初期費用があまりかからない

土地家屋調査士として独立開業した場合、初期費用があまりかからないため融資を受ける必要がないメリットがあります。

仕事に必要なのは測量機材・パソコン・自家用車程度であるため、莫大な初期費用は不要です。

また、自宅を事務所にすることで家賃コストをゼロにすることができ、1人で仕事をする場合は人件費もかからないため、固定費を大幅に抑えることができます。

このように、独立開業しても初期費用やランニングコストが安く抑えられる点は大きなメリットと言えます。

しかし、これには反対にリスクも存在し、業務量の不安定や集客の難しさなど、自己責任で解決しなければならない課題も多いため、しっかりとしたビジネスプランと戦略が求められることを理解しておく必要があります。

独占業務で需要がなくならない

前述したように、土地家屋調査士には法律で定められている独占業務があります。

そのため、社会的な信用度はかなり高く無資格で開業するよりも収入を得やすいメリットがあります。

不動産の売買や権利の移動などがある限り土地家屋調査士の需要が無くなることはありません。

つまり、実質的に需要はかなり高いため独立が成功しやすい職業なのです。

土地家屋調査士の需要や将来性について気になった方は以下の記事を参照してください。

独立する上できついこと

デスクの風景

初めは依頼や仕事がない場合も

独占業務があり社会的信用度も高い土地家屋調査士ですが、独立開業して間もない頃は仕事の依頼がなかなか来ずにつらい時期を過ごすことになるでしょう。

独立すると、収入はこなした案件次第になるため、自分の営業努力やスキルで上下します。

土地家屋調査士の仕事のほとんどの案件は紹介で成り立っており、それぞれの地域には昔から商売をしていて付き合いがある土地家屋調査士が存在します。

そのため、新規開業した土地家屋調査士にはなかなか案件が回ってこず、仕事がない状況が続いてしまいます。

仕事を受けるためには、まず自分が土地家屋調査士として事務所を構えていることを知ってもらわなくてはなりません。

つまり、営業活動が不可欠であるため、営業スキルがないと経営を続けることはかなり難しいでしょう。

収入が景気に左右される

土地家屋調査士の仕事は景気の影響を受けやすいです。

好景気の時は住宅の建設や公共工事が増え、それに伴って表題登記や測量の依頼が増えるため案件を受注しやすくなります。

しかし、一方で不景気の時は住宅着工件数や不動産取引が減少するため、仕事の依頼が減ってしまいます。

独立開業すると固定給という概念はなくなってしまうため、なかなか仕事が回ってこない時期は大きなプレッシャーを感じることになります。

また、事業が順調に進み大量の案件を受け持っている場合は、スムーズに処理するために多くのスタッフを雇う必要が出てきます。

スタッフを雇った後に仕事が減ってしまうと人件費の負担が重くのしかかることになるため、注意が必要です。

このようなリスクを管理するために、独立開業する土地家屋調査士は、市場の動向を常に把握し、柔軟に業務量の変動に対応できる経営戦略や人員配置の計画が必要となります。

試験合格後いつから独立するべき?

時計の画像

試験に合格した後の独立のタイミングについて解説していきます。

まずは就職して実務経験を積む

試験合格後、すぐに土地家屋調査士として開業することも可能ですが、実際に仕事をこなしていくためには専門知識とスキルが必要です。

また、経営ノウハウを持たないまま独立開業すると、資金計画がザルのままダラダラと事業をすることになるため、経営ノウハウも身に着ける必要があります。

土地家屋調査士として仕事を受けるためには、確かなスキルと信頼が欠かせません。

そのため、独立する前に数年間は土地家屋調査士事務所や測量会社で勤めて、コツコツと実務能力や経営のノウハウを学ぶことが一般的です。

独立前に人脈を広げておく

仕事を請け負うにあたって、人脈が役立つことが多くあります。

近年は土地家屋調査士の間で競争が激しくなっているため、多くの仕事依頼を獲得するためは人脈を広げることが欠かせません。

そのため、独立開業前の勤務している時期に、法人企業・役所・他の事務所の人と積極的に関わり、人脈を築くことを意識しておくと良いでしょう。

また、税理士などの他業種の方とも交流を深めておくことで、そちらのルートから仕事が舞い込んでくることもあります。

この人脈作りは、単に仕事を増やすだけでなく、業界の最新情報や他の専門家との連携によるサービスの質向上など、事業の発展と安定にも大いに貢献する要素であるため、絶えず努力と注意が必要とされます。

土地家屋調査士が開業する方法

オフィスの風景

こちらのトピックで、土地家屋調査士として独立開業する際の準備などを解説していきます。

開業届を提出して独立する

数年間事務所や法人で勤務して実務能力を高めることができたら、いよいよ独立を視野に入れることになります。

独立して自分の事務所を構える場合、法務局や税務署で諸手続きを行う必要があります。

税務署に個人事業主開業届を提出し、必要に応じて県税事務所に事業開業報告書を提出するなど様々な手続きが必要になるため、漏れがないように気を付けましょう。

また、青色申告などを活用すると税金が優遇されるため、これらの様々なお得な制度も活用していくと良いでしょう。

独立に必要なものを揃える

役所での諸手続きに加えて、事務所を経営していくための準備も行いましょう。

事務所や仕事に必要な機材を自前で用意する必要があるため、一定の資金を準備しておく必要があります。

なお、必要な機材は測量器材・パソコン・測量計算や作図ができるソフトウェア・コピー機などが挙げられます。

これらの必要資材を揃えるためにはおおよそ100万円程度かかるため、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。

また、事務所を賃貸する場合は必要資材に加えて敷金礼金・仲介手数料などが必要となるため、しっかりと貯蓄をしておくようにしましょう。

ダブルライセンスは開業の際に有利

ダブルライセンスのイメージ

土地家屋調査士単独ではなく、業務に関連のある他の士業資格を取得することができれば兼業で経営することが可能になります。

自分の業務の幅を大きく広げることで収入を得る手段も大きく広がるため、経営を安定させることができます。

ダブルライセンスの取得は大変ですが、より自分の価値を高めたいと考えている人はぜひ積極的に狙うべきです。

土地家屋調査士の開業に役立つ資格

行政書士

行政書士は官公庁に対して行う様々な手続きの代行などを行う士業です。

扱うことができる書類の種類は1万以上で、業務の幅を飛躍的に広げることができます。

土地家屋調査士と行政書士のダブルライセンスを取得できれば、農地転用の際に農業委員会への届出や許可申請をワンストップで請け負うことができるなどのメリットがあります。

行政書士は法律系資格の中では比較的難易度が低く独学でも合格を狙えるため、ぜひ取得を狙ってみてください。

土地家屋調査士と行政書士のダブルライセンスについて下記記事で徹底解説しています。ぜひご覧ください。

司法書士

司法書士は不動産の「権利に関する登記」に関する独占業務を持っています。

「表示に関する登記」と「権利に関する登記」と違いはありますが、不動産の登記を代行する上で土地家屋調査士と司法書士は共通点が多いです。

これらをダブルで取得することができれば、土地や建物の登記に関するスペシャリストになることができます。

単に土地家屋調査士として登録がある事務所よりも、司法書士と土地家屋調査士事務所を併せて構えている方が依頼者としては安心して仕事を依頼することができます。

また、これらの不動産登記は社会に不可欠な仕事であり、需要は常にあるため将来性も抜群です。

司法書士の難易度は非常に高く取得は容易ではありませんが、自分の価値を大きく高めてより稼ぎたいと考えている人は、司法書士の取得を目指してみてください。

以下の記事では司法書士と土地家屋調査士のダブルライセンスについて詳しく解説しているので、気になる方はこちらもご覧下さい。

土地家屋調査士の独立開業まとめ

土地家屋調査士の独立開業まとめ

  • 独立開業しやすい資格だが、競合が多いため差別化が求められる
  • 需要の高い独占業務があるため、将来性はかなり高い
  • 開業後間もない頃の、仕事が無くきつい時期を乗り越えることが重要
  • 相性の良いダブルライセンスを実現できれば、自分の価値が高まる

土地家屋調査士は独立開業する人が多く、競合も多くなりがちです。

開業後間もない頃はなかなか仕事をもらうことができず、苦労するでしょう。

しかし、ダブルライセンスを取得するなどして周囲と差をつけて、うまく差別化することができれば儲かる土地家屋調査士として活躍できるでしょう。

また、土地家屋調査士の仕事は常に需要があり、将来性も非常に高いです。

将来的に独立開業を目指している人や不動産の世界に興味がある人はぜひ土地家屋調査士の資格取得を目指してみてください!

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