測量士試験の難易度は高い?合格率や合格ライン・独学勉強法まで徹底解説!
「測量士試験の難易度はどれくらいなの?」
「測量士試験の合格点や合格率などを知りたい!」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
測量に関する専門的な資格として測量士と測量士補がありますが、測量士試験の難易度は測量士補よりもかなり高いです。
独学で合格を狙うことができるのか、どのような勉強方法で進めればいいのか気になる方は多いと思います。
こちらの記事では、測量士試験の難易度や合格率などのデータ、おすすめの勉強方法まで徹底解説します!
測量士の試験データや難易度をざっくり説明すると
- 難易度はかなり高く、合格率は10%程度で推移している
- 合格点は910点と、全体の65%程度の得点率で合格することができる
- 偏差値は60程度で複雑な数学知識が求められるため、文系出身者には不利
- 勉強は過去問を解くことを中心に進めていくと良い
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測量士試験の難易度は高め
測量士は不動産・建築関連の資格の中でも難易度が高めの資格です。
似た資格に測量士補がありますが、測量士の方が圧倒的に難易度は高いです。
難解な計算問題や専門的な知識が問われるため、本格的な試験対策を講じていないと合格することは難しいでしょう。
なぜここまで測量士試験の難易度が高いのか、理由を様々な観点から分析していきます。
試験問題と出題範囲を確認
測量士の試験は以下の8つの分野か出題されます。
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多角測量
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凡地球測位システム測量
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水準測量
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測量に関るす法規及び関連する国際条約
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地形測量
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写真測量
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地図編集
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応用測量
単なる知識を問う問題だけでなく複雑な計算問題なども出題されるため、かなり対策は難しいです。
確実に得点できる分野は得点する強い意志を持って勉強していきましょう。
測量士試験の形式と配点
測量士試験は、午前の部と午後の部に分かれており、試験時間は午前・午後ともに2時間半です。
全ての問題に着手するためには、正確に解きながらもある程度のスピードが求められるため、日頃の演習から「早く正確に」解くことを意識しましょう。
また、午前と午後の試験は性格が大きく異なるため、それぞれに適した対策を練っておく必要があります。
午前試験は択一式
午前試験は前述した試験範囲の中から、5肢択一のマークシート形式で28問が出題されます。
配点は一問25点で700点満点の試験となっています。
この択一式問題で400点以上の得点をすることが合格基準の一つになっているため、苦手分野を極力作らないようにしましょう。
少なくとも20問以上は正解できるように仕上げておくと安心です。
午後試験は記述かつ選択問題
午後試験は記述式となっており、必須問題1題と選択問題2第の計3題を解くことになります。
配点は必須問題が300点、選択問題が一問200点の700点満点の試験となっています。
記述式問題を苦手としている受験生は多いため、徹底的に対策をして苦手意識を払拭するように頑張りましょう。
測量士試験には受験資格がない
専門的な知識が求められる測量士試験ですが、試験には受験資格が特に設けられておらず誰でも受験することができます。
そのため、明らかに勉強不足の方がいる点も合格率を下げている一因と言えます。
ただし、全くの知識が無い段階で測量士を受験する方は少なく、測量士補や土地家屋調査士の資格取得者がダブルライセンスやスキルアップを目指して受験することが一般的です。
測量士の難易度は偏差値60
測量士の試験は、国家資格の中でも偏差値は60程度と判定されています。
同じような難易度の国家資格に通関士や電験3種が挙げられることからも、非常に難易度が高い試験であることが分かります。
なお、測量士補試験の偏差値は47程度となっており、難易度が一気に上がることが分かります。
計算問題が難易度を高めている
測量士試験の合格率が低く、難易度が非常に高い主な理由として「計算問題の難易度が非常に高い」という点が挙げられます。
具体的には、三角関数やベクトルはもちろんのこと、GNSSの基線解析やクロソイド曲線などを習得していないと解けない問題も多数出題されます。
高校数学レベルの問題が当たり前のように出てくるため、文系の方にとってはつらいでしょう。
このような特徴があるため、受験者の知識量や得意分野によって合格までに必要な勉強時間が大きく変わってきます。
測量士の合格率は10%前後
ここで、直近8年分の合格者数や合格率などのデータを見てみましょう。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2022年 | 3,194人 | 460人 | 14.4% |
2021年 | 2,773人 | 497人 | 17.9% |
2020年 | 2,276人 | 176人 | 7.7% |
2019年 | 3,232人 | 479人 | 14.8% |
2018年 | 3,345人 | 278人 | 8.3% |
2017年 | 2,989人 | 351人 | 11.3% |
2016年 | 2,924人 | 304人 | 10.4% |
2015年 | 2,739人 | 315人 | 11.5% |
上記のように、測量士の合格率は非常に低く10%前後で推移しています。
単純計算で10人に1人しか合格できていないため、ハードルがかなり高いことが分かります。
また、近年は以前よりも合格の波が激しい傾向にあり、次回の試験の難易度を予想するのが困難であるのが実情です。
測量士の合格点は910点
測量士の試験は絶対評価であり、1400点満点のうち910点以上の得点で合格となります。
合格点は65%以上の正解となるため、必ずしも高い正答率が求められるわけではありません。
重要論点や過去問の頻出問題にフォーカスして対策をしておけば、十分に合格は狙えるでしょう。
ただし、午前の部の得点による足切りが設定されているため、その点についてしっかりと注意を払う必要があります。
択一問題の足切りに注意
午前の部の700点満点の内、択一式で400点以上の得点ができないとその時点で不合格が確定してしまいます。
例え午前の部と午後の部と合わせて合格点をクリアできていたとしても、足切りに引っ掛かると不合格となってしまうのです。
そのため、試験対策で重視すべきなのは択一式の問題であり、最低でも足切りをクリアできるように仕上げておく必要があります。
勉強時間は300時間以上
測量士試験は難易度の高い試験であるため、合格するために必要な勉強時間は少なくとも300時間程度と考えられています。
なお、勉強期間に換算すると半年〜一年と、かなり長期間になります。
ただ、高校の理系レベルの数学の知識が必須となるため、文系出身の方であればより長めの勉強期間を確保しておく必要があります。
逆に、測量士補や土地家屋調査士などの資格を取得済みで事前知識がある程度身に着いている方であれば、目安よりも短い勉強期間で合格を狙えるでしょう。
このように、事前知識の有無などによって必要となる勉強時間は差が出ます。
文系出身の受験者には厳しい
繰り返しになりますが、測量士試験では高度な数学的知識が求められるため高校生の時に文系であった受験者はかなり不利です。
高校数学の基本的な内容から勉強しなければならず、理系出身者と比べて合格するのは圧倒的に厳しいと言われています。
さらに、建築関連の知識がない方であれば、最低でも500時間の勉強時間は確保しておく必要があります。
このように、事前知識が無かったり理系の勉強に慣れていない方にとっては茨の道の言えるでしょう。
土地家屋調査士も多く受験
測量士試験を受ける方の中には、土地家屋調査士取得者も多くいます。
測量士と土地家屋調査士のダブルライセンスを実現することで、活躍の場を大きく広げることができます。
そのため、キャリアアップや自分の市場価値アップを目指して土地家屋調査士資格取得者が多く受験する傾向にあるのです。
また、土地家屋調査士試験には「測量士補合格者は一部免除される」という規定があるため、ほとんどの方が科目免除のために測量士補も取得しています。
つまり、事前知識や基礎知識が既に仕上がっている方が多く、これらの方は非常にスムーズに学習を行えるメリットがあるのです。
難易度ランキングでも高めに位置する
測量士は資格試験の偏差値が60であるため、国家資格の偏差値ランキングでも上位に位置しています。
不動産や建築関係の資格は数多くありますが、その中でも難易度は高めの試験として認知されています。
測量士補との難易度の違い
測量士補は測量士の下位資格にあたり、当然測量士補よりも測量士の方が難易度が高いです。
具体的には、測量士補の合格率は36%程度で推移していることに加えて、測量士補試験では記述式の問題も無いため、難易度が低く対策も容易なのです。
また、測量士には測量士でなければ行うことができない独占業務があることから、測量士の方が専門性の高い内容が出題されます。
このように、測量士補と測量士では大きな違いがあるのです。
測量士と測量士補の違いについて以下の記事でより詳しくまとめています。
不動産・建築系資格との難易度比較
不動産や建築系資格でダブルライセンスをしている方は実際に多くいます。
そこで、よく比較される「土地家屋調査士」と「宅建」と測量士は、実際どのくらいの難易度の違いがあるのか解説していきます。
土地家屋調査士の方が難しい
土地家屋調査士の合格率は10%以下であり難易度を偏差値で表すと64となっているため、測量士よりも難しい試験と言えます。
そのため、土地家屋調査士の取得した後に測量士を目指す場合、スムーズに勉強することができ比較的合格しやすいです。
また、勉強する内容に重複もあるため、様々な面で有利なのです。
参考として土地家屋調査士試験難易度をまとめた記事を下に載せています。比較の際にはぜひご活用ください。
宅建よりも難易度が高い
宅建試験の合格率は例年15%程度であり、難易度を偏差値で表すと57と判定されていることから測量士の方が難易度が高いと言えます。
宅建は不動産売買の専門家なので、同じ不動産系資格とはいえ測量士とは仕事の内容が違います。
また、測量士は計算問題が多く出題されますが、宅建は法律の勉強や暗記を中心勉強していくため、難しさの性質も違うのです。
宅建試験の難易度の詳細は以下の記事でまとめています。
測量士の資格を取得するメリット
測量士は難易度の高い資格なので、その価値に見合う多くのメリットが存在します。
やりがいのある役割・仕事内容
測量士は、建物の建築や土地の測量に関するプロフェッショナルなので、様々な場面で活躍しています。
土地の開発をする際や利用する際、住宅や商業施設の建築をする際の基礎的なデータを正確に取るという重要な役割を果たしています。
測量士は測量計画に関する最高責任者としての役割を担っているため、その責任は重く図面などの作成に関しては測量士しか行うことのできない独占業務となっています。
単に建物だけでなく、都市計画や街全体をイメージしながら業務を遂行していくため、やりがいが大きく非常にクリエイティブな仕事と言えるでしょう。
必置資格であるため需要が高い
測量士や測量士補は、土地開発や建築の際に必ず必要とされる存在なので社会的な需要が非常に高いです。
そのため、全国のどこに住んでいても一定の需要があり、仕事で困ることはほぼありません。
また、測量業務を手掛ける測量会社などは事業所ごとに測量士・測量士補の有資格者を一名以上配置する義務があります。
つまり、測量士は「必置資格」であるため、資格を有しているだけその価値を認められ様々な場面で重宝されるのです。
将来的にも測量士は活躍できる
測量士の資格は将来性も抜群に高いです。
建築をする際に必要不可欠な存在であり、不動産がこの世にある限りは仕事が無くなることはありません。
将来的にも建築や土地開発の事業は無くならないことを考えると、測量士は将来的な需要も高く、多くの場面で活躍できる資格なのです。
特に、測量士は測量計画を作成できることから、測量士補よりも貴重な存在として高い評価を得ることができるでしょう。
測量士の将来性について以下の記事で徹底解説しています。ぜひご覧ください。
測量士は独学で合格できる?
そもそも測量士試験は2種類の講座しか存在しないため、多くの方がまず独学での資格取得を検討するのではないでしょうか?
こちらのトピックでは、独学で合格を目指す際の注意点やおすすめの勉強方法について解説していきます。
午前の部で8割以上を目指す
測量士試験では、前述したように午前の部の得点で足切りが設定されているため、まずは午前の部の択一式試験対策を優先するべきです。
択一式問題で安定した得点が取れるようにならないと合格点になかなか届かないため、択一式試験対策の勉強にまず着手しましょう。
また、択一式の試験問題では過去に出題された問題が再び出題されるケースが多いので、しっかりと過去問演習をしておけば得点源になり得ます。
そのため、テキストでインプットをした後は徹底的に過去問を解いて本番レベルの難易度に慣れましょう。
問題を解いたり解説を読む中で知識を深めることができれば、着実に合格に近付くことができるでしょう。
独学者におすすめの勉強方法
こちらでは独学者におすすめの勉強方法を紹介します。
勉強は過去問中心
前述したように、午前の択一式の試験問題は過去問の類似問題や焼き直しが多いため、過去問を中心に勉強を行うことが合格に直結します。
なお、測量士の試験対策の市販テキストがまだあまり出回っていないことも、過去問を有効活用するべき理由の一つとして挙げられます。
とはいえ、過去問にしっかり取り組んでいれば自然と学力は身に着いていくため、過度に心配する必要はありません。
学習スケジュールの立案が最重要
独学で資格試験の合格を目指す際に最も重要なことは、効率の良い学習スケジュールの作成です。
測量士のような難易度の高い資格試験に挑む場合、勉強期間は長期に及ぶためしっかりと勉強スケジュールを考えなければ途中で挫折してしまいます。
自分の勉強の進捗が把握できないとモチベーションも失われてしまうため、このような面でも綿密なスケジュールを考えることは必須なのです。
合格するためには毎日の学習をコツコツと長期的に続ける必要があるため、試験日から逆算して効率の良いスケジュールを考えましょう。
また、スケジュールを立てる際は必ずゆとりを持たせておき、途中でスケジュールを変更する必要が生じてもスムーズに対応できるようにしておくべきです。
選択する問題の分野を決めよう
午後の記述問題については必修問題の他は選択することが出来るため、演習の段階でどの分野を選択するか決めてしまうと良いでしょう。
ある程度的を絞って集中的に対策する方法が、非常に効果的です。
なお、選択問題では例年「基準点測量」「地形・写真測量」「地図編集」「応用測量」の4つから選択する形式になっているため、自分の得意分野を作っておくようにしましょう。
それぞれに分野に特徴や傾向があるため、自分にとって解きやすく相性が良いものを早い段階で見つけると対策しやすくなります。
無試験で測量士の資格が取れる
試験を受けることなく測量士資格を取得する方法もあります。
具体的には、大学や短期大学、高等専門学校などで測量に関する単位を取得した上で必要な実務経験を積んだ方や、養成施設で測量技能を習得した後に測量士補として業務経験を積んだ場合などに資格を取得することができます。
測量に関する単位を取得している方や測量技能を習得している方は、狙う価値があると言えるでしょう。
また、勉強を進めていく中でどうしても内容が理解できず、得点も上がらないという方にも試験を受けずに測量士の資格取得を目指すルートがおすすめです。
測量士試験の独学合格についてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
独学が難しい方はアガルートがおすすめ
測量士は難関資格であるため、独学で合格をつかみ取るのは難しいと感じている方も多いのではないでしょうか?
そのような方は、測量士と関連性の高い資格である測量士補・土地家屋調査士試験両者で非常に高い合格率を叩き出すアガルートで合格を目指してみてはいかがでしょうか?
具体的には2020年度の合格率でみると、土地家屋調査士は全国平均の5.47倍となる56.7%、測量士補は全国平均の3.03倍となる91.7%を記録しており、その実績は他社と比較しても高い数字となっています。
測量士講座を担当する講師は、上記の講座で指導を行い高い実績を叩き出した中山氏であるため、当講座でもその的確な指導の基多くの測量士受験生を合格に導いてくれることが期待されます。
アガルートの測量士講座については、以下の記事で詳しく解説しています。
測量士の試験データや難易度まとめ
測量士の試験データや難易度まとめ
- 知識問題だけでなく高度な数学的な知識も要求されるため、しっかりと対策を練ろう
- 全体の65%の得点で合格することができるため、メリハリをつけた勉強を実践しよう
- 午前の部の試験は足切りがあるため、重点的に勉強しておくと良い
- とにかく過去問を多く解いて試験問題への実践力を養っておこう
測量士試験は難しい試験ではありますが、しっかりと対策を練ることで独学でも合格を狙うことができます。
また、試験問題は過去問題の使い回しが多い傾向にあるため、しっかりと過去問題に取り組むことが合格への近道です。
合格点は910点なので、足切りに注意を払いつつメリハリをつけた勉強を意識すれば合格できるでしょう。
測量士は需要が高く将来性も抜群な資格なので、興味がある方はぜひ前向きに取得を検討してみてください!