測量士と測量士補の違いは?受験資格や難易度・登録の差や免除制度まで詳しく解説!

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「測量士と測量士補ってどう違う?」

「それぞれ受験資格はある?難易度にはどのくらいの差がある?」

などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。

測量士は測量士補の上位資格になるため、試験の難易度が高いのは測量士の方です。ただし、現場での測量の仕事内容に関して言えば、両者にそれほどの違いはありません

今回は測量士と測量士補の違いについて、受験資格や難易度、登録要件の差などを紹介します。

これを読んで、どちらを受験するかの判断材料にしてください。

測量士と測量士補の違いについてざっくり説明すると

  • 試験の合格率は測量士が12%、測量士補が36%
  • 受験資格は共に制限なし
  • 試験以外で登録する場合、測量士は実務経験が必要

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測量士と測量士補の違い

疑問を持つ女

測量士と測量士補はどのように違うのでしょうか。以下では仕事内容や登録方法の違い、難易度差などを解説します。

測量士と測量士補の仕事内容の違い

測量士と測量士補は、どちらも土木工事やインフラ整備のための測量をすることを生業とします。

両者の違いですが、測量士が現場の主任者として測量の計画を作成するのに対し、その計画に基づいて実際の測量を行うのが測量士補です。

しかし、こうした役割分担は現場によって様々なので、実際は測量士と測量士補の仕事内容にはほとんど差がないと言えるでしょう。

測量士と測量士補の難易度差

過去5年間における測量士試験と測量士補試験の合格率を比較してみましょう。

測量士試験 測量士補試験
2019年 14.8% 35.8%
2018年 8.3% 33.6%
2017年 11.7% 47.3%
2016年 10.4% 35.9%
2015年 11.5% 28.0%
5年の平均 11.3% 36.1%

上記より、試験は測量士よりも測量士補の方が易しいということがわかります。

その理由としては、測量士試験よりも測量士補試験の科目数が少ないことが挙げられます。ちなみに両試験の科目数は以下の通りです。

<測量士試験の試験科目>

  1. 測量に関する法規及びこれに関連する国際条約

  2. 多角測量

  3. 汎地球測位システム測量

  4. 水準測量

  5. 地形測量

  6. 写真測量

  7. 地図編集

  8. 応用測量

  9. 地理情報システム

<測量補試験の試験科目>

  1. 測量に関する法規

  2. 多角測量

  3. 汎地球測位システム測量

  4. 水準測量

  5. 地形測量

  6. 写真測量

  7. 地図編集

  8. 応用測量

登録方法の違い

国土地理院の長が行う測量士試験・測量士補試験に合格すれば、測量士名簿・測量士補名簿に登録を申請してそれぞれの資格を取得することができます。

また測量士法第50条・第51条によると、試験合格以外にも資格要件は存在します。詳細は以下の通りです。

測量士資格の取得方法

測量士法第50条に基づく測量士の資格要件は以下の通りです。

  • 大学で測量に関する科目を修めて卒業、かつ測量に関する1年以上の実務経験
  • 短大もしくは高等専門学校で測量に関する科目を修めて卒業、かつ測量に関する3年以上の実務経験
  • 測量に関する専門の養成施設で1年以上測量士補に必要な専門の知識や技能を修得、かつ測量に関する2年以上の実務経験
  • 測量に関する専門の養成施設で高度な専門の知識と技能を修得した測量士補
  • 測量士試験に合格

以上のいずれかに該当する場合は、登録を行って測量士となることができます。

測量士補資格の取得方法

一方で測量士法第51条に基づく測量士補の資格要件は以下の通りです。

  • 大学で測量に関する科目を修めて卒業
  • 短大もしくは高等専門学校で測量に関する-科目を修めて卒業
  • 測量に関する専門の養成施設で1年以上測量士補に必要な専門の知識と技能を修得
  • 測量士補試験に合格

上記のいずれかに該当する場合は、登録を行って測量士補となることができます。

願書・試験日程の違い

測量士試験と測量士補試験はどちらも筆記試験で、共に受験資格はありません。試験は同一日に実施されますが、両者では試験時間が異なります。

例えば、令和2年11月22日(日)に実施予定の測量士・測量士補試験の試験時間は以下の通りです。

  • 測量士試験:午前10時から午後4時まで(午後0時30分から午後1時30分まで休憩)
  • 測量士補試験:午後1時30分から午後4時30分まで

願書提出時に必要なもの

測量士試験・測量士補試験の願書提出時には、以下の3点が共通して必要です。

  • 受験願書1部
  • 写真票等1部
  • 申し込み封筒

なお、写真票等1部には、試験手数料(収入印紙)・写真1枚(縦4.5cm横3.5cm脱帽・上半身・正面向のもの)・切手(63円)の3点を貼付する必要があります。

合格基準の差に注意しよう

国土地理院の発表によると、測量士試験・測量士補試験の合格基準はそれぞれ以下の通りです。

<測量士の合格基準>

  • 午前の点数が700点中400点以上(28問中16問以上)
  • 午前と午後の合計で1,000点中910点以上

※上記の両方を満たせば合格

<測量士補試験の合格基準>

  • 700点中450点以上(28問中18問以上)

なお、令和元年の試験では上記の合格基準で測量士試験では479名、測量士補試験では4,924名がそれぞれ合格しました。

合格発表方法は共通

測量士試験と測量士補試験で合格発表方法に違いはありません。

例えば、令和2年度の試験では、令和3年1月18日(月)に国土地理院と国語地理院各地方測量部及び国土地理院沖縄支所にて、合格者の受験番号と氏名が公告されます。また全受験者に向けた郵送での結果通知もあります。

さらに国土地理院のホームページでも合格発表があり、合格者の受験番号を確認することが可能です。

測量士と測量士補のダブル合格

成功の看板

測量士と測量士補では試験範囲に共通点も多いため、両者のダブル合格を狙うのもおすすめです。

試験範囲の共通点・受験資格

測量士と測量士補はどちらも測量に関する資格であり、仕事内容もよく似ているため、試験内容に関しても共通点が多いです。

もちろん測量士試験の方が難しいですが、試験科目においては(2)多角測量から(8)応用測量までの7項目が共通しています。測量士試験特有の科目は「国際条約」と「地理情報システム」だけです。

よって、測量士補試験の合格者なら、測量士試験にも比較的合格しやすいと言えるでしょう。

また先述した通り、測量士補の資格があれば、専門の養成施設で高度な知識と技能を修得することで測量士資格を取得することも可能です。

なお、どちらも受験資格はないため、自信があるなら測量士試験にいきなり挑戦するのも良いでしょう。

ダブル合格のメリット

両者とも受験資格はないため、いきなり測量士が取れるなら測量士補を取らなくても良いのですが、先述した通り測量士試験は合格率10%程度の難関試験です。

そのため、取得のハードルはかなり高いと言えるでしょう。測量士補を飛ばして測量士に挑戦すれば、あまりの難しさに挫折してしまう可能性もあります

一方で測量士補試験なら比較的合格しやすいですし、測量士試験と試験範囲が共通している部分も多いので、先に測量士補を取得すれば測量士試験に弾みをつけることができるでしょう。これがダブル合格のメリットです。

測量士と測量士補どちらの取得を目指すべき?

指差す少年

測量士と測量士補はどちらも取得するメリットがある資格なので、それぞれの学習レベルや目的に応じてどちらを受験するか選ぶと良いでしょう。

測量士の方が仕事の範囲がやや広いため、できれば測量士を取得するのが理想的ですが、測量士補でも十分役には立ちます

なお、測量士と測量士補の一方でも取得すれば、土地家屋調査士試験の筆記試験(午前の部)で免除を受けることが可能です。

測量士の方が待遇では上

測量士は測量士補の上位資格と言えるため、仕事での活躍を狙うなら測量士を取得するのが良いでしょう。就職や転職においては測量士補よりも測量士の方が評価されやすく、給与も高い傾向にあります。

しかし先述した通り、両者の役割分担は現場によって様々であり、会社によっては測量士と測量士補を全く区別せずに扱うところもあるようです。

測量士補でも土地家屋調査士試験は一部免除

測量士もしくは測量士補を取得すれば、土地家屋調査士筆記試験の午前試験で免除を受けることができます。

測量士と測量士補で免除の範囲が変わることはないため、土地家屋調査士試験の免除が測量士(補)取得の目的なら、測量士補を受験するべきでしょう。

ちなみに免除を受ければ、土地家屋調査士試験での負担はかなり軽減されるので、比較的合格しやすい測量士補を取得しておくのはおすすめです。

測量士と関連性のあるその他の資格

PCを見る女性

測量士を取得したら、以下のような土木関連の資格を合わせて取得するのがおすすめです。仕事の幅が広がるため、転職などに良いでしょう。

技術士

土木工事の管理など、責任ある立場で仕事をしたいなら技術士(建築部門)を取得するのがおすすめです。

また技術士は公共工事の入札における評価点の加算対象となるため、転職や独立開業においては持っておくと有利になるでしょう。

ただし、技術士試験は合格率12%の難関試験であり、第二次試験の受験には7年の実務経験が必要なので、ある程度キャリアを重ねてからでないと取得することはできせん。

RCCM

建設コンサルタントになりたいなら、RCCMがおすすめです。取得すれば独立開業やフリーランスとして活躍する道が開けます。

コンサルティング業務には測量士としての知識や経験も活かされるでしょう。

なお、RCCMは合格率40%台の比較的簡単な試験ですが、大卒で10年以上の実務経験が必要になるため、こちらもまずはキャリアを積む必要があります。

土地家屋調査士

土地家屋調査士は不動産登記に関する独占業務を持つ国家資格です。東京では平均年収が1,000万円を超えると言われている資格及び職業なので、測量士よりも高収入を狙いたいという方におすすめできます。

なお、土地家屋調査士試験は合格率10%を下回る非常に難しい試験ですが、測量士を持っていれば免除も受けられるので、少しハードルは下がると言えるでしょう。

労働安全コンサルタント

労働安全コンサルタントは、労働環境の安全性に対するコンサルティングを行うための国家資格です。

コンプライアンスに対する関心が高まっている昨今の風潮を考えると、非常に需要のある資格及び職業だと言えるでしょう。

ちなみに試験は機械・電気・化学・土木・建築の区分ごとにそれぞれ筆記試験と口述試験が行われます。

測量士と測量士補の違いまとめ

測量士と測量士補の違いまとめ

  • 願書の出願や合格発表の方法などは同じ
  • どちらを取得しても土地家屋調査士試験で免除の対象になる
  • 測量士の方が評価されやすいが、測量士補と区別されない職場もある

測量士と測量士補の違いについて解説しました。

測量士と測量士補では第一に試験の難易度が異なります。測量士の合格率は11%程度なのに対し、測量士補は36%程度なので比較的簡単です。

測量士は測量士補の上位資格なので、こちらの方が評価されやすいですが、仕事内容に大きな違いはなく、会社によっては両者が同等に扱われることもあります。

なお、両者とも受験資格はないため、いきなり測量士に挑戦することも可能です。またどちらも取得しても土地家屋調査士試験で一部免除が受けられるので、それが目的なら測量士補の方が良いでしょう。

以上を参考に、ご自身に合った方を取得してください。

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