土地家屋調査士の仕事がきつい理由4選!仕事内容やその現状・給料についても解説
「土地家屋調査士の仕事はきついって本当?」
「土地家屋調査士のどんな仕事内容が特につらいの?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
土地家屋調査士は不動産系の資格の中でも難易度は高く、専門的な仕事を行うことができます。
しかし、土地家屋調査士の仕事はきついという声もあり、気になっている人も多いのではないでしょうか?
こちらの記事では、土地家屋調査士の仕事がきついと言われる理由や、現状と将来性について解説していきます!
土地家屋調査士の仕事内容についてざっくり説明すると
- 屋外作業が続くなど、きつい面もある
- 独立開業しやすいが、事業がうまくいかないケースが多い
- 全国的な出張や転勤は少ない
- 需要が無くなることはないため、工夫次第で儲かる仕事である
仕事内容が過酷になることも
土地家屋調査士の仕事はデスクワークだけではなく、不動産周辺の測量や周辺環境の調査など屋外調査も行います。
特に、夏場だと炎天下の中で終日屋外で作業をしなければならないという日もあるため、かなり過酷です。
また、マンションやアパートなどの建物の調査だけでなく、空き地の調査を請け負った場合は生い茂る雑草をかき分けながら作業をしたり、傾斜のきつい場所や崖の近くで作業したりすることもあります。
このように、土地家屋調査士の仕事は肉体的な作業も多いため、年齢を重ねるにつれて段々ときつくなってくるのです。
立会いが上手くいかない
不動産の価値を正しく評価する場合は、土地の境界線を確定させなければなりません。
その際は、依頼者や不動産業者、隣接する土地の所有者、市役所の立ち会いと承認の下で書類に捺印してもらう必要があるため、かなり手間と労力がかかります。
特に、隣地所有者にとっては他人事であるケースが多いため、積極的に協力してくれないこともあり得ます。
隣地所有者の都合が悪く調査に参加してもらえなかったり、そもそも現地に住んでいない場合も実際にありえます。
隣地所有者にとっては自分が負担することなく境界を確定してもらえるのでメリットが大きいのですが、制度の理解が浸透しておらずなかなか協力を得られないのが実情なのです。
景気の現状に影響される
土地家屋調査士の仕事は、好景気の時は住宅の建設や公共工事の増加に伴って表題登記や測量の案件を取得しやすくなります。
しかし、逆に不景気の時は建設や不動産取引が減少し、なかなか仕事を受注できなくなってしまいます。
また、仕事が軌道に乗って大量の抱えるようになったら作業の補助スタッフが必要となるため、人件費のコストが生じます。
固定費の負担が増えた状態で仕事が受注できなくなってしまうと、人件費が負担になり事業の継続が難しくなってしまうこともあり得ます。
そのため、景気の動向に注視して土地家屋調査士の需要を慎重に見極めることが非常に重要です。
独立・開業に失敗しやすい
土地家屋調査士は独占業務が複数あり、初期投資費用もかからないことから独立開業しやすい資格です。
しかし、独立開業しやすい点は誰にとっても共通しており、土地家屋調査士が飽和している地域だと仕事がもらえないのが現状です。
また、ベテラン土地家屋調査士が長年に渡って強い地盤を築いる地域で参入しても信頼を得ることは難しく、独立開業しても事業がうまくいかないケースが多いのです。
土地家屋調査士の開業・独立について以下の記事で詳しくまとめています。
成功にはプラスアルファの能力が必要
土地家屋調査士として成功するためには、経営の知識や管理能力、高い営業スキルや豊富な人脈が必要です。
前述した通り、景気の動向などから事務所の方向性を決める必要があるため、景気や時事にも敏感になっておく必要があります。
また、相続が発生したときの不動産評価の仕事にリンクする税理士など、関連する資格を取得して業務の幅を広げて強みをアピールすると、信頼を得やすくなります。
土地家屋調査士として働くメリット
屋外での仕事もある
土地家屋調査士は、測量など外の現場での仕事と事務処理など屋内でのデスクワークの両方が存在します。
そのため、一つの仕事を集中的にやるということは少なく、適度に運動や気分転換ができる点は大きなメリットです。
事務作業だけだと運動不足になってしまう上に、なかなか外出して気分転換をすることができないため「事務作業だけは嫌だ」という人にとっては働きやすい環境とも言えます。
プライベートと両立しやすい
土地家屋調査士は仕事柄法務局で手続きをすることが多いですが、法務局の管轄エリアは限定されているため、遠方へ出向く出張はあまりありません。
土地家屋調査士の事務所などに就職したとしても、全国展開している大企業でない限りは全国的な異動や転勤はほとんどありません。
そのため、転居の必要性が生じるリスクは低く、仕事とプライベートの両立がしやすい点はメリットと言えます。
仕事がなくなることはない
不動産の権利変動に伴う「表示に関する表記」は土地家屋調査士にしか行うことができません。
法律に関しては弁護士や司法書士がプロフェッショナルですが、測量などの調査士業務は土地家屋調査士にしか行うことができません。
なお、同じく不動産の権利変動が起きたときに司法書士が行う「権利に関する登記」は任意となっていますが、「表示に関する登記」は義務です。
そのため、世の中に不動産がある限り土地家屋調査士の仕事が無くなることはなく、需要が安定している点が強みと言えます。
年収が高く儲かる
土地家屋調査士の平均年収は600万円前後であり、日本人の平均年収約420万円よりかなり高い水準にあります。
企業によっては資格を取得することで10,000円~20,000円程度の資格手当が支給されるため、金銭的なメリットは非常に大きいと言えます。
また、キャリアを重ねて経験や実績を積んで役職に就いたりすることで、さらに年収を上げることも可能です。
ある程度の実務経験を積んだら独立開業する人も多く、年収1000万円も狙えるようになるため非常に儲かる仕事なのです。
土地家屋調査士のリアルな給料事情を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
スキル次第で将来性が広がる
法律の知識を身に着けてスキルを高めることで、土地境界鑑定業務などを弁護士と協力して行うことができるようになります。
この仕事は高度な業務であり、競合となる土地家屋調査士と差別化できるようになるでしょう。
また、自分のスキルを高めることも大切ですが、ダブルライセンスを実現することで業務の幅を広げることができます。
例えば、司法書士を取得すれば「権利に関する登記」も同時に可能になり、行政書士を取得すれば農地転用に携わることができます。
このように様々な業務をワンストップで提供できるようになれば、自分の価値は大きく高まるでしょう。
土地家屋調査士の仕事内容
土地家屋調査士の独占業務である「表題に関する登記」とは、新しく建物を建築する際に建物の面積や構造・用途を法務局に届け出ることです。
土地家屋調査士は建物取得者の依頼に基づいて土地を調査し、立会いなどを行い「地積測量図」という図面を作成して法務局に提供します。
また、建物の建築のみならず地目変更や建物の増築の際にも登記が必要であるので、現地で調査して書類を作成する必要があります。
また、分筆登記の依頼があった場合は土地を測量して境界を確定し、立会いをすることもあります。
これらに加えて、審査請求や裁判外紛争手続きの代行も行っているため、土地家屋調査士の業務の幅は非常に広いのです。
土地家屋調査士の仕事内容の基本情報を以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
土地家屋調査士になるには
土地家屋調査士の資格を取得するためには、試験に合格しなければなりません。
筆記試験は午前の部と午後の部に分かれており、午前の部は測量士・測量士補・一級建築士・二級建築士の資格を保有していれば免除されます。
なお、多くの受験者は測量士補の資格を取得して、一部免除の恩恵を受けています。
試験の合格には1,000時間以上の勉強時間が必要と言われており、合格率は8~9%程度と非常に難易度が高い試験です。
試験に合格して即独立開業することは難しいため、事務所などに勤務して実務経験を積むと良いでしょう。
土地家屋調査士試験の難易度について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
土地家屋調査士の仕事内容まとめ
土地家屋調査士の仕事内容まとめ
- 屋外作業や立会業務でつらい面はあるが、プライベートとのバランスは取りやすい
- 独立開業して成功するには、ダブルライセンスなどの工夫が必要
- 需要が無くなることはない仕事なので、価値は高い
- 自分のスキルを高めることで価値も上げることができる
土地家屋調査士はきつい面もありますが、独占業務があり需要が高い資格です。
魅力も多い資格なので、不動産関係に興味がある人はぜひ土地家屋調査士の取得を検討してみてください!