通関士に英語は必要?英語ができないことによる仕事への影響から将来性まで徹底解説!
「通関士って英語が必要なの?」
「英語ができないと仕事ができないのでは…」
通関士といえば、輸出入業務を行うプロフェッショナルのことです。そのため、このような疑問や不安をいだいている人は多いのではないでしょうか。
反対に、英語が使えるので通関士の仕事でも語学を活かしたいと考えている人もいます。
この記事では、通関士にとって英語は必要なのか、あるいは英語を使う場面があり、使えると収入面で優遇されるのかなどを紹介していきます。
「通関士と英語」に関して疑問を持っている人はぜひ、参考にしてください。もちろん、通関士はどんな仕事なのか純粋に疑問を持っている人にも、価値ある内容となっているので、読んでみてください。
通関士が英語を使えない場合の影響についてざっくり説明すると
- 通関士にとって英語はそれほど必要でない
- 書類チェックでは英単語を見るのがほとんど
- 海外の通関士として仕事をすれば「英語」が優遇されることも
通関士は英語能力が必要なの?
「海外との取引を支える通関士って、英語能力がどれくらい必要なの?」
英語が使えない人は特に心配になる深刻な問題ですよね。そもそも、「英語ができないと通関士になれないのでは…」こんな切実な疑問にお答えしていきます。
業務の中で英語ができずに困る場面は少ない
結論からいうと、通関士にとって英語は必須の能力ではありません。英語が必要な場面もたまにありますが、決して「英語を使いこなせるくらいのレベル」は必要ではないのです。
中学・高校卒業レベルの英語ができれば、多少苦手でもどうにかできるようになっています。具体的にいうと、英検なら準2級程度、TOEICなら600点程度のスコアです。
ビジネスでも通用する英語が必要と考えていた人なら、拍子抜けするようなレベルではないでしょうか。「全くできない」では支障が出るかもしれませんが、昔習った英語のレベルで業務をこなせるのです。
では、なぜ外国との輸出入に関わる通関士がそれほど英語が必要ないのかというと、主な仕事は申請書類をチェックする仕事だから。
通関に必要な書類には英語が使われていますが、チェックする部分は決まった項目ばかりで、英単語も貿易関連のものばかりです。
つまり、英語ができなくても困る場面は少なく、仕事で頻繁に出てくるような英単語を暗記しておけば、業務に支障を与えることなく十分に対応ができるのです。
試験内容でも英語力は問われない
「仕事で英語を使わないといっても、英検準2級が必要か…」「TOEIC600点も必要なレベルの問題が出たら解答できない…」
英語に関する疑問や不安は尽きないと思いますが、試験を通過するだけなら英語ができなくても大丈夫です。通関士の試験では英語の能力が全くなくても、その能力を問われることはないので問題ありません。
「業務の中で英語ができずに困る場面は少ない」の章で仕事に必要な英語レベルを紹介しましたが、あくまで業務で必要なレベルです。
試験では英語の能力は全く問われないので、通関業法や関税法など資格取得に必要な勉強に専念するようにしてください。それが通関士になるための近道です。
英語の勉強は通関士に合格した後にやっても十分間に合いますよ。
英語力が必要な通関士の仕事内容
通関士の主な仕事は、物の輸出入を行う貿易業務に必要な通関手続きを商社などの代わりに行うことです。貿易をするには関税などの複雑な法律をクリアしなければなりません。
一般の人ではできないので、通関士が代行して通関業務を行うのです。その際に、通関書類を作りる必要がありますが、一定の英語を覚えているかがポイントになってきます。
では、どのような英語が必要になってくるのか、説明していきます。
書類の内容の確認
通関士の仕事は、通関に必要な書類の内容を確認することです。具体的には、輸出入の際に必要な船積書類の確認をします。
船積書類とは、積送貨物の財産権を表す書類で、国際的にも認められた重要な商用書類です。この書類の代表的なものは以下のものが挙げられます。
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商業送り状(invoice)
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船荷証券(B/L)
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保険証券(I/P)
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原産地証明書
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税関送り状
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領事送り状
そして、この中に英語で書かれているものがあり、業務をする上で一定の英語能力が必要になるのです。英語で書かれた内容は以下のものです。
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輸出者・輸入者・連絡を受ける人
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それぞれの住所・電話番号
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船積み港と荷揚げ地
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予約番号などの積載する本船・航空機の情報
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商品名・数量・重量・価格
通関士はこの書類の記載内容にミスや矛盾などがないかを確認します。また、明細書や納品書、請求書が合わさったインボイスから統計品目番号を選定して、申告価格を計算するのです。
貿易品には見たことがないようなものなどがたくさんあります。そのため、商品名には馴染みがないような英単語がズラッと並びます。
それらに間違いがないかどうかをひたすらチェックするのが通関士の仕事といえるでしょう。
つまり、英語で会話をしたり英文を見たりすることは、ほとんどありません。
規制や統計品目番号の選定
統計品目番号(HSコード)の選定には、安全データシートや商品カタログが必要になります。この時に扱う書類によっては、英語の内容をチェックする必要が出てきます。
ただ、英文の内容といっても、主なものは商品の種類や素材などです。つまり、英文ではなく英単語の確認が中心になるので、いわゆる読解能力は必要ありません。
また、貿易では海外との取引なので、場合によっては相手国の規制を確認することがあります。しかし、これに関してもある程度限定的な内容なので、いくつかの種類の英単語を把握しておけば問題ありません。
つまり、通関士が使う英語は、ほとんどが英単語の理解で間に合うのです。
顧客とのやり取りで使う場面も
ただし、全く英語を使う機会がないということもありません。相手国の税関や顧客と商品のやり取りをする時は、英語を使う場面も出てきます。
それでも、英語の商品名などを伝えることがほとんどなので、英文のやり取りをすることはないといえるでしょう。
海外代理店などとのやり取りもまれに発生
問題は海外代理店とやり取りを行う時です。この時は直接やり取りをするので、英語が必須となります。
しかし、通関士が扱う分野は専門性が高いため、間違いがないように英語ができる人が間に入ってくれることがほとんどです。
つまり、英語ができなければ通関士が直接やり取りをすることはありません。英語ができなくても安心して仕事ができるのです。
英語が使えると給料は上がる?
「英語が使えれば、給料って上がりやすいの?」
こんな疑問をお持ちの方もいるでしょう。少しとは言え、英語を扱う職業です。英語が使えるかどうかで給料が上がるのかどうかは気になりますよね。
ただ、結論からいうと、英語能力はほとんど「関係なし」です。 その理由は、ここまで説明してきた通り、通関士にとって英語が使えるかどうかは業務にほとんど関係ないからです。
輸入者や輸出者、船積み港と荷揚げ地、商品名などが英語で書かれていますが、それは英単語を覚えるレベルで解決できます。
つまり、英語はほとんど使わないので、英語ができる・できないということは給料の高低にはほとんど繋がらないのです。
しかし、将来的に海外展開を進める企業や、国際的な取引を多く行う部署への異動を希望する場合などには、英語能力がプラスとして評価されることもあります。給料に直接の影響は少ないかもしれませんが、キャリアの幅を広げる上で英語力があるということは一つの強みになるでしょう。
英語が使えると通関士としての将来性が広がる
通関士にとって、英語はあまり必要ではありません。しかし、英語が使えるかどうかで通関士としての将来性は広がっていきます。
ここでは、英語がどのようなメリットを与えてくれるのかを説明していきます。
就職で有利になる場合も
ここまで説明してきた通り、通関士の仕事においては、直接海外の担当者とやり取りをしないので、英語の能力はそれほど必要ありません。仮に海外とやり取りをする場合も、依頼者が直接やり取りをします。
そのため、就職で直接英語能力が影響することはあまり考えられないでしょう。
しかし、商社や貿易会社など海外とやり取りをするような会社は、スムーズに貿易が進められるために英語能力を持った人を探している場合も多々あります。
そのような場合、英語が使える通関士は貿易への理解があって、なおかつ英語も話せるので、海外に赴任する担当者として採用されるケースもあります。
つまり、英語能力がある通関士は通常の業務だけでなく、国際的な交渉や調整も担当することが求められることがあるため、多岐にわたるスキルが求められることがあります。英語能力を持っている通関士は、会社のグローバル展開に貢献できるポテンシャルを持っていると言えるでしょう。
海外で英語を活かして働くことも可能
英語が話せる通関士は、海外の業者から歓迎されることがよくあるので、将来的には海外で仕事ができるチャンスがあります。
日本の通関事情に詳しい人であれば貿易がスムーズに進められるので、ぜひ迎え入れたいと考えている会社もあります。
特に、日本と貿易関係にあるメーカーなどは頻繁に取引をするので、英語が使える通関士は就職で有利になりやすいです。
条件の幅を広げれば広げるほど、英語が使える通関士は海外で働きやすくなるといえるでしょう。
これは、国際的なビジネスシーンがますます拡大している現代において、英語を使える通関士が一層重要な役割を果たすことが求められるからです。言語の壁を超え、スムーズにコミュニケーションを取れる能力は、海外取引を円滑に進めるために不可欠なスキルとなっています。
AI化が進んだ現在でも語学力は大きな武器に
英語を武器にしたい通関士にとっての問題は、AI化が進んでいるので、将来は今ほど英語が強みにならない可能性があることです。
そのため、「今から英語を習得して仕事の幅を広げていこう」と考えている人は、思うように進まないことも考えられます。
しかし、コミュニケーションで大切なことは、いかに相手に気持ちを伝えるかです。AIの直訳では微妙なニュアンスを伝えられないので、高い英語能力を持った人は活躍できるチャンスが残ります。
自分には英語を武器にできるか、じっくりと考えてみてはいかがでしょうか。
通関士が英語を使えない場合の影響についてのまとめ
通関士が英語を使えない場合の影響についてのまとめに
- 通関士が英語を使えなくても業務に支障はない
- 英語の商品名を見るだけなど、使用は限られている
- 中学・高校卒業くらいの英語レベルで問題なし
- 英語が将来性を広げる可能性もある
通関士にとって英語は使えなくてもほとんど問題はありません。通関士の試験にも英語の能力が問われないほど、業務においてはほとんど無意味なものです。
使うことといえば、輸出者・輸入者・連絡を受ける人、船積み港と荷揚げ地、商品名などで、多くは英単語の確認程度です。
そのため、必要とされる英語レベルは、中学・高校卒業程度のレベルといわれています。
ただし、海外に赴任、就職することを考えた場合は、大きな武器になる場合があります。例えば、海外に赴任する担当者としてであったり、日本と貿易関係があったりするメーカーなど。
このような職場を探せば、「英語が使える通関士」が注目される可能性があります。ただ、日本で仕事をするのであれば、英語はそれほど武器にならないと考えておきましょう。
英語が苦手でも通関士になれるので是非目指してみてください!