通関士の合格率が低い理由は何?難易度から他の資格との合格率の比較まで徹底考察!

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「通関士の試験の合格率はかなり低いけれど、実際難しいの?」

「難しい理由は何?」

こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

貿易に関する唯一の国家資格である通関士。国際業務や貿易関係の仕事に関わりたい人に人気の資格で、興味があって実際に通関士の取得を検討している人もいると思います。

しかし通関士は受験者数が年間7,000人前後と他資格に比べて少なく、ネットで検索しても試験に関する情報はあまり多くありません。通関士の実際の難易度がどうなっているのか詳しく知りたい人もいるのではないでしょうか?

そこで今回は通関士試験の難易度や合格率が低い理由について解説します。合格率が低い理由を理解すれば通関士試験の本当の難易度が分かるのでぜひ参考にして下さい!

通関士の難易度についてざっくり説明すると

  • 通関士試験の合格率は10%台前半で士業系資格の中では難易度が高い部類に入る
  • 勉強不足のまま受験して不合格になる人が合格率を下げている可能性がある
  • 出題形式が複雑で複数選択式の問題は特に得点が取りにくくて難しい

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通関士試験の合格率は10%

試験の合格者割合

通関士の過去10年間の合格率は以下のとおりです。

年によって変動が多少あったり例外的に2017年だけ合格率が高くなっていますが、通関士試験の合格率は例年10%台前半です。例えば昨年2019年は受験者数6,388人・合格者数878人で合格率は13.7%でした。

資格試験の中には合格率が数十%にもなって2~3人に1人は合格できる試験もありますが、 通関士試験では7~8人に1人しか受かりません。法律や税金といった専門知識が必要とされる非常に難しい試験で、合格率が10%を下回ることもあります。

科目免除者も含まれていることに注意

上記で通関士試験の合格率を紹介しましたが、これは一部の科目の受験を免除された人も含む数値です。実務経験が15年以上あると2科目免除、5年以上あると1科目免除になるので、合格者すべてが全3科目を受験しているわけではありません。

2019年の合格率13.7%、2018年の合格率14.6%をより詳しく見てみると次のようになっています。

受験科目数 年度 合格率
3科目 2018 12.4%
2019 12.5%
2科目 2018 22.2%
2019 12.5%
1科目 2018 67.7%
2019 61.9%
全体 2018 14.6%
2019 13.7%

[出典:税関ホームページ]

一部科目免除制度が適用されて受験科目数が少ない人たちの合格率は非常に高いことが分かります。これは科目数が減って必要な勉強量が少なくてすむことに加えて、5年以上または15年以上の実務経験があって通関士に必要な知識が既に定着しているからです。

その一方で3科目受験者の合格率と全体の合格率がかなり似ていることから分かるように、通関士試験の受験者の多くは全3科目受験者です。2019年試験であれば受験者6,388人中5,661人は3科目全てを受験していて、受験者のうちの9割近くを占めています。

そのため通関士を目指す大半の人にとっては合格率が10%台前半の難しい試験であり、しっかりと勉強して試験に向けた対策を行わなければ合格できません。

合格率を他の資格と比較

通関士は他の資格と比較して難易度が高いのか低いのか、以下ではいくつかの資格と通関士の合格率を比べてみたいと思います。

貿易実務検定と比較

貿易関連の仕事に携わる人が通関士とともに受験することが多いのが貿易実務検定です。国家資格ではなく民間資格ですが、試験範囲が通関業務に特化している通関士試験とは違って通関以外のことも含めて幅広い知識が問われます。

貿易実務検定はA~Cの3つの難易度があり最も簡単なのがC級です。C級の合格率は50~60%で高い時には70%にもなり、B級の合格率は50%前後、A級の合格率は40%前後となっています。合格率が10%台の通関士のほうが貿易実務検定より難しい資格です。

士業系資格の中では高い部類に入る

主な士業系資格の合格率は次のようになっています。

資格 合格率
司法書士 3~4%
社労士 6~7%
行政書士 10%前後
宅建士 15%前後

通関士は宅建士より難しいものの合格率が1桁台の司法書士・社労士に比べれば合格率が高く、法律系資格の中で通関士は合格率が比較的高い部類に入ります。

通関士試験は年によっては合格率が10%を下回って1桁台になることもあるので決して簡単ではありませんが、主要な法律系・士業系資格の中では合格を狙いやすい資格です。

一例として、以下の記事では通関士と合格率の近い行政書士の難易度についてまとめています。比較の際にはぜひご利用ください。

通関士試験の合格率が低い理由は様々

試験勉強をする様子

通関士試験の合格率が低い背景には色々な理由があります。試験形式の特殊さ故に正解するのが難しかったり、試験の難易度とは関係なく合格率を下げている要因もあり、合格率が低い理由は様々です。以下では通関士試験の特徴を具体的に紹介していきます。

受験資格がなく誰でも受けられる

資格試験によっては受験資格が設定されていて条件を満たさないと試験を受けられません。しかし通関士の試験には受験資格がないので誰でも受けられます。

職歴要件や学歴要件によって一定の知識レベルを持つ人だけに受験者を絞っているわけではないので、通関業務に関する知識が全くない人や勉強が間に合っていない人でも受験できてしまう試験です。

年齢や国籍、性別に関係なく誰でも通関士を目指せるのは当然良いことですが、受験者層のレベルは決して高くないことが合格率の低さの一因になっています。

受験料の安さも気軽に受験できる一因

司法書士8,000円・社労士9,000円・行政書士7,000円など士業系資格では試験の受験料が1万円近くになることも珍しくありませんが、通関士試験では受験料が3,000円と相当安くなっています。

仮に勉強が間に合わず合格が難しい場合、受験料が高いとお金を無駄にしないために申込をやめる人も出ますが、受験料が安い通関士では「とりあえず試験を受けてみよう」という人も多いはずです。合格レベルにない人でも受けるので合格率は当然低くくなります。

試験は一発勝負

中小企業診断士や税理士の試験のように科目別合格制が導入されている試験では1年に1科目ずつ合格して数年計画で資格取得を目指すことができます。しかし通関士試験では科目別の合格制度はなく年1回のチャンスで全ての科目に合格しなければいけません。

全3科目を受験する大半の受験生は試験当日に朝9:30から15:30まで緊張感を維持してミスなく終える必要があります。1つのミスで合否が変わり得る一発勝負の試験には独特の緊張感や難しさがあり、このことも合格率が低い要因の1つと言えるでしょう。

勉強不足の受験者も多い

受験者の中には会社から通関士資格を取るように言われて仕方なく受験する人もいます。本人のモチベーションが高くなくて勉強をあまりせずに受験したり、日頃の仕事で忙しい中で勉強時間を十分に取れずに試験当日を迎えてしまう人も少なくありません。

仕事や家事を優先して準備不足の状態で試験を受ける人も多いと考えられるので、逆に言えば勉強が出来ている人にとっては見た目の合格率ほどの難しさは感じないでしょう。10%台前半という合格率はあくまで勉強不足の人も含めた合格率だからです。

出題形式が複雑

試験の大半はマークシート方式なので適当に解答しても正解できそうなものですが、通関士の試験の場合は独特の出題形式に注意が必要です。出題形式が複雑で通常のマークシート方式よりも明らかに難易度が高く、合格率が低い要因の1つになっています。

五肢択一式

五肢択一式の問題では5つの選択肢の中から正しいもの又は間違っているものを選びます。ただし通常の五肢択一式問題とは違って、該当する選択肢がない場合には「0」と記入する形式です。実質的に五択ではなく六択なので難易度はかなり高いと言えます。

選択式は特にルールを押さえておくのがおすすめ

選択式の問題には語群選択式と複数選択式の2つのタイプがあります。前者は与えられた語群の中から正しい単語を選ぶもので難易度的には低めですが、問題なのは形式が特殊で難易度が高い後者の複数選択式です。

正しい選択肢・間違っている選択肢すべてを判別できて得点になるので一部の選択肢だけ正しく判断できても得点になりません。

通関実務は計算も要求される

「通関実務」では輸出申告書・輸入申告書に関する問題が出題されます。輸出申告書の問題は品目番号を選び、輸入申告書の問題は品目番号の選択に加えて申告価格の金額をマークする形式です。課税価格や税額を正しく計算するスキルが必要になります。

通関士の実際の難易度は難しい

通関士の勉強

様々な要因が通関士試験の合格率に影響を与えていることやその結果としての合格率をどう読み解くかという問題はありますが、通関士試験の難易度が高くて難しい試験であることに変わりはありません。

偏差値としては59前後と評価されることが多く、試験内容は専門的な知識が多くて出題形式も特殊なので難易度の高い試験です。昨年2019年の合格率が13.7%だったことからも合格するのは決して簡単ではありません。

その一方で弁護士・司法書士・社労士といった主要な法律系資格に比べれば合格しやすいことも確かです。しっかりと勉強時間を確保して効率的な勉強法・正しい学習計画のもとに対策を講じれば誰にでも合格できるチャンスがあります。

通関士試験の難易度は以下の記事で詳しくまとめています。

多くの勉強時間が必要

通関士に合格するために必要な勉強時間は400~500時間と言われています。これは1日3時間勉強したとすると4~5ケ月かかる計算です。1日に取れる勉強時間が少なければ半年以上かかることもあるので、試験日から逆算して早めに勉強を始めるようにしましょう。

また長期間に渡って勉強を続ける必要があるので、時間があまり取れない日でも隙間時間を使って学習するようにして下さい。1日に10分だけでも勉強すれば知識が確実に定着しますし、特に仕事で忙しい社会人は勉強時間をコツコツ積み上げることが大切です。

通関士試験の勉強時間についてより知りたい方は以下の記事をご覧ください。

勉強のモチベーション維持も課題に

半年近くに渡って勉強をしなければいけないのでモチベーションを如何にして維持するかも大事なポイントになります。特に独学でチャレンジする人はこの点に注意が必要です。

予備校代や通信教育費がかからない独学は費用面でメリットがありますが、専門性が高くて難易度が高い士業系資格では途中で挫折してしまう独学者も珍しくありません。

やる気をコントロールして試験日まで学習を続けるのは簡単ではないので、独学で臨む場合は本当に勉強を継続できるのかどうか最初にしっかりと検討を行うようにしましょう。

独学での勉強が厳しい場合は通信講座がおすすめ

専門的な知識が必要とされる通関士は難易度が高くて出題形式の特殊性に対応する必要もあるので、通信講座を利用して最初からプロの指導を受けるのもおすすめです。通信講座であれば勉強のリズムを掴みやすく効率的に学習を進められます。

自分の力だけで最適な勉強法を確立する必要がある独学だと、返って合格までに時間を要したりお金を無駄にするケースも少なくありません。最短で合格を目指せる通信講座の受講をぜひ検討してみて下さい。

おすすめはフォーサイトの通関士講座

通関士講座は数多くありますが、あらゆる面で高いクオリティを誇るフォーサイトの通関士講座をおすすめします。

特に学習の要となる教材の質はほかと比較しても、特筆すべきものとなっており、フルカラーテキストで知識を記憶に残しやすくしたり、合格に必要な知識を抽出して効率的な学習を実現できるでしょう。

またeラーニングシステムによる学習サポートも十分であることから、忙しい人でもスキマ時間を活用した学習をおこなうことができます。

通関士試験対策を始めようとしている方は、フォーサイトの通関士講座を受講してみてはいかがでしょうか?

フォーサイトの公式サイトはこちら

通関士に向いている人とは?

仕事をする女性

長期間に渡って勉強のモチベーションを維持して合格を勝ち取るためには、資格取得後に通関士として活躍している自分の姿をイメージすると良いでしょう。

貿易に関連する仕事や国際的な仕事に携わりたい人であれば通関士は最適な資格ですし、実務では書類のチェックが多いので確認作業などの細かい作業が得意な人根気強く作業を続けられる人にも向いている資格です。

2019年の合格率は男性13.4%・女性14.3%で女性のほうが高く、細かい作業が得意な人が多い女性におすすめの資格となっています。こういった人たちは通関士として活躍できる可能性が高いので、1日でも早く試験に合格できるように効率的に学習を進めましょう。

通関士の難易度まとめ

通関士の難易度まとめ

  • 通関士試験の合格率は10%台前半で合格には400~500時間の勉強が必要
  • 難易度としては司法書士や社労士より簡単だが宅建士よりは難しい
  • 出題形式が特殊で特に選択問題はルールを理解しておく必要がある

今回は通関士試験の難易度や合格率が低い理由について紹介しました。

通関士の試験では出題形式の特殊性など注意すべき点がありますが、司法書士や社労士などに比べると難易度が低くて取得しやい資格です。

社会的に重要な通関という仕事に携わる通関士は魅力もやり甲斐もある資格なので、資格取得を積極的に検討してみて下さい!

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