ITパスポート試験の合格点は?詳しい合格基準・配点から難易度まで徹底解説
「ITパスポートの合格率はどのくらい?」
「ITパスポートの合格基準はどうなっているの?」
ITパスポートの受験を考えている方は、このような疑問を持っているのではないでしょうか。
この記事では、ITパスポートの合格点をはじめ、合格基準や配点、問題数、難易度など、ITパスポートの情報を徹底解説しています。
ITパスポートについて詳しく知って受験対策をしっかり行い、合格に繋げていきましょう!
ITパスポートについてざっくり説明すると
- ITを利用するために身に付けるべきITの知識を持っているかが問われる試験
- 合格点は、総合評価が600点、分野別評価は3分野でそれぞれ300点以上
- 総合評価と分野別評価がそれぞれ合格基準を上回っていなければ合格できない
そもそもITパスポート試験って?
ITパスポートは正式名称を「ITパスポート試験」といい、「iパス」という略称でも呼ばれます。
ITを利用・活用する全ての社会人、学生は、基本的なIT関連の知識を身に付けておく必要があります。ITパスポートは、そのようなITの知識を持っていることを証明するための試験です。
ITパスポートは情報処理技術者試験の一つですが、レベルとしては、情報処理技術者試験の中で最も簡単な試験です。
また、ITパスポートは「情報処理の促進に関する法律」によって誕生した国家資格です。パソコンやIT系の資格は民間資格が多いため、IT系の国家資格を取っておきたい方におすすめできます。
現在は、どのような職種でもITに関する知識が求められるようになりました。グローバル化したことにより英語力が必要になっているように、近年は技術の進歩に伴ってIT力が求められるようになっています。
ITの基本的な知識を習得している証明になるITパスポートは、そんな時代の流れにぴったりの資格と言えます。
ITパスポートは平成21年4月から始まった新しい資格ですが、平成30年度の時点で、総応募者数が約98万人を超える超人気資格です。
社会全体がITの必要性を意識するようになる中で、自身のITリテラシーを向上させてキャリアなどに活かすためにITパスポートを取得する人が多くなっていると考えられます。
ITパスポート試験の合格点
ITパスポートの合格点は、主に総合点と分野別の2種類に分かれます。次に、試験の仕組みについて詳しく解説していきます。
総合評価と分野別評価をクリアする必要がある
ITパスポートの合格ラインには総合評価点と分野別評価点の二つがあります。
総合評価の問題数は100問で、その中の92問が採点されます。点数は1000点満点で、600点以上を取らなければなりません。
分野別評価は、ストラテジ系が32問、マネジメント系が18問、テクノロジ系が42問あります。合格基準としては、各分野の評価点で1000点満点中300点以上取る必要があります。1分野でも合格点である300点に満たない場合は不合格です。
合格するには、総合評価点と分野別評価点の両方で合格基準点よりも上回る必要があります。
目安としては、各分野の正答率が60%以上あれば総合評価点をクリアできると考えてよいでしょう。
8問は評価に関係ない出題
総合評価では問題数100問のうち、8問は採点対象外になります。
この8問は、正答率のデータなどを分析することにより、今後のITパスポートで出題する問題を決めるための参考にするためのものです。
どの問題が採点対象外なのかは公表されていないため、意図的に解答を避けることはできませんので、100問全てを回答する必要があります。
ITパスポートの採点方法は?
ITパスポート試験はCBT方式を採用しています。CBTとは「Computer Based Testing」の略で、コンピュータを使って受ける試験のことです。
受験者は、コンピュータを使い、マウスやキーボードで問題に解答していきます。
CBT方式ではコンピュータが出題するため、受験生によって解く問題が異なります。これでは受験生に不公平が生まれてしまうため、ITパスポートの採点方法としてはIRT方式が採用されています。
IRTとは「Item Response Theory」の略で、TOEICなどの試験でも採用されているものです。解答結果に基づいて配点を算出する仕組みになっているため、受験回ごとの難易度差による受験生間の不公平を解消することができます。IRT方式では、1問何点といった明確な配点基準は存在しません。
具体的な合格・不合格例
ITパスポートは、総合評価点は600点以上、分野別評価点はストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系それぞれが300点以上を取ることが合格基準です。
合格できる点数の例として、総合評価点は680点、分野別評価点はストラテジ系が350点、マネジメント系が400点、テクノロジ系が320点という試験結果をみてみましょう。
この例では、分野別評価点はあまり高くありません。しかし、3分野とも合格点である300点以上を超えており、総合評価点も600点を超えていることから合格になります。
次に、不合格になってしまう点数の例として、総合評価点が650点、分野別評価点はストラテジ系が500点、マネジメント系が700点、テクノロジ系が250点という試験結果をみてみましょう。
テクノロジ系が250点であり合格点である300点に満たないため、他の点数が高くても不合格となるのです。
分野別評価で苦手な分野があると、他の分野が得意であっても合格できません。そのため、勉強するときには苦手な分野があればわかるまで徹底的に勉強し、必ず300点以上が取れる状態にしておく必要があります。
ITパスポートの評価点分布
次に、ITパスポートの評価点分布について解説します。分布のデータは全て平成31年度3月から令和2年2月度までの試験のものです。
ITパスポートの総合評価点の分布として最も多いのは600点~650点の人です。これは全体で19,054人おり、内訳としては社会人が11,745人、学生が7,309人で、社会人の方が合格者が多くなっています。
傾向として、点数が上がるごとに全体に対する社会人の占める割合は高くなっていることから、社会人の方が合格に有利であると言えます。
しかし、社会人の合格者よりは少ないものの、学生の合格者も多いのがITパスポートの特徴です。受験資格がなく、どのような方でも受験できる試験でもあるため、幅広い世代が気軽に挑戦できる試験であると言えるでしょう。
ITパスポートの難易度・合格率
ここまで、ITパスポートの合格点についてご紹介してきました。次に、気になる難易度や合格率についても解説します。
難易度は低い
ITパスポートは国家試験である情報処理技術者試験の一つです。難易度は、情報処理技術者試験の試験区分の中でレベル1となっており、最も低いレベルに位置付けられています。
ITを活用する上での基礎知識が主な出題範囲となっていることから、難易度が低くなっています。つまり、IT関連の仕事をしていない人、はじめてITを学ぶ人でも受験勉強をしていく中でITの基礎知識を身に付けられる試験なのです。
ITパスポートは、IT系の資格を取りたい方が最初に取るものとしておすすめできる資格です。
ITパスポートの難易度は以下の記事を詳しくチェックしてください。
合格率は50%と高くなっている
ITパスポートの合格率は50%程度です。2人に1人が合格することから、難易度は易しい試験であると言えます。
ITパスポートのここ10年間の合格率は以下の通りです。
年度 | 合格率 |
---|---|
平成21年度 | 59.4% |
平成22年度 | 47.4% |
平成23年度 | 51.0% |
平成24年度 | 41.0% |
平成25年度 | 47.6% |
平成26年度 | 47.9% |
平成27年度 | 47.4% |
平成28年度 | 48.3% |
平成29年度 | 50.4% |
平成30年度 | 51.7% |
令和元年 | 54.3% |
令和二年 | 58.8% |
平成21年度の合格率は60%と高くなっていましたが、翌年平成22年度は47.4%と、40%台まで合格率が落ちました。
しかし、その後は50%前後で合格率が安定しています。試験の中には難易度が年度によって激しく変わるものもありますが、ITパスポートの場合は合格率が安定しているため受験しやすく、合格も目指しやすい資格であると言えます。
社会人と学生の合格率比較
社会人と学生の合格率を比較すると、社会人の方が合格率が高くなっています。
社会人と学生の合格率は以下の通りです。
年度 | 社会人 | 学生 |
---|---|---|
平成25年度 | 59% | 34% |
平成26年度 | 57% | 36% |
平成27年度 | 57% | 36% |
平成28年度 | 58% | 34% |
平成29年度 | 60% | 38% |
社会人の方が学生よりも20%以上も合格率が高い結果が出ています。その要因として、社会人の方がIT系、マネジメント系の知識が豊富であるため受験が有利になっているという点があります。
学生はITの知識に触れる機会が社会人よりも少なく、経営や会社の知識についても不慣れである場合が多いです。そのため、学生はゼロから勉強しなければならないことが多く、社会人よりも勉強時間を多くとる必要があります。
しかし、学生でも合格率は30%以上はあるため、学生で知識がないからといって合格できない試験ではありません。勉強時間を取りしっかり勉強すれば、学生でも十分合格を目指すことができます。
ITパスポートに合格するために必要な勉強時間
ITパスポートは難易度が低い資格であるとはいえ、全く勉強せずとも合格できるようなものではありません。合格するためにはどのくらいの勉強時間が必要なのでしょうか。
これまでITについて勉強をしたことがないという初学者の場合、必要な勉強時間の目安は100時間ほどと言われています。
一日2~3時間の勉強時間だと仮定すると、2ヶ月あれば合格できるレベルに到達することが可能です。
ただ、先ほども述べたように、ITパスポートは分野別評価のストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系という各3分野とも300点以上を取得する必要があります。
これまでIT系の仕事をしたことがない場合、専門的な分野になると勉強をしても内容が理解しにくく勉強が進みにくくなることも考えられます。
勉強時間は200時間ほど必要だったという方もいますので、時間がかかっても焦ることなく、しっかり理解度を深めるようにしてください。
ITパスポートの勉強時間は下記の記事も参考にしてください。
合格に向けたおすすめ勉強法
ITパスポートは難易度が高くはありませんが、きちんと対策を取らないと試験に落ちてしまうこともあります。そこで、合格するためにおすすめの勉強法をご紹介します。
基本は知識の習得・使いこなし
ITパスポートの取得を目指すために勉強するときには、インプットとアウトプットのバランスが大事です。
具体的には、インプットが7、アウトプットが3の比率で勉強を進める必要があります。
インプットはテキストを読んで知識を詰め込むこと、アウトプットはその知識を使いこなせるようにすることです。
学習の流れとしては、まずテキストを1回読んで全体の流れをつかむことが大事です。その後、テキストを何回も読むことで徐々に知識が吸収されていきます。
そして、知識がある程度理解できた状態になってから過去問演習をすることがおすすめです。
過去問演習をするときには、出題傾向をつかんで、特に頻出の知識を中心に覚えていきましょう。間違えたものに関してはテキストを読み返して復習するなどして、知識の穴を埋めていくことが大事です。
過去問演習は、ストラテジ・マネジメント・テクノロジ系の各分野で、それぞれ60%以上得点できるようになるまで行いましょう。
ただ、過去問演習では注意点もあります。それは、ITパスポートは過去問がそのまま出題されることはほとんどないということと、CBT方式によりその都度出題される問題が違うということです。
そのため、過去問を暗記することは効果的ではありません。あくまでも過去問演習を通して知識を定着させることを意識しましょう。
勉強時に必ず押さえてほしいこと
勉強するときには、何となく勉強していればいいというわけではありません。ポイントを押さえ、日々そのポイントを意識しながら勉強をすることが大切です。
以下に、ITパスポートを勉強する際に押さえるべきポイントをご紹介します。
毎日コツコツ勉強
ITパスポートの勉強に限らず、何事においても勉強をするときには毎日勉強することが大切です。
勉強しない日を作ってしまうと前日に覚えた知識を忘れやすくなってしまいます。また、勉強の習慣が付きにくくなることもデメリットです。
そのためモチベーションの低い日でも勉強をすることがおすすめです。モチベーションを保ち勉強を継続しやすい方法としては、毎日小さい目標を作り、それを達成するために頑張るという方法があります。
スケジュール管理を怠らない
合格には継続的な勉強が何よりも大切です。継続的に勉強するためには、学習スケジュールを立てることをおすすめします。合格までの道筋が見えて勉強を継続しようという意識が高くなるからです。
また、試験範囲をきちんと把握し、どれくらいの勉強時間が必要かを把握することも大切です。試験範囲を把握したら、頻出の分野を中心に学習スケジュールを立ててみることが特に重要だと言えます。
そして、自身で考えたスケジュール通りに勉強を進めていくことで勉強を継続していくことができます。
つまずいた箇所はすぐ解決する
勉強していてわからなかったところは、つまずいたときにすぐテキストを見て確認することがおすすめです。
わからないまま放置しておくと、後々知識の穴になり、その穴がどんどん増えていくという状態になってしまいます。すると、本番で問題に答えることができないという事態が起こり得るのです。
そうならないためにも、わからなかったところには付箋を付けておくことをおすすめします。
わからなかったところが確認しやすくなり、次にまたつまずいたときにもすぐに確認できます。知識の穴を作らないための工夫として、ぜひやってみてください。
ITパスポートの詳しい勉強法は以下の記事を確認してください。
ITパスポートについてまとめ
ITパスポートについてまとめ
- 問題数は、総合評価が100問、分野別評価はストラテジ系が32問、マネジメント系が18問、テクノロジ系が42問ある
- 受験勉強はインプット7、アウトプット3の比率ですることが重要
- 合格するために、過去問演習は、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系全てで60%以上得点できるまで行おう
ITパスポート試験は、合格率が50%前後であり難易度は高くない試験です。
しかし、総合評価と分野別評価にそれぞれ合格基準があり、全てが合格基準を満たさないと合格できません。苦手分野があるとなかなか合格できないため、油断はできない試験なのです。
合格するためには、今回ご紹介したような「毎日コツコツ勉強する」「苦手な分野は何度も復習する」などの勉強法をしっかり実践することが大切です。そうすれば合格に繋がっていくでしょう!