ITパスポートの合格率は何%か?合格点から試験難易度までわかりやすく解説!
「ITパスポート試験の難易度は高いの?」
「勉強時間はどれくらい必要?」
こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
2020年からプログラミング教育が小学校で必修科目にすることが決定したことで、ITパスポート試験についてあらためて興味を持った人は多いのではないでしょうか。
ところが、ITパスポート試験についての社会的な認知度は非常に低いのが現実です。
そこでここでは「ITパスポートの合格率は何%か?」をタイトルに、ITパスポート試験の難易度に関係する事項について解説します。
具体的には、難易度・合格率・合格点・受験者数・合格者数・勉強時間などについて情報提供しますので、受験の際の参考にしてください。
ITパスポートの難易度をざっくり説明すると
- ITパスポート試験は、ITの基礎知識認定の国家試験
- ITパスポート試験の合格率は約50%
- 知識0の時の必要勉強時間は100時間
- 小中学生が37.5%で高校生が28.0%の合格率
ITパスポート試験の合格率は50%程度
ITパスポート試験の合格率は毎年50%程度であり、一般的には易しいレベルの国家試験と見られています。
平成21年から平成30年までの合格率の推移は、次の表のとおりです。
年度 | 合格率 |
---|---|
平成21年度 | 59.4% |
平成22年度 | 47.4% |
平成23年度 | 51.1% |
平成24年度 | 41.0% |
平成25年度 | 47.6% |
平成26年度 | 47.9% |
平成27年度 | 47.4% |
平成28年度 | 48.3% |
平成29年度 | 50.4% |
平成30年度 | 51.7% |
この表から分かるように、平成21年度には約60%近い合格率でしたが、平成24年度から平成28年度までは40%台まで厳しくなった経緯があります。しかし、また50%台で安定しているのが近年の傾向です。
社会人のほうが合格率が高い
ITパスポート試験の受験資格には、年齢制限がありません。
そのことで、9歳の小学生が合格した年がありますが、その一方で、合格率は社会人の方が圧倒的に高いという事実もあるのです。
ここに、社会人と学生の受験者数・合格者数・合格率を示した表を示しておきましょう。
次の図は、社会人と学生の受験者数・合格者数・合格率を示したものです。
実施年 | 社会人 受験者数 | 社会人 合格者数 | 社会人 合格率 | 学 生 受験者数 | 学 生 合格者数 | 学 生 合格率 |
---|---|---|---|---|---|---|
H25 | 36,566 | 21,603 | 59% | 30,760 | 10,461 | 34% |
H26 | 40,218 | 23,031 | 57% | 31,246 | 11,184 | 36% |
H27 | 40,282 | 22,970 | 57% | 32,903 | 11,726 | 36% |
H28 | 43,091 | 24,854 | 58% | 37,529 | 12,716 | 34% |
H29 | 46,598 | 28,116 | 60% | 37,637 | 14,316 | 38% |
どの年度においても、合格率は社会人の方が学生よりもはるかに高い結果が続いています。
これは、試験のストラテジ系、マネジメント系の分野からの出題内容に、学生にはなじみのない通常のビジネスの場で使用するIT用語やビジネス用語が含まれていることに因ると言えるでしょう。
つまり、社会人にとっては普段の生活で身についている知識が多いので、難易度は比較的容易となっていると思われます。一方、学生にとっては学習する範囲が多いうえに広くなるので、少し難易度が高くなっていると思われます。
かといって、学生に手が付けられないほど難易度が高いわけではありません。
ITパスポート試験の最年少合格者は9歳です。出題範囲のポイントを押さえて学習すれば、独学合格も不可能ではありません。
高校生の合格率
まず、ITパスポート試験の高校生の合格率に関する、2つのデータを示した表をご覧ください。
①平成24~26年と平成31年・令和元年における高校生の合格率
区分 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成31年 | 令和元年 |
---|---|---|---|---|---|
高校生 | 15.3% | 22.9% | 24.9% | 29.6% | 28.3% |
②令和元年度7~12月における高校生の月別合格者推移
年 度 | 受講生 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和元年 7月 | 1,319 | 397 | 30.1% |
令和元年 8月 | 1,430 | 404 | 28.3% |
令和元年 9月 | 580 | 167 | 28.8% |
令和元年 10月 | 457 | 126 | 27.6% |
令和元年 11月 | 773 | 207 | 26.8% |
令和元年 12月 | 1,305 | 358 | 27.4% |
合 計 | 5,864 | 1,659 | 28.3% |
この2表から分かるとおり、高校生の合格率は20%前後で安定的に推移しており、社会人の60%に近い合格率に比べて低い数字といえます。
なお、ここにはデータを表示していませんが、平成29年7月度ITパスポート試験の高校生の合格率は28.0%で小・中学生の合格率は37.5%です。つまり、小・中学生の方が高校生よりも高い結果がでています。
ITパスポートの合格点
ITパスポートの試験の採点方法は、TOEFLなどで用いられているIRT(項目応答理論)方式が取り入れられています。
設問ごとの配点が事前に決まっていないので、問題形式が四肢択一式であっても配点が異なる場合があるのです。
合格ラインは決まっていますが、配点がわからないので、運まかせの解答では合格はできません。
合格ラインは、「総合評価点600点」で設定されています。つまり合格点は600点以上です。
合格には、まず、1000点満点の総合評価点で600点以上を獲得することが必要です。
出題数は100問で、評価対象はそのうち92問です。92問が1000点満点で採点をされますが、採点方式がIRT方式なので配点の変動もあります。
次に、「各分野別の点数が300点以上であれば合格」です。
分野別の点数の合格点は300点で、それぞれの分野で300点以上を獲得することが合格の必須条件に設定されています。
ですから、300点未満の分野がある場合には、総合評価点が合格点の600点を超えていても合格できないので注意が必要です。
ITパスポートの受験者数・合格者数
ここでは、増加傾向にある受験者数と層が広がる合格者数の2つの側面から、ITパスポート試験について解説します。
受験者数は増加傾向
ここに、平成23年から令和元年までの「受験者数・合格者数の推移」を紹介します。
実施年度 | 受験者数(人) | 合格者数(人) |
---|---|---|
平成23年度 | 15,470 | 6,289 |
平成24年度 | 62,848 | 25,796 |
平成25年度 | 67,326 | 32,064 |
平成26年度 | 71,464 | 34,215 |
平成27年度 | 73,185 | 34,696 |
平成28年度 | 77,765 | 35,570 |
平成29年度 | 84,235 | 42,432 |
平成30年度 | 95,187 | 49,221 |
令和元年度 | 103,812 | 56,323 |
この表を見れば明らかなとおり、平成23年度に15,000人強でしかなかった受験者数は毎年増加を続け、令和元年度には10万人を超えました。
受験者数が順調に増加してきた要因としては、次のようなことを挙げられます。
- ビジネス界でのIT化が進展していること
- 学校などの教育機関でITに関する教育が積極的に展開されるようになってきたこと
- 幼少期からITの知識を習得する機会が増えていること
- 2020年からプログラミング教育が小学校では必修科目にすることが決定したこと
合格者の裾野は広がってきている
令和元年にITパスポート試験の受験者が初めて10万人突破にともない、合格者数も5万人を超えました。
この試験は受験に際しての年齢制限がないことが特徴の1つですし、試験が近年では小学生でも避けてはとおれないITがテーマです。
そのこともあって、受験者が他の国家資格に比較して驚くほど幅広い年齢層で構成されています。
このことが理解できる表を2つ紹介しましょう。
第1表は、平成21年から令和元年までの「合格者の平均年齢・最少年齢・最高年齢一覧」
第2表は、令和元年受験者の「社会人と学生の割合・年代層別割合・学生の学校別割合」を示したものです。
※第1表
開催 | 平均年齢 | 最少年齢 | 最高年齢 |
---|---|---|---|
21年春期 | 31.0歳 | 13歳 | 75歳 |
21年秋期 | 30.1歳 | 13歳 | 75歳 |
22年春期 | 30.5歳 | 12歳 | 75歳 |
22年秋期 | 28.9歳 | 12歳 | 75歳 |
23年特別 | 30.9歳 | 13歳 | 75歳 |
23年秋期 | 28.2歳 | 13歳 | 75歳 |
23年下期 | 31.2歳 | 12歳 | 75歳 |
24年上期 | 28.7歳 | 10歳 | 75歳 |
24年下期 | 28.7歳 | 10歳 | 75歳 |
25年上期 | 29.3歳 | 12歳 | 75歳 |
25年下期 | 29.3歳 | 12歳 | 72歳 |
26年上期 | 28.7歳 | 13歳 | 71歳 |
26年下期 | 28.7歳 | 13歳 | 75歳 |
27年上期 | 28.4歳 | 12歳 | 75歳 |
27年下期 | 28.4歳 | 13歳 | 73歳 |
28年上期 | 28.1歳 | 11歳 | 75歳 |
28年下期 | 28.1歳 | 13歳 | 72歳 |
29年上期 | 28.0歳 | 9歳 | 75歳 |
29年下期 | 28.1歳 | 10歳 | 75歳 |
30年上期 | 28.4歳 | 10歳 | 75歳 |
30年下期 | 28.6歳 | 10歳 | 74歳 |
元年上期 | 28.3歳 | 10歳 | 75歳 |
元年下期 | 28.4歳 | 10歳 | 73歳 |
第2表
社会人と学生の割合 | 年代層別割合 | 学生の学校別割合 |
---|---|---|
区分 割合 | 年代 割合 | 学校 割合 |
社会人 61% | 40代以上 12% | 大学 49% |
学 生 39% | 30代 15% | 専門学校 18% |
20代 53% | 高校 26% | |
20代未満 20% | その他 7% |
29年上期の試験では9歳の最少年齢合格者と75歳の最高年齢合格者が誕生しました。また、平成30年度は10歳の受験者が13名も合格しています。
2020年度から小学校でプログラミング授業がスタートすることもあり、今後は小中学生の受験者が増えてくることでしょう。
ITパスポートの難易度はどのくらい?
小中学生も合格する試験だからと言って、ITパスポート試験の難易度が、「とても低い」「簡単だから楽に合格できる」ということはありません。
難易度は情報処理技術者試験の中でも易しめ
ITパスポート試験は、12区分で構成される「情報処理技術者試験」の1つです。
この情報処理技術者試験は、その難易度によって4つのレベルにわかれています。レベル1からレベル3まではそれぞれ1つの試験で、9つの試験がレベル4の位置付けです。
国家試験である情報処理技術者試験の試験区分の中でITパスポート試験はレベル1ですから、最も低いレベルに位置付けられています。
つまり、ITパスポート試験は情報処理技術者への入門となる試験、情報処理技術者試験の登竜門と言えるでしょう。
すでに情報提供したように、ITパスポート試験の合格率は約50%です。合格できるのは2人に1人の試験なのですから、十分な準備をしないでも合格できるわけではありません。
とくに学生や生徒の受験者にとっては聞きなれない言葉が多いことから、それらの意味をしっかり覚えておけば合格に結びつきます。
知識0の時の必要勉強時間は100時間
ITパスポートの必要勉強時間は、知識ゼロの場合、つまり情報系の勉強をしたことのない人の場合は100時間が目安と言われます。
そうすると1日2時間頑張れば、50日(2カ月弱)で100時間の勉強時間を確保できるのです。
情報処理技術者試験の試験区分の中で最も低いレベルの試験ですが、ITパスポートは国家試験であり合格率約50%の試験です。
たしかに国家試験としては、それほど難易度の高い試験ではありません。試験内容のストラテジ系やマネジメント系などは情報系の学校でも学ぶ機会のないことがおおいことから、十分な学習が必要です。
そうしたことから、情報系の勉強経験のある人でも、20時間程度の勉強時間は必要だと言われています。
なお、1日当たり必要な勉強時間の設定は、受験日を決定したうえで逆算します。
つまり受験日までに勉強できる日数をカウントし、その日数で100時間を割った値に若干の余裕を持たせてノルマ時間を決定するのです。
この準備を行った後に、学習スケジュールを策定します。
ITパスポートの合格率まとめ
ITパスポート試験の難易度・合格率まとめ
- ITパスポート試験は情報処理技術者への入門となるレベル1の国家試験
- 必要勉強時間は知識ゼロで100時間、勉強経験のある人でも20時間は必要
- 合格率は全体で約50% だが、社会人が約65%・学生が40%と大きな違いがある。
- 受験者層は広がっており小中学生が37.5%、高校生が28.0%も合格している。
「ITパスポートの合格率は何%か?」をテーマに、試験の難易度にかかわるさまざまな事項を取り上げて解説をしてきました。
現在はプログラミング教育が小学校で必須科目になるような時代ですから、ITのことは分かりませんでは過ごせなくなっているのです。
このITの基礎的なことを理解するためにも、ぜひ、ITパスポート試験へ挑戦してください。