宅建の仕事がきついと言われる理由6選!営業職か事務職かで大きく変わる?
この記事は専門家に監修されています
宅建士
関口秀人
「宅建の仕事はキツイと聞くけど、実際どうなの?」
「宅建資格の取得を考えているけど、不動産業界ってブラックなイメージがあるな・・・」
この記事を読んでいるあなたは、もしかすると上記のような悩みを抱えているのではないでしょうか?
宅建士は不動産売買に関する国家資格ですので、不動産業界の場で活躍する方が大半でしょう。
不動産業界と聞けば、一般的にきつい仕事である、だったり、インセンティブによる高収入を狙えるというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、宅建士の仕事がきついと言われる理由についてまとめました。宅建士の取得や不動産業界への就職を検討している方は是非、ご一読ください!
宅建の仕事がきつい理由をざっくり説明すると
- 宅建士の資格があることで、通常業務と独占業務も処理しなければならない
- 不動産商品は高額なので、クレーム対応が多くなりやすい
- 不動産業界は労働時間が長い
- 不動産業界でも営業職は更にきつい
様々な仕事を任される
宅建士になると不動産会社において3つの独占業務に携わることができるようになります。以下にそれらの業務内容を簡単に解説していきます。
- 契約締結前の重要事項説明
客が家を借りる、または購入する際、宅建士は契約書に記載されている重要事項について説明を行う必要があります。説明がないまま契約してしまった場合、宅建業者に罰金が課されることになります。
- 重要事項(35条書面)への記名・押印
上記にて説明した重要事項説明書に宅建士が記名・押印する必要があります。記名・押印がない書類については無効扱いとなります。
- 契約書(37条書面)への記名・押印
契約書にも宅建士の記名・押印が必要となります。
通常業務に加えて独占業務も対応しなければならない
一例ですが、宅建士には家に関する契約が発生するごとに仕事が回ってくることになります。通常業務を行う傍ら、独占業務にも対応しなければならないため、仕事がきつくなっているのです。
ですが裏を返すと、会社からそれだけ重宝される存在であるということが言えます。
よって、仕事がなくて困るということはあまりないといえるでしょう。
宅建士の仕事内容についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
クレーム対応が多い
不動産商品はとても高額です。例えばマイホームの購入ですが、長年に渡って支払いをしなければならないほど高額ですので、お客様の目もかなりシビアになります。中には些細なことでもクレームを挙げてくるお客様もいらっしゃることでしょう。
宅建士はこういったお客様に対して、適切な対応・説明をして納得・満足してもらわなければなりません。
クレーム対応に慣れるまでは精神的にもかなりきついと言えるでしょう。
お客様に真摯に向き合う姿勢が問われる仕事になります。
人の入れ替わりが激しい
不動産業界の仕事は激務であるため、数ある業界の中でも特に人の入れ替わりが激しい業界です。
仲良くしていた同僚や先輩が、半年後にはみんないなくなっていた、ということも珍しくありません。
ただし今では時代の流れもあって、どの業種においても終身雇用をしている会社は少なくなっています。
また、人の入れ替わりが激しいということは転職のハードルも低いということです。
宅建士の資格を手に入れれば、就職活動はスムーズに進められる可能性がアップします。
新しい職場も「不動産業界だから転職が早くても普通」というように、早い退職・転職に対して悪印象を持ちにくいです。
この点に関しては、宅建士資格ならではのメリットであるといえるでしょう。
宅建士の就職についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
労働時間が長い
宅建士の主な就職・転職先となる不動産業界は、一般的にとても労働時間が長い業界です。
個人のお客様が中心になりますので、平日であれば在宅されている夜以降の営業になりますし、お客様の休日である土日で物件案内をしていくことになります。
お客様ファーストなので、必然的にサービスの質を追求すればするほど、労働時間が長くなりがちなのです。
一方で、最近では働き方改革の進行により、個人の負担については会社の働きかけで改善されてきています。徐々にではありますが、今では完全週休2日制のところも増えてきています。
営業職だと更に過酷
不動産業界の中でも営業職は特に仕事がきついと言われています。その理由について解説していきましょう。
ノルマの達成に追われる
不動産業界の営業では各々ノルマが課せられており、賃貸営業でも売買営業でも、月に何件もの契約を達成しなければなりません。
毎月ノルマを達成している優秀な営業マンであればいいですが、未達成の状況が続くようであれば上司から厳しい指導が行われます。
数字がものをいう世界なので、営業成績の悪い人は会社に居づらくなってしまい退職してしまうというのが現状です。
営業が成功しないと薄給
不動産営業は一般的にインセンティブ制度を採用しているため、基本給はかなり低く設定されています。
基本給は最低保証で約20万円前後、宅建士の資格手当があって+2~3万円、あとはインセンティブで稼がなければなりません。
基本給20万円だと独身であれば十分生活することはできますが、家族を養っていくとなるとかなり厳しくなってきます。多くの会社がみなし残業制をとっていますので、残業して稼ぐということもできません。
営業職はメリットも大きい
不動産営業のデメリットばかりを述べてきましたが、裏を返せばインセンティブ次第で高年収を狙うことができると言えますし、未経験でも転職がしやすいといったメリットもあります。
営業の実力次第では入社2年目で年収1,000万円を狙うことも可能です。これは年功序列型の一般的な会社に就職してはまず実現不可能な年収です。
人生一度きりですし自分の実力を試して大きな夢を掴むというのも選択としてはありなのではないでしょうか。
先にも述べた通り、不動産業界では人の入れ替わりが激しいので業界未経験であっても採用される可能性が高いです。転職候補の一つとして検討してみると良いかもしれません。
基本的に営業職であればどの業界であっても営業ノルマは付いて回ってくるものですので、一概に不動産業界だけ厳しいというわけではないことは認識しておいてください。
事務職だと年収は高くない
不動産営業はきついため、代わりに宅建事務員として働くというのも一手です。会社の規模によって業務内容は変わってきますが、電話対応や入出金確認、広告作成など様々な業務を担当することになります。
ただし、営業職のように高年収を狙うことはできません。また、営業のように結果を出せば直ぐに出世するという訳でもなく、出世のスピードは他の従業員の方と大きく変わりません。
一方で、収入が安定しており仕事のストレスも比較的少ないというメリットもあります。
不動産業界で働くメリット
デメリットばかり並べたせいで、何のために宅建士の勉強をしているのかわからなくなった方もいるかもしれません。
しかし、つらい分喜びも大きい資格であると言い換えることもできるのです。
ここでは、資格を取得した際のメリットについて詳しく紹介していきたいと思います。
やりがいが大きい
不動産商品は1件あたりの金額がとても大きいです。顧客にとっても人生で一番高額な買い物となりますので大きな決断が必要となります。
誠心誠意営業を行うことで、購入を決断いただいた際には大きな達成感とやりがいを感じることができるでしょう。
若いうちから責任ある仕事を任されやすい
不動産業界は数字がものをいう実力主義の世界です。
一般的な会社であれば若いうちは裁量権がなく、会社の判断の上で活動しなければならないことが多いですが、不動産業界であれば、結果さえ出すことができれば年齢関係なく出世することができます。
宅建の仕事はきついのかまとめ
宅建士の仕事がきついと言われる理由について解説してきました。ですが、逆に考えてみると下のような考え方もできます。
仕事がきつい反面メリットもある
- 宅建士は不動産業界では必須のポジションなので、会社からも重宝される存在になる
- クレーム処理能力を磨けば、自ずと営業スキル向上につながる
- 不動産業界は労働時間が長いが、働き方改革により改善されつつある
- 営業職は不動産業界に限らず厳しい職種。
確かに不動産業界は仕事がきつい業界ではありますが、それを乗り越えることができればビジネススキルを大きく向上させることができますし、インセンティブによる高年収も狙うことができる夢のある仕事であると言い換えることもできるでしょう。
宅建士があれば、不動産業界で活躍できる機会も増えます。きつい点ばかりに目を向けるのではなく、自分が将来どうなりたいのかという部分に着目して行動してみてはいかがでしょうか。