宅建士には英語力が必須?不動産業界の英語需要や求人の実態を調査!
この記事は専門家に監修されています
宅建士
関口秀人
「宅建士を目指しているが、英語は仕事に必要なのだろうか?」
「英語はバリバリできるけど、宅建士の仕事と絡ませることはできないだろうか?」
このような疑問をお持ちではないでしょうか?
宅建士とは日本の不動産売買の特定業務を独占して行うことができる国家資格です。日本国内で働いている外国人や、投資目的で日本の不動産を狙っている外国人は数多くいますよね。
そのような方々と接する際に英語力はどの程度必要となるのでしょうか?
この記事では、英語が使える宅建士の活躍の場や有効性、通常業務での英語の必要性について解説します!
宅建士の業務に興味のある方は、この記事を読めばより詳しく知ることができるでしょう!
宅建士と英語力の関係についてざっくりまとめると
- 英語力に自信のない人でも宅建士にはなれる
- 求められる英語レベルは業務内容によって幅広い
- 英語ができれば年収増につながりやすい
- 現時点で英語力が無くても、宅建士についての実務経験を磨くことが大切
宅建士の仕事に英語は必要?
宅建士とは日本の不動産売買の特定業務を独占して行うことができる国家資格です。基本的には日本人がお客様となりますので、宅建士にとって英語は必ずしも必要ではありません。
英語が使えなかったとしても、従来通りの業務は問題なくこなすことができるので、不動産業界の求人においても英語力を必須としたものはかなり少ないのが現状です。
そのため、英語ができないからといって悲観的になる必要はありませんのでご安心ください。
一方、14職種の労働ビザが解禁されて外国人労働者の受け入れの拡大が決まったり、2020年に開催される東京オリンピックが控えていたりと、外国人の日本に対する居住希望者及び不動産投資の熱が高まってきているのも現状です。
(※2021年3月現在、新型コロナウイルスの影響で外国からの流入が大きく制限され、オリンピックも延期され景気が不安定なことからこの動きに変化が生じています。)
そこで、そのような客層にも対応するべく不動産業界においても英語力を求める流れが生まれつつあります。
宅建士は英語が必須の職種ではありませんが、上記の理由から英語力が高いと就活や転職においてもアピールポイントになることが期待できるでしょう。
宅建士が最低限必要な英語の知識
宅建士とは日本独自の国家資格になりますので、それに対応する英単語はありません。そのため複数の英単語を組み合わせて表現されています。
表現方法は複数ありますが、以下にいくつか例を挙げておきます。
日本語 | 英訳 |
---|---|
宅地建物取引士 | real estate notary / real estate broker |
宅地建物取引主任者 | real estate transaction specialist |
不動産 | real estate |
不動産投資 | real estate investment |
英語が使える宅建士の活躍
英語を話すことができる宅建士は、当然その英語力を生かしたフィールドでの営業が期待されることになります。
会社からは外国の方々への営業及び受注活動を求められるため、英語で営業をすることができるだけのかなりハイレベルな英語力が必要になるでしょう。
就活において宅建士としての英語力が認められる指標としては、TOEIC700点前後あれば十分評価対象となり得るでしょう。
ですが上記にも記載している通り、宅建士の業務において英語を生かした仕事というのはまだまだ少ないのが現状です。
英語力があることに越したことはありませんが、会社の状況によっては、採用の動機として直接つながりにくいかもしれません。
英語力を生かした宅建士の仕事内容
会社が英語力のある宅建士に求めることとは、当然英語が必要な顧客に対する営業活動となります。英語を使って外国人の居住者や投資家の方への営業及び受注活動、顧客フォローをする能力が期待されます。
宅建士の主な仕事内容は、「不動産売買」と「賃貸物件の斡旋」です。販売したい土地や建物について専門知識を有していないお客様に対して、詳しい説明をしていかなければなりません。
賃貸物件の紹介であれば、説明する内容は毎回似ているので、ある程度回数をこなせば英語力がそこまでなかったとしても十分対応することは可能です。
一方、投資に関わる不動産の売買に伴う説明では、投資家の方に利回りの説明などが必要になってきます。それを英語で説明するとなれば、非常に高いレベルの英語が必要であることがわかります。
英語が使える宅建士求人の実態
日本では昨今、外国人労働者の受け入れ拡大の動きを強めており、外国人の日本への居住希望者が増えてきています。
不動産業界ではそれだけ外国人と交渉する機会が増えることが予想されるため、ビジネスレベルまでとは言わないまでも、日常会話程度の英語ができるだけでも会社から高い評価を受けることが期待できるでしょう。
宅建士の求人内容を見てみると、営業職の募集が多いことがわかります。求人によっては、英語ができる場合は年収150万円UP見込みを謳っているものもあります。
これは、営業職の場合は給与形態が歩合制であることが多く、英語ができることで単純に対応できる顧客の幅が広がることが要因となっていることが予想できます。
また宅建士として転職をする際には、英語力に加えて実務経験も求められる傾向にあります。
英語力を重視する求人と年収
英語力を重視している求人は、英語で詳細までビジネスの商談を詰めることができる人材を求めています。不動産業界の商慣習や、業界独特の専門用語を英語で説明できる能力が必要です。
外国人が日本で不動産を購入する際には、登記や税金手続きだけでなく、外国人ならではの諸手続きが発生します。手続き自体は司法書士に任せられたとしても、外国人顧客への説明は担当者が行う必要があります。
投資目的の物件であれば、売上や利益などの物件利回りの説明が必要になりますので、外国人顧客に対して、費用対効果をプレゼンする英語力が求められることになります。
ビジネスレベルの英語力及び実務経験と、売買仲介や投資用案件の取引経験を兼ね備えた人であれば、年収1,000万円も狙うことができます。
それだけ市場では希少価値の高い人材であると言えるのです。
必要な英語レベル
英語力を重視している求人では、上記で解説した通りビジネスレベルの英語力を求められます。
基準としては、TOEIC850点以上が指標になるでしょう。
点数からも見てわかるように、かなりの高い英語力が求められるでしょう。
英語力以外を重視する求人と年収
不動産業界では上記のような専門性の高い英語力が必要になる業務もあれば、そこまで高いレベルを必要としない業務も存在します。
そこまで高いレベルの英語力を必要としない業務の具体例としては「賃貸仲介業務」が挙げられます。賃貸仲介とは、賃貸物件を所有するオーナーと、賃貸物件を借りたい外国人の仲介を行う業務のことを指します。
賃貸は不動産売買ほどの複雑な契約手続きが無く、外国人に現地物件を案内して説明できる英語力があれば、ある程度対応することができます。
定型的な会話が多く、日常会話程度の英語ができれば、何度か実務を経験するだけですぐに即戦力となれるでしょう。
以前の外国人向け賃貸仲介業は、日本に駐在して仕事をする富裕層向けが中心でしたが、現在では介護や建築業界においても外国人労働者が年々増え続けています。それにより、外国人の賃貸需要は今後ますます高くなることが予想されます。
年収面については、英語力を求めている求人ではないことから400万~500万円が相場となります。宅建士の資格を所有していれば、これに資格手当が上乗せされます。ここで英語による実務経験を磨き、専門性の高い仕事へステップアップ転職を目指すというのも一手です。
必要な英語レベル
これらの職業に関しては、英語力が全くなかったとしても就職することができます。就職において有利になる英語レベルとしては、TOEIC700点前後あれば有利になってきます。
英語力が全くない人でも、入社した後に英語力をつけられれば特別問題はありません。日常会話レベルの英語ができるようになれば、十分戦力になると認められるでしょう。
英語が使えると高時給バイトもできる
宅建士の資格と英語力を兼ね備えていれば、外資系の不動産業で営業アシスタントなどのアルバイトを行うことができます。
時給は1800円以上とアルバイトの中でも高水準な位置づけとなっているので、こちらもオススメです。
英語力よりも大事なのは実務経験
英語レベルがいくら高かったとしても、宅建士としてのスキルがイマイチでは意味がありません。
売買契約や投資を促すプレゼンを上手くこなすには、豊富な実務経験が必要になります。この能力に英語力が加わって初めて効果を発揮することができるでしょう。
まず最初は宅建士として不動産を販売するためのスキルアップに専念することが重要です。
不動産業界の今後の英語需要
近年日本では、外国人労働者の受け入れ拡大や2020年の東京オリンピックに伴い、外国人労働者及び投資家からの注目を集めています。特に外国人が集まる関東圏では需要の高まりが顕著に表れています。
また、日本国内では相変わらず少子化の傾向が続いており、回復する見込みも立っておりません。そのため外国人による国内労働補填は今後も継続的に続くことが予想され、それに伴い今後も英語力を重視する求人数は増えていくことになるでしょう。
ビジネスレベルの英語を身につけるのはかなり難しいですが、TOEIC700点レベルの力さえ身につけておけば、あとは翻訳機能などの便利ツールを上手く活用したり、実際に場数を踏んで経験値を積んだりすることで、プラスαの活躍ができるでしょう。
宅建士と英語についてまとめ
宅建士と英語についてまとめ
- 宅建士にとって英語は必ずしも必要ではないが、外国人からの需要増により英語力が求められつつある
- 求められる英語レベルはビジネスレベル~日常会話レベルまでと業務内容によって幅広い
- 英語ができれば対応できる顧客の幅が広がることから年収増につながりやすい
- ビジネスレベルの英語力+売買仲介・投資用案件の取引経験があれば、年収1,000万円以上を狙うことも可能
- 現時点で英語力が無くても、宅建士として英語による実務経験を磨いていくことで、ステップアップ転職を目指すのも一手
宅建士という国家資格に英語力を加えることで、ライバルに大きく差をつけることができます。
まずは宅建士合格を目指し、さらなるキャリアアップとして英語学習を検討してみてはいかがでしょうか?