中小企業診断士に独占業務はあるの?業務内容や働き方を解説!
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中小企業診断士
平井東
「中小企業診断士に独占業務はあるの?」
「診断士にはどんな仕事があるの?」
このような疑問は中小企業診断士の資格について知りたい情報の一つかと思います。
ここでは中小企業診断士の独占業務について、業務内容や働き方を踏まえて詳しく解説していきます!
この記事を読み終わるころには、中小企業診断士の独占業務について明確に見えてくるはずです!
中小企業診断士の独占業務についてざっくり説明すると
- 中小企業診断士には独占業務がない
- 中小企業診断士だけができる仕事がある
- 独占業務がないことによるメリットもある
中小企業診断士には独占業務がない
結論からいうと、中小企業診断士には独占業務がありません。
そもそも独占業務とは資格持っている人だけが行える業務のことを指します。法律によりある資格を持っている人しかできない仕事が決められているということは多いのです。
弁護士、公認会計士、社労士、税理士、行政書士など、他の士業には独占業務があることが多いです。
中小企業支援法による根拠
中小企業診断士については中小企業支援法という法律がありますが、中小企業支援法には独占業務についての規定がありません。
独占業務がないので資格を取っても中小企業診断士としてやっていけるのかという心配があるかもしれませんが、中小企業診断士資格は幅広い分野や職種で役立てることができます。
独占業務がないことのメリット、中小企業診断士だからこそできる仕事もあります。
独占業務なしでやっていけるのか
そもそも、独占業務がある資格を持っているからといって稼げるという確証はありません。 資格があっても仕事が取れなかったり廃業する人はいます。
資格があるからといって安泰というわけではなく、その資格でどのように稼ぐかを考えることが大切です。独占業務がなくても成功するチャンスはたくさんあります。
中小企業診断士の資格を活かすには
上に述べたように中小企業診断士の資格があること自体ではなく、資格をどのように活かしていくかに価値があります。
コンサルタントとしての仕事は無資格でも行うことができますが、中小企業診断士としての国家資格があれば企業から信頼されやすくなり次の仕事にもつながります。
そもそも中小企業診断士には中小企業のコンサルティングという確固たる仕事があるので、独占業務はなくても他の士業と同じようにやる気を持ってしっかりと取り組めば、困ることはありません。
診断士資格の活用が政界・経済界から所望されている
中小企業診断士資格は、新型コロナウイルスが蔓延し、中小企業の倒産が増えた2020年以降、その必要性がさらに高まっています。
実際の動きとしても、中小企業の経営基盤を構築するための中小企業政策が推進されており、その中で診断士にかけられる期待も大きなものとなります。
また、診断士は大都市圏にその数が集中しており、地方ではまだまだ需要に対して供給が追いついていないのが現状です。
このような動きも相まって、今後の診断士には大きな将来性が潜んでいることがわかります。
中小企業診断士の主な仕事
独占業務はないものの、中小企業診断士という名前の通り、中小企業のコンサルティングの仕事は中小企業診断士に回ってくるものだといえます。
そして決められた枠がないからこそ、自分の裁量で広範囲に渡る業務ができることは大きな魅力です。
中小企業診断士に依頼されることが多い仕事のなかに、公的業務と呼ばれるものがあります。具体的には、行政や商工会議所が行っている経営相談や専門家派遣などの業務を指します。
公的業務の主な内容
公的業務とは、国や地方自治体の行政機関、中小企業基盤整備機構、都道府県等中小企業支援センター、商工会議所・商工会などの公的機関から委託されて行う業務のことをいいます。
業務内容については窓口相談と専門家派遣に分けられます。
窓口相談と専門家派遣
窓口相談では、週に1,2回など公的機関に出向き、相談窓口で経営に関する相談に乗ります。中小企業の経営者などから寄せられる相談は、営業面、財務面、人事面、IT関連、法律など多岐にわたります。
専門家派遣では、公的機関に中小企業診断士が専門家として登録を行い、案件があれば申し込んだ中小企業を訪問して支援を行うというものです。
中小企業診断士試験で学んだ知識や思考力を窓口相談、専門家派遣などで活かすことができます。問題解決に向けてのコンサルティング能力を現場で資格を活かすことができます。
公的業務はどうやって探すのか?
公的業務が取れると公的機関とのパイプができたり一定の収入が入るようになります。実際、公的業務はどうやって探したら良いのでしょうか?
そのためには人脈やネットワークを作っていくことが一番です。 知り合った人を通じて紹介してもらうことで仕事につながるケースは多いようです。
中小企業診断士が集まる場所に行く、行政機関に出向いてみる、募集があれば積極的に働きかけをしてみるというように仕事を貰う機会を自ら探しにいくのが良いでしょう。
公的業務で注意したいこと
公的業務は安定しているというメリットはありますが、独立して事務所を成功させたいのであれば、公的業務に頼りすぎることはお勧めできません。
中小企業診断士としてやっていくためには、新規顧客を開拓したり営業力を身につけるることが必要なので民間業務を積極的に行うことも重要です。
公的機関とのネットワークを大事にしつつ、民間のコンサルティング業務とのバランスを取ることも大切だといえるでしょう。
中小企業診断士にしかできないこともある!
中小企業診断士だけが行うことができる実質的な独占業務として、助成金や補助金の申請に関する仕事があります。
中小企業が助成金や補助金を申請する際には、中小企業診断士のチェックを受けないと給付されません。
助成金や補助金の申請の仕事を通じて中小企業との繋がりを作り、そこからコンサルタントなどを依頼される機会を作れることもあります。
中小企業診断士の仕事内容についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
独占業務がある他士業との比較
中小企業診断士には独占業務がありませんが、独占業務がある他の士業と比べてみると、独占業務があることにより生じるデメリットもあります。
仕事の範囲
弁護士、司法書士、税理士、社労士などの独占業務は、法律によって業務が定められています。
資格を持つ者だけがその業務ができることはメリットのようにも見えますが、守られているはずの独占業務がかえって障壁になってしまうことがあるようです。
たとえば、司法試験の合格者数が過剰に増えると弁護士が余ってしまうという話を聞いたことがあるかもしれません。同じ士業の中で似たような仕事をしていれば、仕事の奪い合いになる可能性があります。
競争相手
たとえば、司法書士事務所を開業しようとしたときに、同じ管轄内に既存の事務所があれば、競争相手になってしまうこともあります。
業務の範囲が狭いと、同じ士業の仲間を歓迎するどころかライバルとして競争しなければならず、業界自体が飽和状態に陥っていれば新規参入を狭めてしまいます。
独占業務にとらわれない考え方もある
独占業務で守られた仕事があることは良いものの、独占業務だけで勝負しようとするのは限界があるといえるでしょう。
どの士業でも同じようなことがいえますが、資格を持っているだけで仕事が次々に舞い込んでくる保証はなく、仕事につなげるための営業力や集客力も大切になります。
独占業務があってもなくても、稼げる人も稼げない人もいます。自分の経験、特徴、専門分野に資格をどう生かしていくかが大切です。結局のところは独占業務だけにこだわる必要はないといえます。
中小企業診断士の場合
中小企業診断士には法律で定められた業務がない分、企業勤務や独立開業などを通じて、幅広い業種や職種で活躍できるチャンスがあります。
試験の合格者が増えても中小企業診断士の仕事がなくなることは考えられません。経営企画、人事、財務、IT、物流、店舗管理など、やる気と頑張り次第で資格を生かして仕事の幅を広げることができます。
独占業務がない分、中小企業診断士同士のネットワークは強く、仕事を奪い合う心配がないどころか仲間同士で助け合う機会に恵まれます。情報交換、研修会、交流会など、診断士同士で切磋琢磨できる機会はたくさんあります。
独占業務がないことのメリット
中小企業の経営支援を通じて様々な場面で中小企業診断士の力が必要になりつつあります。
というのも、日本の企業の99%以上が中小企業であり、起業したての小規模事業者が5年以内に廃業することも珍しくありません。そういった企業を救うためにも中小企業診断士の活躍は重要なのです。
独占業務がない分、あらゆる分野で仕事の幅を広げることができ、中小企業診断士の仲間同士がそれぞれの専門分野で仲間のために何をすれば良いかを考えて行動しやすい環境にあるといえます。
中小企業診断士が独自のアイデアを生み出し、専門家としての活躍範囲を広げていくという取り組みが重要です。
中小企業診断士の独占業務まとめ
中小企業診断士の独占業務まとめ
- 中小企業診断士に独占業務はないが、コンサルティングの仕事で困るということはない。
- 助成金や補助金の申請は、実質中小企業診断士の独占業務である。
- 独占業務がないことで仕事の幅が広くなり、診断士同士のネットワークも強い。
中小企業診断士の独占業務について詳しく見てきました。
中小企業診断士は他の多くの士業とは異なり独占業務が存在しませんが、その分幅広い分野で活躍できる資格であると言えます。
新たに活躍の場を広げるためにも中小企業診断士資格を取得してみてはいかがですか?