中小企業診断士の独立は難しい?年収やリスクなどの実情を完全公開!
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中小企業診断士
平井東
「中小企業診断士の独立って上手くいくのかな…」
「独立したら年収の見込みはどれくらい?」
中小企業診断士としての独立を考えたとき、このように疑問や悩みを持たれるのは自然なことです。
そこでここでは、中小企業診断士の独立について年収やリスクなどを踏まえて徹底的にみていきます。
記事を読み終わる頃には、中小企業診断士の独立への道が見えてくるはずです!
中小企業診断士の独立についてざっくり説明すると
- 中小企業診断士の独立には魅力も多いが当然リスクもある
- 独立した中小企業診断士は極めて高い年収が狙える
- 独立の計画の際には注意しておきたいポイントがいくつか
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中小企業診断士の独立の基本を知ろう
中小企業診断士が独立した場合、主な業務内容は企業に対する経営コンサルタントになります。
中小企業診断士は5年ごとに資格の更新登録(研修・企業の診断実績の取得等)をする必要があり、合格者に対する登録者数は非常に多いわけではなさそうですが、ここ最近、登録する人が増加傾向にあるようです。
中小企業診断士には独占業務がない
行政書士や社労士といった資格とは異なり、中小企業診断士には資格による「独占業務」がありませんので、中小企業診断士の資格を持っていなくても経営コンサルタントの仕事をすることが可能です。
しかし、中小企業診断士は経営コンサルタントの唯一の国家資格であり、顧客からの信頼や安定性の面において、独立する場合にもプラスになる資格だといえます。
独立している中小企業診断士の割合
中小企業基盤整備機構の調査 によると、中小企業診断士のうち、企業内診断士が54.5%、プロコン等が38.0%となっています。
現在独立開業している人の割合は30%~40%となっています。
企業勤務の中小企業診断士が多いですが、独立して経営コンサルタントとして活躍している中小企業診断士は珍しくないことが分かります。
独立開業の予定
中小企業基盤整備機構が実施した、中小企業診断士の独立開業の意向についてのアンケート によれば、中小企業診断士のうち、企業内診断士の30.9%が、将来独立開業を予定しています。
上記によると、現在は企業勤務であっても将来的に独立したいと考えている中小企業診断士の方はかなり多いことが分かります。
独立した中小企業診断士の主な仕事
独立開業している中小企業診断士の主な仕事として、中小企業への経営コンサルティング業務があります。これは主に一般企業に対して行うもので、民間業務とも言われています。
一方で、中小企業診断士は行政機関などから委託されて窓口相談を行う公的業務も実施しています。この場合も相談相手の多くは経営者や起業家の方でです。
他にも、セミナー講師も中小企業診断士の仕事です。たとえば、商工会議所からの依頼だったり、経営者を対象に行うものなどがあります。
コンサルティング業務やセミナー講師などを通じて、専門分野での知識が活かされたり、次の仕事へつなげていくことも期待できます。
独立した中小企業診断士の年収事情
一般的に中小企業診断士の平均年収は700~800万だと言われています。(平均年収は独立と非独立を問わず)
下の表は中小企業基盤整備機構による、中小企業診断士の平均年収の調査結果です。
年収 | 割合 |
---|---|
100万円以内 | 9.36% |
101~200万円以内 | 7.54% |
201~300万円以内 | 8.12% |
301~400万円以内 | 7.46% |
401~500万円以内 | 8.29% |
501~800万円以内 | 19.55% |
801~1000万円以内 | 13.34% |
1001~1500万円以内 | 14.66% |
1501~2000万円以内 | 6.05% |
2001~2500万円以内 | 2.07% |
2501~3000万円以内 | 1.49% |
3001万円以上 | 2.07% |
出典:中小企業基盤整備機構
上記の調査結果を簡単にまとめると次のようになります。
- およそ3分の1の中小企業診断士の年収が501万~1000万円の間である
- 年収1000万円以上の中小企業診断士は全体の25%以上存在する
- 約25%の中小企業診断士は年収が300万以下である
- 100人に2人は年収3000万円以上の超高年収を得ている
このように、中小企業診断士の年収水準はかなり高いです。その一方で年収が平均的か、苦しい状況にある中小企業診断士もいることも伺えます。
収入が極端に低い層は、顧問契約などの安定した収入源が得られていない状況です。特に独立したばかりの時期は、低い年収になってしまうことを覚悟すべきでしょう。
中小企業診断士のコンサルティング報酬額
次の表は中小企業診断士の方々が実施しているコンサルティングの内訳と、その報酬額を示しています。
内容 | 平均報酬(平均) | 最高報酬(平均) | 割合 |
---|---|---|---|
経営指導 | 97,000円/日 | 141,000円/日 | 29.78% |
講演・教育訓練 | 130,000円/日 | 191,000円/日 | 24.33% |
診断業務 | 108,000円/日 | 207,000円/日 | 22.01% |
原稿執筆 | 5000円/枚(400字) | 6000円/枚(400字) | 12.11% |
調査・研究 | 49,000円/日 | 87,000円/日 | 11.78% |
この調査結果から言えることは以下の通りです。
- 指導関連の業務が大半であり、調査業務の割合は低い
- 各業務の報酬相場は平均で日給約9万円である(平均日給と割合の積から算出)
- 平均報酬と最高報酬の差が最も大きいのは「診断業務」であり、2倍近くの差がある
業務内容や顧客の規模によっても報酬額は変化しますが、基本的にコンサルティングの報酬相場はかなり高いことが分かります。
多くの顧客を相手にして自身のブランド力が高まれば、それに伴って報酬額も上がることが期待できるでしょう。
中小企業診断士のコンサル報酬についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
顧問契約を結べば年収は安定する?
同調査によれば、中小企業診断士で顧問契約先を持っている人は約半数であることが分かります。また、顧問料の平均は月に約14万円です。
また、顧問先の平均数は7社となっています。つまり、平均すると顧問契約だけで年に1176万円の収入を得ていることが分かります。
ただし年収の分布と照らし合わせて考えれば、10社近くの顧問先を持つ人と2~3つの顧問先を持つ人の2種類に大別されることが推察されます。
顧問契約は固定収入になるので、収入が不安定な独立中小企業診断士の人にとっては非常に貴重なものです。顧問力の相場や、単発のコンサル依頼もあることを考えれば、3社程度の顧問先でも十分安定した生活を送れることが分かります。
中小企業診断士が独立するメリット
中小企業診断士が独立した場合、働き方や収入の面などで、さまざまなメリットがあります。
中小企業診断士は経営コンサルタントの唯一のコンサルタントの資格ということもあり、資格の勉強で身につけた知識や思考力を仕事に大いに役立てることができます。
ここでは中小企業診断士が独立することのメリットについて、詳しくみていきます。
高収入が狙える
先述の中小企業診断士の平均年収のデータをみても、独立した中小企業診断士の4分の1以上が年収1000万円を超えています。
また、2000万円を超える年収を得ている方もそこまで珍しくなく、これは企業に勤めている時ではなかなか達成できない年収です。
高い確率で超高収入が狙えるというのは、独立した中小企業診断士の大きな魅力となります。
自由に働くことができる
独立している中小企業診断士は働く量やタイミングを自分で決めることができます。
時間に縛られることなく、仕事をする時間も仕事の量も自由に決められるので、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。
仕事に集中できる環境であれば業務を増やしたり、仕事をセーブしなければならない環境でもスケジュールを調整しながら仕事ができます。定年もないので年齢に関係なく自由に働けます。
このような自由なライフワークスタイルは新男子だからこそ実現できるものであるといえるでしょう。
企業から頼られる存在になる
独立した中小企業診断士はコンサル先の企業から頼られ、感謝されます。 コンサル先の企業の業績が伸びるのは非常に嬉しいものであり、とてもやりがいを持って働くことができます。
中小企業診断士の仕事として、企業が抱える課題の分析や問題解決のためにアドバイスをする等の経営支援を行いますが、経営者や起業家の立場で物事を考えられるというのが独立中小企業診断士の強みです。
独立した中小企業診断士は自身が経営者でもあり、経営判断を自ら行う必要があります。リスクや不安定な環境を身を持って経験していたり、同じような立場で経営者として共感できることがあるでしょう。
やりたい仕事を追求できる
企業に勤めていると、やりがいはあっても、組織の中でできる仕事には限界を感じることがあるかも知れません。
独立すれば、垣根を越えてやりたい仕事を制限なく追求することができます。
中小企業診断士の仕事はとても幅が広いので、あらゆる分野で活躍できるチャンスが広がるのです。
中小企業診断士の独立のデメリット
中小企業診断士の独立には、魅力がある一方で不安な要素も存在します。
ここでは中小企業診断士が独立することのデメリットを中心にみていきます。
収入が安定しない
独立した場合、企業勤務とは違って安定した収入があるわけではありません。
自分で顧客を確保できるのかに不安を感じる方が多いです。また、顧問契約等で固定報酬を得られないと常に顧客開拓のために忙しなく営業活動を続ける必要があります。
今の仕事をやめなければならない
中小企業診断士を取得する方は30代以上の方がほとんどで、すでに会社員の方ばかりです。
すでに良いポジションについている方は会社を辞める決断をするのは難しく、資格の独立のためではなくスキルアップや昇格昇給に生かしたいと考えるようです。
将来的に独立したいと考えて資格を取得したとしても、今の現状をなかなか捨てられず結局独立しないケースも多いです。
一人で背負う責任が大きい
自分の裁量で仕事ができることは独立中小企業診断士のメリットであるものの、逆にデメリットになってしまうこともあるようです。
企業の経営をアドバイスするという立場から考えると、独立した中小企業診断士は全てを個人で背負うことになります。こうした責任の重さはやりがいにも繋がりますが、かかるプレッシャーはかなり大きなものです。
仕事以外の作業もやらなければならない
企業勤務の場合は、組織体制の中で、自分が担当する仕事に重きをおくことができますが、独立するとコンサルティングの仕事以外のやるべき作業がたくさん出てきます。
営業、経理、総務などは、会社に居たときは他の誰かがやってくれていた仕事ですが、独立後はこれらを一人でこなさなければなりません。
税理士などと契約することで負担を減らすことはできますが、一人で何役もこなす必要があるのには変わらないでしょう。
独立系中小企業診断士に向いている人
中小企業診断士が独立する場合、メリットもデメリットもあることが分かりました。
他の仕事でも同じことがいえますが、独立に向いている人と向いていない人(組織の中で役割を発揮することは向いているかも知れません)が居ます。
中小企業診断士として独立するには、どんな人が向いているのでしょうか?
冷静で客観的に物事を考えられる人
中小企業診断士にとって必要不可欠なのが、冷静さと客観的に物事を捉える力です。相手が何を求めているかを汲み取り、その都度柔軟に対応していくことが大切です。
中小企業診断士は、経営コンサルタントの仕事を通じて、経営者から経営判断に関するアドバイスを求められる場面も少なくありません。
独立した中小企業診断士はコンサルタントの仕事を一人で行うことになるので、ひとつの事象からではなく多角的な側面から物事を考え、冷静に分析する力がさらに必要になります。
逆境をチャンスに変えられる人
独立中小企業診断士は、自らが不安定な環境のなかでリスクを背負って仕事をしています。
継続していた業務が途中で打ち切りになったり、取引をしていた企業が倒産したり、予測できない事態にも動揺せずに対処することが求められてきます。
逆境をチャンスに変えていく力のある人は独立に向いているといえます。
仕事が丁寧な人
当然のことですが、信頼関係は仕事を通じて出来ていきます。 仕事が雑な人は信頼されません。
たとえ単価が低い小さな仕事であっても、丁寧に誠実にこなしていくことで、「次の仕事もこの人にお願いしたい」と思ってもらえるようになります。
特に独立開業する場合は、目の前にある仕事を地道に行って実績を積み上げ、信頼関係を築いていく努力も必要です。
人とコミュニケーションを取るのが好きな人
中小企業診断士は、顧客とのコミュニケーションはもちろんのこと、診断士同士でもコミュニケーションを取る機会がたくさんあります。
独立開業している中小企業診断士は、仕事、研修会や交流会などを通じて様々な人と接する機会があります。
好奇心旺盛で人と話がするのが好きな人は、独立に向いているといえるでしょう。
中小企業診断士が独立するタイミング
中小企業診断士として独立開業しようと考えたとき、どんなタイミングがよいのでしょうか?
実務経験や年齢との関係性も踏まえて詳しくみていきたいと思います。
実務経験はほぼ必須
業務未経験の中小企業診断士も存在しますが、なかなか上手くいかないのが実情です。独立して成功するためには、企業勤務等で実務経験を積んでから独立するのがおすすめです。
会社組織のなかで働くことを経験していれば、中小企業の経営支援を行うときに、組織や人という観点で物事をより現実的に考えることができます。
中小企業診断士は人とのつながりが大切な仕事なので、企業にいるうちにネットワークを作っておけば、独立したときに情報が入ったり仕事にもプラスにはたらくといえます。
独立するのにおすすめの年齢は
中小企業診断士が独立する年齢については「何歳でなければならない」ということはありませんが、40代前後が適しているといえるでしょう。
その理由として、会社組織というものが分かっており、管理職やマネジメントの経験があると仕事に大きく活かすことができます。 40代位なら今後仕事をしていく上で、まだ体力も時間もあります。
ただ、実際に置かれている環境によっても独立できる年齢が変わってくるでしょうし、その人に合ったタイミングで独立を考えるのが良いといえるでしょう。
独立したいと思ったら考えておきたいこと
中小企業診断士として独立しようと思ったとき、行き当たりばったりで開業することはおすすめできません。
「1年後にはこんな仕事をしている」、「数年後には年収○○円」というように、具体的な目標を決めて、計画を立てておくことが大切です。
特に独立した中小企業診断士には集客力と営業力が必要不可欠です。独立する前から顧客が獲得できそうかをリサーチしたり、専門分野を定めておくと良いといえます。
中小企業診断士が独立するための手順
中小企業診断士として独立する際には、手順を踏んで行うことがいくつかあります。
ここで、中小企業診断士が独立するときに必要なことについて確認していきます。
初期費用の確保
自宅で開業する場合は必要ありませんが、オフィスなどを借りる場合は賃貸料や備品代、人を雇う際はその分だけお金が必要です。
まずは 独立前に初期費用を貯蓄しつつ、資金計画を練るのが良いでしょう。
現在の仕事を退職する
退職する際は円満退社が大切です。 中小企業診断士はコネが大事な世界です。退職する時期が決まったら早めに現場に伝え、自分が辞めた後も周囲の人たちがスムーズに仕事ができるように配慮しましょう。
以前の会社と良好な関係を維持しておくことで顧客ゲットのチャンスをもらえるかも知れません。
開業届を提出する
独立開業する場合、事業開始から1ヶ月以内に開業届を提出しなければなりません。
開業届の提出先は事業所の所在地を管轄する税務署になります。自分で行うのも良いですし、税理士などに依頼するのも良いです。
独立の際に注意すべきポイント
中小企業診断士が独立してやっていくためには、どのようなことが必要となるのでしょうか?
ここでは独立するときに注意しなければならないポイントについてみていきます。
営業方法を確立しておく
営業していく上での作戦はいくつか用意しておきましょう。
インターネット経由だけ、人からの紹介だけ、など偏っていないか確認しましょう。始めてみるまでどれがうまくいくかはわかりません。
また、営業の際に他の診断士の方と差別化できるポイントなど、自分を売り込めるポイントを決めておくのが良いでしょう。
セミナーを有効活用しよう
中小企業診断士の仕事のひとつにセミナー講師があります。商工会議所・商工会等から直接依頼があったり、セミナー企画会社に登録したり、セミナー講師を募集している会社もあります。
セミナー講師をきっかけとして、コンサルティングの仕事がもらえたり、顧問契約を結んでもらえることも少なからずあります。
独立したばかりの頃は小さな仕事であっても、地道にやり遂げることで大きなチャンスへと広がっていくといえるでしょう。
中小企業診断士のセミナーについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
人脈が求められる業界であることを意識する
中小企業診断士は診断士同士のネットワークが強い業界ですが、特に独立した中小企業診断士が仕事をしていくには人脈が非常に重要となります。
独立したばかりの不安定な状況においては、人脈があるとないとでは全然違います。先輩の診断士や知り合いを通じて仕事を紹介してもらえたりすることもあります。
日頃から懇親会に顔を出すなど、積極的に人脈の幅を広げていく努力が必要です。
中小企業診断士の独立にダブルライセンスは有効?
中小企業診断士が独立するときに、他の資格を持っておくと良いことがあります。
他の診断士と差別化を図ったり、自分の得意分野を明確にして売り込みやすくなるという点で、極めて有効です。
実際、独立中小企業診断士のダブルライセンサーの割合は6割以上です。
中小企業診断士の独立に役立つ資格
ダブルライセンスに有効な主な資格は次の通りです。
中小企業診断士の独立に役立つ資格
- 税理士
- 公認会計士
- 情報処理技術者
- 社会保険労務士
- 行政書士
中小企業診断士だけではできないことを他の資格でカバーすることができたり、他の資格の専門性を組み合わせることで多角的なコンサルティングを行うことができるようになります。
また、上記の資格はいずれも独占業務を持っているので、独占業務を集客のきっかけとして利用できる点も魅力的です。
それぞれの資格がもつ強みを意識して仕事に活かしていくことが大切です。
中小企業診断士のダブルライセンスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
中小企業診断士の独立まとめ
中小企業診断士の独立まとめ
- 中小企業診断士の独立は収入面でも仕事面でもメリットがある。
- 独立にはリスクもあり、独立する前から計画を練っておくことが大切である。
- 中小企業診断士として独立して仕事をしていくには人脈が非常に重要である。
これまで中小企業診断士の独立について、あらゆる側面から考察してきました。
独立には長所も短所もありますが、実力と努力が収入に結びつきやすく、やりがいのある仕事に巡り会えるチャンスもあります。
中小企業診断士の独立に興味のある方は、ぜひ前向きに検討されてみてはいかがでしょうか!