中小企業診断士の独立で失敗しないために|廃業する割合やその原因を徹底分析!
この記事は専門家に監修されています
中小企業診断士
平井東
「中小企業診断士として独立したいけど、失敗しそうで怖い…」
このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
独立を考えている方であれば誰でも失敗のリスクは考えるものです。
そこでこの記事では中小企業診断士の独立について、廃業してしまう割合やその原因を分析しつつ、失敗しないために押さえておきたいポイントを紹介します!
また、万が一失敗してしまった場合の対処法についても考察していきます。
この記事を読めば診断士としての独立のビジョンがより明確になるはずです!
中小企業診断士の独立で失敗しないポイントをざっくり説明すると
- 資格取得直後に独立してもほとんどが失敗に終わる
- 中小企業診断士としての知識よりも経験や実績、人脈が重要
- 独立に失敗したとしても再就職できる
独立した中小企業診断士が失敗する割合
全産業での創業企業での存続率は、創業5年で15%、10年では数%程度というデータがあります。
士業の開業では、資格試験に合格して知識もあり、独占業務等もあるので比較的続いている印象がありますが、ノウハウや人脈がないまま開業してしまうケースが多いので早々と廃業してしまう方も多いです。
士業全体では、6割程度が廃業しているといわれています。一般的な起業よりは存続率は高めですが、やはり残り続ける割合は半分にも満たないようです。
全産業のデータを参照すると、開業1年から5年の間に廃業する割合が高く、逆にそれ以上続くことができれば、その人はその後うまくやっているケースが多いようです。
独立開業した中小企業診断士も、同じように開業5年以内が続いていくかどうかの分かれ道と推察されます。
中小企業診断士の独立開業が失敗する原因
中小企業診断士の独立開業が失敗する原因は多くあります。
中小企業診断士の資格試験にも合格したし、知識も十分に持っていると思いがちですが、日々現場で経営をしている人にはなかなか敵わないというのが現実です。
それが分かっていないことによって、うまく顧客を開拓することができないことが多いようです。
ここでは、そのような中小企業診断士の独立開業の失敗する原因について、具体的に見ていきたいと思います。
実務経験が足りない
中小企業診断士の資格を持っていたとしても、社会人経験が浅く、開業ノウハウがない状態ではほとんどの場合失敗に終わります。
独立開業前には最低でも数年は経営コンサルタントとしての実務経験を積む必要があります。
若いうちに中小企業診断士を取得した方は社会人経験も少ないので、何かあった場合の応用力が不足しがちです。そのため、年配の人に比べてイレギュラーな事態に対しての対応が難しいのが現状です。
実務経験は週末などを利用したコンサルタント活動や士業の事務所に勤めることで得られます。また、他の独立診断士の方から積極的に仕事をいただくのも効果的です。
中小企業診断士の独立開業を目指す際には知識を増やそうとしがちですが、知識と同じくらい実際の現場での経験も重要です。
集客の計画が甘い
当然ながら、顧客を獲得できないと収入はありません。
中小企業診断士の独立開業するには、まず集客計画をしっかり立てることが大切になってきます。
自分の強みは何かを常に考えながら、この部分は誰にも負けないと言える部分を作ることが必要です。
ビジネスモデルをしっかり確立し、どうやって稼いでいくかを考えなければなりません。他の中小企業診断士の方からの紹介もありますが、それにばかり頼ってはいけません。自ら営業をして、顧客開拓していく。その延長線上に、他の人からの紹介をうまく活かしていく。そういったビジネスをやっていくべきです。
集客計画が甘いことは多くの場合独立開業が失敗する最も大きな要因ですので、開業前には様々な人の意見を取り入れつつ、綿密な計画を立てましょう。
人の話を聞かない
プライドが高く、人の話を聞かない人も失敗する原因になります。
人のアドバイスを聞き入れたり、従業員の意見を聞いたりしながら柔軟に対応していくことがうまくいく秘訣のようです。
同業者の人の意見交換や繋がりは、中小企業診断士の独立開業では大切になってきます。
また、すでに独立して成功されている診断士の方の意見は極めて貴重です。そういった方には自分から会いにいって、独立のノウハウを学びましょう。
問題が生じても自己完結する
先ほどの所でも書きましたが、プライドが高く、一人で何でもしようとしていると失敗する原因を作ってしまいます。
問題が生じた時は、従業員にも相談したり、人手が足りない時は、人を雇ってでも問題を解決していくようにすることが大切です。
また、同業者の人との繋がりも広げていくことで、思ってもみないところから、顧客を紹介されたりします。
中小企業診断士も人それぞれ得手不得手がありますので、交流を深めてお互いに助け合える関係を築いていくことが大切です。
問題が発生した時はパニックになり、自分では大丈夫のつもりでも冷静な判断ができていないことも多いです。普段から周囲の意見を取り入れる習慣をつけておくことは非常に重要なことです。
独立して失敗しないために気をつけること
ここまで中小企業診断士の独立開業で失敗する原因を紹介してきました。
それでは、以下では失敗しないようにするには実際にどういったことを意識すれば良いのかについて、具体的に見ていきます。
経験と実績を積む
実務経験がなければ成功する確率は極めて低いことは、上述の失敗する原因で示した通りです。
信頼と実績を作る為には行政や中小企業支援企業が公募するコーディネート業務を行うのも効果的です。
コーディネート業務に採用され、週に数回でも仕事をすれば、安定収入になりますし、実績の積み上げにもなります。
もちろん不採用になることもありますが、チャンスは一度きりではありませんし、別の業務をやってみないかと思わぬ方向から声がかかることもあります。
人との繋がりを大切にする
中小企業診断士の独立開業では、人との繋がりを大切することが成功への道です。
有効な人脈を形成するには独立開業している地域の中小企業診断士協会に入会し、勉強会や各種行事に積極的に参加することも大切です。
最初は雑事や先輩診断士から費用対効果の低い仕事が回ってくることも多いですが、任された仕事には全力で取り組みましょう。誠実な仕事ぶりを発揮することで信頼され、よりレベルの高い仕事を頂けるようにもなります。
そうやって、いろいろな所に顔を出して、仕事をしていく。人と繋がっていくことが、中小企業診断士の独立開業では大切になってきます。
休息も適度に取る
独立開業して自らが主体的に働くことになると、一生懸命仕事に夢中になるあまり頑張りすぎてしまいがちです。
不安定な収入の中で利益を上げる為、365日働き続けることは、体を壊すだけでなく、精神的にもまいってしまいます。
会社勤めでは土日が休日であるように、中小企業診断士の独立開業でも、気分転換の意味も含めてしっかりメリハリつけて仕事を進めることも大切です。
体調不良や精神疾患になってしまっては、それこそ仕事で大きな遅れを取ってしまいます。もちろん全力で努力することも大切ですが、体調管理も仕事のうちだということを忘れないようにしましょう。
宣伝を躊躇しない
中小企業診断士の独立開業は待っていても顧客獲得はできません。宣伝活動は躊躇することなく積極的に行いましょう。
名刺配りや、潜在顧客へのDM、広告など集客のためにやれることは無数にあります。常に顧客を獲得し続ける努力を怠らないようにしましょう。
独立に失敗して再就職する場合も多い
もちろん独立しても必ずしも上手くいくとは限りません。独立前には失敗した時のこともしっかりと考えておきましょう。
独立に失敗してしまうのは残念なことではありますが、再就職することも悪い道ではありません。
独立時の経験が転職時にプラスに働くことも多いです。リスクを恐れずチャレンジした人を軽視する人はほとんどいません。
年齢を重ねた場合はそれがネックとなることも考えられますが、実務経験を積んだ診断士の方であれば、転職先が全く見つからない可能性は低いと言えるでしょう。
失敗して廃業した時の再就職先
独立した中小企業診断士の再就職先としては、一般的に以下の3つが挙げられます。
- コンサルティング会社を中心とした一般企業
- 士業の事務所
- 公的機関
それぞれについてより詳しくみていきましょう。
コンサルティング会社などの一般企業
近年では中小企業診断士を推奨資格としているところが増えています。
特にコンサルティング会社は、コンサルタントのスペシャリストを求めていますので、診断士の資格や独立開業時の経営視点や分析能力は転職する時には大変有利に働きます。
士業の事務所
士業関連の会社も、中小企業診断士の資格を活かして活躍できる仕事があります。
幅広く顧客のニーズに応えていく為にも、それぞれ専門分野でカバーできないところを、多角的な視点を持った中小企業診断士に求めているケースもあります。
士業に強い転職サイトも存在する
リクルートエージェントのような日本最大級の転職エージェントを活用すれば、中小企業診断士の資格を推奨する求人を豊富に見つけることが可能です。
年収1000万以上のコンサルティング会社の求人や、税理士事務所などの士業事務所からの求人もたくさん探すことができるので、一度はチェックしておくと良いでしょう。
転職支援実績No.1の信頼できるエージェントなので、ぜひ一度無料相談をしてみて、中小企業診断士の資格を生かしたキャリアを模索してみてはいかがでしょうか。
独立で失敗しないためのポイントまとめ
独立で失敗しないためのポイント
- まずは実務経験を積み、独立のノウハウを学ぶ
- 集客の計画は慎重に立てる
- 人との繋がりを重視し、人の意見を取り入れる
- 失敗した場合の転職先を考慮しておく
中小企業診断士が独立して失敗しない為のポイントについて解説しました!
実務経験や集客計画の甘さ等、失敗は様々な要因によって引き起こされます。
どれか一つでも欠けていては成功は難しいです。周囲の人たちの助けを借りつつ、入念な計画の上で独立するようにしましょう。
今回の記事が独立を目指される診断士の方の一助となれば幸いです。