中小企業診断士の資格は転職に役立つ?転職先や資格取得後の年収は?
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中小企業診断士
平井東
「中小企業診断士の資格って転職に役立つの?」
「具体的にどんな転職先があるの?」
このように中小企業診断士の転職事情について気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、中小企業診断士の資格が転職や就職に役立つかについて、主な転職先や年収なども交えて分かりやすく解説してます!
この記事を読んで、中小企業診断士の資格と転職についての疑問を解消しましょう!
中小企業診断士の資格と転職についてざっくり説明すると
- 中小企業診断士の資格は転職や就職に有利になる
- コンサルティング業界、それ以外の業界での転職に資格が役立つ
- 転職先の年収水準は高い
- 40代や50代でも比較的転職しやすい
- 今後も求人状況は良好だと予想される
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中小企業診断士の資格は転職に有利か
中小企業診断士は経営コンサルタントとして唯一の国家資格であり、コンサルティング業界をはじめ、多くの職種・業界への転職、就職に有利になります。
中小企業診断士は、中小企業の経営の診断や問題解決に向けてのアドバイスなどを行いますが、日本の企業の99%以上は中小企業といわれていることからも、中小企業診断士へのニーズは高さは予想できますね。
中小企業診断士試験の勉強によって、経済学、財務・会計、経営理論、運営管理(サプライチェーンマネジメント)、法務、情報システムなど、ビジネスに役立つ実践的な知識を広く身につけることができます。
様々な職種で転職に有利になる!
中小企業診断士には税理士や社労士のような独占業務がありません。 言い換えると、職種の分野が限定されないので、幅広いジャンルの産業に参入することが可能だということです。
中小企業診断士は資格取得から得た知識や思考力は、経営、人事、IT、財務、物流、店舗管理など、様々な職種で評価されるので転職の際も非常に有利になります。
資格を所持しているということで、経営に関する知識があり、思考力や問題解決力を含めたコンサルタントとしての資質を兼ね備えているという証明にもなります。
また、中小企業診断士試験の難易度は高く、最低でも1年間ほどは勉強しなくてはなりません。
試験の合格率は1次試験と2次試験が共に20%前後であり、一発合格できるのは全体のわずか4%程度となっています。
こうした非常に難関の中小企業診断士試験を突破したことそのものが、能力の高さや継続して努力できる証として転職の際に高く評価されます。
地方での転職にも強い
中小企業診断士は、地方で転職において非常に有利になります。 地方では60代以上の中小企業診断士が多く、40代までの若手の中小企業診断士は少ない状況にあるので、若手の中小企業診断士は需要が高いのです。
地方では中小企業診断士の母数も少なく、人や仕事が密集する都市部での激しい競争をする必要がありませんので、地方の転職競争に苦労することは多くないです。また、公的機関からも仕事がもらえるので、地方で仕事に困るということはありません。
地方で就職して、コンサルティング業務などの様々な経験を積んでおくと、都心部への転職や将来的な独立など、新たなステップへの道も開けます。
人脈を生かした転職も
中小企業診断士の最大のメリットともいえるのが、その界隈で多くの職種・業界の人と人脈が築けることです。相談業務を通じて幅広いジャンルの人たちとのネットワークを形成することができます。
中小企業診断士の求人をハローワークや転職サイトで探しても、満足のいく情報が得られないことがあります。そんなとき、自身の幅広い人脈が転職への助けになります。
実務補習、研究会、交流会などで知り合った人を通じて、新たな転職先と巡り合うことができた、というような、人脈を活かした転職がこれまでにも数多く実現しています。
女性の中小企業診断士も転職で活躍
中小企業診断士は男女関係なく仕事をすることができるので、幅広い業界や職種への転職に有利になることは女性にも当てはまります。
たとえば、化粧品販売店、美容院、エステなど、女性の利用率が高い事業の戦略立案や経営改善をの際は、女性の中小企業診断士からのほうがより的確なアドバイスがもらえると考える企業は多いです。
女性ならでは視点を持った中小企業診断士の需要は高いので、転職の際は自身の強みを活かせる業種を選択するのも良いでしょう。
中小企業診断士の転職先
中小企業診断士が転職を考えるとき、どのような転職先があるのでしょうか?
中小企業診断士の資格を持っている人のうち、コンサルティング会社勤務や独立開業により経営コンサルタントとして働いている人は約半数であり、残りの半数はコンサルティング会社以外の一般企業に勤務しています。
この事実をみても分かるように、コンサルティング業界での転職において非常に有利になりますが、コンサルティング業界以外でも、幅広い業種や職種での就職、転職先で資格を生かすことができます。
ここからは、中小企業診断士の転職先についてみていきます。
コンサルティング業界
中小企業診断士は経営コンサルタントとして必要な知識や考え方を身につけているので、当然コンサルティング業界での転職において非常に有利になります。
ひと口にコンサルティング業界といっても、大手から中小企業まで企業の規模も様々ですし、戦略系コンサル、組織人事コンサル、財務コンサルなど、ジャンルの範囲も幅広いです。
特に外資系の大手コンサル会社の場合は選考の際の実力も重視されます。資格取得を通じて学んだ「頭の使い方」はこの時にも役立つはずです。
また、この業界では資格以外にも前職の知識や経験が転職に生きることも多いです。
以前の職場での経験が転職先でどのように活かせるのかを事前に考察しておき、転職の場でしっかりとアピールできるようにしておきましょう。
士業の事務所
中小企業診断士は会計事務所や税理士事務所への転職にも有利です。
財務会計や税務は経営と関連性があり、クライアントから税務相談に加えて経営に関する相談を持ちかけられるケースも少なくありません。
こうした顧客のニーズにこたえるため、会計事務所や税理士事務所では、中小企業診断士の需要が高まっており、求人にも推奨資格として診断士の資格をあげていることが多いです。
また将来的に独立を考えている方であれば、士業の事務所で実務経験を積みつつ、事業の運営のノウハウも一緒に学ぶことができます。
公的な中小企業支援機関
中小企業診断士の転職先の一つに公的な中小企業支援機関があります。
具体的には、中小企業支援3団体(商工会議所・商工会・都道府県等中小企業支援センター、中小企業団体中央会など)、地方経済産業局などの求人があります。
国、都道府県、地域、それぞれの立場から中小企業を支援していく中で、公的機関だからこそ果たせる役割もあり、やりがいを感じることもあるでしょう。
ただ、公的機関の数が非常に少ないので、公的機関へ就職や転職を希望していても、中小企業診断士の求人募集は限定的でとても少ないです。求人を探す際は覚えておきましょう。
一般企業
一般企業でも中小企業診断士の資格は転職に十分有利に働きます。
企業の総務部門や管理部門等の間接部門でも中小企業診断士の資格を役立てることができる機会は多く、経営目線の考え方ができる人材として創業融資やプロダクトマネージャーといった中枢に関わる仕事を任せてもらえやすいです。
中小企業診断士は母数が少ないため、この資格を推奨資格として募集要項にわざわざ書く企業は多くありませんが、資格を持っていれば間違いなく優秀な人材として歓迎されます。
ほとんど全ての業種で通用する資格なので、転職活動の際は自信を持ってアピールしていきましょう。
中小企業診断士の転職先の年収
一般に中小企業診断士の年収相場はかなり高く、独立開業している方を含めると平均年収は700~800万円だと言われています。
中小企業診断士の主な転職先であるコンサルティング会社は高年収のところが多く、企業勤務でありながら年収1000万を目指すことも可能です。
その他の一般企業で働く場合も高い年収の企業に転職できるチャンスは大きいです。ただし、経験がない場合はいきなり高給与で働けるというわけではなく、資格を生かして社内で活躍することで徐々に昇給していく形になります。
中小企業診断士の年収についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
中小企業診断士の求人状況
「中小企業診断士の資格をとったはいいものの、なかなか良い求人を見つけられない・・・」
そんな悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに実際に大手求人サイトで「中小企業診断士」で検索してみても、給与水準の高い求人を探すのには苦労します。
中小企業診断士はその実用性とは裏腹に、実際の専門性がどのようなものなのかに対する認識は浸透しておらず、残念なことに「なんとなく凄い資格」程度の認識しかしてくれない企業も多いのです。
こうした企業に転職をしようとしても、せっかく手に入れた資格を正当に評価されることなく肩を落とす結果となってしまう恐れがあります。
転職先を探す際はその企業が中小企業診断士の専門性を正しく理解してくれているかが非常に大切になってきます。
中小企業診断士の求人はどこで探す?
中小企業診断士の専門性を理解してくれる企業を探すのであれば、10万件以上の非公開求人を保有しており、「転職支援実績No.1」の実績を誇るリクルートエージェントを利用するのが1番です。
リクルートエージェントでは専門コンサルタントが手厚い転職サポートをしてくれるので、専門性の高い中小企業診断士の転職にはピッタリです。
無料の転職相談をすることでコンサルティング会社や士業の事務所、年収1000万を超える管理職の求人など、中小企業診断士向けの極めてレベルの高い求人を数多く確認することができます。
この機会にぜひ一度チェックしてみましょう!
40代や50代でも求人はあるのか
「中小企業診断士の資格を持っていても、今の年代だと求人を見つけられないかもしれない」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし以下の表をみて分かるように、中小企業診断士の取得者の約半数が40代以上です。(データは令和3年度試験のものです)
診断士試験合格者の年代 | 割合 |
---|---|
20歳未満 | 0.1% |
20代 | 17.7% |
30代 | 42.9% |
40代 | 26.0% |
50代以上 | 13.2% |
中小企業診断士の年齢層が高いということは採用側も承知している当たり前の事実ですので、中小企業診断士の資格を生かした転職を考えているのであれば年齢が多少高くてもあまり気にする必要はありません。
むしろ、資格に加えて豊富な実務経験を保有していることが高く評価されるケースの方が多いでしょう。
一方で20代のうちに資格を取得している場合は、希少価値が高いので当然転職において非常に大きなアドバンテージになります。
中小企業診断士の求人の今後
10~20年後には今の仕事のほとんどがAIに仕事を代替されてしまうと言われています。
特に税理士や公認会計士といった士業系の資格はAIによる代替可能性が80%を超えており、士業の存続が危ぶまれているのが現状です。
そんな中、同じ士業である中小企業診断士のAI代替可能性はなんと1%未満です。これは中小企業診断士の専門が事務的な作業中心ではなく、人とのコミュニケーションを通じた対人的なものであるからです。
将来的にもなくならない士業系資格として、今後も転職市場において存在感を発揮し続けることが期待されます。
転職を成功させるための準備
転職を成功させるためには適切な自己分析が必要です。これまでの経験、自分の性格、特徴、適性など、自分自身をよく知り、これから何をしたいのかなどを客観的に分析することが転職を成功させるカギとなります。
また、転職先の会社を知ることも大切です。会社ホームページに掲載されている会社の沿革や年表などから、会社の強み、時代の流れに伴う環境変化への対応など、会社が歩んできた軌跡をチェックしておきましょう。
その企業が今後の発展のためにどのような人材を求めているのかを推測しておき、自身が求める人材として適していることをアピールする準備をしておくのが重要です。
志望業界の市場動向をチェックすることも大事です。 転職したい会社の他に競合他社の情報収集を行うことは、市場動向を把握することにもつながります。説明会や面接等を通じて、直接企業へ足を運ぶことも一つの方法です。
中小企業診断士に向いている人
中小企業診断士としての転職を考えている場合、中小企業診断士になりたい理由を考えたうえで、資格取得を検討されてみても良いかと思います。
他の仕事でも同じことがいえますが、中小企業診断士の仕事にも向く向かないがあります。どんな人が中小企業診断士に向いているのでしょうか?
コミュニケーション能力が高い人
中小企業診断士は仕事柄、幅広い業界と職種の人と一緒に仕事をするので、コミュニケーション力が必要不可欠です。
さまざまな考え方や価値観を持つ人と接するので、企業勤務や独立開業に関わらず、相手の立場でニーズを汲み取り、柔軟に対応していく力が大切になってきます。
好奇心旺盛で前向きな人
中小企業診断士の仕事では、幅広い知識をあらゆる現場で活かすことができるので、ビジネスチャンスは様々なところにあります。未知の分野に対しても興味を持って吸収しようとする姿勢がプラスになります。
中小企業診断士の場合は、決められた作業をただこなすというよりは、自ら課題に対する解決策を提案したり、積極的に働きかけができる人に向いている仕事だといえます。
冷静で客観的に物事を考えられる人
経営に携わる仕事をしていると、予測していなかったことが急に起きたり、社会情勢の変化にも対応していかなければなりません。中小企業診断士には冷静さが必要です。
問題に対してあらゆる視点から分析し、原因と対策、状況によっては予防策を打ち出していかなければなりません。知識だけではなく、課題に向き合うための客観性も大切です。
中小企業診断士の資格取得後のメリット
中小企業診断士の資格を取得すると、経営に関する幅広い知識や思考力が身についたり、さまざまな分野への転職のチャンスが広がるということが分かりました。
転職や就職以外にも、中小企業診断士の資格がもたらしてくれるメリットはまだまだたくさんあります。
ここでは中小企業診断士のメリットを、転職以外の観点から見ていきましょう。
会社内での昇格が見込める
中小企業診断士は経営に関する知識を幅広く生かすことができる資格なので、企業内では任せられる業務の幅が増えます。その結果会社内でのポジションが上がったり、昇格や昇進にも繋がります。
また、管理職になるための優遇条件として、中小企業診断士の資格取得をあげている会社もあります。知識、判断力、問題解決力があるということが資格によっても証明され、会社内でプラスにはたらきます。
新たな収入につながる
中小企業診断士の資格は、社内外において、新たな収入にもつながります。資格手当やお祝い金を支給している会社も少なくないので、直接的に収入が増加することも多いです。
副業ができる会社であれば、さらなる収入アップが見込めます。中小企業診断士の副業には、コンサルティング業務、資格予備校の仕事、執筆、財務・会計の一部の補助など、さまざまな種類の仕事があります。
中小企業診断士の副業についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
将来の選択肢が増える
中小企業診断士の資格を取得することで、将来的に独立開業するという選択肢を得ることができます。
独立した中小企業診断士の主な業務である「経営コンサルティング」は報酬単価が非常に高く、複数の企業と顧問契約を結べば安定して高収入を得ることができます。
また、中小企業診断士には独占業務がありませんが、中小企業診断士が実質上、独占的に行うことができる「公的診断」という業務もあります。
公共機関から経営診断依頼があると、業務を担当するのは中小企業診断士になります。コンサルティング業務に加えて公的業務に関わることができれば、より安定した収入を得られるでしょう。
新たな人脈形成に
中小企業診断士の世界に足を踏み入れると、中小企業診断士の資格を持った人たち、会計士や税理士などの他資格がある人など、あらゆる業界や職種の人と幅広いネットワークを構築することができます。
勉強会、交流会、2次試験に合格した後の実務補習などで出会った人たちと、一緒の時間を過ごすことで人脈ができ、仕事にも良い影響をもたらしてくれるでしょう。
中小企業診断士を取得するなら
転職に有利になること以外にも様々なメリットがある中小企業診断士の資格ですが、取得するのは簡単ではありません。
中小企業診断士試験を受験する場合は独学よりも通信講座の受講を強くおすすめします。中小企業診断士試験は難易度が非常に高いので、独学だと何年も試験勉強に費やした挙句、結局合格を諦め挫折してしまう可能性が高いからです。
中小企業診断士のおすすめ通信講座については以下の記事で紹介しているので、資格取得を目指される方は是非ご確認ください。
中小企業診断士の資格と転職まとめ
中小企業診断士の転職まとめ
- 中小企業診断士の資格は、コンサルティング業界をはじめとしたさまざまな業界や業種での転職や就職に有利になる
- 求人は年代や性別に関係なく見つけられる
- 中小企業診断士向けの高年収の求人も存在する
- 転職における市場価値は将来的にも高い
- 資格取得のメリットは転職以外にも多く存在する
中小企業診断士の資格と転職について説明しました!
皆さんも今注目を集めている中小企業診断士の資格を取得して、新たなステップに挑戦してみませんか?