社労士の資格は転職に有利?企業のニーズや求人状況を徹底調査!
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社労士
のんびり社労士いけい
「社労士資格に興味があるけど、資格を生かした転職って上手くいくの?」
社労士(社会保険労務士)の資格の取得を検討されている方、あるいは既に社労士として活躍されている方の中には、このように社労士の転職の機会について不安を感じている方もいらっしゃると思います。
社労士は働く環境が目まぐるしく変化していく今の時代において、ますます必要とされていく資格であることは間違いありません。
この記事では、「社労士資格が転職の場においてどのように生きるのか」「具体的な転職先にはどのような所があるのか」「求人はどこで探すのか」など、社労士の転職の実態を完全公開していきます。
社労士の転職事情についてざっくり説明すると
- 社労士の資格を生かせる求人は豊富に存在
- 社労士としての実務経験があると更に転職に有利
- 社労士の転職に年齢制限はない
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社労士の資格は転職に強いのか
結論から言えば、多くの場合社労士の資格は転職に大きく貢献します。人事や労務の専門的な知識を保有していることが評価されることもあれば、難関である社労士試験を突破したことそのものが高く評価されることもあります。
一方で、転職者を受け入れる採用側は、即戦力となるような実務経験のある人材を求めているのも事実です。
社労士資格に企業の人事部や総務部、社労士事務所等での実務経験が加われば、転職市場において極めて重宝されます。
反対に、実務経験が全くない状態であれば、社労士資格だけで転職が成功するケースは減っていきます。
大企業への転職
社労士の資格は大企業への転職にもつながります。
人事・総務、経理、健康保険組合関係で5年以上の経験がある場合は、転職市場において非常に有利になります。
大企業は従業員の人数も多く、さまざまな雇用形態の人が働いているので、仕事として行うべき手続きの量も多くなります。
頻繁な法改正にも迅速に対応する必要がありますが、逆にそれを生かしてスキルアップすることもできるでしょう。
社労士資格が生きる転職先の部署
大企業では中枢ともいわれる以下の3つの重要な部署があります。
- 人事課
- 経理課(賃金計算)
- グループ企業の健康保険組合あるいは福利厚生課
高齢化が進むことで、社会保険、年金関係、雇用保険関係の法改正が度々行われるとすれば、上記のような企業の関係部署もシステムに対応していく必要があります。
法改正情報に詳しい社労士は、企業にとっても頼りになる存在です。高齢化の進行とともに、社労士の求人数も緩やかに増加していくでしょう。
社労士会への登録は必要?
企業へ転職する場合、社労士会に登録はしなくても勤務できます。
しかし、社労士会へ登録するほうが有利になる場合がほとんどです。 社労士としての価値をより高く評価される可能性があるからですが、その理由として主に以下の2つが挙げられます。
- 社労士会を通じて最新の法律情報が入手できる
- 他の社労士たちとの人脈、ネットワークが広がる
こういった理由から求人などの転職市場においても、自身の価値が高まるといえます。
社労士登録をするには2年間の実務経験か、事務指定講習の受講が条件になっていますが、事務指定講習の受講には半年ほどかかりますので、転職する前に必要な実務経験を積んでおくことができれば最善です。
社労士資格を生かした転職先
社労士資格を生かせる職種がいくつかあります。社労士の資格を生かした仕事とひと口にいっても、会社や事務所の特徴により、実際に行う業務はさまざまです。
税理士事務所
税理士は税金関係、社労士は社会保険関係が専門ですが、社労士が税理士事務所にいることで、取り扱うことができる業務の幅が広がります。
社労士の独占業務として、賃金計算作成業務や休暇手当の手続き業務があります。
一方で税理士は賃金計算や休暇手当の書類作成、届け出代行は可能ではあるものの、社労士がその業務を行う場合とは異なり報酬をもらうことはできません。便利な給与計算ソフトが普及する中ですが、各種手当の根拠や制度に精通している社労士が行うべき仕事であるからです。
税理士としては、クライアントの相談に無償で対応するより社労士を雇って報酬をもらうほうがお得になります。このように税理士事務所での社労士のニーズは高く、人事・総務、賃金計算、健康保険組合での業務経験を活かすことができます。
コンサルティング会社
社労士はコンサルティング会社でも実力を発揮できるチャンスがあります。社労士は社会保険関係の他に、労働問題全般のコンサルティングを行うことができます。
コンサルティング会社としては社労士が企業内にいることで、 経営コンサルティングから人事・労務コンサルティングへと幅を広げることができます。
人事の専門家である社労士はコンサルティング会社では重宝されるため、新卒や未経験で採用されることもあります。
ただし、上述の通り実際には即戦力として活躍できる人材が求められているケースも多いので、自分よりも実務経験のある社労士の方が同時に応募してきた場合は厳しい戦いになるでしょう。
コンサルティング会社は給料の高さとやりがいも大きな魅力であり、転職先として大人気の職種の一つとなっています。
アウトソーシング会社
アウトソーシング会社は給与計算や社会保険事務を請け負っており、事務代行的業務を行なっています。社労士の仕事の中にはこれらの事務作業も含まれているので、アウトソーシング会社への転職でも社労士の資格は生きます。
社会保険事務、労働保険事務、給与計算等の業務が中心で、労務関係の相談というよりは事務の仕事が多く、コツコツとした事務作業が得意な人には向いているといえるでしょう。
社労士事務所
社労士事務所の求人は、当然社労士資格の重要度が非常に大きくなってきます。通常の社労士業務だけでなく、顧客の獲得やコミュニケーションも重要で、営業力やコミュニケーション能力も求められるようになってきます。
大手の社労士事務所では、3号業務である人事・労務コンサルティング業務に力を入れており、報酬相場も高いです。
社労士事務所の給与水準は他の一般企業と比べると少し低い傾向がありますが、社労士事務所で経営を学んだり、経験年数を積むことで、将来的に独立開業する道も見えやすくなります。
社労士転職を成功させるポイント
ここでは、転職を成功させるために必ず知っておきたい4つのポイントをそれぞれ詳しく解説していきます。
実務経験は最重要ポイント
転職の場合は、会社に途中から入るわけなので、即戦力であることが求められています。
よって前職での実務経験は、その会社で途中から働くのにふさわしいかを見極める要素として非常に重要なものなのです。
その経験を今後入る会社でどう生かせるかを、魅力的に伝えられるようにしておく必要があります。
他業種の経験をアピールする
上述の通り社労士資格単体でも転職には有利になりますが、それに加えて他業種の経験も持ち合わせていると、他の有資格者との差別化を測ることができます。
複合的な知識をもつ頼れる存在として、多くの企業から求められる人材となるはずです。
具体例として、銀行出身者や会計実務経験者が一般企業の総務部や人事部に転職する際は、社労士資格に加えて金融や税務など前職で身につけた専門知識や経験も持ち合わせている点で歓迎されることが多いようです。
税務知識や金融知識以外にも、国税・労基、専門商社、人事コンサルなど、社労士資格に「プラスα」があると、採用側へのアピール材料にもなりますし、転職にも大いに役立つといえるでしょう。
差別化できるスキルを身につける
社労士転職においては、資格の保持は大前提なのでそこから他の人と差別化するためのスキルが必要になります。
このスキルによって、特定の業種での転職で有利に立てるので、この有無は非常に大切な要素です。
例えば英語力が高い場合は、国際的な取引が盛んな企業への転職が有利でしょう。
他にも営業力や、マーケティング能力など差別化できる箇所はたくさんあるので、それぞれに合った部分を強みとして伸ばしていくことが非常に大切です。
ダブルライセンスで転職の幅が広がる
社労士はダブルライセンスとして、他にも資格を取得することでより専門的・多面的なアドバイスを顧客に提供できます。
これによって、社労士の独占業務でない3号業務のコンサルティング業務の強化を推進でき、より付加価値の高いアドバイスを顧客に提供できるようになります。
この結果として、転職市場での需要も高まり成功する確率も上がるでしょう。
社労士のおすすめダブルライセンス先を詳しく紹介した記事もあるので、そちらも併せてご覧ください。
失敗する人の特徴を押さえよう
上では社労士転職成功のポイントについて詳しく解説してきましたが、その反対の失敗する人の特徴もしっかり存在します。
ここではそのような人に当てはまる特徴について詳しく解説していきます。
職場の雰囲気になじめなかった
これは転職全般に言えることですが、職場の雰囲気になじめなかった人が転職に失敗してしまうケースが多いです。
当然面接の段階で職場の詳しい雰囲気まではつかむことができないので、事前に自分に合っているかの情報を仕入れるのが難しい側面もあります。
しかし、最善の策というものも存在し、実際に勤務地に足を運んで職場の雰囲気を詳しく観察したり、他の人から話を聞くなどしてある程度の雰囲気を知ることは可能です。
この努力は多くの人にとって可能なものなので、転職の際にはめんどくさがらずに必ず行うようにしましょう。
資格に頼りすぎてしまった
難関の社労士試験を突破してしまったことに安心しきって、転職活動のアピールを資格のみに頼りすぎてしまうパターンも転職の失敗あるあるとして挙げられます。
社労士の転職活動は、社労士の資格を持っていることが基本で、それプラスアルファの能力が求められる世界なので、基本的には資格だけでは不十分であるといわざるを得ません。
よって、転職の際には必ず資格にプラスしたスキルを必ず用意するように心がけるようにしましょう。
PCスキルに乏しかった
社労士の仕事においては、Excelを中心に一定のPCスキルが必要とされます。そのため、自分には関係ないと思ってPCに全く触れていないと、それが原因となって社労士の仕事が続かなくなる可能性があります。実際にそのようなケースはよく見られています。
そのため、最低限度のPCスキルの習得も、転職の際には嫌がらずに行うようにしましょう。
社労士の求人状況
「社労士資格を取ったからには専門性の高い仕事がしたい」 と思うのは自然なことです。しかしながら、資格があるからといって求人が次々に舞い込んでくるというわけではありません。
社会保険労務士などの資格限定の求人は、一般企業での応募と比べると少ないので、大手転職サイトでの募集はあまり見かけません。
また、大手の転職サイトでは社労士の専門性を理解している人も少なく、残念ながら自分の社労士としてのスキルを正しく評価してくれるとは限らないでしょう。
また、「ハローワーク求人検索」では、公共職業安定所における幅広い情報が閲覧可能ですが、ハイレベルな求人がそこで見つかる可能性は低いです。
社労士の求人はどこで探せばいい?
基本的には転職サイトを利用して求人を探すことになります。
しかしすでに述べたように、普通の転職サイトでは社労士の求人数が少なかったり、そもそも保有資格別で求人を探すことができなかったりするので良質な求人にはなかなか巡り合えません。
社労士資格を生かした転職を希望する場合は 国内最大規模の転職エージェントであるリクルートエージェントを利用するのが1番おすすめです。
リクルートエージェントは、「転職支援実績No.1」「非公開求人数10万件以上」という非常に高い実績と圧倒的な求人数を兼ね備えているので、社労士の転職にはぴったりです。
他にもdodaなど転職サイトは数多く存在しますが、やはり候補となる求人数が多いリクルートエージェントなら安心感も随一と言えるでしょう。
無料の転職相談をすることで年収1000万を超える社労士求人や社労士としての実務経験を問わない求人も調査・交渉していただけるので、この機会にぜひ相談してみることをおすすめします!
社労士の求人の地域差は?
社労士の求人は、企業の集まる都市部になるほど多くなります。また、都市部では大企業や大手コンサル会社からの求人も見つけやすいので、高収入を目指すのであれば都市部の求人から積極的に探すと良いでしょう。
ただ大都市に仕事が集中しているということは、ライバルも増えて競争が激化するともいえます。
地方都市に行けば求人数も少なくなりますが、競合相手も少なく幅広い仕事を経験できるというメリットもあります。
地方では車の運転が必要になったり、都市部にはないスキルを身につけることも必要になってきます。
社労士業務未経験者の求人は?
実務経験がなくても、社労士の有資格者ということだけで求人を見つけることは可能です。ただし、豊富な実務経験をもつ社労士と比べると給料面では多少遅れをとる形にはなります。
また、社労士としては未経験でも他業種での経験があれば、他の有資格者とは違う自分にしかない強みとして、前向きにアピールしていくことができます。
いったん実務に携わることができれば、立派な経験になります。まずは経験を積んで次のステップに生かしていくことが大切です。
社労士の転職に年齢制限はあるの?
社労士の仕事は年齢に関係なく行うことができるので、年齢が高いからという理由で採用を敬遠されることはまずありません。むしろ長年の経験を生かした総合的なアドバイスができる存在として、転職市場での価値は高まります。
また、社労士は一度取得すれば失効することなく一生使える国家資格です。資格の価値は国が保証しているため、時間が経過することでその価値が下がるということはありません。
ただし稀に、採用する側の事情によっては年齢が若い方の採用に積極的になるケースがあります。
たとえば、一緒に働く社員間の世代構成のバランス、体力やフットワークの軽さを重視する企業の場合は、若いほど採用されやすくなります。
年代ごとの詳しい転職事情
20代は伸びしろが評価されやすい
20代の転職市場は、若さが武器となることが多く、伸びしろも含めて総合的に評価してもらいやすいといえるでしょう。
経験を積んでないがゆえに思考の柔軟性や、ハードワークもいとわない姿勢が期待されて、このような評価につながることが多いです。
また、社労士の合格者の9割以上が30代以上の人となっており、そもそも20代の若い人材が貴重という背景も、20代の評価を上げる大きな要因であるといえるでしょう。
30代は徐々に経験も重要に
30代の転職は、実務経験も徐々に重要になってきます。
特に、30代の半ばに差し掛かったあたりから評価に対する実務経験の割合が高まり、未経験者の人が背負うハンデも徐々に大きくなります。
よって、前職での経験をブラッシュアップして転職先で生かせるものがないか転職時によく考える必要があるでしょう。
40代は専門スキルの有無が大きな分かれ目
40代はほかの業界同様、転職活動が比較的難航しやすいです。
このころから実務経験がないと、転職活動の土俵に立てないことも多いことから、経験の差が大きくものをいう戦いになってくるでしょう。
前職での専門的な知識やスキルをいかにアピールできるかが、成功の分かれ目になります。
社労士の転職市場における男女差は?
社労士は士業の中でも女性の割合が非常に大きく、男女関係なく多くの活躍の場が用意されています。
また、女性社労士の採用に積極的な企業も珍しくありません。
たとえば、コツコツした作業が得意で書類作成が丁寧であったり、人事や労働問題の内容によっては、女性のほうが得意である場合もあります。
人事の専門家として女性ならではの柔らかさやきめ細やかさが求められることも多い仕事なので、女性社労士のニーズは高く、転職にもプラスに働くことが多いです。
独立開業と転職を比較
社労士の魅力の一つが独立開業です。自分の裁量で仕事ができるので、働く時間も自由に使えます。また、努力した分だけ収入が上がるのは非常に魅力的です。
開業しても最初のうちは安定した収入が確保できないというリスクがあるので、転職よりも独立開業の方が良いとは一概にはいえません。しかし事実として、社労士資格の取得者のうち半数以上が資格取得後に独立しています。
とはいえ、十分な経験やノウハウがないまま独立しても上手くいく可能性は低いです。将来独立を視野に入れている方は、一般企業よりも社労士事務所に転職して開業のノウハウを学ぶのが良いでしょう。
社労士の開業については以下の記事でも解説しています。
これから社労士資格の取得を目指す方へ
専門性と安定性から考えても、社労士資格は将来的なキャリアプランを形成する上で大いに役立つことは間違いありません。
社会保険労務士の場合、実務と資格の両方があってこそ、仕事として生きてくるといえます。転職など、資格を取得した先にあるものをイメージできれば、試験勉強のモチベーションにもなることでしょう。
社労士はどんな仕事をしているのか
社労士の仕事とは、企業の「人」に関する専門家です。労働者の権利や安心を、あらゆる側面からサポートしています。
社労士の仕事として、以下があげられます。
- 1号業務:労働保険や社会保険の手続きなど、書類の手続き代行
- 2号業務:就業規則、労働者名簿、賃金台帳など、帳簿書類の作成
- 3号業務:人事、労務に関する相談と指導など、コンサルティング業務があげられます。
1号・2号は社会保険労務士の独占業務ですが、3号については社労士資格がなくても行うことができます。
労務関係の仕事
一言で言うと、企業や従業員をサポートする仕事です。
具体的には、企業の労働保険や社会保険を管理し、従業員の毎月の給料から保険料を天引きする計算を行います。
従業員がケガや病気をしたときに行政に手当支給の申請を行ったり、退職時に離職票を発行するのも、労務関係の仕事の一つです。
給与計算
毎月1回、従業員に支払われる給料を計算します。 労働時間の集計、給与から控除する社会保険料、所得税、住民税の計算、給与明細書の作成など行います。
給与計算の他に、賞与計算、退職金、年末調整に関する仕事もあります。事務処理が細かいということが、特徴の一つとして挙げられます。
社労士の資格を取得するなら
保有しておくと転職に有利になる社労士資格ですが、もちろん取得は簡単ではありません。資格を手に入れるには難関と言われる社労士試験に合格する必要があります。
社労士試験の受験をお考えの方は通信講座の受講をおすすめしています。もちろん独学で合格される方もいらっしゃいますが、その割合は2割程度と非常に低く、合格までにかかる年数も長くなってしまいます。
社労士のおすすめ通信講座については以下の記事で紹介していますので、社労士資格を目指されている方はぜひご覧ください。
社労士の転職まとめ
社労士資格で転職は有利になるかまとめ
- 資格と実務経験の両方があると転職にとても有利
- 社労士の資格を生かせる職種や求人はさまざま
- 年齢制限はなく未経験でも転職のチャンスがある
社労士資格について、あらゆる側面から解説してきました。
以上で解説してきたように社労士は様々な業種から人気で、転職・就職共にニーズの高いおいしい資格です。
皆さんもぜひこの機会に社労士の資格取得を目指してみませんか?