公認会計士と中小企業診断士の違いは?難易度や年収・取得メリットを徹底比較!

この記事は専門家に監修されています

中小企業診断士

平井東

「公認会計士と中小企業診断士ってどっちが難しいんだろう…」

「ダブルライセンスのメリットってどれくらいあるのかな?」

そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

中小企業診断士とは、経営のプロフェッショナルでありその企業の課題点などを見つけて専門的に支援していく専門職です。

一方、公認会計士は監査業務の側面から企業をバックアップする専門職です。どちらも企業にとっては必要不可欠な職種であることに変わりはありません。

この記事ではそんな中小企業診断士と公認会計士の難易度や収入・取得メリットを徹底比較します!

今後、中小企業診断士と公認会計士の難易度を比較した上で取得を検討したい方それぞれの職種の年収や取得後のメリットについて知りたい方は必見です!

中小企業診断士と公認会計士についてざっくり説明すると

  • 合格率は中小企業診断士の方が低いが、受験者層の違いから実際には公認会計士の方が取得難易度が高い
  • 平均年収が高く独占業務が存在する公認会計士の方がメリットが大きい
  • ダブルライセンスをすることで極めて専門性の高い人材になれる

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中小企業診断士と公認会計士の試験難易度比較

パソコン

難易度はどっちが高い?

中小企業診断士の資格は1次試験及び2次試験ともに合格率は20%前後です。全体の合格率は4%前後です。一方、公認会計士の合格率は11%前後となっています。

これらの数字は、数多くある国家資格の中でも中小企業診断士、公認会計士ともに難易度がかなり高い資格であることを示しています。

公認会計士の方が全体の合格率は高いものの、中小企業診断士と公認会計士には受験者層の違いあります。中小企業診断士が社会人や現役のビジネスマンが多く受験するのに対し、公認会計士は大学生など勉強時間を豊富に取ることが出来る若年者層が受験者の大半を占めています。

そのため、合格率の数字上では公認会計士が難易度が低いように見えますが実際は逆です

中小企業診断士よりも公認会計士の方が難易度が高くなっています

合格率を比較

中小企業診断士と公認会計士の合格率について見ていきます。

中小企業診断士1次試験の合格率

年度 受験者数 合格率
2013年度 14252名 21.7%
2014年度 13805名 23.2%
2015年度 13186名 26.0%
2016年度 13605名 17.7%
2017年度 14343名 21.7%
2018年度 13773名 23.5%
2019年度 14691名 30.2%
2020年度 13622名 42.5%
2021年度 16057名 36.4%
2022年度 17345名 28.9%

出典:申込者・合格者にかかる統計資料(第1次試験)

中小企業診断士2次試験合格率

年度 受験者数 合格率
2013年度 4907名 18.5%
2014年度 4885名 24.3%
2015年度 4941名 19.1%
2016年度 4394名 19.2%
2017年度 4279名 19.4%
2018年度 4812名 18.8%
2019年度 5954名 18.3%
2020年度 6388名 18.4%
2021年度 8757名 18.3%
2022年度 8712名 18.7%

出典:申込者・合格者にかかる統計資料(第2次試験)

1回の受験での合格率は1次試験の合格率と2次試験の合格率の積で求めることができます。

この結果から、計算をすると1回の受験での合格率は4%前後と非常に低いです。中小企業診断士試験では多くの受験者が1~3年の数年かけて試験合格に取り組んでいる傾向があります。

次に公認会計士試験の合格率をみてみましょう。

公認会計士試験の合格率

年度 願書提出者数 合格率
2015年度 10180名 10.3%
2016年度 10256名 10.8%
2017年度 11032名 11.2%
2018年度 11742名 11.1%
2019年度 12532名 10.7%
2020年度 11598名 10.1%
2021年度 14192名 9.6%
2022年度 18789名 7.7%

出典:申込者・合格者にかかる統計資料(第2次試験)

いずれの国家試験も難易度が非常に高いと言えます。そのため、試験合格に向けて高いモチベーションを保ったまま試験勉強を継続できるのかが合格の鍵になります。

勉強時間と受験者層を比較

合格までに必要な勉強時間は中小企業診断士は約1000時間、公認会計士は3000時間以上と言われています。このように勉強時間については圧倒的に公認会計士の方が必要です。多くの受験者が一発合格ではなく、数年かけて資格を取得するケースも珍しくありません。

公認会計士の受験者は20~30代が多く、比較的若年者層が受験者です。一方、中小企業の受験者層の大半は仕事や勉強をしている社会人の方であり、年齢層は公認会計士と比較すると高い傾向があります。

社会人の場合、仕事をしながらの受験勉強は容易ではありません。試験勉強に多くの時間を費やすことが難しい中、国家試験に向けての勉強計画が必要です。

一方、公認会計士の受験者の多くは大学生であり勉強する時間が豊富にある状態で試験を受けています。大学生であれば国家試験への対策や勉強について時間をかけてしっかりと準備した上で受験することが可能です。このようにライバルとなる他の受験者が多くの勉強時間をかけて受験するので、公認会計士の難易度は非常に高くなっています

試験内容の違い

中小企業診断士の試験内容は、1次試験は「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」の7科目が試験科目になります。

1次試験はマークシート方式による択一試験で出題されます。総点数の60%以上、かつ点数が40%未満の科目が1つもないことが合格基準となっています。

2次試験は「組織・人事の事例」「マーケティング・流通の事例」「生産・技術の事例」「財務・会計の事例」の4科目の筆記試験と10分程度の口述試験があります。

筆記試験については記述式になりますが、合格基準は1次試験時と同様です。1次試験は、科目別に60%以上の点数を満たすことができれば合格でその合格は3年間有効となる科目合格制度があります

公認会計士の試験は全9科目で構成されています。必須科目は、「財務会計論」「管理計算論」「監査論」「企業法」「租税法」の5科目です。

一方、選択科目として「経営学」「経済学」「民法」「統計法」の4科目でそのうちの1科目を選択し論文式試験で受験する形になります。つまり、必須科目5科目と選択科目4科目から1科目を受験すれば良いため、全部で試験科目は5科目です

1次試験には短答式試験であり、1次試験を合格すると2次試験の論文式に進むことができます。短答式試験の合格期限は2年間であることから、長期戦で資格に挑むことも可能です

公認会計士試験の難易度や合格率について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

中小企業診断士と公認会計士のメリット比較

勉強する人

中小企業診断士を取得するメリット

中小企業診断士の資格を取る最大のメリットは、就職や転職の際に大変有利になることです。

中小企業診断士は経営コンサルタントの日本唯一の国家資格であり、企業にとってもその存在は希少です。企業に就職した後も職場において自身の能力のアピールになると共に仕事内容も広がり、昇給や昇格が狙いやすくなります

また、中小企業診断士として経験を積んだ後で独立開業ができることも魅力です。

就職のしやすさや昇給に繋がる資格であること、独立開業後も高い報酬単価の仕事を遂行できることから、中小企業診断士の平均年収は700~800万円と非常に高水準です。

公認会計士を取得するメリット

公認会計士には独占業務が存在し、監査法人や投資銀行が就職先になります。公認会計士の資格は誰でもが取得できる資格ではないため、就職先には困りません。

公認会計士の平均年収は1000万円とかなりの高収入です。公認会計士は専門性も非常に高く、企業側にとっても必要不可欠な貴重な人材であるからです。

中小企業診断士と公認会計士はどちらも非常に取得メリットが大きい資格ですが、敢えてメリットを比べるなら、独占業務が存在し、平均年収も高い公認会計士の方が上だといえます

中小企業診断士と公認会計士の仕事内容を比較

二人の人 中小企業診断士と公認会計士はどちらも専門性が高い資格ですが、その仕事内容は大きく異なります。

ここでは二つの仕事内容を比較していきましょう。

中小企業診断士の仕事

中小企業診断士の資格は、日本版MBAとも呼ばれ、現在の日本では需要が大変高い資格です。中小企業診断士の資格を身につけることで経営資産である人・モノ・カネ・情報に関する知識を横断的に身に付けることが可能です。

仮に企業に勤める場合はプロジェクトマネージャーとしての仕事をしたり、経営に関わる仕事を任されたりする可能性もあります。

経営コンサルタントとして副業をしたり、中小企業診断士として独立することもできます。現代のビジネス事情は日々変化し続けています。その中で自分が労働者の側であったとしても経営側の視点の知識を学ぶことは大変意義深いものです。

中小企業診断士の仕事についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

公認会計士の仕事

公認会計士とは、企業の監査と会計を専門分野とする専門職です。公認会計士の主な仕事内容は、監査業務、コンサルティング業務、税務業務の大きく3種類に分けることができます。

この中では監査業務が一般的にはよく知られています。これは企業の決算書を独立した第3者の立場からチェックし、その内容について意見を述べます。

企業の中には利益が出ていないにも関わらず利益が出ているように見せかけたりする企業が実際にあることも事実です。そのような自体を未然に防ぐためにも企業の財政面での適切な知識を持った公認会計士が適正な目でその企業をチェックしていくことが重要になっています

公認会計士の仕事についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

公認会計士と中小企業診断士のダブルライセンス

ピン

中小企業診断士の人が公認会計士の資格を取得することはあまりないかもしれません。公認会計士の有資格者が中小企業診断士の資格を有することで経営コンサルタントとしての活動の場を広げることができます

企業の財政上の問題点を見つけるだけではなく、その経営面の知識も深い中小企業診断士の資格を取ることでクライアントである企業の信頼がさらに厚くなることは間違いありません。

そして、公認会計士として独立した場合は特に別の職種、例えば税理士などと一緒に仕事をする機会も増えます。そういった場合にも中小企業診断士のダブルライセンスが仕事上役に立つでしょう。

ダブルライセンスの取得は簡単な道のりではありませんが、挑戦する価値はあるのではないかと思います。自分のキャリアアップのために日々、高みを目指して少しずつ頑張りましょう。

これから中小企業診断士や公認会計士を目指している方へ

中小企業診断士と公認会計士の難易度や収入・取得メリット

  • 中小企業診断士と公認会計士の難易度は、公認会計士の方が高い。
  • 中小企業診断士と公認会計士ともに難関資格であるが、公認会計士の方が取得後のメリットは大きい。
  • 公認会計士の平均年収は1000万円と高収入。専門性も非常に高い。
  • 人材として希少価値があるため、就職や昇格・昇給も期待できる。

中小企業診断士も公認会計士も社会的に大変意義のあるお仕事です。ぜひ、チャレンジしてくださいね!

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