中小企業診断士と行政書士のダブルライセンスはおすすめ?仕事の違いや難易度差も解説

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中小企業診断士

平井東

「中小企業診断士と行政書士ってどっちが難易度高いの?」

「中小企業診断士と行政書士はどっちの方が取得メリットがあるのかな…」

「ダブルライセンスを持ってるとどんな強みがあるの?」

このように、中小企業診断士と行政書士は何かと比較されたり、ダブルライセンスが検討される資格の組み合わせとなっています。

中小企業診断士と行政書士は共に難易度が高い資格ですが、その分取得するメリットが大きい資格です。

この記事では、中小企業診断士と行政書士の難易度、また取得メリットについてわかりやすく説明していきます。

中小企業診断士と行政書士の資格に興味をお持ちの方は、是非取得を目指して頑張っていきましょう!

中小企業診断士と行政書士についてざっくり説明すると

  • ダブルライセンスをするとキャリアアップが見込める
  • 中小企業診断士は就職・転職で有利になる
  • 行政書士は独立がしやすい

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中小企業診断士と行政書士の仕事内容を比較

仕事内容について対比して考える

中小企業診断士は企業の経営状態を分析して、売り上げをアップするための解決策を助言・提案する経営コンサルタントです。

一方、行政書士の仕事内容は、個人や法人などの顧客からの依頼を受けて、官公署に提出する書類の作成や申請を代行することです。

このように、中小企業診断士と行政書士では専門とする分野が大きく異なります。

中小企業診断士の仕事

中小企業診断士の業務は中小企業支援法で「経営の診断及び経営に関する助言」とされています。

資格取得後は自社や子会社・グループ会社などの経営資源効率や経営立案について、コンサルティング・診断・指導を行えます。

そのため、企業に勤める場合は経営に関する重要な仕事を任せてもらえるでしょう。

また、他の企業にとっても経営分析のできる人材の需要は高いため、経営コンサルとして休日に副業したり、独立したりすることも可能です。

行政書士の仕事

「代書屋」と呼ばれることもあり、業務範囲は、単純な書類作成業務から複雑なコンサルティング業務まで幅広いため、活躍の場も多岐にわたります。

また、行政書士が作成する書類は1万種類を超えるともいわれます。

たとえば、以下に関わる書類が挙げられます。

  • 会社設立時の手続き
  • 飲食店などの開業手続き
  • 相続手続き
  • 自動車関連の手続き
  • 産業廃棄物許可関連手続き

こういった許認可申請、権利関係、事実証明などの書類の代理作成、提出が主な仕事になります。

役所に提出する書類の手続き代行

店舗や会社で目にする営業に必要な「免許」や「登録許可証」の各種申請手続きは、全て行政書士の業務内容に入ります。

専門知識が必要で、役所の手続きがスムーズに進むよう、行政書士に依頼する人が多いです。

権利義務に関する書類と事実証明に関する書類の作成

「権利義務に関する書類」は、契約書、示談書、念書、内容証明、遺産分割協議書、離婚協議書、会社設立の定款など、権利義務を証明するために残しておく書類全てです。

「事実証明に関する書類」とは、身近なところで、自動車の車庫証明やナンバー登録、交通事故調査報告書、財産目録、議事録、実地調査に基づく図面などが挙げられます。

代理人として契約・念書等の書類作成

契約書類など、あらゆる書類作成の代理を行ったり、念書の作成を行うのも行政書士の業務となります。

行政書士の仕事内容についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

中小企業診断士と行政書士のダブルライセンス

ダブルライセンスの情報

難易度の高い行政書士とのダブルライセンス取得によって、中小企業診断士としての経営サポートやコンサルティング業務だけでなく、行政書士としての書類作成や申請まで請け負うことができるようになります。

行政書士を取得することにより中小企業診断士としての資格だけでは不可能な書類の作成・提出までのワンストップサービスを通じ、企業からより大きな信頼を得られるようになります。

また法務の観点からのアドバイスをすることによって、企業のトラブルを解決したり事前に予防策を練ったりすることもできます

中小企業診断士と行政書士の試験難易度比較

比較するための情報の載った文献

難易度はどっちの試験が高い?

どちらの資格も取得が難しいですが、合格率だけで比べると中小企業診断士の方が難易度が高いといえます。

中小企業診断士1次試験の受験者数と合格者数は以下になります。

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成28年度 13,605人 2,404人 17.7%
平成29年度 14,343人 3,136人 21.7%
平成30年度 13,773人 3,236人 23.5%
令和元年度 14,691人 4,444人 30.2%
令和2年度 13,622人 5,005人 42.5%
令和3年度 16,057人 5,839人 36.4%
令和4年度 17,345人 5,019人 28.9%

出典:申込者・合格者にかかる統計資料(第1次試験)

中小企業診断士の1次試験は、例年14,000~17,000人が受験し、4,000~5,000人前後の方が合格しています。合格率は15~30%です。なお、令和2年度試験では42.5%とこれまでの傾向を覆すような高い数字を記録しました。

次に、中小企業診断士2次試験の受験者数と合格率は以下になります。

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成28年度 4,394人 842人 19.2%
平成29年度 4,279人 828人 19.4%
平成30年度 4,812人 905人 18.8%
令和元年度 5,954人 1,088人 18.3%
令和2年度 6,388人 1,175人 18.4%
令和3年度 8,757人 1,605人 18.3%
令和4年度 8,712人 1,632人 18.7%

出典:申込者・合格者にかかる統計資料(第2次試験)

表から、2次試験の合格率は約20%であることが分かります。従って、中小企業診断士試験全体の合格率は約4%であると言えます

対して、行政書士の受験者数と合格率は次の通りです。

年度 受験者数 合格者数 合格率
平成28年度 41,053人 4,084人 10.0%
平成29年度 40,449人 6,360人 15.7%
平成30年度 39,105人 4,968人 12.7%
令和元年度 39,821人 4,571人 11.5%
令和2年度 41,681人 4,470人 10.7%
令和3年度 47,870人 5,353人 11.2%
令和3年度 47,850人 5,802人 12.1%

出典:試験結果の推移

行政書士試験の合格率は10~15%前後で推移しています。

中小企業診断士の方が2次まで試験があり、1次試験とと2次試験が共に合格率が低いため、行政書士よりも中小企業診断士の方が難易度が高いと言えます。

試験内容の違い

中小企業診断士試験の試験科目は以下の7科目です。

中小企業診断士の試験科目

  • 経済学・経済政策
  • 財務・会計
  • 企業経営理論
  • 運営管理
  • 経営法務
  • 経営情報システム
  • 中小企業経営・中小企業政策

このように、経営コンサルティングに必要な基本的な経営の知識や財務について学びます。

一方、行政書士試験の試験科目は以下の5科目です。

行政書士の試験科目

  • 民法
  • 商法
  • 憲法
  • 行政法
  • 基礎法学

これらは日本の法律のうち行政書士の業務に必要な法令等からそれぞれ出題されます。

また、「行政書士の業務に関連する一般知識等」として政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解が出題されます。

数字に強い方は中小企業診断士のほうが勉強が理解しやすく、法律や判例を覚えるのが得意な方は行政書士のほうが向いているといえます。

試験の共通点

中小企業診断士と行政書士の試験には、共に試験範囲は広いものの、内容的に理解できないほど難しい問題はあまり出題されないという共通点があります。

各科目それぞれ、浅く広く出題されるのが特徴です。したがって時間をかければ誰でも合格レベルまでは辿り着くことが可能です。

中小企業診断士と行政書士はどっちがおすすめ?

中小企業診断士と行政書士を比較

中小企業診断士の取得メリット

中小企業診断士の取得メリットとしては、主に以下の4つが挙げられます。

中小企業診断士の取得メリット

  • 周囲からの信頼を獲得しやすくなり、社会人としての価値が高まる

  • 転職や就職に有利になり、年収が増える可能性が高い

  • 経営企画の職を希望できる

  • 経営コンサルタントとして独立することもできる

さらに下記のような業務内容を任される場合も増え、会社の経営に関われるようになります。

  • 会社設立
  • プロジェクトマネージャー
  • 創業融資(事業計画書作成)
  • 財務分析
  • 制度設計及び企画

あらゆる企業での活躍が期待される資格であり、2016年にはビジネスマンが取得したい資格ランキング1位に選ばれました

中小企業診断士に向いている人

中小企業診断士は、企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスが主な業務です。

ビジネスに関する幅広い専門的知識を活用して、企業の部署と事業を繋ぐ柔軟な活動が求められています。

中小企業診断士の取得メリットについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

行政書士の取得メリット

行政書士は官公署などに提出する書類を代行して作成したりするのが主な仕事となります。

行政書士の取得メリット

  • 選べる職種の幅が広がる

  • 企業の法務部や総務部で活躍できる

  • 独占業務が存在し、独立しやすい

行政書士の資格を取得すると、民法や商法、会社法などについて深い知識を得ることができます。

特に総務部や法務部に行政書士の資格を持つ人が入れば、その会社にとっても大きなメリットとなります。

また、独占業務が存在するので、開業しても仕事がないという状況に陥りにくいです。

行政書士に向いている人

行政書士は、許認可・裁判関連の書類といった非常に重要な書類を扱います。

そのため、書類の誤字脱字といった簡易的なミスから、書類を間違えるといった顧客への損害をあたえるようなミスなどは許されません。非常に正確性を求められる仕事といえるでしょう。

また顧客との信頼関係を築き、強い責任感をもって仕事を行う必要があります。

公文書の取り扱いに慣れている方や、行政法などに詳しい方は行政書士に向いていると言えます。

就職・転職のしやすさ

さまざまな知識を生かし、企業経営を俯瞰的に見ることができる中小企業診断士の方が就職・転職で有利になることが多いでしょう。

中小企業診断士の資格取得では、企業活動において絶対的に必要な知識を勉強をするため、あらゆる職場で活躍することができる知識を身につけられるほか、サラリーマンとしての価値も上がります。

独立開業のしやすさ

中小企業診断士には行政書士や社会保険労務士などに与えられる独占業務がありません。

そのため、独占業務の存在する行政書士の方が独立がしやすいと言えるでしょう。

中小企業診断士と行政書士の年収比較

中小企業診断士の平均年収は700万円~800万円程度だと言われています。

資格を取ったからといってすぐに年収が上がるわけではないですが、経営に携わる能力を証明する資格を持つことで、高収入を得る可能性が上がります。

独立できたなら、若いうちからの年収1000万円超えも珍しい事ではありません。

一方、行政書士の年収の平均はだいたい600万円を少し上回る程度だと言われています。 また、稼いでいる人とそうでない人の差が激しい業種です。

一部の稼いでいる行政書士は、1000万円以上の利益を出していますが平均を比較すれば中小企業診断士の方が年収が高い傾向にあると言えます。

中小企業診断士と行政書士のまとめ

ここまで、中小企業診断士と行政書士について比較しながら解説してきました。

中小企業診断士と行政書士のまとめ

  • 中小企業診断士は経営コンサルタントとして活躍できる
  • 行政書士は法令等の知識を生かしてさまざまな業務をこなせる
  • ダブルライセンス取得によって企業から大きな信頼を得られる

共に難易度が高い資格ですが、ダブルライセンスの取得によってより大きなメリットとなります。

取得を考えている方はまずどちらかの取得をオススメします。

また一方の資格を既に持っている方も、もう一方の資格の取得に目指すことを勧めます。

資格を取得することによって社会人としてのステータスは大きくあがり、また会社から頼られる存在になるでしょう。

知識を生かして収入を増やすことも大いに可能なので、取得を目指して頑張っていきましょう!

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