中小企業診断士を取得するメリットは?勉強時間や労力に見合うのか

この記事は専門家に監修されています

中小企業診断士

平井東

「中小企業診断士は取得するメリットって勉強時間や労力に見合ってるのかな…」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

中小企業診断士試験は非常に難易度が高く、合格するまでには多くの時間と努力が必要となります。

しかし、中小企業診断士には税理士や司法書士などの士業と違って独占業務を持ちません。

それでは、中小企業診断士の資格を取ることにはどんな利点があるのでしょうか。

ここでは中小企業診断士の資格のメリットについて、勉強時間や労力についても触れながら具体的に解説していきます

中小企業診断士のメリットについてざっくり説明すると

  • 就職や転職に有利になり、年収増加にも繋がる
  • 任せられる仕事の範囲やレベルが向上する
  • 論理的思考力が身につくので業種問わず重宝される人材となる
  • 資格取得のためには多くの時間と費用がかかる

このページにはプロモーションが含まれています

中小企業診断士の資格を取得するメリット

魅力を表す図 難関資格である中小企業診断士を取得することには、当然さまざまなメリットがあります。

中小企業診断士の資格について勉強することで、企業経営に関する知識だけでなく、問題を解決するための思考力など、幅広く身につけることができます。

MBAと似たような内容が勉強できるということもあり、中小企業診断士は「日本版MBA」ともいわれています。そのため中小企業診断士は企業側からの需要も非常に高く、2016年の 「取得したいビジネス関連資格」では堂々の1位に選ばれました。

資格の取得者はどんなメリットを求めて勉強したのか

中小企業診断士の資格を持っている人は、どんなメリットを求めて長い受験勉強を乗り切ることができたのでしょうか?

ここでは「中小企業診断士を目指した動機」についてみていきましょう。

中小企業基盤整備機構の実施したアンケートでは、中小企業診断士の志望動機は次のようになりました。

中小企業診断士の資格取得の動機 割合
経営全般の勉強等自己啓発、スキルアップのため 64.09%
中小企業の診断・支援等に従事したい 38.68%
業務遂行上中小企業診断士の資格が活用できる 33.76%
経営コンサルタントとして独立したい 32.23%
定年後に資格を活用したい 25.07%
転職等就職の際に有利である 10.71%
経営コンサルトとしての信用を高めるため 6.58%
中小企業診断士の資格を持っていると優遇されるから 5.55%
その他 1.96%

全体の約6割が「スキルアップ」のために資格取得の勉強に励んでいたことが分かります。

そして、中小企業の診断・支援や経営コンサルタントも含めて、中小企業診断士の資格を仕事に生かしたいという動機が多いことが分かります。

中小企業診断士の資格を勉強することによって、幅広い知識だけでなく思考力や応用力も養うことができるので、今後仕事をする上で、さまざまな分野で活躍できるために必要な資質を備えることができるでしょう。

中小企業診断士のメリット【企業勤務の場合】

勤務する人 企業にお勤めの場合、中小企業診断士の資格を仕事に生かせるチャンスがいくつもあります。

中小企業診断士の特徴の一つに、士業の中では資格取得後も企業で働く人の割合が高いことが挙げられます。

中小企業診断士の資格があると、もちろん転職にも有利になったり独立することも可能ですが、これまで勤務してきた会社で昇格も狙えます。

新たな仕事にチャレンジできる、昇進や昇給できる、経営に関する相談を持ちかけられたり企業からの信頼が厚くなったり、資格取得から得られるものはとても大きいといえます。

活躍できる仕事の幅が広がる

中小企業診断士の資格があると、プロジェクトマネージャーや新しい制度の企画など、経営に関わる重要な仕事を任せてもらえるようになります。 特に管理職や経営者へを目指している人にはマッチした資格だといえます。

財務会計、経済、法律、人事、生産管理、情報システムなど、広い分野での知識を持ち合わせ、経営側の立場から論理的に物事を考えることができるので、企業内のあらゆるフィールドで活躍できるチャンスが得られます

昇格や昇給に繋がる

これまで述べてきたことにも関連して、任せられる仕事が増え活躍の場が広がることで結果的に社内での信頼・評判を勝ち取り、昇給や昇格に繋がります。

難関資格である診断士に合格した能力の高さや努力できる姿勢も評価されます。

また、会社によっては資格手当を与えているので、より直接的に収入増加に繋がります。

中小企業診断士の年収

中小企業診断士の資格が昇格・昇給に繋がることはデータが証明しています。

中小企業診断士の平均年収は700~800万円と極めて高水準です。 日本の平均年収432万と比べると倍近くあります。

高収入が期待できることは大きなメリットであり、中小企業診断士の資格取得のモチベーションにもなることでしょう。

中小企業診断士の年収についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

転職・就職に非常に有利になる

中小企業診断士は経営コンサルタント唯一の国家資格ということもあり、コンサルティング業界での転職を有利に進めることができます

中小企業診断士は幅広い知識をさまざまな分野で役立てることができます。もちろんコンサルティング業界以外でも、あらゆる業界や職種への転職に有利になります

資格取得を通じて学んだ知識だけでなく、難しい試験を突破したことへの努力や信頼性も、転職では高く評価されます。

一方で、中小企業診断士として働く際には実務経験がある方が評価されやすいです。資格取得だけが目的にならないように、これまでの経験と今後のキャリアに役立つかどうかをよく考えたうえで、資格取得を判断されることをお勧めします。

診断士向けのハイレベルな求人も多い!

中小企業診断士を取得することで業種にかかわらず就職や転職に有利になるのは間違いありません。

しかし、中小企業診断士の母数が多くないこともあり、一般大衆向けの大手求人サイトなどでは「中小企業診断士向け」の求人はなかなか見つけられません。

中小企業診断士のような専門性の高い「士業」の転職であれば、士業の転職に特化したMS-Japanを利用することをおすすめします

MS-Japanでは中小企業診断士のようなハイレベル層の求人に特化しており、「有資格者における利用実績NO.1」「専門性に対する理解度NO.1」 という実績を誇ります。

中小企業診断士として会員登録をすることで年収1000万を超える求人も多く見つけることができるでしょう。この機会にぜひ登録してみてはいかがでしょうか。

中小企業診断士のメリット【独立する場合】

貯金箱 中小企業診断士の魅力の一つとして、資格を生かした独立開業が挙げられます。

ここでは中小企業診断士として独立するメリットについて解説していきます。

経営コンサルタントとして独立が可能

経営コンサルティングは中小企業診断士の独占業務というわけではありません

したがって中小企業診断士の資格を持っていなくても経営コンサルティングの業務を行うことは可能ではありますが、やはり診断士の資格を持っていると顧客からの信頼も得やすく、また診断士同士のネットワークも利用できるので顧客を獲得しやすいです。

中小企業診断士の資格を持っているか否かでは、コンサルティングの報酬単価や集客のしやすさに大きな差が生まれるのです。

超高収入が目指せる

中小企業診断士の資格を生かして独立することで、年収1000万円、さらには3000万円以上の超高収入が現実的になります。

下記は中小企業基盤整備機構が実施した調査による、独立した中小企業診断士の年収の割合です。

年収 割合
500万円以下 33.23%
501~800万円 19.55%
801~1000万円 13.34%
1001~1500万円 14.66%
1501~3000万円以内 9.61%
3001万円以上 2.07%

上記のデータを見ても、年収501万円~1500万円以内の割合が約48%で、独立した中小企業診断士の半数近くにわたります。

また、全体の10%以上が年収1501万円以上であり、独立した中小企業診断士の方は超高収入の方が非常に多いことが分かります。

人によっては500万円以下の年収が気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、年収100~300万円の診断士の方は独立開業をした直後の方や、リタイア後に副業的にコンサルティング業務を行なっている方が多いです。

自分の起業に役立てることができる

自らの起業においても、中小企業診断士の資格を生かすことができます。

中小企業診断士の資格があると、会社経営をしていく中で資金面や法務の側面からも健全な経営を意識することができるので、会社事業を自らの力で成功に導くことができます。

全く経営知識がない状態で経営者になるのとは雲泥の差が生まれるでしょう。

中小企業診断士の独立についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

中小企業診断士のメリット【その他】

その他

中小企業診断士の資格は年収増加や独立開業といった側面以外でも、取得者の人生に大きなメリットを与えてくれます。

中小企業診断士試験の勉強では単に知識を習得するだけでなく、思考力を大幅に伸ばすことができます

中小企業診断士には、目先の仕事をただ片付けるだけはでなく、本質を考えて行動に移す力が重要になってきます。単に知識を持っていれば良いというわけではなく、勉強ができることと仕事ができることは意味合いも違います。

教科書だけでは出てこないような、仕事に生かしていける考え方を勉強することができるのも中小企業診断士の魅力です。

思考力や考え方の基礎が身に付く

中小企業診断士の学習領域では思考力を鍛えることができ、いわゆる「地頭が良い人」になることができます

鍛えた思考力はあらゆる場面で役に立ちます。

実際の企業経営の現場では、予測できない事態が発生したり、社会情勢や急な環境の変化にも対応していかなければなりません。知識が豊富なだけで問題が解決できる訳ではなく、分からないことに対しても柔軟に考えていく必要があります。

体系的に論理的に物事を判断して答えを導き出していく力が培われ、問題解決力が身につくのは非常に大きなメリットです。

資格を生かした副業ができる

中小企業診断士の資格を生かして、休日を活用して副業ができることもメリットの一つです。企業へのコンサルティング業務を中心に、セミナー講演、資格学校の講師など様々な副業が可能です。

営業力が欠かせませんが、中小企業診断士ならではのバイタリティを生かして、さまざまな副業を通じて視野を広げてみるのも良いでしょう。

中小企業診断士の副業についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

取得までの勉強時間に見合うメリットと言えるのか

参考書 中小企業診断士の資格は難易度が高く、取得するためには1000時間の勉強時間が必要と言われています。これは期間にして1~3年以上です。受験勉強が長期にわたると負担も大きくなります。

仕事が忙しくても勉強を続けなければならず、物理的にも精神的にも自己管理が必要です。勉強時間も労力も要しますが、試練を制した後はこれまでにはないスキルが身についているはずです。

決して短い期間ではないですが、これまでみてきたような多くのメリットを考えれば、十分お釣りがかえってくるはずです。

中小企業診断士の勉強時間についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

20代で中小企業診断士を取得するメリット

疑問のイメージ 現在20代の方で中小企業診断士の資格を取ろうか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

中小企業診断士として仕事をする人は、40代から60代が多いことが特徴としてあげられます。30代でも若手といわれる中小企業診断士ですが、20代で資格取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか?

2次試験の合格率が高い

中小企業診断士の2次試験は20代の合格率が高いという事実があります。

2次試験では知識の応用力が問われる問題が出題されますが、実務経験が豊かな世代になると、経験から物事を判断しやすい傾向があります。

20代の受験生は経験が浅いぶん、純粋に知識や理論で勝負することになります。長年の経験からくる物差しもないので、2次試験ではかえって有利になりやすいといえるでしょう。

また、試験は長時間にわたってエネルギーを消耗するので、体力や集中力においても、20代や若いほうがメリットになるといえます。

早いうちから経営側の考え方を知ることができる

中小企業診断士には、物事を体系的に考えて判断し、提案する力が必要です。若いうちは経験は少ないかも知れませんが、物事を吸収するのが早く、柔軟性もあります。

中小企業診断士の資格試験では、事業計画、資金調達、情報、法律など実務に結びついた知識を幅広く学びます。

20代のうちから経営側目線での考え方を知っておくと、今の仕事はもちろん、将来的なステップアップや独立も視野に入れることができます。

20代で中小企業診断士の資格を取得するメリットについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

中小企業診断協会に入会するメリット

人が集まっている写真 中小企業診断士の資格取得後には、中小企業診断協会(正式名称「一般社団法人 中小企業診断協会」)に入会する機会があります。入会は任意です。

ここでは中小企業診断協会に入会するメリットとデメリットについてみていきましょう。

中小企業診断協会に入会するメリット

中小企業診断協会に入会するメリットは非常に大きいです。

中小企業診断士は5年ごとに資格の更新が必要で、資格更新に伴い、30日以上の経営診断業務や5日以上の理論更新研修を行わなければなりません。

中小企業診断協会に入会していると、有償ではありますが、受講のサポートを受けることができます

また、中小企業診断士同士のネットワークを広く築くことができるのは、とても大きなメリットです。

特に独立開業している場合は、経営判断を自ら行う場面が多く、仲間との情報交換やネットワークから得られるものが大きいということは確かです。

デメリットもある

中小企業診断協会には入会費と年会費がかかります。 金額は所属の県協会によっても異なりますが、一般的には「入会費5万円程度、年会費5万円程度」かかり、デメリットのようにも思われます。

5万円の会費を支払っても入会する価値があるかどうかは、それぞれが置かれている環境にもよります。入会はあくまで自由なので、迷っている場合は、よく考えてから判断されても良いでしょう。

中小企業診断協会に入会している人は多く、高い会費のデメリット以上に、もたらしてくれるメリットがあると判断する人がほとんどであることが伺えます。

中小企業診断士を取得するメリットまとめ

中小企業診断士を取得するメリットまとめ

  • 中小企業診断士は企業勤務の方にも独立する方にも大きなメリットがある
  • 就職や転職、昇格にも大いに役立ち、超高収入も狙える
  • 20代のうちから取得しておくのも有効
  • 勉強時間や労力を使うデメリットより、中小企業診断士の資格取得がもたらすメリットのほうが大きい

中小企業診断士の資格を取得することのメリットについて、詳しくみてきました。

さらなるステップアップを目指して、中小企業診断士の取得をぜひ検討してみてください!

資格Timesは資格総合サイト信頼度No.1