司法書士を名乗るために必要な登録・手続きとは?会費や取得メリットも併せて解説!

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司法書士は試験に合格するだけでは業務を実施することが出来ません。

合格した後に研修や名簿登録といった必要な段階を踏むことによって、司法書士を名乗ることが出来ます。

ここでは合格後の流れや費用について解説していきます。この内容を知っておくことにより、司法書士試験に合格した後に何をしなければいけないかが分かるでしょう。

司法書士の登録について

  • まず新人研修を受けることが必須
  • 日本司法書士会連合会への登録が合格後に必須
  • 登録することによるメリットは豊富

司法書士試験合格後の登録までの流れ

司法書士の仕事のイメージ まず初めに、司法書士の登録も含めた司法書士試験に合格した後に行う手続きの流れを説明していきます。

司法書士法には司法書士が業務を開始するまでの規定が明確に定められています。その内容に沿って解説します。

新人研修を受ける

司法書士法の25条によって、司法書士試験に合格した後に研修を受けることが義務付けられています

司法書士試験で司法書士としての知識を持つことは証明されていますが、まだこの段階では職務を行う能力が完全に身に付いているわけではありません。

そこで研修を受けて司法書士としての職責と社会的使命を自覚し、法律に関する理論や実務を身に付ける必要があります。

司法書士の業界においては研修のシステムがしっかりと作られており、そのシステムに従って研修を進めていくことが大切です。

たとえ実務能力に自信があるという場合でも研修が必須となることに注意するようにしましょう。

日本司法書士会連合会および管轄区の司法書士会に登録する

司法書士として仕事をするためには日本司法書士会連合会の有する司法書士名簿への登録が必要となります。そのことは司法書士法の8条に記されています。

司法書士名簿は司法書士の選定などにも使用される重要な名簿です。また、司法書士として実際に働く管轄区の司法書士会への入会も、司法書士法の8条と9条によって定められています。

登録申請が受理されると司法書士名簿に登録されて登録証が交付される仕組みになっているのです。

司法書士名簿は日本司法書士会連合会に備えられており、必要に応じて確認することが出来ます。

企業の法務部で働く場合には登録しない人もいますが、基本的にはほとんどの司法書士合格者が登録をしています

登録先の日本司法書士連合会とは?

日本司法書士連合会は司法書士法によって定められた団体で、東京都新宿区に所在地があります。

入会する理由は、司法書士の扱う仕事内容の社会的責任が大きいことにあります。

司法書士は依頼者の権利や財産と深くかかわり、またそれらを守らなければいけません。

その他にも日常生活で発生するトラブルを法的な解決へ導くなど、法律の専門知識も必要とされる職業です。

これらのことから、司法書士会はすべての司法書士に対して倫理観を高めて品位を保持させ、さらに団体として社会に対しての責任体制を整えることを目的としています。

この目的を維持するために強制入会が定められています。

日本司法書士会連合会および司法書士会への登録

登録のイメージ

研修を終えただけではまだ司法書士になることが出来ません。司法書士として働くための登録を行う必要があります。

そこでここからは日本司法書士連合会及び司法書士会への登録について解説していきます。

手順

司法書士としての登録を完了させるまでの手順は以下のようになります。

  1. 管轄区の司法書士会にて登録申請書を入手
  2. 必要書類をそろえて管轄区の司法書士会に提出する
  3. 司法書士会の役員面談を受ける
  4. 日本司法書士会連合会の登録審査で問題なしと判断される
  5. 登録証の交付を受ける

1つ1つの手順はそれほど難しくありませんが、順番に確実にこなしていく必要があります。

役員面談や登録審査など一見すると厳しそうに見える文言が並んでいますが、大きな問題が発生しない限りは円滑に進めることが可能なので身構える必要はありません。

書類の記入などの際に不備が出ないように確認することが重要となります。

必要書類など

司法書士の登録を行うためには以下の書類が必要となります。

  • 司法書士登録申請書
  • 司法書士会入会届
  • 司法書士名簿
  • 誓約書
  • 司法書士試験合格証書
  • 特別研修修了確認シート
  • 履歴書
  • 印鑑届出書
  • 戸籍謄本
  • 身分証明書
  • 登記されていないことの証明書など

これらの書類に加えて職印と認印が必要となるので用意しておきましょう。

書類に不備がある場合には再び書類を入手しなければならず、大きなタイムロスとなります。1つ1つチェックしながら用意することが大切です。

費用

司法書士の登録を行うにはいくつかの費用が必要となります。

具体的には登録免許税の収入印紙代金として30,000円、登録手数料として現金で25,000円がかかります

それ以外にも入会金として25,000円から50,000円、月会費として15,000円から25,000円がかかることになるので注意しておきましょう。

さらに資格登録にかかる国税の登録免除税は3万円、会員データ管理費や交付金などの登録手数料は約2万5千円となっています。

入会金と月会費の金額や納付の方法は地域ごとに差があります。これらは司法書士としての業務を停止していても、登録が残っている限りは支払いが必要となります。

登録にかかる費用は5年ごとに見直されることになっていますが、大きく金額が変わることはありません。

司法書士会に登録するメリット・デメリット

2択のイメージ 司法書士と名乗って仕事をするためには、先に述べたとおり司法書士会に登録する必要があります。

ここでは司法書士会に登録するメリットとデメリットをそれぞれ説明します。

入会するメリットは大きい

司法書士は資格取得をするだけでは司法書士を名乗ることができません。司法書士として業務をするためには司法書士会に登録をする必要があるのです。

司法書士会に登録すると、司法書士としての仕事を受注することができるだけなく、専門的な業務も行うことも可能になります。

司法書士会に登録することで正規の司法書士ときちんと認識されますので、お客様からの信頼度もアップするでしょう。

業務内容だけでなく、司法書士会が行っている研修も必要に応じて受講することが可能になり、知見をアップデートさせることができます

研修は無登録でも受講可能なものもありますが、定員オーバーになりそうな場合は会員が優先されていきます。

法律は常に改正されますので、司法書士はそれに対応するために勉強を欠かすことができません。そのため司法書士会が行う研修は法律の勉強をする場として非常に重要なのです。

このように周囲からの信頼性を高めたり、業務の専門的知識を深められたりすることが司法書士会登録の大きなメリットだと言えるでしょう。

費用面でのデメリットは否めない

司法書士会に登録するデメリットは、入会すると様々な費用が発生する点が挙げられるでしょう。

例えば入会する時には登録費用などの初期費用が発生しますし、登録した後も毎月の会費などの継続的な出費が発生します

仕事の受注があれば問題ありませんが、まだ司法書士の仕事を始めたばかりで受注があまりない、または受注が安定していない場合には、これらの費用を支払うことが負担になってしまうことも十分考えられるでしょう。

しかし、最初は費用を負担に感じても、司法書士を継続することで仕事の受注が少しずつ増加する可能性は高いです。

そのため長い目で見ると初期費用の高さは致命的なデメリットではありません。

司法書士として業務を継続するためにも、初期費用がどれくらいになるのかをあらかじめ理解し登録を行うようにしましょう。

登録費用を抑える方法も存在

費用のイメージ

司法書士として活動するためには登録が必須となりますが、登録時に10万円前後が必要となるだけでなく、会費も年間で18万円から30万円ほどがかかります

業務を開始する前の段階でこれだけの費用がかかるのはなかなか厳しいという人も多いのではないでしょうか。

そこで登録費用を抑える方法について解説していきます。

登録費を負担してくれる事務所に就職する

司法書士事務所の中には登録費用を事務所負担としているところもあります

そういった事務所を選ぶことで登録時の金銭的な負担を和らげることが出来ます。

事務所によって登録費用に対する負担の割合や仕組みが異なります。中には初期費用を一時的な貸し付けとし、一定期間の勤務が続いた際には返済を免除するという仕組みにしている司法書士事務所もあります。

登録費用の負担については事務所のホームページに明記されていることが多いので、事前にチェックしておくことが重要となるのです。

また、採用面接時に確認をすることも大切です。中には登録費用の何割かを事務所が負担するというケースもあります。

自分にとってメリットが大きいのはどの事務所かを探すことも有効であるといえるでしょう。

一般企業の法務部門に就職する

一般企業の法務部門に就職する場合には登録しなくても問題がないので、登録費用を抑えることが可能です。

法務部門では司法書士としての知識を生かして働くことが出来ます。具体的な業務としては契約書のチェックや食品表示の整合性の確認、社員へのコンプライアンス指導などが挙げられます。

このような役割は弁護士も担えるので大企業では弁護士の採用が多いですが、中小企業の中には司法書士を採用しているところも少なくありません

司法書士の力を必要としている企業で働くことは1つの選択肢として十分考えられるのです。

必要になってから登録する

司法書士と名乗るのであれば登録は必須ですが、いつまでに登録しなければならないという規定は存在しません

例えば司法書士試験に合格してから3年後に登録を行ったとしても、何ら問題はないと言えるでしょう。

それゆえに司法書士として働く決意が固まってから登録することも可能です。

一度登録すると放置していても月会費などがかかり続けるので、司法書士として実際に働くまで登録を遅らせるという方は珍しくありません

よって、登録は必要となったタイミングを見極めてから登録することが非常に有効なのです。

新人研修の内容

クリップの写真

ここからは初めに受ける必要がある新人研修について解説していきます。新人研修には中央研修、ブロック研修、配属研修、特別研修という4つの種類があります。

いずれの研修も司法書士として働く上で非常に役立つ内容になっています。

司法書士法で定められているからという理由だけではなく、司法書士として必要な技術を習得するためにも研修は極めて重要であると言えるでしょう。

中央研修

中央研修は前期と後期の2つに分かれている研修です。

前期にはインターネット配信によるeラーニング研修が実施されます。eラーニングはパソコンやスマートフォンとインターネット環境さえあればどこでも受けることが出来ます。

内容はそれほど難しくありませんが、司法書士の知識の復習も兼ねて取り組みましょう。

後期は全国の8会場にて3日間の集合研修が実施されます。司法書士登録を行う地域によって参加する会場が異なります。例えば関東地方で登録をする場合には東京での研修に参加します。

前後期の全ての講義を受講すると中央研修は修了となります。

研修費として税別4万円が必要となりますが、もしも集合研修が行われる会場が自宅から遠かった場合、交通費や宿泊費がかかることもあります。

研修は年によって変動する可能性があるので注意しておきましょう。

ブロック研修

ブロック研修は文字通り、ブロックに分かれて受ける研修です。

全国8ブロックに分かれて別々の日程で開催されるので、自分の所属しているブロックの日程を確認しておく必要があります。7日間程度で修了する日程になっているのが一般的です。

ブロック研修は中央研修以上に実務に即した研修となっており、実際に働くための能力を身に付けることが出来ます。

修了基準はブロックごとに異なる内容となっています。原則として開業予定地で受講することになります。

研修費として税別3万円がかかるだけでなく、場所によっては交通費や宿泊費を準備しておく必要があります。

配属研修

配属研修は司法書士会研修とも呼ばれる研修です。配属研修は全国の司法書士会で行われる研修であり、先輩の司法書士事務所で実務を詳しく学ぶことになります。

実際の事務所にて学ぶことにより、これまでに得た知識や技術がどこまで役立つのかを実感することも出来ます。

配属研修は司法書士会ごとに実施時期や期間、仕組みなどが異なるので確認しておくことが大切です。

配属研修は12月や3月に実施されることが多いです。司法書士として働く前に現場の空気感を知ることが出来る貴重な機会なので、しっかりと知識や技術を吸収することが重要と言えるでしょう。

特別研修

特別研修は他の研修とは異なり、修了を義務付けられていないという特徴があります。

しかしながら、司法書士が簡裁訴訟代代理等関係業務を行うために必要な能力を習得するための研修であり、参加する方は少なくありません。

特別研修では修了後に簡裁訴訟代理等能力認定考査を受けることが出来ます。

この認定考査に合格すると簡易裁判所の民事訴訟にて代理権を有する、認定司法書士になることが可能です。

特別研修を受けたからといってそれだけで確実に認定司法書士になれるわけではなく、認定考査への合格が必要となることに注意しておきましょう。

特別研修は全国8ブロックで1月下旬から3月初旬にかけて実施されます。

特別研修は司法書士として働く上で必須ではないことから、働き始めた後にキャリアアップとして受講する方もいます

独立開業に必要な手続き

仕事のイメージ

司法書士試験に合格したあと独立開業をする人も多いです。独立開業をする際には特別な手続きを進める必要があります。

そこで独立開業に必要な手続きについて詳しく解説していきます。

開業届の提出

個人事業主として開業する場合、開業から1か月以内に納税地の税務署に開業届を提出しなければならないという決まりになっています。

これは個人事業主が事業を行う上で正確な納税を行うために必要なことであり、開業届の提出を忘れていると法律違反となってしまうので気を付けておきましょう。

開業届の用紙は税務署にて受け取ることが出来ます。国税庁のホームページからダウンロードしてプリントアウトするという方法もあります。

青色申告承認申請書の提出

個人事業主は確定申告を行わなければなりません。そのための申告方法には白色申告と青色申告の2種類があります

青色申告の場合は記帳に手間がかかる一方で特別控除などの特典が受けられるメリットがあるので、基本的には青色申告がお得と言えるでしょう。

白色は10万円控除であるのに対し、青色は55万円または65万円までの控除を受けることが出来ます

通常の申告は年度末に行いますが、開業の際の申告は開業から2か月以内に行う必要があります。

申告書は納税地の税務署に提出します。開業届と同時に提出することも出来ます。

青色申告では事業専従者給与という制度を利用することが可能です。これは申告者と生計を一にしている配偶者や親族がその事業に従事した際、支払われる給与を必要経費に算入することが出来ます。

これは家族がいる方にとって大きなメリットとなります。ただし、これが認められるのは15歳以上の親族に限られます。

銀行口座の開設

開業する際には事業用の口座を開設する必要があります

個人の口座と事業用口座を分けておかないと、会計記帳をする際にややこしくなってしまうからです。

確認書類として開業届と名刺を提出することにより、屋号での口座を作ることが出来ます。

この時に提出する開業届はコピーでも問題はありません。銀行の口座は2つ以上作っておくと便利です。

その際には2つの銀行を利用してそれぞれに口座を作るようにしましょう。同じ銀行や同じ支店では1つしか口座を持つことが出来ないケースが多いからです。

複数の銀行に口座を持つことはリスクを分散する意味でもメリットがあります

司法書士の独立事情については以下の記事をご覧ください。

司法書士の登録についてまとめ

司法書士の登録についてまとめ

  • 日本司法書士連合会への登録は義務付けられている
  • 必要書類は多岐にわたるため予め確認しておくことが必須
  • 費用を抑える方法も存在するため必ず確認

ここまで司法書士の登録の流れやその注意点について詳しく解説してきました。

司法書士会に登録していない人は司法書士として活動することが出来ません。

そのために適切な手続きを踏み、登録を行うことが重要となります。しかし、司法書士の登録には期限が定められていません。

それゆえに実際に働ける状態になるまでは登録を行わないということも可能です。

独立開業を目指す場合には研修や登録、その他の諸々の費用がかかります。しっかりと準備を整えて臨むことが重要です。

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