社労士とキャリアコンサルタントのダブルライセンスの相性は?難易度や将来性を解説
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社労士
のんびり社労士いけい
人材に関する専門家と言われている、社労士とキャリアコンサルタントですが両者の違いを知っていますか?
この記事ではそれぞれの違いを難易度・仕事内容・メリットの点から徹底比較し、ダブルライセンスのメリットについても説明します。
読み終わった頃には、それぞれの資格の違いとダブルライセンスを獲得する良さが分かるはずです!
社労士とキャリアコンサルタントをざっくり説明すると
- 社労士とキャリアコンサルタントはどちらも人気の国家資格
- 共に将来性が高く、需要も高まっている
- ダブルライセンスで、多角的視点からのアドバイスが可能に
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社労士とキャリアコンサルタントのダブルライセンスの相性
社労士とキャリアコンサルタントは共に国家資格です。
社労士の受験者数は毎年約4万人、キャリアコンサルタントは第1回の試験では約3千人だったのが直近の試験では約4千人に増えています。
どちらもニーズが高く、人気のある資格です。
ダブルライセンスのメリット
社労士は労務に関する専門家です。
対してキャリアコンサルタントは労働者側に対してどのようにキャリアを積むかという助言をする専門家です。
ダブルライセンスを取得することにより、会社と労働者の両方の立場に立った考え方が出来るようになります。
両方の課題を解決するためには労務に関する実務知識とキャリアに関するカウンセリングスキルの両方が必要です。
間に立って双方に改善点を提示することができ、就業規則を改定することも可能なため、よりスムーズな課題解決が出来るようになるでしょう。
社労士とキャリアコンサルタントの難易度比較
社労士は比較的試験の合格難易度が高く、資格取得は難しいと言えますが、受験資格さえあれば努力次第で独学でも資格の取得が可能です。
それに対しキャリアコンサルタントは受験資格を得るためにまず実務経験や養成研修を受ける必要があります。
受験資格
さっそくそれぞれの受験資格について見ていきましょう。
社労士
社労士試験を受験するためには
-
大学、短期大学を卒業しているなどの学歴
-
労働社会諸法令の十士事務に3年以上従事しているなどの実務経験
-
厚生労働大臣の認めた国家試験合格
などのいずれかの要件が必要です。
この他にも受験資格と認められる要件があり、試験機関のWEBサイトで確認できます。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントの受験を受けるためには以下のいずれかの要件を満たさなければいけません。
-
厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了する
-
労働者の職業生活設計などに関する相談について3年以上の経験がある
-
キャリア・コンサルティング技能検定の学科または実技の試験に合格している
-
平成28年3月までに実施されていたキャリア・コンサルタント能力評価試験の受験資格だった養成講座を修了している(平成28年4月から5年間有効)
合格率
キャリアコンサルタントの試験は、
-
日本キャリア開発協会(JCDA)
-
キャリアコンサルタント協会(キャリ協)
の2団体でそれぞれ行われています。
試験内容の一部が異なりますが、出題範囲は同じで合格すればどちらも同じキャリアコンサルタントになれます。
<社労士>
年度 | 合格率 |
---|---|
2023 | 6.4% |
2022 | 5.3% |
2021 | 7.9% |
2020 | 6.4% |
2019 | 6.6% |
2018 | 6.3% |
データ出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト
<キャリアコンサルタント>
実施回 | JCDA | キャリ協 |
---|---|---|
23回 | 59.8% | 61.2% |
22回 | 59.3% | 59.3% |
21回 | 52.2% | 43.9% |
20回 | 60.7% | 51.0% |
19回 | 52.5% | 46.1% |
18回 | 54.6% | 64.0% |
17回 | 46.5% | 40.7% |
16回 | 52.2% | 48.4% |
15回 | 57.0% | 53.5% |
JDCAデータ出典:JDCA 試験結果
キャリ協データ出典:キャリアコンサルティング協会 合格発表
キャリアコンサルタントの試験は学科と実技の試験が年3回ありますが、上記の合格率は各回の学科・実技試験に同時合格した場合の数字を記載しています。
各試験の難易度については以下の記事を詳しくご覧ください。
試験形式
次に年の試験回数、合格基準など、それぞれの試験形式について説明します。
社労士
社労士の試験は年1回で毎年8月に実施され、すべてマークシート方式でおこなわれます。
選択試験は40点満点で合格基準は28点以上かつ各科目5点満点中3点以上です。
択一式試験は70点満点で合格基準は49点以上かつ各科目10点満点中4点以上です。
合格基準は毎年度の試験の難易度が異なることから試験水準を一定に保つために試験結果を総合的に勘案して補正されます。
社労士の試験形式については以下の記事を詳しくご覧ください。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは年3回試験が実施されています。
合格基準はマークシート方式の学科試験で100点満点中70点以上、実技は150点満点中90点以上です。
実技は記述式の論述とロールプレイと口頭設問の面接があります。
キャリアコンサルタントの試験形式については以下の記事を詳しくご覧ください。
社労士とキャリアコンサルタントの仕事内容
共に人材に関する専門家と言われる国家資格の社労士とキャリアコンサルタントですが実際の仕事内容はどう違うのでしょうか?
それぞれの業務の違いについて見ていきましょう。
キャリアコンサルタント
さっそくキャリアコンサルタントの業務を見ていきましょう。国家資格になった背景も説明します。
職業設計を提案する専門家
転職希望者や就職希望者などキャリアアップを考えている人の職業設計や職業能力の開発・向上について相談を受けるキャリアに関する専門家です。
キャリアアップを考えている人との面談を通して、その人のスキルや適性から仕事を紹介したり、希望の仕事に就くために必要なスキルなどを分析して今後のキャリア形成のサポートをおこないます。
国家資格になったのは最近
キャリアコンサルタントは2016年4月に職業能力開発促進法に規定され、国家資格になりました。
名称独占資格なので資格を持っていない人はキャリアコンサルタントを名乗ることは出来ませんし、紛らわしい名称も用いることは出来ません。
国家資格となった背景
国家資格となった背景には労働人口の減少や終身雇用制度の崩壊など、企業を取り巻く環境の変化があります。
その中で企業が今までのように経済成長を持続させるためには、働き手が各々自分のキャリアについて主体的に捉え、自らの能力やスキルの向上について考える機会を提供することが重要だと国は考えています。
そのためキャリアコンサルタントを計画的に要請し、活用することでキャリアについて考える機会を設けることが期待されています。
社労士
社労士は労働社会保険諸法令に関する法律を専門的に扱う唯一の国家資格です。
手続き代行業務や書類作成業務は社労士の独占業務なので企業からのニーズが非常に高く、独立開業も可能です。
働きやすい職場環境作りを提案したり、複雑な年金制度の相談に応じて活用できるようにサポートしたりする仕事です。
採用から退職までの労務や社会保険に関する事や年金の相談など業務範囲は広範囲に渡るため、大変やりがいのある仕事です。
社労士の仕事内容については以下の記事を詳しくご覧ください。
社労士とキャリアコンサルタントはどっちがおすすめ?
高齢化が進んで社労士法改正がどんどん複雑化していったり、いろいろなハラスメント問題が増えていったりと社労士を取り巻く環境は激しく変化しています。
今後AIの普及が進んでいってもAIでは対応できない問題も多いと考えられます。
そのため将来性などの単純な取得メリットで考えれば社労士の方がおすすめと言えます。
しかし社労士はかなり難易度の高い資格です。資格取得を目指す際には長期的な計画を立てる必要があります。
キャリアコンサルタントのメリット
厚生労働省は企業などの組織活性化の仕組み作りを支援するためにセルフキャリアドック制度を導入しました。人材育成や能力開発のための助成金制度もあります。
これらは、企業の人材育成ビジョンや方針に基づきキャリアコンサルタントが面談と研修などを組み合わせて体系的・定期的に従業員の支援を実施することで従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する取り組みです。
この制度を取り入れることで職場の定着につながる、育児・介護休業者の職場復帰率が上がる、従業員の能力開発ができるなどのメリットがあります。
そのため、制度の導入は加速的に進んでいてキャリアコンサルタントの需要も高まっています。
社労士のメリット
社労士には労働社会保険に関する書類を作成したり、帳簿を作る独占業務があります。
仕事の幅が広く、どの企業でも行わなければいけない業務を扱うため、雇用も多いです。
また労働環境についてのコンサルティング業務は最近の働き方改革の流れにマッチしているため需要が大きくなっています。
社労士とキャリアコンサルタントのダブルライセンスまとめ
社労士とキャリアコンサルタントのまとめ
- どちらも人材に関する専門家で、国家資格である。
- ダブルライセンスを取得することで、会社と労働者両者の立場に立った相談や助言が出来る
- どちらも年々需要が高まっている人気の資格である
それぞれの資格についてダブルライセンスの相性やそれぞれの業務、将来性について説明してきました。
まだまだ需要が高まる社労士とキャラリアコンサルタントのダブルライセンスを目指してみてはいかがでしょうか?