マンション管理士には需要がないの?資格の将来性や今後増加する仕事を徹底解説!

「マンション管理士って需要が無いって聞くけど本当?」

「マンション管理士としての独立開業は無謀なんですか?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

マンション管理士は独占業務は無いものの独学開業することができる資格です。

一度試験に合格してしまえば生涯に渡って有効な資格ということで、今注目されている資格でもあります。

一方で「マンション管理士は需要がない」といった言説が散見されるのもまた事実です。

そこでここでは、マンション管理士の需要や必要性の実態、将来性についてまで分かりやすく解説します

マンション管理士の需要についてざっくり説明すると

  • マンションの数だけ仕事はある
  • マンション管理士は需要が高く仕事が無くなることはない
  • 転職や独立するときにも使える有望な資格である
  • 今後業務範囲の拡大も見込まれている

そもそもマンション管理士の仕事とは

マンション管理士の仕事は、「マンションの住民が快適に暮らせる環境作り」がメインです。

住民同士のトラブルなどを未然に防ぐことを目的として、各マンションは独自のルールを定めています。

また、マンションごとでルールなどを作成する管理組合の設置は法律で義務付けられています。

しかし、実際に多くの管理組合はマンションの管理運営の専門知識を持っていない一般住民が担っています。

そこで、そのような専門知識を持たない管理組合に対して「会計処理の方法」「運営コストの削減」といった組織の運営方法や、「建物の修繕が必要になった場合の工事会社の選定」のような事柄まで幅広くアドバイスするのが仕事なのです。

マンション管理士に需要はあるのか

青空と親指

インターネット上では、「マンション管理士は需要がない、資格を取っても意味がない」ということを言う人がいます。

しかし、マンション管理士は例年受験者数が1万人を超える人気資格です。需要がないということが本当にありえるのでしょうか

ここではマンション管理士の仕事の需要について確認していきましょう。

マンション管理士は今後チャンスが多い

マンション管理士は年齢や性別などの受験制限がないため、誰でもチャレンジできるハードルの低い資格です。

しかし、マンション管理士試験合格者は減少傾向にはあるため、マンション管理士の人数の増加はさほど伸びていません。

マンションは増え続けていることから、マンション管理士一人あたりの仕事の増加が期待できるため、今後活躍できるチャンスは多いでしょう。

現在のところマンション管理士の年収は400万円前後が平均となっていますが、将来的には800万円以上の年収も期待できる資格です。

マンション管理士は無くならない

マンション管理士業界はまだそれほど競合が進んでいない世界なので、市場が食いつくされていないのが特徴です。

また、マンションの数は増え続けているため業務自体は無くなることはないであろうという予想もあります。

マンション管理士には機械的に規約を適用するだけでなく、マンション管理組合の方々と信頼関係を構築し、臨機応変に住民トラブルの仲裁をすることが求められます。

つまり、事務的な対応だけでなく「ケースバイケースの専門的な対応が求められる」ため、マンション管理士の需要は常にあると言えるのです。

需要のない資格は出来ない

マンション管理士は、2001年に新たに作られた歴史の浅い資格です。

マンション居住率の増加やマンションの老朽化、マンション管理組合員の高齢化での問題が猛スピードで増えている背景があり、マンション管理のプロフェッショナルが必要となったためこの資格が作られました

マンション管理士は、管理業務主任者や宅地建物取引士の知識では扱うことが出来ない領域の問題に対処する資格であり、今後も需要は高まっていくでしょう。

そのため、マンション管理士の仕事は有望であると言えるのです。

マン管が必要な場所は増加中

また、最近はマンション管理士が求められるシチュエーションも増えています。

  1. 民泊としての利用者増加に伴う組合員と宿泊者・貸出者間トラブルやセキュリティ低下の懸念

  2. タワーマンション・メガマンション(超大規模マンション)の続出による新しい管理のあり方の模索

  3. 東日本大震災を契機とした防災対策の検討が起きている

  4. IT(SNS)が一般化し、管理組合(理事長)同士が情報交換し専門性を身に付けて「モノ言う組合」になってきた

このような背景もあり、マンション管理の専門家の存在が必要としている場所が増えてきているのです。

将来的には業務範囲拡大も

マンション管理士は業務範囲が広く、活躍できるフィールドは広いです。

しかし、マンション管理士の弱点として、法的に保護された独占業務がないことが挙げられます。

しかし、管理業務主任者など類似資格はありますが、マンション管理に特化した資格はマンション管理士のみであるため、社会的価値は高いのです。

そのため、業務範囲が重なる他業者に仕事を奪われないように注意する必要はありますが、マンション管理分野では基本的には比較的優位な立場に立てます。

よって、業務範囲を奪われる心配がないため、業務範囲を拡大しやすく、大きなビジネスチャンスがある資格であると言えるのです。

マンション管理士はなぜ活躍できない?

うまくいかない人

それでは、マンション管理士が独立・開業して活躍できない理由はどのようなことがあるでしょうか?

実務に慣れていない管理士が多い

世の中には単なる資格保有者や経験のほとんどない「ペーパーマンション管理士」が非常に多く存在します

また、資格保有者には実務経験のほとんどない人が多く、これらの人たちは実際の管理組合では戦力にならない人が圧倒的に多いのです。

このように、実務経験が無い人が多いことが独立開業しても活躍できない理由なのです。

独立を実践できない

独立では、自由度などが増す代わりに当然リスクが伴います。

独立しようとしても、そもそも起業の仕方が分からずに「オフィスを賃貸するべきか、自宅に構えるべきか」「開業資金はいくら必要か?借り入れをするべきか?」など色々と悩みが出てきてなかなか起業に踏み出せない人が多くいるのです。

リスクをしっかりと把握することは非常に重要ですが、時には思い切りも必要なのです。

上から目線で相談にならない

マンション管理士はマンションに関するプロであることは間違いありません。

しかし、顧客に対して「マンションの運営管理こうあるべき」と一方的に決めてかかってしまう人が多いのも事実です。

このように上から目線の高飛車な態度だと当然信頼関係が築くことができずに顧客を獲得することはできません。

本人は良かれの気持ちでやっていたとしても、このような態度だと相談が来ない上に、顧客が付きにくいことは当然ですね。

順調に仕事をするためには、円滑なコミュニケーションが何よりも大事なのです。

現在マンション管理士の求人はあるの?

大きな疑問

現状は不動産業界中心

現状、マンション管理士の求人は不動産業界が中心で、中でも不動産管理会社に関わる求人がとりわけ多いのが現状です。

また、管理組合の運営やコミュニティー作りのサポート業務の求人もあり、住民目線のサービスを提供するために不動産管理会社の社内にマンション管理士を必要としているところも多いです。

ただし、マンション管理士資格の保有が絶対的な条件ではなく、あくまで歓迎要件にとどまる求人が多いため、募集要項はよく確認しておくようにしましょう。

不動産はダブルライセンス必須

不動産系の資格は相互の親和性が高く、1つの資格だけではなく複数の資格取得を目指すのが一般的です。

不動産管理会社や不動産系のコンサルティングを事業にしている会社では、マンション管理士と「管理業務主任者」「宅地建物取引士」の資格と併せて取得しておくことで、「不動産のプロフェッショナル」として非常に高く評価されます。

転職活動などを有利に進めるためにも、これらの資格とのダブルライセンスは必須と言えます。

実は女性向けの資格

マンションの管理人さんなどは、男性が勤めているケースが多いのではないでしょうか?

管理人のみならず、マンション管理士も現状圧倒的に男性が多いですが、女性に向いている面も多いのです。

その理由として、マンション管理士の主な仕事が「住民が快適で安全・安心なマンション生活を送るためのコンサルタント」であるためです。

このようなコンサルタントをする上で大切なことは「マンションの生活者としてのリアルな感性」を働かせつつ「悩みにしっかり共感する」ことなのです。

このような心情面でサポートすることなど、女性が得意とする能力が求められる仕事が多いため、実務では女性の方が実は向いていると言われることも多いのです。

開業はダブルライセンスが多い

開業を目指すにあたって押さえておくべきことは、「マンション管理士資格単独での事務所開業は少ない」ことです。

マンション管理士はまだまだ認知度が低い資格であるため、他の認知度の高い資格などと併せてアピールしていかないと顧客探しが大変なのです。

具体的には、行政書士や土地家屋調査士など他の士業をベースに開業したり、建築士として建築事務所を経営しつつマンション管理業も行うなど、複数資格を併せて開業していることが圧倒的に多いのです。

開業後に営業活動などの苦労を軽減させるためにも、ダブルライセンスは非常に重要なポイントなのです。

マンション管理士の将来性は?

お金と成長

それでは、競争が激化する中でマンション管理士の将来性はどのようになっていくと考えられるのでしょうか。

機械化・AI時代だからこそマンション管理士

最近はIT化やAIの発展が著しく、既に導入している会社もあります。

今後、さらに発展が進み導入する会社も増えると、人間の仕事が奪われる可能性があると示唆されています。

しかし、AIは膨大な数のデータ収集や簡易な事務作業においてははるかに人間よりも優秀ですが、相手の心情に配慮したサービスなどを提供することはできません。

マンション管理士には機械的な仕事の他、人間ならではのソフト面でのスキルは必要不可欠であるため、AIは進出しづらいのです。

マンション管理士試験では、ハード面であるマンションの構造や設備に関する不動産知識の他、ソフト面の法律知識やマンション管理組合の円滑な運営に関する知識も問われるため、非常に実務的です。

今後様々な技術革新が進んだとしても、こうしたハード面とソフト面での能力を兼ね備えたマンション管理士はそう簡単に機械に仕事を奪われることはないでしょう。

コンサルティング力が生き残りのカギ

前述したように、AI時代を生き抜く上で必要なのは、人間にしか出来ず、機械には出来ない業務をして差別化を図ることです。

その代表例として「コンサルティング業務」があります。

コンサルティング業務は対話をベースとして、クライアントの本当の悩みを感じ取り、マンション管理組合のマネジメントやマンションの設備や構造などの専門知識を活かしてアドバイスする業務です。

このようなコンサルティング業務を行うときに必要なのはコミュニケーション能力であり、これは機械やAIには持ち合わせていない能力です。

そのため、AIには真似することができずコンサルティング業にAIが進出するのは極めて困難です。

つまり、マンション管理士として業務を行っていく際に、コンサルティング業は今後ますます重要になってくると予想されているのです。

得意分野をもつことが重要

鍛える男性

ここで、「コンサルティング業務が苦手なマンション管理士は生き残れないのか」という疑問が生じます。

実際にそのようなことはなく、資格を取得後してから何かに特化した得意分野を持つことで、生き残っていくことができます。

コンサル業務以外にも差別化戦略あり

先ほど紹介したコンサルティング業務は、機械化が進出できない分野なので将来性は高いです。

しかし、コンサルティング業務を持つこと以外にも生き延びるための差別化戦略はたくさんあります。

その一つとして、他の競合がやらないようなニッチな分野を選んだり、まだ未開拓な部分の専門家になることで、その市場を独占できるようになるでしょう。

例えば、マンション管理士はマンション住民のトラブルの仲裁だけではなく、マンションの修繕の際の工事会社の選定といった仕事も担うことになります。

こうした分野で、「あの工事会社は排水関係が得意」「あの工事会社は外壁工事が得意」などをしっかりと把握して専門性を高めることにより、同業者間でも差別化をするといった戦略が考えられます。

もう一つの差別化戦略として、地域のニーズと徹底的にマッチした仕事を行うという戦略があります。

例えば、居住者数が多いエリアに事務所を構える場合、その地域の複数のマンション管理組合の顧問になることでその地域の市場を独占できる可能性があります。

実際にマンション管理士に委託している管理組合は多くないため、同業者が少なそうなエリアを絞ることで大きなチャンスがあるのです。

特に近年はマンション管理士の地方での認知が進み始めているため、地域に密着したマンション管理の専門家となる戦略も考えられるのです

独立するなら実務経験を積む

独立開業の前に、実際に実務経験を積んで「このようなトラブルが起こるんだな」などの具体的な業務イメージを掴んでおくと良いでしょう。

「いきなり独立開業はリスクが高くてちょっとなぁ…」という人は、まず副業で週末だけマンション管理士業をやってみるのがオススメです。

本業に支障が出ないようにやらなければならないなどの制約はありますが、実際のトラブルを解決するときには実務経験が大いに役立ちます。

実際に「週末だけマンション管理士やってます」と宣伝しても仕事を受けることが出来る可能性は低いですが、まずは手伝い程度でも実務をこなしてみることをおすすめします。

開業資金はどれくらい必要?

どの士業であっても、独立開業するときには初期費用がかかります。

テナントの賃貸や事務用品の調達などで200~300万円程度の準備は必要となるでしょう。

また、開業して間もなく顧客を獲得できることは稀であるため、しばらくの期間無収入でも問題なく過ごせる程度の預貯金も準備しなければなりません。

ゆとりのある資金計画を立てることで、じっくりと営業活動に専念できるようになります。

マンション管理士の需要についてまとめ

マンション管理士の需要まとめ

  • 需要も将来性も高く、早めの取得がオススメ
  • 民泊などの新しいビジネスに伴い活躍できる幅も広がる
  • ダブルライセンス以上を狙うとより存在価値が高まる

マンション管理士は将来性が高く、今後も高い需要が保たれるであろうことをお伝えしました。

様々なフィールドで活躍が見込まれ、展望は明るいものの、肝心なことは自分のスキルや工夫を凝らした営業活動であることを忘れてはいけません。

周囲とうまく差別化することによって、独立開業後も順調に仕事を受けることができ、長く頼られるようになるでしょう。

認知度も高まりつつあるマンション管理士の取得をぜひ前向きに検討してみてください。

資格Timesは資格総合サイト信頼度No.1